数日後
学校
ニャル子「まっひろさーん!今日もお弁当作ってきましたよー!」
4時限目が終わった瞬間、弁当袋をひっつかんで真尋さんに飛び掛かるニャル子さん
真尋「あぁもう!毎度毎度飛び掛かんな!」
それに対し、どこから出したのかフォークを構えニャル子さんに突き刺す真尋さん。あれ痛そうだなぁ…というか、人体にフォークが刺さるって相当な腕力なんじゃ…
ニャル子「あぁん、真尋さんのいけずぅ」
真尋「変な声出すな!」
この二人のやり取りは、もはや恒例行事と言えるほどまで繰り返された光景だ
エメ「今日は何を作ってきたんですか?」
ニャル子「今日はいつもより気合を入れたんですよぉ!」
真尋「へぇ、何を作ってきたんだ?」
そう言う真尋さんの顔は少し引き攣っている
エメ「(あれ?ニャル子さんって確か料理上手なはずだよね?いつも真尋さんおいしそうに食べてたはずだし…)」
そんなことを思っていると、ニャル子さんが勿体ぶった様に容器を開けてみせた
エメ「これは…サンドイッチとハンバーガーですか?」
なんだ、いたって普通の料理だった。でも、気合を入れたというほどの料理でもないような…
ニャル子「PBCサンドとFMLバーガーです!」
真尋「そのアルファベットは何の略だ?」
エメ「PBCですし、豚(pork)、牛(beef)、鶏(chicken)で、FMLは魚(fish)羊(matton)子羊(lam)じゃないですか?」
ニャル子「いえ、PBCはファロール、ビヤーキー、クトーニアンの肉で、FMLは飛行するポリプ、ミ=ゴ、ロイガーの肉です」
真尋&エメ「「それ全部神話生物じゃないか!(ですか!?)」」
綺麗に言葉が重なった
エメ「(と言うか、神話生物を挟んだサンドイッチやバーガーって、食べるだけでSAN値減りそう…いや、でも黄金の蜂蜜酒みたいな感じでいい効果があるかもしれないわね…)」
一瞬そんな事を考えたエメであったが、精神的に無理と体が拒否し、少し分けてくださいとは言えなかった
ちなみに、真尋さんもその二つは食べず、他の普通の料理だけ食べていた
ハス太「相変わらずニャル子ちゃんは真尋君にストレートにアタックしてるねぇ。僕も見習わなきゃいけないなぁ…」
エメ「え?ハス太君も真尋さんの事が好きなんですか?」
ハス太「え!?口に出てた!?」
エメ「ええ、小声でしたけど」
ハス太「う、うーん、どうなんだろ…他の男の子と比べて特別な感じがするんだけど、これが好きって気持ちなのかどうかは…わかんない」
エメ「そうですか、じゃあ頑張らないといけませんね」
一応、同性愛も愛情の一つだし、少し理解もある方だと自負してる。というより、こんな子に好かれるなら男とか女とか関係なくうれしいだろうし
ニャル子「そう言えば、エメさんは別世界から来たって言ってましたけど、それならなんで私達の種族を知ってたんですか?」
エメ「ああ、私のいた世界でもクトゥルフ神話は少数ながらもちゃんと存在していたんですよ。それに私一応神話オタクなので」
ニャル子「ほう、なら私達の種族をある程度は説明できると?」
エメ「はい、出来ますよ。ニャル子さんは這いよる混沌ニャルラトホテプ、千の貌を持つ者で、クトゥルフ神話四神の地神を担う邪神ですよね?」
ニャル子「へぇ、真尋さんに負けず劣らず私の種族の基本情報を持ってますね」
クー子「私は?」
エメ「クー子さんは生ける焔クトゥグア、ニャルラトホテプの住処だったンガイの森を焼き払った種族で、クトゥルフ神話四神の火神を担う邪神だというのは知ってます」
クー子「なかなか詳しい。確かに少年に張り合えるかも」
ハス太「僕の種族の事はどれくらい知ってるの?」
エメ「ハス太君は黄衣の王ハスター、名状しがたいものと言う不明瞭な特徴を持っていて、ビヤーキー等を使役しているクトゥルフ神話四神の風神を担う邪神であるというくらいは知ってます」
クー子「...何かハスターの説明だけ、やけに詳しくない?」
エメ「あぁ、クトゥルフ神話の邪神の中でハスターが一番好きなので」
エメがそういうと、ハス太は少しだけ照れた
ニャル子「...私が言うのもなんですが、女子の好く物として如何なものかと思うんですがねぇ?」
エメ「まあ、周りの子で話が通じる子は全くと言っていいほど居なかったですしね」
そんな他愛のない話をしていると、ふと違和感を覚えた
エメ「ん?なんか空が暗くなったような...」
