かれこれ5ヶ月ぶりですね~、アハハハハハ………
すいませんでした!
それではどうぞ!
炎天下の中、頬に伝う汗を拭いながら歩く。
周りの視線が自分に突き刺さるのを肌に感じる。
ある者は奇異な物を見るような視線をぶつけ
ある者は気遣うような視線を向け
ある者は指を指して嘲笑う
それらに対して盛大にため息を吐きながら目的地に歩を進める。
ふと横を向くと、そこは洋服屋なのか綺麗に着飾られたマネキンがガラス越しに飾ってあった。それと同時に自分の姿が目の前に移る。そこにいたのは-------
髪はチリチリ、着ている制服は所々焦げている、アホ毛が特徴的な男子高校生が立っていた。
……誰だよこいつ、まあ僕なんだけどね。
というか何でアホ毛だけチリチリじゃないんだよ。
今だって風もないのにピョコピョコ揺れてるし。
このアホ毛自体に意志が宿っているのではと疑っているのは僕だけだろうか?
え?どうでもいい?そうですか……
あの後、勝負を吹っ掛けてきた御坂をどうにか説得しようとしたが失敗に終わり、しょうがないのでその場から逃走をはかった。
女子中学生から逃げるというこの状況に情けなさを感じながら、逃げられたことに安堵したのも束の間、なんと御坂は怒鳴りながら追いかけてきたのだ。その上能力を使っていたのか普通の女子では出せないようなスピードでだ。
追いつかれると思い裏路地に入り撒こうとしたのだが、その判断が失敗だった。
裏路地に入った瞬間、御坂は電撃をぶっ放してきたのだ。
後は言わずもがな、放たれた電撃は幾つもの軌跡を描き、僕に直撃。
一瞬意識を手放しかけたところをなんとか堪え、近くにあったポリバケツの中身(ハエのたかり様から生ゴミだと想われる。)を能力を使ってぶちまけ御坂の視界を遮り、何とか逃げてきた。
その際、後ろから爆発音がしたが僕には関係ない。ないったらない!
そして現在面倒事(銀行強盗と御坂)に巻き込まれて下ろし損ねたお金をおろすためにコンビニに向かっている。最初からコンビニに行けばよかったじゃんというのは言わない約束である。
「おい、そこの生徒大丈夫じゃんかよ。」
いきなり声をかけられて内心びっくりしたが、それを悟られないように声のしたほうに視線を移す。
そこには警備員の乗用車が止まっており、窓から見覚えのある人物が顔を出していた。
「黄泉川先生………」
そこにいたのはうちの学校の体育教師であり、警備員に所属している
「ん?よく見ればお前、北桐じゃんかよ。」
「あはは、どうも……」
黄泉川先生には入学当初からお世話になっており、僕が小萌先生と同じくらい信頼している先生だ。美しい容姿と快活で世話焼きの性格も相まって、他の生徒からも男女問わず人気がある。まあ、婚期からは逃げられているようだが………
「フンッ!」
「ぐはっ!」
突然身体に衝撃が走り後ろに吹っ飛ぶ。
一体何が起こったか分からなかったが!すぐに黄泉川先生が勢いよく開けた車のドアをぶつけてきたようだ。
「いきなり何するんですか!?」
「お前が失礼なこと考えた気がしたじゃんよ。」
「何て理不尽な………」
そうは言ったものの、失礼なことを考えたのは事実なので何も言えない。
ぶつけた鼻を押さえながら立ち上がろうとすると、手を指し述べられたので無言で掴み、起き上がる。
手がスベスベで触り心地がいいと思ったのは内緒だ。
「それでどうしたじゃんよ。場合によっては一緒に来てもらうことになるじゃんよ。」
掴んだ手を離し、少し名残惜しく思っていると黄泉川先生の言葉に違和感を憶え、聞き返す。
「先生、今なんて………」
「だから、お前が今から話す内容によっては、事情聴取するために付いてきてもらわなくちゃいけないじゃんよ。」
「………今からですか?」
「当たり前じゃんかよ。」
冗談じゃない。ただでさえさっきの鬼ごっこで疲れていて、まだ昼飯も食べていないというのに、その上事情聴取を受けるのはさすがにキツイ。それにこの後買い物も済ませなくては、今日の夕飯が作れない。何とかしてこの状況を打破しなければ。
「っで、どうじゃんよ。」
再び聞いてくる黄泉川先生。それに対してどう答える考え、あることに気付く。
本来ならそのまま伝えればいいのだが、僕がこんな状態になった経緯を正直話して黄泉川先生は果たして信じてくれるだろうか。
常盤台は誰もが知るお嬢様学校だ。そこの生徒が何もしてない僕を攻撃してきたなんてことを、僕自身さえ今だに信じられていないのだ。ましてやその場にいなかった黄泉川先生に信じてもらうには相当な骨だろう。
「………ちょっとやんちゃな中学生のやんちゃに巻き込まれただけですよ。因みに僕は悪くありません。あっちが勝手に突っ掛かってきたんです。それに怪我人は僕以外にいないので安心してください。それとこのことは小萌先生には内緒でお願いします。涙目で説教されるのは、ゴメン被りたいので………」
説明の途中に信憑性無いなと心の中で苦笑しながらも、黄泉川先生には小萌先生に報告しないように頼み込むのを忘れない。
