ひなの名字変更。
青木→立花
SIDE白
ノォォォォォン
崩の声が聞こえたということは、この娘の母親を殺した者たちを喰らったのだろう。この娘を王の所に連れて行こうと思ったら。
「すうー」
グルルル
土門と遊んで、疲れたのか土門を抱えて私の膝の上で眠ってしまった。つくづく私は可笑しな姫だと思う。
この娘は人間なのに、鳴風や土門たちの餌にしたいと思わないのだ。少女が寝返りをしたのか、着物の胸元が少しはだけた。すると、着物の下にあったのかペンダントが出て来た。
元に戻そうペンダントを持つと、ペンダントの先に付いてるものに気付く。
「こ、これは!!」
驚いた。このペンダントの先に付いているのは、……いや、見間違いなのかも知れない。だけど、もしもこれがアレだとしたのなら、この娘を襲おうとしない理由も先ほど隠れた私に気付いたのも有り得る。
「ここに居たんだねー白」
SIDEOUT
「ここに居たんだねー白」
崩と合流して、やっと白たちを見つけた。
「お、王。ご無事で何よりです」
白が少女を抱えて、私に頭を下げようとする。
「無理にしなくていいよ白、その娘が起きちゃうでしょ」
「はい」
「それにしても白、お母さんみたいだね」
「お、お母さんですか」
「うん。寝た時の顔が白そっくりだよ」
「そ、そうですか////」
少し白の顔が赤い、照れているようだ。
「それで、この娘は如何するのですか王?」
「それはこの娘次第だよ」
「そうですか」
今度は、落ち込んでいる。
「ん………うん、ママ?」
そうしてると、白が抱えていた少女が目を覚ます。
「起きたんですね」
「お姉ちゃん、誰?」
「私は安倍 幽冥、あなたを抱えてるお姉ちゃんの家族だよ」
「そうなのお姉ちゃん?」
「そうだよひなちゃん」
「ひなって言うんだ」
「うん。私、立花 ひな」
「えらいえらい、ちゃんと自己紹介できるのね」
私より年下なのにしっかりしてるな〜。うん………この娘の持っているペンダント、何だろう懐かしく見えるのは何でだろう。
すると、ペンダントから青い光が光り始めた。
「これは………うっ!!」
「如何シタンデスカ王!!」
黒が私に近付き、心配しているようだが、頭が………
「ああああああ!!!」
SIDEひな
お姉ちゃんの家族のお姉ちゃんが私のペンダントを見て、急に頭を押さえて、倒れた。
まただ、また死んじゃうのかな。パパのように–––
「あっ」
頭を押さえてたお姉ちゃんが急に私を抱きしめてくれた。突然だったからビックリしたけど暖かくて、安心する。
SIDEOUT
ここは何処でしょう。あのペンダントを見て、頭にとてつもない痛みがきて、気付けば白い空間にいた。
「
声が聞こえて、後ろを振り向くと、女性の鬼がいた。
だが、音撃戦士のような感じがしない、どちらかと言うと魔化魍の鬼だ。
長くて綺麗な白髪に赤紫色の和服、妖艶な雰囲気を醸し出す肢体、男を誘惑するかのようにある巨大な胸、頭頂部に生える細く長い2本の角、そして、額には私の右腕にあるのと同じ、青い龍の痣。
おそらくだが、この魔化魍は–––
「そぉ。ウチが
しかし他の魔化魍の王って、人間に似た姿をしているのかな?
「別に魔化魍の王は人に近い姿してるのだけじゃないからなぁ」
そうなんですか?
「そうやぁ。最初の魔化魍の王 オオマガドキはんやイツマデンはん、ダイダラボッチはん、イヌガミはん、キンマモンはんなどの王は人の姿ではなかったなぁ」
王って、そんなにいるんですか?
「ウチを含めて8体はおるなぁ」
8体も!?
「そうやぁ」
それでここは何処なんですか?
