こんな感じに幕間にはちょくちょくと猛士や鬼のSIDEを入れていこうと思います。
では、どうぞ!
SIDE練鬼
総本部での緊急会議から四国地方高知支部の壊滅の知らせ、そして救出したと思った詩鬼が詩鬼ではなく謎の生命体が変身したと分かった事から1ヶ月以上経った。
その間に我々、猛士は他の支部も被害を受けて、壊滅した。
北海道支部は3支部全てを壊滅されて、8人の鬼である想鬼さんや松竹梅兄弟からの連絡は無く、既に殺されてるという判断となった。
北海道の王であった水野さんは北海道に戻って無かった事で被害は間逃れたが、その報告を聞いて、意識をなくし今は総本部にある部屋で眠っている。
そして、最近では、九州地方佐賀支部が壊滅させられたと聞いた。支部長の脳見 藩さんは瓦礫の下敷きで圧死したのか大量の藩さんの血液が潰れた瓦礫から染み出しており、生存は絶望的とのことだ。藩さんの部下である佐賀3人衆も佐賀支部から遠く離れた燃え崩れた屋敷で死体として発見された。
これらの事があり、猛士は今まで以上の魔化魍に対する新兵器開発や新人の鬼の育成などが行われていた。特に新兵器開発は四国支部の王である加藤さんが中心となって、開発を行っていた。
加藤さんは、高知支部がやられた時の事と部下だった詩鬼さんが実は本人ではなく異形。しかも魔化魍ではない謎の存在だという事があり、怠そうに喋っていた言葉遣いが一切無くなり、ただ淡々と言葉を発し、同じことをただひたすら続ける歯車の様に開発をしていた。
普段は『男は…男は…』と嫌味を言う中国地方の王である若草さんはその姿を見て、何とも言えない程に顔を青くして、その場を立ち去った。
そんな姿を見てられないと箱田さんや千葉さんなどからの頼みで、加藤さんと僕は話すことになった。そして、そんな僕が居るのは加藤さんが籠りっぱなしの総本部の開発研究室の扉の前。
「加藤さん」
「………」
「加藤さん!」
「………」
目の前の扉をかなり強めに叩くも、中にいる加藤さんからは返事がない。
「加藤さん!!」
もうラチが明かないと思い、練鬼は鬼として鍛えた力で扉の取っ手を引っ張り無理やり引き抜く。
結果、取っ手は抜けて扉は開いた。
中に入った練鬼は、中にいる筈の加藤を探す。そして、奥で溶接機の音が聞こえ、そこを見ると遮光マスクを着けた加藤が何かを作っていた。
近くまで見ると練鬼は驚く。それは異形に近い人型だった。加藤さんは異形の人型の腕辺りに溶接機を当てて、溶接していく。その作業を見ていると、加藤さんは溶接機を止めて、こちらに顔を向ける。
「……お前か、練鬼」
顔が見え無かったのか遮光マスクを外して、僕の顔を確認し、抑揚がない声で僕に質問する。以前の加藤さんとは何かが違うと…………直感的に僕は思った。
「開発の邪魔になるからとっとと部屋から出ろ」
「加藤さんは………それは、それはいったい何なんですか!!」
そう言って加藤さんは、遮光マスクを着けて、異形の人型の溶接に戻ろうとするが、会話もせずに帰るわけにはいかないと、僕は目の前にある物が何か聞いた。
「………」
加藤さんは何も答えずに、そのまま近くにあった作業台に移動して、そこに置いてあった紙を広げて、僕に見せ、そこに書いてあったものに驚愕した。
「加藤さん。これって!!」
「知っていたのか………いや、烈火さんが教えたのか? まあいい」
その紙に書いてあったのは、昔に開発されたといわれる設計図だった。
かつて、猛士四国地方愛媛支部で稀代の天才と謳われた愛媛支部支部長 代々木 蓬という者がいた。彼女は類い稀なその頭脳を活かして、様々な物を作った。そして、この設計図はそんな彼女が病で亡くなる3日前に考案したと言われる『対魔化魍戦闘自動人形』。
年々、減っていく鬼の後継者に変わる戦力として考案されるも、この設計図を書き終えた直後に病で倒れ、そのまま病院に搬送されるも、この世を去った。
練鬼はその設計図を見て、改めて部屋の周りを見ると、設計図に書いてあったものとは違う姿の未完成の自動人形が6体もあった。
そして、その後ろには同じ姿をした人形がたくさん並べられていた。
「………練鬼」
「何ですか加藤さん」
「俺はこれらを持って明日に四国に戻る」
「如何してですか! このまま総本部にいれば完成出来るのに!」
「今日、お前が俺の所に来たのは箱田のおやっさんと千葉の爺に頼まれたからだろ」
そのようなことを一言も言ってない筈の練鬼は驚く。だが、そんな練鬼に気にせずにさらに言葉を続ける。
「………今この時でも、魔化魍に襲われて悲しむ人達がいるんだろう。俺はそんな人が居なくなるようにと、そう思って猛士に入った。だが、どうだ今の状況は?
会議を開いてる間に俺の管轄の支部を1つやられ、挙句には俺の親友まで死んだ。しかもその間に他の支部が4つもやられた。
もう、俺は机の上でダラダラと過ごすのは嫌になった。だが、俺は鬼じゃない……………練鬼。俺はな、お前が羨ましいよ。鬼の力を使って、人々を守る。俺も鬼の力を使って、人々を守りたかった」
その言葉で、加藤さんの気持ちが分かった。猛士には親や親友を魔化魍に喰われて入った者が多くいる。そんな人たちと加藤さんはよく話をしていた。
だからこそ、四国地方の王まで上り詰め、見つけた魔化魍を即清めて人々を守っていた。
しかし、魔化魍の王が目覚めてから。猛士はかなりの被害を受けた。人を守るという事を誇りに思っていた加藤さんは悔しかったのだろう。鬼になれない自分の代わりにいや、これからも増えるかもしれない魔化魍に鬼の代わりに戦える者を求めた。それが、この自動人形たちなのだろう。
「………」
「……おっと、練鬼。今日はもう出てってくれ」
そう言って、加藤さんは僕を部屋から追い出す。そして、取っ手の外れた扉を閉める。そして、僕は報告のために開発研究室を後にした。
後日、開発研究室に向かうも、中にあった自動人形達と四国地方の王 加藤 勝は姿を消していた。
如何でしたでしょうか?
今回はこんな感じです。因みにこの自動人形達は正式な名称が有りますが、それはいつか公開します。
次回は妖世館にはるばるイギリスからやってきた外国魔化魍対狂姫大好き侍の戦いです。