もう職員室で泣き出す小萌先生を慰めながら謝るのは懲り懲りである。
「ふ~ん、まあそういうことにしておくじゃんよ。」
怪訝な表情をしながらも何とか納得してくれたようだ。
今の言い方だと信じてもらえてはいないだろうが。
「それでは、僕この後行くところがあるのでそろそろ………」
「ちょっと待つじゃんよ。」
「ぐえっ」
さっさとここからフェイドアウトしようとしたら、急に襟首を引っ張られ止められる。
何だろう、まだ何かあるのか。
結婚の相談なら聞かんぞ。あ、睨まれた。ゴメンナサイ。
「どうしたんですか、まだ何か?」
「お前これから何処に行くじゃんよ。」
「え?コンビニですけど……」
「ふーんそっか、なら乗れ。送ってくじゃんよ。」
「は、何でですか?」
「お前、これ以上その格好で出歩いてたら風紀委員に職質されるじゃんよ。」
「………よろしくお願いします。」
「よろしい。それじゃあとっとと行くじゃんよ。」
そういいながら、またもや襟首を掴み僕を引っ張る。
薄々気づいてはいたが、僕そんなに怪しかったのだろうか。少し、いやかなりショックである。
それを押し流すようにしたため息は誰の耳にも届かなかった。
※※※※※
「北桐チャン!どうしたのですか、その格好は!」
今起こっていることをそのまま説明しよう。
黄泉川先生に送って貰ったコンビニに入ったら、良く見知った幼女、基担任の小萌先生に涙目で詰め寄られている。どうしてこうなった。
それと黄泉川先生、笑ってないで助けて下さい。僕のSAN値が音をたてて削られています。
「こ、小萌先生。何でこんなところに………」
「そんなのどうでもいいのですよ!さあ、洗いざらい吐いてもらうのですよ!」
こら、女の子が吐くとか言っちゃいけません。
といっても小萌先生は黄泉川先生より年上だから(黄泉川先生談)女の子という表現は適切では無いだろう。
そういえばこの前都市伝説のサイトで【学園都市で行われている不老不死実験】という内容で書き込みがあったが、まさか小萌先生はその実験の被験体なのでは………これ以上の現実逃避はやめよう。今やらなければいけないのは、瞳に涙を溜め、上目遣いでこちらを睨んでいる、うちの学校のマスコット先生どうにかすることだ。
「ズッ……聞いて………ヒグッ、いるのですか………」
「ああ、泣かない下さい、ちゃんと説明しますから!だからその涙引っ込めて下さい!黄泉川先生も笑ってないで助けて下さい!」
場所が職員室からコンビニに変わっただけで、結局小萌先生を慰めながら謝ることになってしまった。
※※※※※
「まったく、北桐チャンは危機管理能力が足りないのですよ!」
「はい、おっしゃる通りです。ぐうの音も出ません………」
無事ATMからお金を引き出した僕は、現在小萌先生に車で寮まで送ってもらっている。説教を受けながら。
え、昼飯と買い物はどうしたのかって?コンビニでそうめんを買い込みました。せっかく寮まで送ってもらえるというのだ。これに乗らないてはない。
それにしても最近のコンビニは本当に便利だと思う。
惣菜や冷凍食品は勿論のこと、シャンプーやタオルなどの日用品も取り揃えている。
スーパーより値は張るが野菜も肉も売っていたため、ついでに購入しておいた。これで明日まではもつだろう。
「そもそも上条チャンもそうですけど、何故危ないことに首を突っ込むのですか!」
「いや、今回は面倒事に巻き込まれただけなので、首を突っ込んだわけじゃ………」
「そうだとしても、怪我をしている事には変わり無いのですよ。」
「………ハイ。」
車に乗ってから覚悟はしていたが、こうも正論ばかり言われると居心地が悪いことこの上ない。それでも小萌先生は僕のために言ってくれているため、無下にすることも出来ない。どうしようもないモヤモヤした気持ちと申し訳ない気持ちのダブルパンチを喰らっている最中にも小萌先生は話しつづける。
「超能力者だとしても北桐チャンはまだ子供なのですから、もっと周りに注意払って………って、聞いているのですか!」
「………あ、はい。聞いてますよ。卵の特売の話ですよね。」
「全然聞いてないじゃないですか!」
この空気に堪えかねて、ついボケてしまった。先生の話を無下にしないとか言っておいてこの始末。ダメダナ~ボクハ~
「冗談ですよ。約束出来ませんが出来るだけ気をつけるように善処します。」
「………」
僕の‘何時もの答え’にあからさまに落ち込む小萌先生。
何時もなら場所が職員室であるため、あれこれ理由をつけて退散出来るのだが、今は逃げ場のない車の中。気まずい空気車内を満たす。
(ううっ、どうしよう………)
時間の感覚おかしくなっているのか1分が30分ぐらいに感じる。
早く寮に着いてくれと心の中で祈っていると車のスピードが落ちはじめ、やがて止まる。
祈り届いたと思い、窓の外を見たら赤信号で止まっただけのようだ。畜生!
