【真説】安珍・清姫伝説   作:稲荷猫

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そういえばこの前、初めてハーメルンのランキングの累計を見たんですが、もう更新してないとても面白い作品たちがあって、なんか懐かしかったです。そして悲しいような、寂しいような気もします。作者さんたち生きてはるんやろか?その点、累計一位の作品及び作者さんは凄いですね。完結させたことも、その作品の内容も。新規の作者も負けてられんぜ。

あ、そうそう、安珍ってあれだから、楽で楽しそうな方向に流されやすいだけだから。目先の欲望に忠実なだけだから。けっしてクズじゃないよ(震え声)





清姫って普通にいい娘じゃないか

瞑想を終えて方針が決まれば、もう迷うことはない。部屋に戻って静かにここを発つ準備を始める。

 

「………安珍様?」

 

……つもりだったんだがなぁ。

 

お、おかしいな。音は全く立てていない筈なんだが。何故目覚めてしまうんですかね清姫殿。

 

私は座っていた状態から直ぐ様立ち上がり、清姫殿に近寄ると床に落ちていたままの着物を手に取り肩にかけてやると挨拶を交わした。

 

「おはようございます清姫殿。御体の加減は大丈夫ですか?」

 

「おはようございます安珍様。は、はい。身体はなんとも御座いません。」

 

初めての夜を思い出したからか、うっすらと頬を染めながら着物を手で押さえる姿は庇護欲をそそるというかなんというか。とても愛らしいものがある。私もいつも通り、全身全霊を持って気絶させるに至るまでアヘアヘさせちゃったからね、仕方ないね。

 

でも下手したら殺されるんだよなぁ、私。

 

「あの……安珍様はもうここを発たれるおつもりなのですか?」

 

聞いちゃうよな、それ。目が覚めると目の前で荷物の整理してるんだから当たり前か。別の場所ですればよかったな。いや、それでも気がついて起きてきそうな予感がしてしまうのは、会って1日も立っていない相手に対して失礼か?

 

「私も使命をもって旅をしている身ですので。」

 

やんわりとそう言えば、気落ちした顔で俯き言葉を洩らした。

 

「そう、ですか。……せめて朝食だけでもご一緒に如何でしょう。この屋敷に勤めている者たちもそのつもりで用意をしているでしょうから。」

 

どうでしょうか?そう言わんばかりに顔を上げて期待の眼差しを送ってこられては、断るものも断りづらい。

 

一つ微笑みかけて、私は頷いた。

 

「そうでしたら有り難く、お相伴に預からせて頂きます。」

 

私本当にこの子に殺されるのか?今のところ滅茶苦茶良い子だぞ。いや不義理を働いたから殺されるんだったよな。でも今のままだと、此方から故意に何かしなければ問題は全く無い。起こる筈がないのだ。

 

あれ?もしかしてこれチョロいんじゃね?

 

「本当ですか!ふふっ、嬉しいです!では安珍様、ご案内致しますので。どうぞこちらへ。」

 

その言葉に嘘偽りを見付けるのが難しいほど、晴れやかな表情を浮かべた清姫殿は踵を反転させる。綺麗な水色の髪を揺らしながら歩く背へと私はついて行った。

 

もう既に、早朝とは言っても日が昇っている時間帯なため、屋敷のなかで動く気配は多い。すれ違う者達と挨拶と一礼を交わしながらたどり着いた部屋は大きな和室。まあこの時代はまだ和室しかないんだけども。

 

部屋に入ってみればまだ誰もおらず、私と清姫殿が最初のようだ。私は僧とはいえ貴族には劣る身分なため、下座にて胡座をかく。そして隣に清姫殿が座る。

 

えっ、当然のように私の隣に座ったけれど。あなた姫様だよね?もっと上座に近い位置に座るのが普通なのでは?

 

あと……近くない?距離が近い。むちゃくちゃ近い。いや、近すぎない?

 

そう思って清姫殿を見ていると。

 

「何か?」

 

花の咲くような笑顔で問い掛けられた。

 

それって暗に嫌でしたか?問題ありましたか?問題ありませんよね。じゃあ別にいいですよね。って言ってる風に見えるのは私が汚れているからか。う、うん。少しの間だが喋った感じ純粋な娘だったしな、恐らくそうなんだろう。

 

そして他愛のない話をすること数分。障子がガラリと開き、そこから現れたのはこれぞ武士と言わんばかりのガタイのよい男性と、冷涼さを感じさせる美女であった。私は頭を下げて礼をする。

 

「おはようございます、父上、母上。」

 

「おはようございます。」

 

ちなみに最初に言葉を発したのは清姫殿だ。その言葉通り、このお二方は清姫殿の父と母。確かに似ている。父の方からは武芸者としての優秀な力が存分に感ぜられるし、母の方はいい身体をしている。もし二人の良いところがそのまま清姫殿にも遺伝子しているのなら、素晴らしい女性に育つことだろう。すでに体の方は、年のわりに発育が進んでいるのを確認済みだ。

