新人武装検事 甲賀詩音   作:満瑠

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緋弾のアリアに出てくる武装検事の創作をしました。
小説投稿は初めてなので、よろしくお願いいたします。
誤字、脱字等ご容赦ください。


プロローグー甲賀詩音の日常ー

「ただいま…」

自分の声が虚しく響く。

実家での癖がいまだにぬけずについつい言ってしまう。

「疲れた…」

1人暮らしを始めて思ったことは、独り言が多くなったなーということと、いつも自分のものを洗濯をしてくれていた母親ってありがたいなーということだ。

普通なら、冷蔵庫にものがないとかもっと色々なことを思うのかもしれないが、そもそもこの家ではシャワーと洗濯ぐらいしか生活的な行為をしないので、当然と言えば当然なのだが。

この後も数時間の仮眠をして、またすぐに武装検事局に行き、業務をこなさなくてはならない。

この武装検事局から徒歩20分とかからないマンションも、その武装検事局から貸し出されたものだ。

1番の問題は徒歩20分の家にさえなかなか帰れない武装検事の多忙さだけど…

何はともあれ、来ていた防弾シャツなどを洗濯機に詰め込み、シャワーをあびる。

「はぁー…極楽極楽…」

1人暮らしだと湯船に湯を沸かすことも面倒なのでしないが、せめて気分だけでも極楽になっておこう。

風呂からでると、前回帰ったときに干しておいた防弾シャツにアイロンをかけておく。

たたんで小分けにして、鞄の中に入れていく。

なんで久々に帰った家でこんな旅行前の準備のようなことをしないといけないのか、ということは考えても悲しくなるだけなので、やめておこう。

「疲れたぁー…」

食事は外で済ませてしまったので、さっさと寝ることにする。

ベッドに横になり、電気を消し、目を閉じて体の力を抜いていく。

そうしてると、眠気とともに色々な記憶がよみがえってくる。

 

4ヶ月前に僕は武装検事になった。

大学を在学中に司法試験に受かり、検事になってすぐに僕の人生最大の難関、武装検事選抜試験、通称武検選抜を受けた。

司法試験も合格率2割を切る難関試験だが、武検選抜はその比ではない。

内容は思い出したくもないが、なんとかそれをパスし、今に至る。

家の理由で毎日しごきにしごかれて得た戦闘能力と、高校時代から始めた必死の勉強の賜物だろう。

そんな惜しみない努力の果てに得たものは、この多忙な日々と公務員相応の薄給である。

…常々よくこんな思想の持ち主が、エスパーより希少な才能と謳われる武装検事になれたものだと思う。

自分で言うのもなんだが、武装検事ってもっと真面目で正義感に溢れてる聖人みたいな人がなるものだと思ってた。

一応武検事選抜では、思想も審査対象なので、上層部も僕のこの聖人とはかけ離れた思想はわかっているはずだけど。

 

 

「おはようございます」

武装検事局に行き、挨拶もそこそこに今日の分の仕事をこなしていく。

武装検事と言っても、戦場でバコスコ銃を打っているわけではない。

特に新人である僕には、まだ単独での現場はない。

まぁ、武装検事の殉職率からして、いつまでもデスクワークという訳にはいかないのは目に見えているけど。

「甲賀詩音」

いつもあまり話さない先輩から声をかけられた。

「はい」

すごく嫌な予感。

「検事総長がお呼びだぞ」

「わかりました」

とうとう来てしまったか…。

いや、まだわからない。

もしかしたら、何かのミラクルで長期休暇がもらえる!とか天文学的な数字でなきにしもあらず!

…無いよな。

 

検事総長室と書かれたドアを軽く2回ノックする。

「甲賀詩音です」

緊張で声が固くなるのがわかる。

「入りたまえ」

1つ間を置いて、検事総長のハスキーな声が返ってくる。

「失礼いたします」

検事総長室は重い空気と圧倒的な威圧感に満たされている。

もはや軽い拷問だ。犯罪者をここで尋問すれば、大抵のことは吐くのではないだろうか。

頭ではそんなことを考えていても、1ミリも出さずに真面目一徹の顔をして、検事総長の前に立つ。

「甲賀詩音。君は武装検事になって数ヶ月たつだろう」

重々しく語りかけてくる検事総長も何を考えているのか全く読めない。ポーカーフェイスだ。

「はい」

「私はそろそろ君を現場に出してもいいとおもっている」

ですよねー。

デスクワークですらくたくたで、現場で戦うなんてとても無理です!とはさすがに言えない。

なので

「光栄です」

と失礼にならない程度に言葉少なに答える。

「しかし、初陣で1人というのは不安があるだろう」

うん?武装検事は基本的に単独で動くものだって聞いた気がするんだけどな。

まぁ、さすがに新人には保険をかけておくっていうことか。

「そこで、武装検事補佐官の話は知っているかね?」

ああ、この間聞いた話にあったな。

なんでも、来年度あたりから新しく武装検事補佐官という官職が新しく新設されるとか。

武検選抜の失格者からそこそこ使えそうな人材を引き抜くっていうものらしい。

しかし、少し考えればわかるが、それは武装検事の弾よけだ。

人手不足の武装検事の殉職率を押さえるために、動く防弾チョッキとして使い捨てるという魂胆が丸見えな、非人道的なものだ。

さすがにこちらの考えが伝わったのか、検事総長の眉が少し動く。

すぐに思考を中断して、口を動かす。

「はい。存じております」

「実は先駆けて、武装検事補佐官に志望する者を1人、すでに採用している」

え!いるの!?

と思ったが、たしかに武装検事補佐官、武検補になり、そこから叩き上げで武装検事になれるとか言えば志望するものがいるかもしれない。

そもそも武装検事になりたくて武検選抜を受けた者に声をかけるのだから。

「そこで、彼女に君の補佐をさせることが決まった」

まぁ、そうなりますよね。

僕の代の武検選抜の合格者は僕1人だけだし、僕以上の代の武装検事は少なくとも、1年以上この職で生き残っている訳だし。

現場に出して不安があるのは新人の僕くらいっていうわけか。

それはそうと、彼女ってことは女性だよな。

苦手ではないけど、得意でもないな…。

まぁ、別に男が得意って訳でもないけど。

「そして、彼女と共にイ・ウーについて調査してほしい」

ただでさえはりつめていた空気が、さらにはりつめる。

イ・ウーはつい先日に壊滅させられた。

それも、東京武偵高の生徒、つまり高校生に。

最高レベルの国家機密を高校生が潰したのだ。

その生徒の名は遠山金次。

彼には以前から個人的に興味があったのでその名を覚えていた。

それにしても、なぜ今ごろイ・ウーが出てくるのか。

「君の任務はイ・ウーの残党のその後の調査と教授の…シャーロックホームズの調査だ」

シャーロックホームズ?しかし彼は…。

「彼は死亡したとありましたが」

「そうだな」

意外とあっさり肯定したし。

「しかし、彼は今まで死を偽装し、潜伏していたことが何度かある。」

つまりホントに死んだか確かめて来いってことですか。

まぁ、どうせ嫌です、とは言えないし。

「了解いたしました」

不満を殺して敬礼をする。

「うむ。資料を後で渡す。件の武装検事補佐官との打ち合わせも忘れないように」

「わかりました。失礼いたします。」

そそくさと部屋を出る。

また面倒ことになったなー。

とりあえずデスクに戻ってやっている仕事を片付けるかな。

 

 

この時の僕はまだ知らなかった。

武装検事という仕事の本当の大変さと過酷さに。




読んでいただきありがとうございます。
続けられるか不安ですが、精一杯頑張りたいと思います。
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