人生はままならない   作:んみふり

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交渉戦とか言ってる割にあっさりです。


交渉戦 後編

堕天使領。

そこは一つの組織が治める場所。

その組織の名は神の子を見張る者(グリゴリ)

堕天使アザゼルが総督を務める組織だった。

そんな彼は今現在凄まじい冷や汗と共に執務室の魔方陣に向き合っていた。

(何でだよ…何でガブリエルから直通の連絡魔方陣が…⁉︎)

無視するべきか。

そんな事をしたら恐らく自分は恐ろしい目に合う。

しかし、応答したらしたで何が起こるかわからない。

しばしの逡巡の後、アザゼルは魔方陣に応答する。

「俺だ。」

「俺だ。ではありません。出るのが遅いです。」

開口一番凄まじい程の冷気を伴った声を発するガブリエル。

「悪かったよ。そんで、今日はどうしたんだ。」

そんなガブリエルに、あくまで飄々と対応するアザゼル。

「はぁ…まぁいいです。実は、姫島の一件で話があります。」

「⁉︎」

姫島。その言葉にアザゼルの顔色が変わる。

「先程、姫島──バラキエルの家族が襲撃を受けたのはご存知ですね?」

「あぁ、さっきバラキエルから連絡が来てな。母娘共に無事だと聞いたが…まさかお前が?」

「半分、違います。」

「半分?」

「はい。私が来た時には、別の人間が襲撃者を撃退していました。───彼です。」

「初めまして、堕天使総督殿。」

「子供…⁉︎」

「見た目で判断してはだめですよアザゼル。彼の実力は、現段階で私より上です。」

「はぁ⁉︎」

ガブリエルの言葉に、信じられない、と顔をひきつらせるアザゼル。

しかしすぐに頭を切り替え、幹也に向き合う。

「そうか…お前が助けてくれたのか。感謝するぜ。バラキエルの家族は俺にとっても大切なんだ。本当にありがとう。」

イメージと違うアザゼルの対応に、思わず面食らう幹也。

「いえ…自分は気づけば勝手に動いていただけなので。」

「それでもだ。何か礼をさせちゃくれねぇか?」

「……では一つお願いが。」

「言ってくれ。」

「三大勢力の和平を、円滑に進めるために協力して頂きたい。」

「何故お前がそれを…」

「実はさっき、魔王サーゼクスと取引をしたのです。いくつかの行動を許してもらう代わりに、和平に協力する、と。」

うへぇ、と、顔を顰めるアザゼル。

(この歳で魔王と取引とは…どんだけ肝が据わってるんだよ、ったく)

内心で溜息を吐きながらアザゼルは幹也に問う。

「それで?具体的には何を要求するつもりだ?」

「早期に問題の芽を摘む権限…ですかね。」

「……要するに、粛清権限か。」

「いかにも。通常の問題ならそちらに一任しますが、三大勢力全てに関わる状態になった場合はその戦犯を始末、もしくは捕縛する許可を頂きたい。」

物騒な言葉が飛び交ってはいるが、これは実の所当たり前の要求だったりする。

ここでしっかりとした確約を貰わなければ、後々外交問題に発展しかねないからだ。

そしてこれは、和平を望む堕天使にとっては極めて有難い提案でもある。何故なら

(三大勢力の中で一番信用の薄い堕天使が、この粛清を許可すれば、下手に勘ぐりを入れる輩はいなくなる。痛くもない腹を探られる事も無くなる、か。中々どうして、考えてるな。)

この提案の意味を正しく理解したアザゼルは思わず舌を巻く。

本当に目の前にいるのは、子供なのかと疑いたくなる程に。

しばらく考え、アザゼルは口を開いた。

「条件がある。」

「何です?」

「その堕天使が、どんな事件を起こしたか、しっかりと教えて欲しい。独断で下手に殺されちゃたまらんからな。」

「構いません。但し、緊急の時には…」

「構わねぇ。そん時は任せるぜ。」

「では…交渉は成立で?総督殿。」

「あぁ。それと、アザゼルで構わねぇよ。敬語もいらん。」

「ですが…」

「堅いのは苦手なんだ。気楽に行こうや。」

「…わかった。俺の事は幹也で良い。」

「わかった。よろしくたのむぜ?幹也」

こうして、堕天使との交渉は成功に終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

と、そこでアザゼルがある疑問を口にした。

「所で、お前さんの神器(セイクリッドギア)はなんなんだ?」

それはガブリエルや黒歌も気になる事だった。

およそ十歳程の少年が大天使を凌ぐ程の実力を有する事が出来る程の神器とは一体何なのか?

研究者としてアザゼルは何としても聞きたかったのだ。

しかし、幹也の反応は

「せい、セイク、なんだそりゃ?」

「「「は?」」」

思わず、幹也以外の三人がぽかんと口を開ける。

「幹也?貴方のあの刀は神器では無いのですか?」

「ん?あぁ、これか?」

言って、幹也は手元に黒刀を召喚する。

「これは神器じゃねぇよ。宝具っていう、神秘の塊なんだ。」

「宝具…ですか?」

聞きなれない言葉に、三人は首を傾げた。

「そう。神刀月神(つきがみ)。唯一無二の俺の宝具だ。」

「神刀だと…⁉︎」

アザゼルはその言葉に息を呑む。

恐らくは聖剣と同等か、或いは凌駕しうる程の刀。

それはアザゼルの研究意欲を激しく刺激した。

「なぁ、時間があればその刀を」

調べさせてくれ。

そう言おうとした時、それは来た。

「ミキヤ君‼︎」

いきなり飛び込んで来た幼い声。

それは、

「あら、朱乃ちゃん?」

先程幹也が助けた少女、姫島朱乃の声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから。

泣きながら礼を言ってくるゴツい堕天使(バラキエル)と、幹也に会わせろと暴れ出す朱乃をなんとか宥め、通信を切る幹也。

「あー。マジで疲れた…」

「にゃー、次は天使かにゃー?」

「いや。そっちはガブリエルが話をつけてくれるそうだ。」

と、一息ついていた時、再び通信用の魔方陣が現れた。

「サーゼクス殿?」

「度々済まないね、幹也君。早速君に頼みがある。実は、私の妹がある町の領主になるのだが、君には妹を陰ながら支えて欲しい。」

「妹…ですか?」

「ああ。もう直ぐ中学生になる。名をリアス・グレモリー。」

「…陰ながら、という事は、やはり?」

「 ああ。君の存在は三大勢力のトップと、ごく僅かな幹部にしか伝えていない。公にするには、まだ早いと思ってね。」

「構いません。むしろこちらから頼もうと思っていたくらいですので。

それで、その町は何処なんです?」

その問いに、サーゼクスははっきりと答えた。

 

「駒王町。試験的に、悪魔が運営する学校を設立した場所だ。」

 

 

静かに、そしてゆっくりと、しかし確実に。

 

 

 

 

 

────────物語は動き出した。

 




はい!これで原作前は終わりです。
次回は幹也のプロフィールとステータスを上げますので、原作はもう少しお待ちください!
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