「ここはなぁ、ウチの意識が封じられてる魔化水晶の中や、急に頭が痛くなったやろ」
そうだ、あの娘のペンダントを見たら、頭が急に痛くなって………
「そう。あれなぁ、魔化水晶によって起きた、一時的なもの」
そういえば、聞きたかったのですが。
「何や?」
魔化水晶って何ですか?
「………………ほんまに知らんの?」
はい。まったく何のことか分からないんです。
「………………そか、じゃあまず魔化水晶のことを説明しよかぁ」
お願いします。
こうして、私はシュテンドウジさんに魔化水晶について教えてもらった。
SIDE白
王がひなちゃんを抱きしめて、その後、倒れた。
黒にひなちゃんを任せて、急いで館に戻るよう崩に命じて。王を抱えた私とひなちゃんを抱えてる黒、睡樹、ヤマビコが乗るの確認した崩は館に向けて、全速力で走り出した。
武甲山に行く時とは段違いな速さで館に着いた。
すぐさま王を背中に移して、王の部屋の移動する。黒も一緒にひなちゃんを連れて、部屋に向かう。
部屋に到着し、王をベッドに寝かせ。睡樹が持ってきたタオルを王の額にのせる。
王が倒れてから3日経った。
私は3日も寝ず。王にのせたタオルを冷やして再びのせるを繰り返してる。
「………タオルを変えなきゃ」
土門と顎が持ってきたタライの水に入れて冷やし、再び額にのせる。すると、扉からノックの音が鳴る。
「どうぞ」
入ってきたのは、木こりの姿から木こりのベストを羽織った黒のメイド服に変えた黒とひなちゃん、土門、睡樹だった。
「少シ休メ、白」
グルルゥ シュルルゥゥゥ
心配そうに言う黒と土門、睡樹。
「いいえ、もう少しさせてください」
「オ前ヲ心配シテイルノハ、私ダケデハナイ」
私の服を誰かが引っ張っているので、後ろを向くとひなちゃんがいた。
「お姉ちゃん、お願い休んで」
目を潤ませ、私を見るひなちゃんに少しグッとくるが、だけど–––
「ここ………は?」
今の声は!!
「王?」
「白?」
「王ウウウー!!」
睡樹ではないが、私は目から涙を流しながら王に向かって飛びついてしまった。
「は、白……く……苦しい……」
「あっ!! も、申し訳ございません王」
SIDEOUT
シュテンドウジさんに魔化水晶について教えてもらった。シュテンドウジさん曰く、魔化水晶は初代魔化魍の王 オオマガドキの持っていた秘宝のようなもので、覇鬼という鬼に砕かれてからは、8人の鬼が代々守っているそうだ。
「にしても、あの小娘何者なんやろなぁ?」
どう言うことですか?
「いやなぁ、さっきも言ったから分かっとると思うけどなぁ、魔化水晶は8人の鬼が守ってるって言ったやろ」
あっ!!
「
確かにそれなら魔化水晶を持っていた理由も分かる。しかし、なぜ魔化魍の存在を知らないのだ、何か理……由が………
あれ、だんだん暗く………
「時間切れみたいやなぁ、他の魔化水晶見たら同じことが起きるかもな、まあそん時までまたなぁ」
う、ううん。
「ここ………は?」
目が覚めて、見た景色はひなちゃんと会った森ではなく、館の中にある私の部屋だった。
「王?」
「白?」
少し、顔色が悪そうな感じだけど。
「王ウウウー!!」
白が涙を流しながら、私に飛びついた。腕を背中に回して、白の大きい胸が私の顔に当たる。って………
「は、白……く……苦しい……」
前世の兄さんが羨むかもしれないけど、真面目に息苦しい。
「あっ!! ………も、申し訳ございません王」
私から離れた白は頭を下げる。
「どれくらい寝てたの?」
「3日くらい寝てたよお姉ちゃん」
「3日!!」
シュテンドウジさん話を聞いてたのは、そこまで長くなかったけど、そんなに経ってたんだ。
でも、館の修理が終わった後は、何をするかは決まった。
8人の鬼を倒し、魔化水晶を完成させる。
料理の回は次回になりました。
すいませんでした。次回も楽しみにしていてください。