コロナの外出自粛が大変ですが、こんな時こそ小説を書いたり、読んだりし、外出を控えて、コロナを乗り越えましょう。
今回はカツラオトコの友人である『不明』と協力者の『鉄人』が出てきます。
カツラオトコに案内されて山から海の近くにあった洞穴にやってきた。洞穴の近くにある岩礁が洞穴の入り口を見えないように置かれている。
おそらく、かなり近くまでこない限りは洞穴は見えないだろう。おまけに海の近くということもあり、潮が満ちると洞穴の穴は海水で隠されて見えなくなる。この隠れ場所を見つけたカツラオトコの友という魔化魍はかなりの知能を有する魔化魍なのだろう。普通の魔化魍でも隠れることはあるが、自然を利用した隠れ方をするのはコダマや私の家族でもある命樹や古樹といった植物系の魔化魍だ。
カツラオトコはそのまま洞穴に入り、私達もカツラオトコに続いて洞穴に入った。
洞穴は潮水に浸かっていたのが原因か所々に藻らしい物を生やし濡れていた。
カツラオトコに続いて歩いてると道を塞ぐように大きな岩があり、カツラオトコは岩に近付くと
【カツラオトコだ!! 今戻った!!】
すると目の前にある岩はズルズルとする音とともに擦れていきそこから誰かが出てくる。
「やっと戻ったかカツラオトコ」
そして、現れた者に幽冥は驚く。それは魔化魍では無い存在だからだ。
鈍色の鎧に全身が覆われた身体、鎖骨から背中に掛けて伸びる2対のパイプ、側頭部から伸びる湾曲した2本の角を持った異形。
腰にある英語のdに見立てた金色の蛇が描かれたバックルの付いた赤いベルトはその異形の所属する組織の証。
かつて、電気を武器とする仮面ライダーがいた。彼は組織の改造手術によって死んだ親友の仇を取る為に自らその組織の改造手術を受けて、電気人間となり、その力を組織を滅ぼす為に振るった。幾人もの改造人間を倒し、遂に組織の首領を倒し、平和が訪れたかに思えた。だが、そんな仮面ライダーの前に複数の怪人達が現れた。
彼らはそれぞれが物語や伝説に登場した魔人の子孫とも言われる存在。人間を素体として改造する改造人間とは根本が違う存在。
1人1人が核ミサイルと同じように周囲関係なく破壊する悪魔。そして、それらの怪人たちがいた組織の名は。
デルザー軍団。後に全ての組織を生み出し裏から操っていた男直属の大幹部ともいうべき魔人たちの組織だ。
そして、目の前にいる存在は正にそのデルザー軍団に所属していた改造魔人である。
その祖はフィンランドにいたといわれる妖怪 黄金魔人。
「鋼鉄参謀」
「ほう。初対面の筈だが、俺の存在を知っている者がいて、しかもそれが人間とはな」
鋼鉄参謀は自分の存在を知る私の言葉に反応してそんな感想を言う。
睡樹
【ただの…人間……じゃない…僕た…ちの……王だ】
南瓜
【我らの王を侮ってもらっては困る】
睡樹はツタをゆらゆらと動かし、南瓜はその手に炎を灯して目の前の鋼鉄参謀に言う。
「………それは済まない。お前達の王を侮辱するつもりで言ったのではない。少し昔を思い出してな」
おそらく、鋼鉄参謀の言う昔とはあの男のことを言ってるのだろう。親友を殺したブラックサタンと戦い、その後にデルザー軍団と戦った雷の男。7人目の昭和仮面ライダー 仮面ライダーストロンガーこと城 茂のことを懐かしそうに言っていた。
それを聞き、睡樹も南瓜も鋼鉄参謀に向けていた敵意をなくす。
【王、こちらです】
カツラオトコは鋼鉄参謀の奥にある道から半身出してる状態で、私を呼んでいた。私はそのまま、カツラオトコの呼んでいる道に行くと。
「何で、襖?」
その道の奥には日本文化では何度か見ることがあろう。というかぶっちゃっけって言うと前世での私の家にもあった。
「あれって私の幻覚なのかな南瓜?」
南瓜
【大丈夫です王。私の目にもバッチリ見えていますから】
【俺だ】
【入って貰いなさい】
カツラオトコは襖に近付き、襖を開けると、中は和室のような造りの部屋でその部屋の真ん中にちゃぶ台と魔化魍が胡座で座り込んでいた。
【ようこそ魔化魍の王。私は貴女が来るのを待っていたのだ】
