人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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この話で誰が何処を襲撃するのかが分かります。
襲撃メンバー同志が色々な交流をして、留守番組の様子を送ります。


記録玖拾壱

SIDE白

 王の指示を受けて、各々が行動する中、私はある者のところに向かう。

 

「何?」

 

 王がこの九州地方で家族にしたウミボウズの姫の青だ。因みに猛士九州地方長崎支部襲撃のメンバーでもある。

 私がこの女に話しかけようとした理由はただ1つ。

 

「貴女。王に好意を抱いてるでしょ」

 

「ぶっ!? ////////」

 

 図星だったのか、青は口を付けていたコップの中身を吹き出して顔を赤らめる。

 この反応からして、おそらく青も王のことが好きなのだろう。

 

 予想通りというか、最近は王が姫を家族にしたら姫が王を好きになっちゃうのじゃないかと思っている。

 まあ、王に悪意があるわけじゃない。というかそういう下心ありでやっているとしたら、それはそれで凄い。けれど、王のあれは素だと。姉である春詠が言っていた。

 

「それで、何が言いたいの?」

 

「そんな難しいことじゃないわ。ただ、私に協力して欲しいだけ」

 

「協力?」

 

「そう。私たち、まあ此処には居ませんが他にも姫がいて、その者たちも王に惚れています。

 ただ、王はそこからへんの感情に鈍いのか私たちのそういった感情に気づいていないわ。そこで私と向こうにいる美岬と協力して王にそう言った感情に気付いてもらうの。

 そして、気付いてもらって夜の方にでも誘ってくれて、子供を孕めれば最高なのだけど」

 

「しかし、王は女性で我ら姫も女性。情欲は発散出来ても子は授かれない」

 

「ふふっ。そこは問題ないわ。それを解決する手段もあるし、この方法は私しか知らないわ」

 

「…………」

 

「どうかしら?」

 

 青がこの話に乗るかは不明だが、悪い話ではないと思う。

 正直、方法というのも、あの世界で貰ってきた薬のことだ。効能の書いてある紙を読んだ時には、驚いた。何故なら、薬を服用した者は鋼の如き理性を一時的に(薬が切れるまで)外して獣のように変え、子供ができやすくなる。複数服用すれば性別に影響するようで、男性は『女体化(・・・)』、女性の場合は『男のモノ(・・・・)が生えてくる』と書いてあった。

 参考の為に狂姫にもその紙を見せて、薬も数個渡して試したみたいなのだが、その夜は普段は初々しい感じらしい荒夜が獣のようだったと肌をツルツル光らせて頬を赤らめた狂姫が言っていた。

 しかし、油断はできない(うち)には薬学のプロでもある蝕、自身の存在感を上げる薬を開発しようとしている穿殻、姫の中でも最年長でありその手の術を知っていそうな緑などがいる。その3人が似たような薬を作らない保障はない。

 でも、青はその事を知らないので、この情報を言えばこちらに傾いてくれると思ってこの話をした。

 

「………分かった。それなら協力する」

 

 良かった。これで青はこっちの味方になった。

 あの雌狼()堕触手()には絶対負けたくない。

 そうして、私は青との王についての話で盛り上がり、そこから発展した淫らな妄想話で少し下の方が大変なことになったのは秘密だ。

 

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SIDE水底

 新たな家族、鉄のいる隠れ家は笑いなどの賑やかな雰囲気に包まれていた。

 此処に転移する前に白たちが万が一を考えて、おやっさんや茂久の作った多量の料理や水や酒などを持って来た。王の無事も分かり、猛士と戦うことになったのを知った白たちは、この計画に参加する魔化魍達の英気を養うために、此処にそれらを持って来た蛇姫や憑に頼み、出してもらった。

 

 その結果、少し騒がしいも賑やかな宴会のような空気感になった。

 そして、その空気感よりも少しピリピリした空気を出している場所がある。

 

 大尊と渦潮とそれを見ている水底のいる場所だ。3体は離れた所で何か話をする白や青と同じ長崎支部襲撃に編成されたメンバーだ。

 

 私は静かに見ていた。

 何かを合図に2体は動く。

 

 大尊は大きく息を吸い込み、口を開いたと同時に拳位の大きさの空気弾が放たれ、渦潮は犬が伸びをするような体勢になって背中からの棘を撃つ。

 

