今回から覇王龍さんとのコラボであるレレレの零士編になります。
壱 黒い渦から落ちてきたもの
SIDEひな
アメフリコゾウが幽冥の家族として小雨と名を貰い家族となって、数週間が経った。
「いい天気だねおばあちゃん!」
「そうだな」
凍
【【いい天気ですね】】
久しぶりのおばあちゃんと凍お姉ちゃんと一緒のさんぽ。
紫陽花の手をしっかりと握り、ルンルンと鼻歌を歌いながら、ひなは紫陽花と凍の3人で妖世館の裏側にある山の森で散歩していた。
凍
【【(こうしてお2人の散歩に付き添うのは何年ぶりでしょう)】】
凍は数年ぶりに見る光景に懐かしさを覚えながら、2人の後ろから着いてくる。
そのまま歩き続けると、山道から広い場所に出る。
「おばあちゃん!! こっち来てよ」
紫陽花の手を引っ張りながらひなは崖の近くまで走り、崖の先から見える絶景ともいう景色を紫陽花と一緒に見ていた。
凍は少し離れた場所から2人の様子を眺めているが、突如、2人の上空に黒い渦が現れる。
凍
【【紫陽花様!! ひな様!!】】
その声をいち早く聞いた紫陽花はひなを抱えて、一気に凍の居る場所まで飛び、ひなを後ろに隠す様に下ろし、黒い渦の方を睨む。
「おばあちゃん?」
「大丈夫だ。ひなを危険な目に合わせない」
紫陽花はひなを背負い腕の一部を本来の姿の腕に戻し、凍は自身と同じ姿の分体を生み出していく。
紫陽花たちの戦闘準備が終わると同時に黒い渦はさらに大きくなり、紫陽花たちは身構えるが、黒い渦から何かが落ちてくる。
落ちてきたのは、白と青のメッシュが入った黒髪で顔の右半分を隠れ群青色のジャケットを纏い、下駄を履いた少年。
法衣を着込んだ白狐。
熱して灼けた鋼鉄や溶岩を想起させるようなメタリックオレンジカラーの蜥蜴。
鯆の顔と背鰭を持ち裸体の上半身と大蛇のような下半身の女性。
鷹の翼に鰐の尾を持った単眼のマンタ。
布袋で顔全体を隠した茶色い肌色の4本腕の巨大な人型。
小判の鱗を持った小柄な龍。
鍋を被り老婆の着る着物を纏った狼。
鬼のような顔付きで天狗の鼻を生やしゴリラのような体格で縞模様の入った人型。
紫陽花たちの前には少年と8体の異形達が横たわり、それらを落とした黒い渦は少しずつ縮んでいき、何もなかったかのようにどこにも見えなくなった。
最初に落ちてきた少年を除けば全ては魔化魍といってもおかしくない外見のものたちに紫陽花たちは警戒するもひなが紫陽花の背中から降りて、少年達の方に向かう。
「ああ、こら辞めなさいひな!!」
凍
【【ひな様、お戻りください】】
ひなの保護者ともいうべき2人の言葉を聞かずにひなは少年に近づき、少年の頬を突く。
「んん」
ひなが突いた少年は息のように小さな声を聞き、凍に顔を向ける。
「凍お姉ちゃんこの人達を運んであげて!」
凍
【【え!! しかし!!】】
「お願い!!」
凍
【【……はい。かしこまりました】】
凍はひなのウルウルとした瞳でお願いを言うため、凍はひなの指示に従い分体をさらに生み出していく。
そして、凍の分体はそのまま倒れている者たちの下に身体を潜らせて、空飛ぶ絨毯の様に宙に浮かび、ひなは本来の姿に戻った紫陽花に抱えられて妖世館に戻った。
SIDEOUT
SIDE◯◯
何処かの森の中に1つの影を追いかける複数の影があった。
「ほらほら、鬼さんら、こちらぁ」
追いかけられている1つの影はパンパンと手を鳴らしながら、器用に走る赤黒の肌の鬼の少女。
「待て、酒呑童子!!」
追いかける影の先頭を走るのは、左目に一文字の傷がありヒゲを少し生やした赤髪の青年。