 

「おう!早いな二人とも!」

 

「おはようございます。法師様とは会うのが初めてですね。清姫の母でございます。」

 

確かにこの屋敷の主である父親の方とは昨夜のうちに顔合わせをしている。そしてすぐに床に着いたため、奥方様と会うことはなかった。

 

「お初に御目にかかります。道成寺より参りました旅の僧、名を安珍と申します。」

 

「…………そうですか。」

 

一礼すれば奥方から返答が返って来たわけだが……なんだその間は。お前たち母子は何故初対面の時に間を作るんだ。

 

「……何か?」

 

心底不思議そうな表情を作り問い掛ければ、奥方は私と清姫を交互に数回視線を行き来させ、微笑ましいものを見るような笑みを浮かべた。

 

「ふふふ、なにやら我が子清姫と法師様はすでに仲が良くなっているご様子。昨夜に訪ねられた法師様と何かあったのですか清姫や?」

 

「お、そうなのか清姫?まさか惚れたか?」

 

わっはっはっは!と豪快に笑う殿とは反対に、奥方は静かに笑み、清姫の方を見ている。殿は気付いているのだろうか、清姫の頬がうっすらと赤く染まっていることに。奥方は絶対気付いてる。涼やかな目元と、口元の笑みを隠すために翳された手により分かりにくいが、なんかこう、今までにあったS気質の者達と似たような雰囲気を感じる。絶対この人あれだよ、口元がニヤリと笑ってるよ。

 

少しだけ助け船を出そう。そして好感度を上げて殺される確率を少しでも下げとこう。こんなことで下がるのか知らんけど。

 

「なんとも良きご家族ですね、清姫殿。」

 

「は、母上のお戯れが過ぎるだけです!父上もいつまで笑っておられるのですか!」

 

そんな必死になると肯定してるも同然ですよ。奥方のような嗜虐趣味をお持ちの方はますます喜んでしまいます。

 

とか言おうと思ったがなんとか我慢した。こういう反応する娘は弄り甲斐があるからなぁ。ほーら、奥方の目元まで笑い始めたよ。

 

「おや、清姫。否定はしないのですね。いいのですよ、母に話してみなさい。ほらほら。どうしました?えっ?もしや話せないようなことなのですか?まさか……。変なところで行動力のある子ですからね。ええ、ええ、母は分かっています。分かっていますよ清姫や。まったく、そんなに顔を赤くしてしまって。昨夜のことでも思い出しているのですか?そんなに顔に熱が集まってしまう程のことだったのですか?箱入り娘ですからね。それも仕方のないことなのでしょう。ああ、そういえば清姫、あなた匂いがすごいことになっていますよ。どうやらとても熱い夜だったようですね。あとで湯編みに行ってきなさいな。ふふふふふ………。」

 

ああ……最初は凛として冷涼な雰囲気を纏う女性だと思ったのに……。なんだろうか、このそこはかとなく漂う残念美人の匂いは。おいこらお殿様よ、さっきまでの豪快な笑いはどうした?口元が引きつっているぞ。清姫殿、そんなに必死になって匂い嗅がなくていいから。私がアフターケアしといたから。奥方の嘘だから。

 

「清姫殿、奥方の冗談ですよ。」

 

とても近い位置にいたので耳元でこっそり教えてあげれば、赤い顔のままキッと奥方を睨み付ける。

 

「母上!そういうことは父上にして差し上げるべきではないのですか!母上が父上に対して夜な夜なそういうことをしているの知って───」

 

「ああああっ!!!もう腹が減ってしまって辛抱ならんなぁ!おーい!飯はまだかー!?ほらお前たち!戯れるのもほどほどにしておけ!」

 

なるほど、そういうプレイをしているんですね分かります。いや分かりたくはなかったけど。

 

お殿様が強引に話を遮ることで話はうやむやになり、家来たちが朝食を運び込んで来るなかで見せた、お殿様と清姫殿の安堵した顔と、奥方が見せたもの足らなさそうな、残念そうな顔が非常に印象的だった。とだけ言っておこう。

 

母親ってのは子供のことを何でもお見通しなんだろうなぁ。ここの奥方さまは鋭すぎる気もするが。舌のキレとか、第六感的なものとか。

 

………あまり刺激しないようにしよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




清姫は狂化する前であれば
普通の娘であったに違いない(願望)

行動力が凄いだけなんだよ、多分、うん。
狂化してからはヤンデレだったり、愛が重かったり、Sだったり、Mだったりと、色んな属性が付与されちゃったけど!安珍の嘘も方便に騙されちゃう程度には箱入り娘だったんだよ!

良ければウィキペディアでいいので安珍・清姫伝説を読んでみてください。ヤンデレ要素というかメンヘラ要素というか、そういうの凄いんだろうなって妄想掻き立てられますから、ふへへ


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