新人武装検事 甲賀詩音   作:満瑠

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課題の合間を縫って書いていきます。
誤字脱字ご容赦ください。


第6話ー食事ー

「失礼いたします」

六唯と共に検事総長への報告を済ませ、部屋をでる。

報告書の提出は求められなかった。

得られた有益な情報が遠山金一からのものだけだったし、そもそも今回はやっぱり六唯との仕事に馴れさせるのが目的だったみたいだし。

ちなみに遠山金一がカナの正体だということは報告していない。

キツく口止めされたし、一応今回協力してもらった恩もある。

何はともあれ、今回はデスクワークもなし。つまり帰れる。

前回帰宅したのが一昨日の夜なので、一日ぶりだ。

…あれ?こんなに短い時間間隔で帰るのは久しぶりかもしれない。

まぁ、明日からはまた違う仕事がくるんでしょうけど。

明日への不安を抱きながら帰路につく。

「すいません、私は買い物があるのでここで失礼しますね」

「そっか。お疲れ様」

六唯が僕とは反対の方へ歩いていった。

僕はとぼとぼと道を一人で歩く。

…何か寂しいな。

昨日までは当たり前だったんだけど、六唯が一緒にいると常に話してたからか、一人になると急に切ない気分になる。

とりあえずマンションの近くにあるコンビニに入り、晩ご飯と明日の朝食を買う。

次にいつ帰れるかわからないので、家の冷蔵庫にはあまりものを入れない。

なので、食事は大半が外食かコンビニで買ったものだ。

六唯は食事はどうしているのだろうか。

六唯が台所に立ち、料理をしているところを想像してみる。

何か、すごくいい感じだ。

その想像上の六唯は指輪をしていて、笑顔でテーブルの前に座っている僕に笑いかける…。

あ、あれ?なんでこんなこと考えてるんだ?

真っ赤になって歩いていたら、いつの間にかマンションに着いていた。

このマンションは、警備がとても行き届いている。

その理由は、武装検事は法に関する様々なことを取り扱うので、敵も多いためだ。

今日のチンピラは多分出任せだろうが、実際に検事を恨み、復讐や報復を企む者も存在する。

確かにそれに備えるのは必要なことだが、ぶっちゃけ武装検事が一般人やその辺のヤクザにやられることはまずないと思う。

そんな事を考えながらエントランスを抜けてエレベーターに乗り3階に行く。

僕の部屋の304号室のドアを開けようとしたとき、もう一つのエレベーターがこの階に止まった。

なんとなくその方を見ると、エレベーターから出てきた人と目が合った。

「む、六唯?」

「し、詩音さん?」

ほぼ同時に言う。

「六唯ってこのマンションに住んでたの?」

「いえ、昨日引っ越してきたばかりなんです」

なるほど、武装検事局勤めになって引っ越してきたってことか。

「部屋は何号室?」

「えっと、303号室です」

「と、隣だね」

「はい…そうみたいです」

「…………」

「…………」

どうしよう、なぜか気まずい。

別に六唯も僕も何もしていない、単なる偶然なのに、気まずい。

そしたら六唯がいきなり決意を固めるような顔をしたかと思うと、真っ赤になって言った。

「あ、あの、詩音さん!」

「は、はい?」

「ご飯はまだ食べてないですか!?」

「は、はい」

「じゃあ、私の部屋に来ませんか!?」

「は、はい…………………え?」

 