 2つは同時にぶつかり空気弾の空気が割れる音と棘が砕ける音が同時に鳴ると、2体は同時にその身体に飛びかかり互いを噛みつく。普通ならばこの様な大きな音が響けば、周りも話し合いや飲み合いをやめて、こちらを見るが、誰も気付いていないのかそれぞれの交流を楽しんでいる。

 

水底

【これが周りには食事の光景にしか見えないなんて】

 

 周りには、この音が聞こえていないし、見えてもいない。

 その理由は渦潮である。渦潮は今のこの戦闘している光景を別の光景に変えて見せている。そう幻術で。

 まあ、渦潮よりも力のある魔化魍や幻術を得意とする魔化魍には、この違う光景は本来の光景に見えているのだろうが、全員止める気はなさそうだ。

 しかし、何が原因でこうなったかは不明。王の指示を受けた後に、襲撃メンバーが集まった際には渦潮は大尊を睨んでいたし、大尊も渦潮を見ていた。

 

渦潮

【–––––––––––––】

 

大尊

【–––––––––––––】

 

 2体は戦いながら、何かを喋っていたが、幻術が原因か何を喋ってるのかは聞き取りずらかった。

 水底は2体の戦いを見ながら、別のことを考えていた。

 

水底

【(鋏刃さん)】

 

 水底が考えるのは、妖世館の留守番組の鋏刃のことだ。

 ユウレイセンとして目覚めた水底は、魔化魍となった際に、鋏刃に会いに行った。鋏刃に会った水底はお礼をした後に、鋏刃と少し話をしたが、あまり喋ろうとしない鋏刃に『何故喋らないのですか?』と聞くと、鋏刃は答えなかったが水底は喋るのが苦手なのだと判断した。

 水底は喋らない鋏刃を手伝うために『補佐にしてください』と自ら申し出てその意思の強さに折れた鋏刃の許可の元で補佐として行動を共にしている。

 今回の王救出メンバーに組み込まれた際は、鋏刃と離れ離れになるのは嫌だったが。海上の移動の際に私の半身が必要なのは分かる。だが、それとこれは別の話。断ろうとするもその考えを読んでいた鋏刃が説得したことによって納得して、この王救出メンバーとして与えられた役目を果たすことにした。

 鋏刃のことを考えていた水底はいつの間にか幻覚は解かれており、互いに睨み合ってるも大尊と渦潮に気付く。やがて少し軽い噛み痕のある渦潮が口を開く。

 

渦潮

【分かった。一先ずは納得してやる。あらためてよろしく大尊】

 

 それに対して、尻尾の先に棘が刺さってる大尊は答える。

 

大尊

【こちらも、よろしく渦潮】

 

 互いにそう言うと、私のそばに退避していた料理や酒を喰べ呑み始めた。

 水底は何故、2体が戦ってたのかは不明だったが、戦っていた渦潮から僅かに聞こえた単語だけが、何故か耳に残っていた。

 そう。『ウァサゴ』と。

 水底はそれが何かは知らないが、取り敢えずは大尊たちの元で自分も食事することにした。

 この言葉が何を意味するのか。そして、この2体の争いの原因はいずれ知ることになるとはこの頃の水底は知らなかった。

 

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SIDE羅殴

 鹿児島支部襲撃メンバーは食事を終わり、新たな家族になったばかりの縫は何かを見ていた。

 

【かなりの出来だね】

 

羅殴

【おっ!! それかそれはなちょっと自信作なんだよ】

 

【器用ですね】

 

食香

【ほんと、前も結構売れててたし】

 

 蝕は作ってることを知ってるが実物を見るのは初めてなのかその作り込みに舌を巻き、的屋で客寄せをしていた食香は以前行った的屋で売れ行きを見ていたので、思い出す。

 

 食香はそう褒める。確かに売れたが、的屋にいたお客のほとんどはこういうのに興味を持つ大人の男や男の子で、女性客がいなかった。

 個人で言うのなら、俺の目指す的屋は男女平等で売れる的屋。とにかく金儲け目的の白蔵主は少し気に入らないが、商売に関しては確かにやり手だ。

 だが、どんな商品を売るにしてもそれを対象とした性別や年齢がある。片方に傾きすぎる商売はあまり上手くいかない。

 そのことを白蔵主も分かっているが、生憎、女性が喜びそうな工作といったら可愛らしい動物の木彫りや木工工作の置物くらいだ。しかし、これでは女の子が蔑ろになってしまう。

