人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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今回は、最後あたりに主人公の名前を出そうかなと思います。


記録玖

SIDE白

 はあ〜どうしてこうなったのでしょう。今、この状態に私は頭を抱えている。

 

「お姉ちゃん大丈夫?」

 

グルルルル

 

 王の命令で私は土門と一緒にこの『人間の少女』を守っている。

 このようなことになるのは2時間前まで遡る。

 

SIDEOUT

 

「みんな、もう少しで館に着くから。館に着いたら山ウドで美味しい料理を作ってあげるから楽しみにしててね」

 

グルルルル  ピィィィィィ  ギリギリギリギリ  

ノォォォォォン  シュルルゥゥゥ  ウォォォォォォ

コォォォォォン

 

 土門たちも楽しみなのか声を上げる。

 崩に乗り、武甲山を出てかなり時間が経った。走っている崩の上から周りの景色を楽しながら帰ってから作る山ウドの料理を考えてた。

 多分みんな、山ウドは初めてだろうからシンプルに天ぷらと味噌煮がいいかも。そもそも魔化魍は人間を食べるけど、別に人間だけしか食べられない訳ではない。

 

 カッパという等身大の魔化魍はその昔、植物を食べていた種もいたそうだが自然破壊の加速に繋がることで鬼に倒された。他にもバケネコという等身大の魔化魍がいるがこれは動物の血を吸う魔化魍である。

 なら何故、人間を襲うのかということで一度考えた事があるが多分、人間が他の食べ物より遥かに栄養があるからだと私は思う。

 ………と、そんな事を考えながら、周りの景色を見ると緑とは違う、不自然な赤黒いものが見えた。

 

「崩止めて!」

 

 それを見た私は崩に走るのを止めさせて、崩の背から飛び降りる。

 

「いかがなさいました王?」

 

「ア、オ待チクダサイ」

 

 同じように降りた白と黒の質問に答えず、赤黒いものがある所に走る。

 

「これは」

 

 そこで見たのは背中に幾つもの穴が空いた和服を着た女の死体だった。穴からは血が流れているが少し固まりかかっている。血の色からして撃たれて、それほど時間が経ってない。

 白とヤマビコの姫も私の後ろに来て、状況を見る。

 

「これは!?」

 

「他ノ魔化魍ガヤッタノデショウカ?」

 

「いいや。これは人間の仕業だよ」

 

 まさか、こんなことがこの世界でもあるんだ。

 

「狐ちゃん。この死体を燃やして」

 

コォン

 

『良いの?』というような声で狐ちゃんが聞いてくる。

 

「死体をそのままにしておくと厄介だからね」

 

コォォン  

 

 分かった。という返事と共に狐ちゃんは口から小さな火の玉を吹く、やがて死体に当たると死体は一瞬で炎に包まれる。赤い炎が死体を燃やす中、私は死体の側にあったものを見て、白に指示を出す。

 

「白、この女性の子供を土門と一緒に保護してあげて」

 

「子供ですか?」

 

「そう。この服、大人が着るとしたら小さすぎる」

 

 そう言って、白の前に見せたのは子供用の着物らしく七五三で見るような色合いの着物だった。

 

「本当デスネ。コレハ小サスギル」

 

「おそらく、子供を庇って死んだでしょう」

 

「ヤマビコの姫………いや今から黒と呼ぶね」

 

「ッ!? ハイ!」

 

「黒! 鳴風! 顎! 崩! 睡樹! ヤマビコ君! 狐ちゃん! あなたたちは私と一緒に来て」

 

「ハッ!!」

 

ピィィィィィィ  ギリギリギリギリ

ノォォォォォン  シュルルゥゥゥ

ウォォォォォォォ  コォォォォォン

 

「白! 土門! 子供をお願いね」

 

「分かりました」

 

グルルルル

 

 白と土門に子供の保護を頼み、私は黒たちを連れて女性を殺した連中を探すことにした。

 

SIDE白

 王に言われて、死んでいた人間の子供を探すことになった。しかし何故、人間の子供を………ですが王の命令ですから探さなければいけません。

 

グルルルル

 

 土門が私の肩に捕まり、遠くを見てると何かを見つけたという感じで唸る。

 土門が唸る方へ足を進めると–––

 

「ううぅぅ………ママ……ひぐっ………」

 

 林の奥から子供の声が聞こえる。

 その声の聞こえる場所まで走り、声から少し離れた木の側に隠れて見ると、赤い和服を着た少女が木の下で泣いていた。

 

「(王の言っていた子供はこの()ね)」

 

「ぐすっ………ううう………お、お姉ちゃんだれ……?」

 

「っ!!」

 

「お姉ちゃん………ひな、きずつけない?」

 

 泣きながらこちらに質問を掛ける少女。だが、驚いたのはそれではない。

 私は少女が気付かないように離れた木から気配を消して見ていたのにこの少女は私に気がついた。

 泣くのをやめて私のいる場所を見る少女に観念して私は少女のところへ移動する。

 

「どうして分かったの?」

 

「ん…ひぎゅ………なんとなく」

 

 赤く腫らした目を擦りながら首を傾けて、こっちに顔を向ける少女。

 すると、少女は私の肩の土門を眺めるように見ていた。

 

「くもさんだ〜!」

 

グルッ!!