六唯は武装検事補佐官だ。

もちろん殺人許可証(マーダー・ライセンス)は持っていないし、武装検事ほど忙しくもない。それでも十分多忙ではあるが、少なくとも家にはほぼ毎日帰れるだろう。

そんなわけで、六唯は栄養摂取などの観点から自炊をしているらしい。

そしてよくある話だが、自炊をする場合、一人分をつくるより二人分ぐらいをつくる方が無駄がないことが多い。

というわけで、お招きいただいた僕は、部屋のテーブルにつきキッチンに立っている六唯の様子をチラチラ見る。

六唯は一人暮らしを始める前から料理をしていたのか、手際はすごくいい。

しかし緊張しているのか、よく料理道具を落としたりしている。

まぁ、緊張はするよな。今日会ったばかりの男を部屋に呼んで料理を振る舞うんだから。

そんなに不安にならなくても、さすがに善意で呼んでいただいて「なんだこの料理!不味い!」とかは言わない。

それに緊張しているのは、僕も同じかそれ以上だ。

一人暮らしの美人に料理を振る舞ってもらうなんて、一生に一度のラッキーイベントだ。

しかも料理をする六唯の姿が、さっきの想像と所々かぶる。すごい気恥ずかしい。

「お待たせしました」

六唯はそう言って、テーブルの上に料理を並べた。

サラダに味噌汁、豚肉の生姜焼きなどの栄養バランスの良さそうなおかずとご飯だ。

「すいません、私簡単なものしかつくれなくて…」

「いや、そんなことないよ。どれも上手にできてるし、栄養のバランスも最適だと思うよ」

「そうですか?実はさっきお店に寄ろうとしたんですけど、家に食材が余ってる事に気づいて結局何も買わなかったんです」

「へー。そうなんだ」

なるほど、だからあんなジャストなタイミングで僕と遭遇したわけか。

ていうかこれ、余り物でつくったのか?すごいな。

「とりあえず頂きます」

「どうぞ」

六唯がかなりの緊張をこめて返してくる。

僕は豚肉の生姜焼きをそっと箸でつまみ上げ、口に運んだ。

ゆっくり咀嚼して飲み込む。

「美味しい!」

びっくりした。空腹なのもあるかも知れないが、こんなに美味しい料理を食べたのは初めてだ。

「そうですか、よかったです!」

六唯は安心したように満面の笑顔を向けてくる。

その笑顔にドギマギしつつ食事を平らげた。

 

その後は片付けの手伝いをして、自分の部屋に戻りさっさと寝てしまった。

そして次の日の朝。

またいつものように、武装検事局に出勤する。

ちょうど家を出たとき、偶然六唯と会った。

「あ、詩音さんおはようございます」

「ん、おはよう」

まぁ、出勤時間は大体同じなので偶然というほどでも無いけど。

そんな事を思いながら六唯とマンションを出る。

道を歩きながら六唯といろいろな話をする。

考えてみたら、六唯とは昨日会ったばかりなのにずいぶんと親しくなったものだ。

僕は別に人見知りではないけれど、ここまで早く人と親しくなった事はそうそうなかった気がする。しかも女性で。

これは多分、僕と六唯の相性がいいからだ。

たまに赤くなったりして何を考えているのかわからない時もあるが、それ以外は呼吸が合うというか、とにかく相性がいいのだ。

戦闘スタイルも、昨日見た限りでは僕に近い。

相棒としてはかなりの当たりだ。

これからの仕事も、六唯とならやっていけるだろう。

話したり考えたりしながら歩いていたら20分の道のりというのはあっという間に過ぎた。

武装検事局に着き、自分デスクに向かう。

「おはようございます」

「おはようございます」

途中にすれ違う職員に、六唯と一緒に挨拶しながら歩く。

自分のデスクに着いたが、恐らく一昨日と同様に検事総長からお呼びがかかるだろう。

そして今日からはお試し期間は終わりで、本格的な任務が始まる。

それに備えて武器の確認をする。

「詩音さんの銃はデザートイーグルなんですか?」

六唯が横から尋ねてくる。

六唯のデスクは僕の隣に昨日決まっていた。

「うん。反動が大きいけど、相手が防弾チョッキとかを着てても戦えるから。それとベレッタも使ってるんだ。ダブラじゃないけどね」

デザートイーグルは大柄な人が使うことが多いが、僕はあえてこの銃を使っている。

デザートイーグルの50AE弾は半端な防弾チョッキを貫通し、強固な盾などを弾き返すほどの威力がある。

ベレッタはデザートイーグルよりも装弾数は多く、威力は弱い。

僕はこの二丁を使い分ける。まぁ、殺さないように戦うため、基本はベレッタだけしか使わないけど。

ちなみにダブラとは二丁拳銃を同時に扱う人だ。

そんな話をしていると、検察事務官が早足になって僕のデスクに来た。

 

 

「甲賀詩音武装検事。鵜飼六唯武装検事補佐官。検事総長がお呼びです。至急検事総長室までお願いします」




読んでいただきありがとうございます。
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