「貴方がカツラオトコの友人ですね」
【ああ。その通りだ】
その魔化魍の姿は今までの魔化魍とは少し違って、いやかなり異なった外見をしている。
私の家の家族に迷家と水底がいる。2人はツクモガミという種族の魔化魍で、道具が時間を経て、私の王の気というものを浴びた結果、誕生した。
そして、前にいる魔化魍の外見を簡単に言うなら、大量の藤壺と貝類、蛸壺で出来た人型。大量のそれらが奇妙なバランスを保ってるようで無理矢理人型にしたという感想も浮かぶ。
【私はセトタイショウという】
セトタイショウがぎこちなく立ち上がろうとするがなかなか立てない。そしてその原因が目に入った。
上半身と下半身を形成している中でも一際大きな壺。その壺の中心にヒビが入っている。そしてその壺は下半身と繋がっている為か、脚の動きがぎこちなくなっていた。
「その壺のヒビは?」
【ああ、これか。過去にある鬼と戦った際、死に際の一撃で受けた傷だ。当たりどころが悪かったのがあってか、治すことも出来ず、そのままになっているのだ】
「そうですか」
【セト。無理に立たなくていいぞ】
そう言ったカツラオトコはセトタイショウに肩を貸して、ゆっくりと腰を落としながらセトタイショウを座らせる。
【済まない】
「それで、セトタイショウ。何故このような計画を考えたの?」
カツラオトコから聞いたのは猛士九州地方支部の壊滅させるという話だけ、必ずその壊滅という目的にさせた理由があると私は睨んだ。
【私達は………九州地方の魔化魍の多くは争いごとを好まず人間と関わりを持たないように平和に過ごしていた】
セトタイショウは昔話を語るように話し始めた。しかし、その一言に疑問を覚えた。
「人間と関わらない? ですが、魔化魍は人間を喰らって成長する種が多い筈です。人間を喰らわずに起きる飢えはどう凌いでいたのですか?」
【王は知ってるか不明だが、元々魔化魍は自然にあるものを喰らって生きてた。自然にある山の幸を海の幸をそれら喰らって我らは数世紀に渡って人間から隠れていた】
確かに魔化魍は、人間を喰らわずに生きていける。テングやカッパ、バケネコといった魔化魍は動物の生き血や植物を喰らって生きていくことも出来る。
だが、どうしても成長速度的な意味で言うのならば、人間を喰らった方がはるかに成長速度は速いし、何より強くなる。
【だが、ある時に隠れて暮らして魔化魍が猛士に見つかった。その魔化魍は鬼によって清められた。
次の日、別の魔化魍が見つかり清められた。また次の日も、その次の日も。争いごとを好まないことと人間を喰らわなかった事で、我らはそこまで強くなかった】
それはそうだ。成長しきっておらず、またそこまで力が強いわけではない。そんな魔化魍はおそらく、猛士からすれば絶好のカモ、もっと言えば、新たな鬼の実戦テストの相手として丁度いい相手。
おそらくそれが猛士の鬼の質の向上に繋がっていたのだろう。それは弱い魔化魍といえども戦闘を重ねれば、実力は上がり、より戦闘能力の高い鬼も増やせる。
【だから、私達はこの九州地方を離れて暮らせる魔化魍を各地方に逃した。だが、地方に逃れた魔化魍もいくつかは鬼達の手によって清められた。その中で生き残った魔化魍も1月前に死んだ】
そう言ったセトタイショウは今まで犠牲になった魔化魍を思い出したのか、手を顔に当てて、涙を抑えている。
【そして、私は思った。魔化魍のために行動しても結局は猛士の鬼たちがいれば、仲間はどんどん清められて滅びる。だからこそ、そのまず手始めにここの猛士、九州地方支部を壊滅させることを計画した】
人間に何もせずにひたすら受けの姿勢を保ったセトタイショウは我慢の限界だった。清められていく魔化魍を見ていたセトタイショウは何もしない九州地方の魔化魍を滅ぼそうとする鬼を、猛士を、魔化魍の生存の為に猛士を滅ぼせばいいと考えた。
睡樹
【でも……鬼にも…僕た…ちの……事を…心配…するの…もい…る】
【確かに鬼にも話が分かるのはいるのかもしれない。王の元にいる数人の鬼の話もこちらは聞いてる。