 そんな風に考えてると、俺の作ったものを見ていた縫はこう言った。

 

【この計画が終わったら僕も的屋に参加させて】

 

羅殴

【別にいいが、良いのか?】

 

【それにただ参加するだけじゃなくて、僕の作ったぬいぐるみを的屋の商品にして良いから】

 

羅殴

【本当か! それは助かる】

 

 なにぶん工作は得意だが、縫い物は苦手でな。的屋をやってる時に客だった女の子がぬいぐるみはないのかって聞かれたことがあるからな。

 男の子向けの物があっても女の子向けの物がなきゃ、客層が偏る。

 

羅殴

【そういう事なら是非頼む】

 

 そんな約束をした2体は、この計画が終わった後に一応的屋のオーナーをしている白蔵主に話したら、『金の匂いがする』と言って、加入を認め、とある地方の村の祭りで的屋をやったら。

 テレビで紹介させてくれと偶々居合わせたディレクターによって大々的に公表されて、的屋は大繁盛した。

 祭りが終わった後に村長が『来年も是非、此処でやってくれ』と言われ、そんな感じであっちこっちで引っ張りだこの有名的屋になるのは少し先の話。

 

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SIDE桂

 此処は、大分支部襲撃メンバーの交流している場所。

 既に襲撃の話は終えたのか、それぞれが呑み喰いしてる中、メンバーの中にいた桂は襲撃メンバーを見ていた。

 

 王の家族である者たちは流石と言わざるおえない。

 個々の実力は同世代の同種族と比べると明らかにレベルが違う。

 

 ヒトリマの暴炎殿は、炎の操作が上手い。

 少なくても炎を操る術を持ち思いのままに操るヒトリマは俺は見たことがない。

 

 テオイヘビの屍殿は、身に纏っている怨念の量が凄い。

 テオイヘビの怨念が此処までとは思わず、少し寒気がした。

 

 ショウケラの三尸殿は、これまた並のショウケラとは違った強さを持っている。

 観察してる中で気付いたが、両目の瞳の色が異なっていた事からおそらく、三尸殿は異常種へと進化する可能性があるということ。

 

 そんな風に観察する私を見て、三尸がコップを渡して、そこに酒を注ぐ。

 

三尸

【呑んでるか?】

 

【はい。呑んでおります】

 

三尸

【ならいいが、ング。ぷはっーー。…………はあーあぐり】

 

 三尸がコップの酒を飲み干すと不意に何かを呟く。

 

【あぐりとは確か、捕虜となっている鬼でしたか?】

 

三尸

【捕虜じゃねぇ!! あいつは俺の、俺の…………あ、あすまねえ】

 

【すまぬ。無作法だったな】

 

 桂は自分の非礼を詫びて、酒に口をつける。

 

暴炎

【おおーー呑んでるな。ほれほれコレも呑め】

 

【暴炎、呑みすぎだ】

 

 そこに酒のコップを持って笑い上戸な暴炎が混ざり、酒ではなく水を飲む屍が、暴炎を止めようとするも–––

 

暴炎

【ああーー、屍、それ水だろう。ほらコレを呑め!!】

 

【いや、お、むぐっ、んんん】

 

 屍の口元に瓶ごと酒を突っ込み無理矢理中のお酒を呑ませる。

 

 此処でなんで屍が酒を吞まなかったのか、その理由を説明しよう。

 屍自身が酒に弱いというのもあるが、何も個人的に弱いわけではない。種族上の苦手なのだ。

 彼女の種族テオイヘビは尾に流れる毒血液という武器を持つが、この毒血液、実はアルコール成分を吸収することによって、酸性が薄まり、本来の効力を発揮できなくなってしまう。

 その結果––––

 

【は、ひふへ、ほっほ】

 

 目をぐるぐる回しながら変な呂律になった屍はゴロゴロと転がる。

 

暴炎

【おかわり!!】

 

三尸

【ほら桂、注いでやるからよこせ】

 

【では頂こう】

 