「北桐チャン。1つ聞きたいことがあるのですよ。」
「………はい、何ですか。」
急に話しかけられたせいで反応が遅れてしてしまった。
べ、別に変なこと考えてる最中に声かけられて動揺したとか、そんなんじゃないんだからね!うん、キモいな。
それよりも小萌先生の聞きたいことって何だろうか。
声音からしてかなり真面目な話だろう。
この空気の中で真面目な話はあまりしたくないのだが……
「北桐チャンは………………何故危ないことに首を突っ込むのですか。」
「………ん?」
気のせいか、この質問に聞き覚えがある。
そう思いながらちょっと前の会話を思い出す。
………うん、さっき聞かれたな。
まあ、真面目には答えてないが………
「あの、それさっきも聞かれたような………」
「さっきの質問にも答えてくれていませんよね。」
「うぐっ」
自分でもこの質問を意識的に避けている自覚はある。
この話をする時は決まって‘あの日’の記憶が頭を過ぎる。
だいたいはごまかしたり、質問される前に話題を変えたりしている。
ぶっちゃけ聞かれたくない。どうしようかと考えていると小萌先生が口を開く。
「北桐チャンが聞かれたくないのは何となく分かるのですよ。この話題に入ろうとすると、すぐ逃げられちゃいましたからね。」
「………」
「北桐チャンはとても優しい子なのですよ。北桐チャンが怪我をしている時は、困っている人を助けた時だと知っているのですよ。まあ、今回は違う見たいですけど。」
「………」
僕は黙って小萌先生の話に耳を傾ける。
小萌先生も僕が聞く体制に入ったことを察し、話しつづける。
「先生は北桐チャンのような生徒の担任が出来てとても誇らしいのですよ。………ですが、もう少し自分を大切にしてください。」
「………自分を大切に、ですか。」
昔の僕ならこんなこと言われることは無かっただろう。
昔の僕は人助けどころか家族以外に心開くことさえしなかった。
-------‘彼女’と会うまでは。
「決して北桐チャンがしていることを否定したいわけじゃ無いのです。それでも先生は北桐チャンが傷つくのは見たくないのですよ。」
「………心配かけてすいません。」
「いいのですよ。これからも北桐チャンは同じように怪我をして、先生は同じことを言うと思いますから。」
「………否定出来ませんね。」
「だから今は無理に話さなくてもいいのです。
………でも何時か話してください。そしたら先生は全力でそれに答えます。」
それを聞いて僕は小萌先生の方に向く。
小萌先生はすでにこちらを向いており、小萌先生の目が僕の目を捉える。
その目に自然と惹かれ、釘付けになってしまう。
そして、小萌先生が優しい笑みを浮かべ口を開く。
「何て言ったって、先生は先生なのですから。」
『何たって、アタシはキミの親友なんだから。』
一瞬だが小萌先生が‘彼女’と重なり、想わず目を見開いてしまう。それを悟られないように目を逸らす。
‘あの日’のことを思いだし、感傷に浸るのと同時にとても懐かしく、暖かい気持ちになる。
小萌先生は急に俯いてしまった僕に心配そうに声をかける。
「北桐チャン、大丈夫ですか。」
「………はい、大丈夫です。………先生。」
「はい、何ですか。」
「何時かちゃんと話します。………だから少しだけ待っていてください。」
「………はい!待っているのですよ。」
そう言った直後、会話が終わるのを待っていたかのようなタイミングで信号が青に変わり、小萌先生は慌てて車を発進させる。
走り出した車から窓の外を眺めながら考える。
何時かこんな自分を許せる日が来たら
僕が‘あの日’から背負うと決めた罪を清算出来たのなら
またこんな風に話を聞いてもらおう。
僕の尊敬する--------小さな先生に。
7月16日 北桐に過去を話せる恩師出来た。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
前話の流れからVS御坂だと思っていた人がいたらすいません。
まだ御坂とは戦闘させません。
因みに主人公は御坂がlevel5だということ知りません。
読者の皆さん、次回も読んでいただけると嬉しいです。
………次回が何時できるのかは聞かないで下さい。
追記:オリ主の設定を一部変更しました。