だが、所詮は人間だ。表ヅラは味方でも、中身まで分からない。何か猛士から命じられた作戦で仲良くしてるのかもしれない。
いつ寝首を切られるのかも分からない。それでも王は鬼が我らの話を聞くものがいるというのか!!】
【おい】
睡樹の言葉に激昂して荒々しく答えるセトタイショウにカツラオトコは落ち着けというように肩に手を置く。そして、落ち着いたのか先程までの穏やかな顔(?)に戻った。
【済まないな王の仲間。少しカッとなったしまった】
睡樹
【う…うん……気にし………て…ない】
【そうか。……では、話を戻そう………王は、どう思われているのかを聞きたい】
「………まず初めに言うとしたら、ここに来るまでの道中、私はこの計画に参加した場合のメリットとデメリットを考えた。
メリットは魔化魍を救えるし、その救った魔化魍も私の家族となるかもしれない。逆にデメリットは猛士の反応です。今まで北海道の3支部、ここ九州地方の佐賀支部、後は私が関与してないけど四国地方の高知支部も壊滅した。
今回のこの計画を実行した場合の猛士は我らを完全に滅ぼす為に行動するでしょう。
次に私は魔化魍からすれば半端者ともいうべき王です。人間を喰らう魔化魍を育てていながら、人間のそれも魔化魍の敵である鬼を館に住まわせてますから、他の魔化魍からすれば、キチガイや狂った王などと思うでしょうが………何故無理だと決め付けるのでしょう」
【【?】】
「………」
私の言葉にカツラオトコとセトタイショウは頭をハテナマークを浮かばせ、いつの間にか部屋にいた鋼鉄参謀のことの成り行きを見守るかのように口を閉じていた。
「魔化魍だから人間と仲良くなってはならないと誰が決めたのでしょうか?
家にいる鬼は家族が愛している存在です。例えば、三尸と行動を共にしている調鬼こと月村 あぐり。彼女は北海道第1支部に居た鬼で、三尸や兜、命樹、五位の面倒を見て、第1支部の実験から彼らを守っていました。
次に導と一緒にいる紗由鬼こと紗由紀はある魔化魍に洗脳されてましたが、戦いの前に導と知り合い友達となった。しかも、その後に洗脳で導と戦わされたけど、彼女は導を見て自ら洗脳を解き、鬼からの攻撃から導を庇った。
そして、8人の鬼の1人 慧鬼こと安倍 春詠。私の姉です」
【【!!】】
「姉は元々、魔化魍を研究していたのですが8人の鬼の末裔という事で無理矢理、鬼の力を継承させられました。でも、そのお陰で私は姉と再会できた。
そして、再開後に私の家族を見て、大喜びしてました。更にここには居ませんが鬼と夫婦関係になり子供を産んで、孫が産まれて祖母になった魔化魍も居ます。
こんな風に鬼でも魔化魍を敵と見ないものもいます。それでも、今までの出来事で貴方達が信用できないのは分かりますが、それでも私の家族と暮らす鬼だけでも信用してほしい」
【【………】】
「私が何を言いたいのかと言うと、人間だからと言って、下に見たり、すぐに殺すのはやめて欲しい。勿論、食事として人間(家族以外)を喰らうのは構わない。
でもこの計画が無事に終わったら、この計画に参加しているみんなを家族にするから。今の内に家族の人間は食べ物じゃないと理解しておいて欲しい」
【それでは!?】
私の言いたいことが分かったのかセトタイショウは顔を上げて私の言葉を待った。
「9代目魔化魍の王 安倍 幽冥。その計画に力を貸しましょう」
【ありがとう王】
私の言葉にセトタイショウは動きづらい身体を動かし、私の手を両手で掴むとそのまま感謝の声をあげた。
睡樹と南瓜はその光景に拍手し、カツラオトコはその光景に涙ぐみ、どうなるか見ていた鋼鉄参謀は静かにその場から離れた。
そして–––
「王のいる場所が分かりました。共に行くメンバーも既に決まっています。これからその者の名を呼びます。呼ばれた者は直ぐに蛇姫から札を貰いなさい。呼び終わり次第に『転移の札』を使い、王の元に向かいます!!」
特定するのに時間が掛かったが、居場所を特定した王の家族が動き始めた。
はい。如何でしたでしょうか?