「ごらっ!! 止まれ!!」
薄い金のトゲトゲした髪で赤い三白眼の少年は苛ついた声で目の前の鬼少女に言う。そして、2人の影を追うように。
身体に苔を生やし厚い緑のコートを纏い頭に鉢巻を巻いた緑の猪の人型。
3匹の鮫の顔を持つ白蛇の下半身をした水色の着物に藍色のストレートヘアーを靡かせる女性。
髭を蓄えサングラスを掛けた厳つい男。
鎌を持ち、厚いパーカーを着て頭頂部にゴーグルを着けた男。
黒の長髪に後頭部が少し盛り上がっている女性。
両手を鋭い鎌に変えた黒衣の男。
顔が茶色の体毛のイタチの棘の生えた甲羅を持つカッパっぽい生物。
角を生やした子供の大きさの蜥蜴。
カタツムリの頭部に蓑虫の簑と牡蠣の貝殻を合わせた身体に大木の根の脚を持つ生物。
その生物の肩部分に乗ったロングヘアの一部をシニョンで纏めた灰色の髪の美少女。
「しつこいなぁ〜うん?」
赤黒の肌の鬼の少女 酒呑童子が飽き飽きしていたところに突如黒い渦が出てきた。その黒い渦を見た酒呑童子は––––
「ほ〜〜これは」
三日月の様に口を歪めて、その黒い渦を見つめた後にそのまま渦の中に飛び込んだ。
「「「「「「「「「「「「「なっ!!」」」」」」」」」」」」」
追いかけていた者たちは酒呑童子の行動に呆気に取られるも––––
「逃すか酒呑童子!!」
酒呑童子が入った数秒後に赤髪の青年も渦の中に飛び込み、彼の仲間も後に続くように飛び込んでいく。
そして、黒い渦は何時の間にか消えて、そこには何もなかった。
何もなかった空間からズタボロなフードを纏った者が現れ、さっきまで黒い渦があった場所を見つめる。
「これでいい。これであの
そう呟くにように言ったフードを纏った者は黒い渦のようにその姿を消し、そこには本当に誰も居なくなり、ただ静かに風に揺られた枝の音が響く。
SIDEOUT
SIDE◯◯
此処は何処だ?
ひなに発見された者の中の1人の少年が目を覚まし、先ずは自分の身体に掛かった布を退かす。そしてそのまま見渡すと近くには、少年の家族と悪友がいた。規則正しい呼吸をしていることからただ眠っているだけのようだ。
少年は、それを確認して、安堵の息を漏らす。すると、少年の髪が突然モゾモゾと動き、髪の中から小さな手が出て、少年の髪の毛から姿をあらわす。
顔全体が大きな青の瞳の目玉で、その下には普通はある筈のない着物を着た人間の身体をもつ何かが現れる。
「零士。此処は?」
「分かりません母さん」
少年は母さんと呼ぶ何かを自分の手のひらに乗せて、質問に答える。
「しかし、いったい誰が僕たちを「私の家族ですよ」…!!」
そこに居たのは、赤紫の着物を着た少女。少女の後ろには白のヴィクトリアメイド服を着て、左腕にたっぷりとした布を巻いた女性と三度笠を被った黒のポニーテールの黒の着物を着た女性が立っていた。
そして、先頭にいる少女が少年達に向かって歩いてくる。少年とその手に乗る何かは身構える。
「初めまして、私は安倍 幽冥。貴方達はどんな魔化魍かな?」
「「え?」」
少年と何かは場に似合わないような声を揃えて上げる。その声に少女もとい幽冥は首を傾けて、何かあったのというような顔で2人を見ていた。
此処に世界の異なる者同士が会合した。この出会いの後に幽冥と少年達はある者の計画に巻き込まれるのだが、この時の幽冥と少年達は知る由もなかった。
如何でしたでしょうか?
久々の投稿でしたので、文がおかしくなっていないか心配です。
次回はコラボ側のキャラとの会話と幽冥の家族の1人の友人の話になります。