人生はままならない   作:んみふり

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ちなみに今回はちょっと短いです。


原作開始 旧校舎のディアボロス
秒読み


いつからだったか。孤独を恐れたのは。

 

いつからだったか。孤独を拒んだのは。

 

いつからだったか。孤独を嫌ったのは。

 

いつからだったか。孤独を憎んだのは。

 

かつて、人を救う為に戦争を望んだ賢者がいた。

かつて、人を救う為に神を目指した魔性がいた。

かつて、人を救う為に奇跡を渇望した男がいた。

 

目的は違えど、その根底にあるのは救済だった。

人を愛すが故に人を作り変える女神も、

人を愛すが故に人理を焼却する魔神も、

どれもこれも皆、ひとえに自らの中にある愛情に従ったからこその行動だった。

であればきっと、これもまた人への愛なのだろう。

だってこんなにも、私は人を────愛している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通学路というのは何故こんなにも賑わっているのか、幹也は真剣に考えた事がある。

人が多いからか。はたまた若さくる活力か。

何れにしても精神年齢三十オーバーの高校二年生である月野幹也はさすがに朝早くから元気にはしゃげる程のバイタリティは持ち合わせていないのである。

(ほんと、色々あったなぁ…)

魔王サーゼクスに駒王町に赴けと言われ、早七年。

あれから大した事件も起こらず、幹也はさして苦労もせずに駒王学園に入学した。

(今更高校で何学べって言うんだよ…)

だらだらと、幹也が歩いていると後ろから何かがぶつかってくる。

同時に、ふにゅり、と柔らかな感触も。

(もう追いついてきたのか…)

「置いてくなんてひどいですわ?幹也君?」

きっと、彼女を見たら百人が百人とも、大和撫子のようだと答えるであろう美貌。

豊満に育った魅力的な肉体美。

「いきなり抱きつかないで下さい…朱乃さん。」

そう。彼女はかつて幹也が助けた少女、姫島朱乃だった。

時間が経つと人は変わるとは言うが、幾ら何でも育ち過ぎだと幹也は息を吐く。

しかし、当の本人である朱乃はそんな幹也の様子を気にせずに後ろからべったりと抱きついている。

「だって…私を置いて出て行ってしまうんですもの…これくらいは許して貰いますわ?」

「………」

毎度の事ながら、幹也は朱乃の行動力に驚かされていた。

この町に越してきた時も、幹也の家にいきなり現れ、

『今日から私も住む‼︎』

という衝撃的な宣言から始まり、風呂場やベッドに潜入、果ては中学校の時には、

『幹也君…子供は何人欲しい?』

と、人目を憚らずに聞いてくる為に周りからは嫉妬や好奇の目を向けられたりする。

(まぁ…高校に入ってからは減ったけどな。)

周りが理解した、という訳ではない。幹也よりも更に目を惹く存在が現れたからである。

と、そこまで考えた時、抱きつく力が更に強くなる。

「幹也君…?これでも私、怒ってますのよ?」

「…すいません、考え事をしてたらつい朱乃さんを忘れて家を出てつらっ!?すいませんマジで謝るんで微弱な電気流すのはやめて⁉︎」

父親譲りの電撃を流されそうになり、幹也は本気で焦る。

ダメージは通らないが、傍目から見ると電撃を体から発する謎の超常人間だと思われてしまうのが嫌だったのだ。

「むぅ…まぁいいですわ。その代わり、ちゃんと埋め合わせはして貰いますわよ?」

「了解いたしました…」

何とか暴君を引き剥がす事に成功した幹也。

と、そこで幹也は、いつの間にか自分達が学園の目の前までやって来たことに気付く。

「相変わらず広い学校だよなぁ…」

駒王学園。

高校と大学が一纏めになったその学園は、さながら西洋の学舎のような優雅さを感じさせる作りとなっている。

「んじゃ、朱乃さん、また後で。」

「嫌ですわ。」

「え?」

「嫌ですわ。」

「いや、あの」

「私も二年の教室に行きますわ。」

「………」

結局、朱乃を説得するのに五分もかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(疲れた…)

朝から魔王と渡り合う程の交渉術をフルで発揮した幹也。

最終的に膝枕を帰ったらするという事で落ち着いた。

「ん?」

教室に入ってすぐに、人だかりが出来ていることに気が付く。

見れば、女子生徒が皆、一人の男子に群がるように集まっている。

(またか…)

これが幹也への視線が減った理由。

幹也を遥かに上回る程の好奇と嫉妬が彼に集まったのだ。

(確か…兵藤 一誠、だったか。)

しかし、彼に大して興味の無い幹也は、さして気には留めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────全てが始まるまで、後二日。

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