『不明』はセトタイショウ。『鉄人』は鋼鉄参謀でした。
いやー鋼鉄参謀って何気に好きなデルザー怪人なんですよね。特に漫画の『仮面ライダーSPIRITS』での鋼鉄参謀はカッコいいですよ。そのシーンは是非漫画や電子書籍でご覧ください。
因みに、鋼鉄参謀はその漫画版の記憶もあります。
ーおまけー
迷家
【うんうん。それは大変だねーーーん………あ、いけなーーい、いつものコーナーだ。
ごめんねー話はまた今度、え? このまま出る。うーーんそうだね。ゲスト見つけてなかったから。いっか。じゃあそのまま待ってて、うん。
ではでは、改めておまけコーナーは、じまるよーー!!♪♩】
迷家
【この企画が始まってーーなんと5回目。いやーー変な人から頼まれたこれも、結構楽しくて。
おっと、ではさっきの話し相手もとい本日のゲストは!!ー】
刺馬
【劔の相棒の刺馬です】
迷家
【彼女ね。どうやったらーー劔が自分を番として見てくれるのかって、相談してきたんだよ♩】
刺馬
【あの、すいません。流石に相談内容を言われるのは–––】
迷家
【大丈夫、大丈夫。ここで話をした内容は、外に漏れる事はないし、誰も聞いてないから………あ!! でも僕は聞いてるけどね】
刺馬
【……そうなんですか?】
迷家
【そう!♩ だから例えば、ここで劔に対しての気持ちを君が叫んでも、問題ないよ】
刺馬
【でも/////】
迷家
【もう。君はさ、もうちょっとガンガン行けないのかなーーー】
刺馬
【ガンガン、ですか?】
迷家
【そう。ほら、荒夜や狂姫みたいな感じな】
刺馬
【ですが、あの2人は元々婚約者同士と……】
迷家
【ありゃ、まあそんな事はいいから、そのポジションを自分と劔に置き換えてみなよ】
刺馬
【劔と………】
〜刺馬妄想中〜
劔
【刺馬。今日もいい毛並みだな】
刺馬
【劔のだって、いい毛並みだよ】
劔
【いや、この毛並みは俺だけのものだ】
刺馬
【ひゃ、つ、劔、こんな所で!?】
劔
【刺馬、こんな所で何だ?】
刺馬
【もっと、誰もいなさそうな場所に……】
劔
【大丈夫だ。俺に任せろ】
刺馬
【ああ、あああ、ダメーーー!!】
〜妄想終了〜
刺馬
【劔、そこは、そこは駄目なの】
迷家
【あらら、余計なことを言っちゃったかな。みんな、ごめんね。今回のおまけコーナーはここまで、僕はこれから刺馬を元に戻してあげないと、じゃ、まったねーーー】
刺馬
【ああ、劔////】