そう思い空を見上げてみると、先程まで晴天だった空は夜の様に暗くなり、向こうの方から何かが跳んできた
エメ「(あれは…人型をしてる様に見えるけど…)」
エメがそんなことを思っていると
クー子「少年、エメ、ちょっと下がってて」
エメ「え、でもあれって…」
ハス太「大丈夫、すぐ終わるから」
私は何か言おうとしたが、ハス太君に止められた
そして先程の人型の生物が遂に屋上へと辿りついた
エメ「あれは…蛇人間じゃないですか!?」
屋上へ跳んできたのは蛇人間と呼ばれるクトゥルフ神話の下級神話生物だった
真尋「また神話生物が来たのかよ…今度は何が目的なんだ?」
この反応から察するに、以前にも神話生物が来たことがあったのだろう
ニャル子「なんだってんですよ!また誰かが何か企んでんですか?」
ニャル子さんがそう問いかけたが、相手は何も答えずニャル子さん達へ襲いかかった
エメ「ニャル子さん達、大丈夫なんですか?相手は倍は居るように見えますけど…」
真尋「大丈夫だよ。ああ見えてあいつらかなり強いし」
そんな風にエメが真尋と話していて、再びニャル子達に視線を戻すと…既に戦いは終わっていて、ニャル子が蛇人間の首を掴んで尋問と言う名の拷問をしていた
エメ「あの…私から見てニャル子さんの方が悪役っぽい雰囲気が出てるんですけど…」
真尋「大丈夫だ。僕にもそう見えてる」
そんなやり取りをしていると
ギョェァァァァァァァ
凄まじい断末魔を上げて蛇人間が消滅した
すると、先程まで暗かった空が元通り明るい晴天に戻った
真尋「拷問は終わったか?ヒーロー気取りの悪魔さん?」
ニャル子「拷問とは人聞きの悪いですねぇ…悪い事をした悪い子に、お仕置きがてら少し質問をしてただけですよぉ」
真尋「なんだっていい。何か分かったのか?」
クー子「どうやらまた人攫いみたい」
エメ「人攫い…ですか」
ニャル子「ええ、しかも今回は奴隷なんて甘っちょろいもんじゃないみたいです」
真尋「奴隷が甘っちょろいって…どんなことが目的だったんだ?」
ニャル子「蛇人間の話から察するに…人体実験ですよ」
エメ「人体実験!?」
ニャル子「詳しい話はさすがに口を割りませんでしたが、人間を使った研究と言っていたので、おそらくそうじゃなかろうかと」
真尋「また厄介事に巻き込まれたか…」
ハス太「大丈夫だよ!真尋君達は僕達3人が守るから!」
クー子「とにかく、このまま放っておいても次が来るだけ。早いうちに解決するのが最善」
ニャル子「という事なので、今日学校が終わり次第、敵の本拠地を攻めに行きますよ!」
そんな話をしていると、昼休みの終わりのチャイムが鳴った
放課後
八坂家
ハス太「じゃあ、行くよ」
ハス太君がそう言って手を前にかざすと、目の前の空間が歪み、空間が裂けた
ハス太「ゲートができたよ。皆早く入って」
ハス太君にそう言われて次々とゲートに入っていく
エメ「あの、私はゲートを抜けられないんじゃ…」
ハス太「あぁ、これは僕の力で無理やり開いたゲートだから、誰でも行き来は普通にできるよ」
さらっと犯罪行為をしているようなことを聞かされた気がするけど、あえてスル―しておこう
そんなことを思いながら私もゲートへ入った
トゥリアン大陸 王国跡地
空間に裂け目ができ、ニャル子達が出てきた
ニャル子「フゥ…蛇人間の拠点と言ったらやっぱりここですかねぇ…」
クー子「蛇人間の栄えていた最後の王国、あいつらなら表沙汰にならないように隠れて何かの研究をしてても不思議じゃない」
ニャル子「とにかく、とっとと行ってパパッとぶっ潰しちゃいましょう」
そう言ってニャル子さんがどんどん歩いて行ってしまったので、私達もそれについて行く
エメ「でもニャル子さん?見た感じ何処にも研究施設何て見当たらないですよ?」
ニャル子「そんなの地上にあったらすぐ私達に見つかってしまいますからね。大方地下にでも作ってんでしょう」
クー子「だから今はその施設への入口探しをしてる」
真尋「でも、こんなだだっ広いとこで隠し扉を見つけんのは至難の業だぞ?日が暮れちまうよ…ここに日なんて出てないけど…」
ハス太「あぁ、それなら大丈夫だよ」
エメ「何か方法があるんですか?」
ハス太「うん。ちょっと待ってね」
そう言ってハス太君は地面に手を付け、何やら意識を集中させた
ハス太「……あった!扉が何処にあるか分かったよ!」
えっ!?地面に手を付けただけで何かわかったの!?