 無理やり酒を呑まされた屍殿はいつの間にかグロッキーで横たわって放置されている。暴炎殿と三尸殿はまだまだ呑めると言うかのように酒を呑み続け、それに私もご同伴している。

 久しぶりにいい酒を呑んでいる気がする。この襲撃計画が終わった後でも、このメンバーで集まって呑むのも楽しいのかもしれないな。

 

 桂はそんなことを考えながら、酒を呑み干し、再び注ぐのだった。

 

 この4体は後に『安倍家爬虫類家族の会』を作るのは、少し先の話だった。

 

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SIDE宮崎支部襲撃メンバー

 他の襲撃メンバー交流の中でここ宮崎支部襲撃メンバーのいる場所は一段と笑いが五月蝿いだろう。

 

ルルル、ルルル

 

写鏡

【仲、仲、仲間。一、一、一緒♪】

 

【何かいいなこの光景】

 

迷家

【本当に親子みたいーー♪】

 

 この場所に来てから浮幽は見た目が似ているというより属性違いの同種族である写鏡に懐かれて追いかけられている。

 その光景を憑は迷家と酒を呑みながら笑って見ている。

 

 だが、写鏡がここまで浮幽に懐いてるのかは勿論理由がある。

 写鏡は産まれたとき、周りには両親も童子や姫もいなかった。魔化魍の属性違いの育児放棄はよくあることだが、写鏡の場合は違った。

 何故なら、写鏡の側には2つの塵が写鏡を守る様に積もっていた。それは見るものには分かるもの。つまり2つの塵は写鏡の両親だったもの。

 鬼の襲撃か他種族の魔化魍の襲撃かは不明だが、写鏡はひとりぼっちになった。

 

 ひとりぼっちの写鏡を発見したのはまだ下半身不随の怪我を負う前の鉄だった。

 その光景を見た鉄は写鏡を自身の隠れ家に連れて帰り、当時貯めていた人間の肉を与えて、種族が違うながらも懸命に育てたお陰で無事に育った。

 つまり長々と話して何が言いたいかというと、産まれてから1度も見たことない同種族に会えて、その喜びと嬉しさが許容オーバーしてひたすら甘えているという状態だ。

 

迷家

【赤が見たら孫ができたって言いそうだね】

 

【違いない!! あはははは!!】

 

写鏡

【温、温、温かい♪】

 

ルルル、ルルル

 

 追いかけられ続けて、もう観念したのか逃げるのをやめた浮幽は写鏡を炎を灯していない触手で撫でている。憑と迷家は微笑ましくも見える同種族同士の戯れを見ながら酒をまた呑み干した。

 

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SIDE熊本支部襲撃メンバー

穿殻

【–––ということで、よろしくお願いします】

 

穢流

【こちらこそ、よろしくお願いします】

 

【うむ。よろしく頼む】

 

 顔を向かい合わせて何か話し合っているのは熊本支部襲撃のメンバーである。

 真面目な性格をしてるので全員集まると襲撃する熊本支部の話を行い、集まってから数十分で話がまとまった。

 

穿殻

【えっーーと、取り敢えず喰べましょう】

 

【そうだな】

 

穢流

【では頂きます】

 

 そして、既に終わった熊本支部襲撃の話以外に会話しようにも何を話題にすればいいのか分からず取り敢えず食事を始める。

 

崩たち

【【【(気まずい(の)(です))】】】

 

 心の中でも同じことを思っていた。

 とにかく何か話題はないのかと必死に考える。

 そこで崩はある事を思い出す。

 

【そういえば穿殻、以前言っていた存在感を上げる薬の進行はどうだ?】

 

 触手の先にある口で肉を喰らっていた穿殻はピタッと止まり、肉を飲み込むまでの間、無言だった。

 肉を飲み込み終わると暗いトーンで喋る。

 

穿殻

【………正直言うと、全然上手くいかない。何でなんだろう?】

 

穢流

【その存在感を上げる薬とは?】

 

 妖世館の家族は知ってるが家族になったばかりの穢流は知るはずもなくその薬について聞く。

 

穿殻

【ああ、穢流は知らないよね。僕、存在感がなんでかないから存在感を上げる薬を作ってるの。でも、上手くいかなくて】

 