 

 少女に見つかり私の肩に捕まっていた土門はビクッと身体を揺らして、少女から逃げようとするが–––

 

「くもさんつかまえた〜!」

 

 捕まった。見事に。必死に抵抗する土門だが、少女は楽しそうに土門の身体を抱えて脚を触っている。先ほどまで泣いていたのにもう笑ってる…………不思議ですね人間の子供は。

 

SIDEOUT

 

 白と土門は子供を保護できたかな。

 そう思いながら私はほかのみんなを連れて、女性を殺した奴らを探してる。

 あの死体のあった場所には幾つもの足跡があった。最低でも十数人はいると思う。それに銃を所持しているだろう。どういう理由であの女性の子供を追っているのかは不明だ。

 

「鳴風なにか見つけたの?」

 

ピィィィィィ

 

 上空を飛んでいた鳴風が私の肩に捕まり尻尾を私の左側に向けて方向を示す。

 その場所に向かおうとする前に睡樹が全身をツタへと変えて、私の服の下に潜り込んだ。まるで防弾チョッキのようになった睡樹。私の安全を思っての行動に私はちょっと服の裾から出てる睡樹のツタを撫でる。

 そして、私は黒だけを残して、他の子たちは隠れて奇襲できるように頼んだ。

 

「じゃあ黒行くよ」

 

「ハッ!」

 

 鳴風の示した左の方角に黒を連れて歩き始める。

 すると、黒服の男たちが誰かを探しているようだ。

 さてと、見る限りだとかなりの数の餌がいる。今日は私の作る料理があるからあまり喰べないで欲しいけど、魔化魍らしく思う存分に喰べて良いよみんな。

 

SIDE黒服の男

「ガキは見つかったか?」

 

「いいえ、まだ見つかってません」

 

「クソ、あのアマに一杯食わされた結果がこれだ!」

 

「ですが、子供の足です。見つかるのは時間の問題です」

 

「そうだな」

 

「頭! 向こうを見てください!」

 

 部下の言った方を見ると、黒い服を着た少女と木こりのような格好をした女がこっちに向かって歩いてきた。

 

「おい嬢ちゃん! この辺で赤い和服を着たガキを見なかったか?」

 

「見てないよ。ね、黒」

 

「ハイ、主」

 

「(変わった嬢ちゃんだ。だが、さっきのガキと一緒に売れば高い金が手に入りそうだな。後ろの女も格好はアレだが、いい相手になりそうだ。さっさと縛って、お相手してもらおうかねぇぇ)」

 

 この男の心の声で分かるかもしれないが、彼らは俗に言う人身売買を生業としている犯罪グループだ。

 今までに数百人の人間、主に女性や子供を様々な国に売り飛ばし、その報酬で暮らしている。彼らはある親子を捕まえ、海外に売ろうとしたが子供が逃げる際に誤って、部下たちが発砲。子供は無事だったが、子供を庇って撃たれた母親は死んでしまった。

 そして、子供だけでも捕まえて金を手に入れようと躍起になって探していたら、探していた子供とは違う少女と女が現れた。

 頭と呼ばれた男は少女は逃げた少女と一緒にその方面の物好きな奴に売り飛ばし、女は最近溜まっている下のほうの発散のために捕まえようとした。

 だが、男は二つほど勘違いしていた。

 

 ひとつは、少女をただのガキと思い侮っていたこと。

 

 もうひとつは、少女の後ろにいた女は、『人間では無かったこと』。

 

 頭と呼ばれる男が部下にアイコンタクトを送り。少女たちに話を振る。

 

「嬢ちゃんたち、ちょいと人を探すの手伝ってくれねえか」

 

「どんな人?」

 

「赤い和服を着た、嬢ちゃんより年下の子供だよ」

 

「へえ〜」

 

「探すのを見つけてくれたらイイモノあげるからよ」

 

「いいよ」

 

 その返事を聞き、部下はポケットに隠しているスタンガンを掴み少女に近付く。

 

「でも………」

 

 だが、少女は男に向かって笑いながら言った。それも–––

 

「オジサンたちを片付けてからゆっくりその子を探すよ」

 

 口が三日月のように弧を描いて笑って言った。

 

「何言ってるんだじょ「がアアアアア」………どうした、なっ!!」

 

 男が聞こうとすると後ろから部下の叫び声が響く。

 男が振り返って見えたのは、赤い炎に包まれて全身をたいまつのように燃やす部下だった。

 それを見た部下はスタンガンを捨て、拳銃を取り出し少女に向ける。

 

「てめぇ、何しやがった!?」

 

「言ったでしょ、オジサンたちを片付けるって」

 

「なんだとっ!!」

 

 男の部下が拳銃を取り出し、少女に向けるが–––

 

「主ニ何ヲ向ケル!!」

 

「ぐがあッ………………あぁぁぁぁ!」

 

 黒が部下の一人の腕をへし折り、指を喉元に食い込ませ、抜き取るとそこにはクルミのようなモノがあった。

 

「うわああ!!」 

 

 すぐ近くにいた部下が少女に向けて、拳銃を撃つ。弾丸は少女の脳天に目掛けて撃たれるが、少女の服の下から植物のツタが出て来て弾丸を防ぐ。

 

「ありがとう睡樹」

 

 すると、服から出た植物のツタが勢いよく出て、やがてツタはだんだん人の形に変わる。

 

「なんだありゃ!」

 

シュルゥゥゥゥゥ

 

 睡樹は元の姿に戻り、少女の側で守るように立つ。

 男たちはもう訳が分からなかった、部下の一人が炎に包まれ、木こりの女は部下の喉からクルミのようなモノを取り出し、少女に撃った弾は少女の服の下から出てきたツタに防がれて、さらにそのツタが人型の化け物になり少女の傍に立っていた。

 いつの間にか木こりの女も少女の元に戻って、クルミのようなモノを少女に渡す。

 

「てめら! なんなんだ!」

 

「私ですか………私はこの子たち、魔化魍の王 安倍 幽冥!!」




如何でしたでしょうか?
今まで主人公と通してきましたが、名前を考えた方がいいかと思い、ついに名前を付けました。
次回は、そんな幽冥&魔化魍達VS人身売買グループの一方的な戦闘です。
少しグロくなると思います。
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