そんな事を思っているとハス太君が軽く走り出し、10mほど行った所で立ち止まり地面の砂や砂利を掃うと、扉が現れた
ハス太「さあ、皆行こう」
そう促されて、私達は扉の中へと進んで階段を下りて行った
エメ「あの、さっきのはどうやって扉を見つけたんですか?」
クー子「あれは風流探査」
真尋「風流探査?なんだその爽やかな雰囲気あふれる探査方法は…」
ハス太「そう言う意味の風流じゃなくて、風の流れを使って意図的に作られた空間を見つけたんだよ。人工物は自然物と違って風の流れが不自然になるからね」
エメ「なるほど、ハスター特有の術を使った探索方法ですね」
ニャル子「ちなみに私も音波探査ならできますよ」
真尋「じゃあなんで最初からそれをしないんだよ…」
ニャル子「えっ、だって音波なんか発したら蛇人間に聞こえてしまいますし…」
真尋「あっ、それもそうか」
そんな話をしていると、やっと下の階についたようだ
ニャル子「クリアリング完了!セーフティ!」
真尋「お前のその声でバレるから静かにしろ」
エメ「とりあえず、慎重に部屋を探索して行きましょうか」
真尋「一ヵ所に固まっていても利点があんまりないし、二手に分かれよう」
ハス太「じゃあ、僕とクー子ちゃんとエメちゃんの3人と、真尋君とニャル子ちゃんの2人で分かれようか」
クー子「ニャル子と一緒の方がいいけど、我慢する…」
ニャル子「真尋さんと二人きり…ハス太君ナイスです!」
真尋「だからうるさいって…」
エメ「私は異論はないです。足手纏いにならないように気を付けますね」
研究所 1F
這いよる混沌チーム
ニャル子「さてと、何か情報源は転がってないですかねぇ…」
真尋「ニャル子…お前の探し方が既に強盗のそれなんだが?」
ニャル子「やだなー真尋さん、これは強盗まがいじゃ無く、アグレッシブ探索って言うんですよ」
真尋「部屋に置いてある棚やら引出しやらを無造作に開けていくのはアグレッシブの域を超えてると思うんだがな…」
まだ部屋に入って数分だというのに、既に部屋の中はニャル子が取り出した物が散乱している
蛇人間A「あっ!お前達そこで何をやって(グシャァ」
相手が言葉を言い終わる前にニャル子のサマーソルトが顎を貫き、頭が吹っ飛んだ
真尋「お前のその反射神経だけはすごいと思うよ…」
ニャル子「周りに知らされる前に始末するしかなかったんだゼロ少佐…だが、そのおかげで他の兵士には見つかっていないようだ」
真尋「誰がゼロ少佐だ!」
生ける自然災害チーム
ハス太「手掛かり、手掛かり…と」
エメ達3人は手当たり次第に部屋に入り、何か手掛かりがないか探索していた
クー子「この感じだと、蛇人間達を直接尋問した方が早く情報が集まるかも…」
クー子さんがそんなことを言っていた時、私は棚の中に入っていた少し大きめの瓶を見つけた
エメ「(ん?この黒い液体は…タールかな?)」
そう思い、エメは瓶の栓を開けてみた
そして中身をみようとした瞬間
エメ「キャッ!?何!?」
突然黒い液体が瓶の中から飛び出し、エメの頬を掠め地面に落ちた
咄嗟に頬へ手を当ててみると、軽くではあるが切れて血が出ていた
クー子「エメ、大丈夫?」
エメ「え、ええ、大丈夫です…でも、これって…」
そう言って先ほどの黒い液体を見てみると、一度は地面に広がったものの、少しずつ中心へと集まり、蛇のような形になった
ハス太「これは…無形の落し子!?なんでこんな所に!?」
本来いないはずの無形の落し後に驚いた3人であったが、クー子とハス太はすぐに臨戦態勢をとって無形の落し子と対峙した
しかし、一瞬だけ戦う素振りを見せた無形の落し子であったが、何を思ったのか排気口へ逃げて、3人を攻撃してくる事はなかった
クー子「…攻撃、してこない?」
ハス太「そうみたいだね…ただ逃げる為に排気口に飛び込んだ風に見えたし」
エメ「び、びっくりしました…」
クー子「エメ、中身の分からない者を不用心に開けちゃダメ。場合によっては死ぬ」
エメ「すみません、以後気を付けます」
ハス太「とりあえず、探すところは探したし、二人と合流しよ?ね?」
ハス太がそう言ったので、3人はニャル子達と合流するために部屋を出た
To Be Contined
本来生息しているはずのない無形の落とし後が研究所に出現し焦るクー子達だったが、すぐに逃げられてしまった。部屋の中を捜索し終え、とりあえず真尋たちと合流しようという事になり部屋を後にする。
果たして、蛇人間達の目論見とは何なのか?
次回【適合体】