 折角、話題を上げたが触手が項垂れて穿殻の声は暗くなった。このまま話を続けるのは不味いと崩が思い話題を変えようとすると–––

 

穢流

【穿殻。少し気になるのでどんな薬があるのか教えてください】

 

穿殻

【目的のものとは異なった失敗作ばかりだけど、うん。教えてあげる】

 

 そして、穢流がどんな薬があるのか興味本位で聞いたお陰で穿殻は明るくなり、嬉々として今まで出来た薬を答えた。

 ただ、どういう風に薬を作っていたら存在感を上げる薬が水と化合することで王水並の危険な毒薬や吸い込むことによって三日三晩眠らせる粉末が出来るのだろうと崩たちは思ったが、口に出さずに穿殻の作った薬の話を聞きながら食事をしていた。

 

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SIDE南瓜

 周りが楽しく飲み食いしてる中、ここの空気は重かった。

 

蛇姫

【この度、誠に申し訳ございませんでした】

 

 睡樹と南瓜は蛇姫から謝罪を受けていた。しかも、さっきからこの調子で頭を下げて床にぶつけて、額は真っ赤になっていた。

 

南瓜

【蛇姫。もう大丈夫です、突然の転移にはそれは驚きましたが、もう気にしないでください】

 

睡樹

【気に…しな…いで】

 

 こう言っているが、おそらく蛇姫は謝罪に夢中で聞こえていないのだろう。大昔に人間に裏切られてその恨みで魔化魍になり裏切った人間を全員殺してその腕を1つずつ奪ったとは思えないほど、蛇姫は誠実だった。

 私たちの言葉を聞こえてるはずなのだが、本人は聞こえていないかの様にただ謝罪する。本人のせいではないとはいえ事故の原因が自身の作った札だから尚更だ。

 

蛇姫

【しかし、私の不注意で、この様な事態に、本当に、本当に申し訳ござ––––】

 

睡樹

【もう……眠って…】

 

 再び、頭を床に叩きつけそうだった蛇姫を見て睡樹は術を使って蛇姫を眠らせた。

 

南瓜

【ありがとう睡樹】

 

睡樹

【気にし………て…ない】

 

南瓜

【王が襲撃メンバーに我らを加えなかったのは、おそらく蛇姫のことを心配してだろうな】

 

睡樹

【う…ん】

 

 南瓜や睡樹の思った通りに睡樹や蛇姫、南瓜が襲撃メンバーに割り振られていないのは、蛇姫を思ってのことだ。

 事故によって王共々転移させてしまったという罪悪感で蛇姫は普段とは違う精神状態のため、この襲撃の際に負傷したら話にならないため、この襲撃メンバーから外し、待機させることにした。

 そして、その罪悪感を緩和または無くすために睡樹と南瓜と一緒に待機させることに幽冥は判断した。

 

睡樹

【まあ……今は……眠…ら…せよ……う】

 

南瓜

【そうですね】

 

 術によって眠らせた蛇姫の側で私と睡樹は軽い食事をした。

 

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SIDE波音

 波音は凍った昇布の側にいながら静かに水を飲んでいた。ふと、波音は床の影を見ると。

 

「あんたは呑まないの朧?」

 

 波音の影は不自然に盛り上がり、そこから姿を現すのは朧だった。

 

【そういう貴女だって呑んでないでしょ】

 

 私が呑まないのは、酒が嫌いだからだ。あの苦さはどうも好きに慣れない。最近では、甘い酒をあるらしいが、やはり呑む気にはなれない。

 

波音

【アタイって、やっぱり弱い魔化魍だよ】

 

 今日あった昇布の暴走のことを思い出す。

 アタイは実は未来予知で昇布があの姿になるのは知ってた。

 何が原因でなるかは知らなかったから警戒はしてたけど、結局、昇布は暴走してあの姿になった。対処の仕方を知ってたからこそ前よりも早く凍結に成功した。だけど、知ってたとしても止められなかったアタイがアタイ自身不甲斐ないと思った。

 

【…………】

 

波音

【この刀に認められて、少しは戦えるようになったと思ってたけど、アタイはやっぱり弱い。それに昇布があの姿になるのは知っていたけど、アタイ誰にも言わなかった。信用してないわけじゃないけど、絶対に当たる未来予知を覆すのは無理だった】

