えー君が私を2泊3日の豪華クルーズに連れていってくれることが決まって半年。ようやく出発できたんだよねー。マジェさん説き伏せるの大変だったろうなぁ...
「悪いな茜...時間かかって...」
「いーよ。行けないわけじゃなかったんだからさ。それに楽しみを待つのはそれだけでたのしーものだよ。半年はちょっと長かったけど。」
夜の船の上で私たちはのんびりそんな会話をしている。お酒飲めないから夜に中にいる理由もないんだよねー...まぁ、外も外で船と陸の明かりを頼りにした夜景しかないけど...
『月が出てたらなぁ...』
思わずえー君とハモる。
ふふ、何だかとっても嬉しい。
「嬉しそうだな、茜。」
「わかる?やっぱりずっと一緒にいるとわかっちゃうものなのかな。」
「わかるよ。嬉しそうな茜は...ずっと見ていたいからな。ずっとそうであって欲しいから。」
ずるいなぁ、ってまた思う。
こんなこと言われて嬉しくないわけない。
「ほんっと、えー君はずるいよ。」
「心外だな...」
「ずるいよ。なんでそう簡単にそんなかっこいいこと言うかな...」
えー君は少し反応に困ってた。
えー君の考えてることは私はよくわからない。いっつも私の予想を超えてとんでもないことをする。そしていっつも私を楽しませてくれる。
けどそれは、えー君にとっては当たり前のこと。
「私じゃなくてもいいように聞こえちゃうよ...」
なんて、もっと困らせちゃうようなことが口をついて出る。
「そうだとしたら、茜を選んだりはしないよ...」
その一言だけで、私が間違ってることがわかった。そうだよ。そうじゃないか...
「夜風が寒くなってきたな...茜、そろそろ中に戻るとしようか。」
「ううん、えー君、もう少しここにいたい。」
「そうか...でも寒くないか?」
「いーの。えー君にくっついてたら、寒くないよ。冷たくなんてないでしょ?」
「全く...誰がうまいこと言えと...」
夜の10時をスマホの時計が伝えてくれる。だからなんだ。そろそろいつも寝る時間だからってなんだ。今このえー君と一緒にいるこの時間は、誰にも何にも邪魔はさせない。
「えー君。」
「どうした、茜。」
何か言おうとして、何故かその言葉が言えなかった。言ってしまえば簡単なのに、なんでか言えなかった。何がそれを妨げているのか、わかんなかった。
「......えっと...」
「言わなくてもわかるさ。」
腕をするりとえー君が回してきた。
「愛してる。」
「...ほんと、ずるいなぁ...」
私もだよ、えー君。
あかねぇかわいいよあかねぇ(5回目)
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