 

 アタイの未来予知は必ずと言っていいほど当たる。

 どんなに足掻いても当たる予知で私は今まで幾つものを命を失うのを見た。

 王に会う前にはいた鋏刃たちの童子や姫の死ぬ予知を見た時には何とかその未来を変えようとしただが、結局は予知の通りに童子や姫は死んでいった。

 

【波音。誰もすぐに強くなれるわけじゃないよ。私だって今の強さを得る為に色んな苦労もしたよ。

 それに波音を弱い魔化魍なんて誰も思ってない。もちろん幽だって。それと危ない未来の予知があったら1人で抱え込まずに教えて、その未来を私たち家族で変えるから。だから、もう少し家族を頼って欲しい】

 

波音

【…………】

 

【………波音。やっぱり酒を呑もう」

 

 そう言った朧は擬人態に姿を変えて、影から2つの杯と徳利を取り出し、杯を1つ波音に持たせて、その杯に徳利を傾けると中から少し濁った液体が杯に注がれる。

 

波音

【アタイ、本当にいらないんだけど】

 

「まあまあ、今日くらいは付き合ってよ」

 

 朧の言葉に乗って、久々に酒を呑むことにした。アタイはやっぱり酒のこの苦さには慣れないけど、何故か今はその苦さが良かった。

 波音は凍った昇布の氷を触りながら、朧と2人で静かに呑んでいた。

 

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SIDE留守番組

 幽冥たちの居る鉄の隠れ家での計画発動前の交流をしている時間と同じ頃。

 留守番組のいる妖世館。

 

「「いやああああああ!!」」

 

 その妖世館の庭で響く2つの声。

 

「ひな、早く逃げよう」

 

「うん」

 

 ひなと擬人態の姿の潜砂が何かに追われながら走り回っている。

 何かから必死に逃げる姿はゾンビ映画の主人公と似た何かを感じる。

 

「「うわああああ」」

 

 だが、追いかけている何かは2人の動きを読むかのように先回りして、その服の襟を掴み猫のように摘み上げる。

 

「捕まえたよ2人とも。さあ、覚悟しなさい」

 

 2人を捕まえたのは、幽冥の姉(元兄)こと春詠である。

 春詠はあることをする為に2人を捕まえたのだ。

 そして、そのある事が2人が逃げていた理由でもある。そう。子供によくある。アレ。下手すればこの話を読んでいる皆様も経験した事があるのかもしれないもの。

 

「「勉強やだああああああ!!」」

 

 そう俗に言う。『勉強やだ』である。

 実は前世の春詠は一時期とある大学で教師をしていた事がある。

 本人はあまりやる気がなかったが、報酬として出された物に飛びついてしまい。その報酬分は教師として働いていた。

 まあ、報酬分働いたら即刻教師を辞めたのだが…………因みに春詠が受け持った教室の生徒たちは春詠の授業のおかげで成績が上がったり、運動神経が唐突に上がって大会に優勝したり、コンクール受賞するなど様々なところで効果があったらしく、春詠が辞めようとしたさいは、生徒だけでなく、他クラス教師、生徒の親御さん、大学の理事長までもが春詠を引き留めようとした。

 さりげない春詠の過去をおいといて、話を勉強やだという2人に戻そう。

 

「勉強がいやじゃないよ。何で嫌なの?」

 

 春詠は2人の服から手を離して、地面に下ろし理由を問いかける。

 

「たいくつ!!」

 

「つまんない!!」

 

 2人は勉強の不満をブーブー言う。

 

「勉強がつまらないというのも分かる。でもね、世の中を生きていくにはそれらを学んでおかなきゃいけない。分かる?

 例えば、違う国の相手と会話するにはその国の言葉を勉強しないといけない。

 お店に行って買い物をする為にはお金の単位や使い方を知らないといけない。

 悪いことをしてお巡りさんに捕まらないようにする法律を知らないといけない。

 勉強はね知らないことを知るために学んで、その学んだ知識を色んなことに使えるの」

 

 春詠は、勉強する意味を2人に教える。

 2人は先程までブーブー文句を言っていたが、今は文句をいうことなく聞いている。それでも不満という表情が見える春詠は勉強という名の鞭があるなら、ご褒美という飴を与えることにした。

 

「じゃ、こうしよう。勉強頑張ったら、その後に幽の作った特製デザートを出してあげる」

 

「「デザート!!」」

 

 この言葉を聞いた2人の目には星がキラキラしているように見える。

 

「でも、勉強頑張ったらなんだから。ちゃんと勉強すること。分からなかったら聞いていいから。ねっ」

 

「「う〜〜分かった」」

 

「じゃ部屋に戻ろう」

 

 そう言って、春詠は2人を連れて、部屋に戻った。

 

「微笑マシイ」

 

「「「そうね(はい)(ええ)」」」

 

 そんな3人の様子を見ていたのは、留守番組となっている幽冥の従者である4人の姫達。

 それぞれが仕事の途中ながら、春詠はどう2人を説得するのか気になり、仕事の手を止めて、見物していた。

 

「ダガ、勉強ニナル。アアスレバひなヤ潜砂モ勉強スルト知レタ、私ノ勉強ノ際ニモ同ジコトヲシヨウト思ウ」

 

 綺麗に折り畳まれた掛布団を抱えた黒が春詠の勉強を進んでやらせる方法を知れて、今度のひな達の勉強の際に試そうとすると呟く。

 

「しかし、いつまでも同じ手が通じるとは限らん。違う方法を模索するのもまた勉強」

 

「確カニ」

 

 物干し竿に引っ掛けた布団をポンポンと叩く緑が黒に言い、納得する黒。

 

「よ、よとっと、あっ!?」

 

「おっと。足元気をつけなさい」

 

「あ。ありがとう赤」

 

 干すための布団を持ってフラフラしていた灰は自分の足で足を踏んで転びそうになるが、妖姫としての本来の腕で物干し竿に布団を広げていた赤が倒れる灰を抱えて注意する。

 すると布団を畳んでいた黒が口を開く。

 

「王ハ無事ニ見ツカッタノデショウカ?」

 

 黒の言葉に和んだ空気から暗い空気に変わった。

 

「見つかれば、すぐに戻ると思ったらのですが」

 

 赤の言葉にそれぞれが理由を考える。そして、考えてる中で灰は顔を青褪めながら考えていたことを口にする。

 

「も、もしかして、向こうで瀕死の状態になったとか?」

 

「灰考エスギダ」

 

 黒はその考えを否定する様答えるが、それに対して緑が口を開く。

 

「いいえ、灰の言うことも分かります。魔化魍の王とはいえ、まだ人間です。可能性は無いとは言い切れません」

 

「そうですよね」

 

 緑の言葉を受けて、灰はさらに暗い顔になり、黒も緑もつられて暗い顔になる。

 

「はいはい。もうやめよう。こんな暗いことのもしたらればを考えても仕方ないでしょ」

 

 赤が手を叩いて、暗くなる空気を明るい雰囲気に変える。

 

「それに、認めたくないけど、超妖姫っていうのに覚醒した白や朧、美岬、それに家族がいる。

 王が怪我をされていることはない。私たちはいつもの様に王の帰りを待ちましょう。そして、帰ってきたら私たちを心配させたぶん甘えましょう」

 

「「「アア(はい!!)(ええ!!)」」」

 

「それでは仕事に戻りましょう」

 

 赤や他の妖姫たちは自身の愛する王を思いながら己の仕事に戻った。




如何でしたでしょうか?
正妻、又は第1妃を目指す白は着実に味方を増やしていますが、同じ様に正妻を目指す赤も留守番中に妖世館内で味方を増やしてます。
因みに正妻戦争をする白達をグループ分けするとこうなります。

白グループ
美岬、青

朧グループ


赤グループ
黒、灰

といった風に分かれます。グループのトップが第1妃つまり正妃狙いです。グループメンバーはそれぞれは何番目でも構わない者です。


ーおまけー
迷家
【はーーーい。おまけコーナーだよ♪ はあー、って言っても今回は、変な人に頼まれて、ヌエっていう魔化魍の紹介なんだよねーー。
 なんかやる気がというかモチベーションが上がらないんだよね】


【ほおー、ここがおまけコーナーでやすか?】

迷家
【あれ? 跳どうしたの?】


【うん。急にこんな紙を渡されたんでやすが、とにかく『ここに来ればいい』と書いてありやすから、来たんでやすが、ヌエの解説と言ったでやすか?】

迷家
【うん】


【なら、その解説あっしがはりやしょう】

迷家
【え!? いいの?】


【勿論でやす】

迷家
【じゃあ、お願いねーー】


【はい。任されやした】

種族名:混合種 ヌエ
属性:黒・空
スタイル:幻
分類:等身大
鳴き声:なし
容姿:右眼が甲虫系の複眼の白毛の虎の頭部、右肩に3本の蟹の脚を生やした甲殻と藤壺に
   覆われた鋏の右腕、左手首に蟷螂の鎌を生やし蛇の鱗に覆われた細身な左腕、3本爪
   の鷹を思わせる右脚、左脚首に魚の鰭を生やし老齢の樹と魚の鱗が混じった表皮に覆
   われた左脚、臀部からは尾先が鰭になっている蛇の尾、左背面に蜻蛉の翅を右背面に
   烏の翼を生やし、首筋から突き出ているツタ状の仙人掌を全身に纏わせ、腹部に巨大
   な目玉模様のある人型
特徴:まだ、6代目魔化魍の王 キンマモンが在命していた頃に現れた魔化魍。
   何処で産まれたかは不明だが、その血筋はかなりおかしい。
   混合種同士から産まれた父親と同じ混合種同士から産まれた母親の間から産まれた。
   上記の通りに混血種同士が交わって産まれた混血種が更に同じ境遇のものと交わって
   産まれた魔化魍で、8種類の魔化魍の特徴が身体の各部位には現れており、それらが
   邪魔をせずに調和している。
   頭部の特徴から虎の魔化魍。
   右眼と背中の左翅、左手首の鎌の特徴からチントウ種の魔化魍。
   右肩から右腕の特徴からバケガニ種の魔化魍。
   鱗に覆われた左腕と尻尾の特徴から蛇の魔化魍。
   右脚と背中の右翼の特徴からテング種の魔化魍。
   首筋から突き出ている仙人掌の特徴からジュボッコ種の魔化魍。
   左脚首の鰭と尾先の鰭、腹部の目玉模様からヒャクメ種の魔化魍。
   左脚の特徴からコダマ種の魔化魍。
   陸海空どこでも活動可能で、神出鬼没、人間に変身する能力を持ち、自身の流した噂
   で慌てふためく人間を眺めるの至上の喜びとする。
   猛士に『ちょっかい』という名の支部破壊を行い、当時の東京都第5支部や島根支部
   、岡山支部、大阪第3支部を壊滅させたこともある。
   それ故に当時の猛士はヌエを魔化魍の王と同等の『絶対討伐指定魔化魍』に指定した
   。
   幽冥の産まれる30年前に現猛士九州地方支部支部長の千葉 武司こと白鬼と2人の
   鬼と名無しの鬼数十名と戦い、数十名の鬼を殺すも音撃の代わりとして白鬼の編み出
   した『音撃剣技』によって従来とは異なる音撃に対応できずに音撃を受けて、首を撥
   ね飛ばされた後に、残った身体を7つに分けられて各地方に封印された。
   このヌエの封印場所を知るのは千葉 武司と共に戦った2人の鬼と白鬼が厳選して選
   んだ鬼達のみ。
戦闘:尾鰭に纏わせた真空波、身体を活性化させるドーピングサボテンによる肉体強化、
   口から火炎放射と敵の動きを止める拘束咆哮、様々な術、自己再生による肉体治癒、
   尻尾を使ったなぎ払い、上空からの空中奇襲、人間に変身して情報工作と撹乱、
   左手首の鎌を使った近接攻撃、腹部の目玉模様から熱線、
   分身によるトリッキー戦法、右肩の蟹脚から溶解液、右腕の鋏を使った切断、
CV:梁田清之(パルパレーパ)



【っていう感じでやす。あっしも1度見てみたいでやす】

迷家
【……………】


【あれ? どうしたでやすか迷家?】

迷家
【パ、パタンキュ〜〜】


【ありゃりゃ、膨大な情報で思考が停止してしまったようでやす。あーー、迷家も倒れちゃったので、おまけコーナーはここまででやす】


【じゃあ、あっしは迷家をベッドに休めるでやす、じゃあ、さいなら〜♪】
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