人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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今回は幽冥たちの日常的な話を書きました。
後半は魔化魍たちの会話ですが、誰が喋ってるのか分かりずらくなるので魔化魍の会話の時だけ誰が喋ってるのかをセリフの横に入れました。


記録拾肆

 結局、二度寝してしまった。

 起きた後に、みんなを起こして。テーブルや皿を館の中に片付ける。

 長く時間が掛かったが、ようやく館が完成した。思えば、あんな生活から一転して、今は魔化魍たち(約1名人間だけど)と一緒に暮らしている。

 ひなちゃんの持っているペンダントはそのままひなちゃんに持たせている。

 ただ必要になったら代わりになるものと交換すると言う話になった。

 二度寝が終わった後に、みんな起こす時に気付いたのだが、土門と鳴風、顎、羅殴が大きなっていた。特に顎は、前はチワワみたいな大きさだったのに今じゃ、柴犬サイズまで成長していた。

 睡樹は等身大の魔化魍なのか白と黒のように変化はなかった。崩は餌が足りないのかまだ成長していない。飛火は不明だけどまだ大きくなっていない。

 

「でも、このまま成長し続けたら館には入れないね」

 

グルルルッ! ピィィィィィィ!

ギリギリギリギリ! ノォォォォォン!

ウォォォォ! コォォォォォン !

 

 私の言った言葉に睡樹を除く、大型魔化魍たちが目を見開き、後ろに雷が落ちたように固まる。

 

「どうしたのみんな?!」

 

 そういえば、睡樹を除いた大型魔化魍たちは成長しきったらこの館に入れることができなくなる。なんとか出来ないものかと考えてたら、あり得ないことを思いつき、小声で口に出してしまった。

 

「いっそのこと小さくなれれば良いんだけどね」

 

 本来、魔化魍は自身の大きさを変えることは出来ないのだが、もしかしたらと思い口に出してしまった。

 

グルルルッ! ピィィィィィィ!

ギリギリギリギリ! ノォォォォォン!

ウォォォォ! コォォォォォン!

 

 再び、土門たちの後ろに雷が落ち、固まる。

 すると、土門たちは集まって、ヒソヒソ話をするかのように話す。そして、暫くすると話が終わったのか崩が私の前に来て、前足で円を描き、その上で何かをすると身体が光り始めた。

 光りはだんだん強くなり、あまりもの眩しさに私は目を瞑ってしまう。

 

 やがて、光がだんだん小さくなると、先ほどまで目の前にいた大きな崩はゲームセンターに売っている大型のぬいぐるみくらいの大きさになった。

 そして崩や後ろの土門たちは何かが上手くいったのか凄く喜んでいるようだ。

 

SIDE崩

「いっそのこと小さくなれれば良いんだけどね」

 

グルルルッ! ピィィィィィィ!

ギリギリギリギリ! ノォォォォォン!

ウォォォォ! コォォォォォン!

 

 思いもしなかった。確かに我らの身体は大きくなる。

 しかも、この館より大きくなる個体も多くいる。でもそうしたら館の中には入れなくなってしまう。館の外は顎の掘った蟻酸落とし穴がいくつかあるので大丈夫だが、中にいるのは白と黒、睡樹それに戦うことの出来ないひなだけだ。

 主人を守るのは我らだ。だが後に大きくなる身体では主人を守れない。

 

【みんな集まってくれ】

 

 我の声でみんな集まる。

 

【さっき王が言ってたの覚えてるか?】

 

鳴風

【えっ、小さくがどうとかの?】

 

【それのことだ】

 

【それがどうしたんだよ】

 

【だから我らも主人たちのいる館に入れるように小さくなるのだ!】

 

崩以外

【【【【【はぁぁぁぁぁぁ!!!】】】】】

 

【みんな驚いてるみたいだが、これにはちゃんとした方法がある。

 我の祖父が作った術だ】

 

土門

【あなたの祖父は何者ですか?】

 

【先先代の王だったユキジョロウ様に仕えていたと父から聞いたことがある】

 

鳴風

【えっ………ユキジョロウ様!】

 

羅殴

【ユキジョロウ様って………】

 

飛火

【誰………?】

 

 羅殴と飛火は言われたのが誰なのかあまり分からないようだ、首を傾けている。

 

土門

【そうでした、あなた方は生まれて少ししか経ってませんもね】

 

 まあ我らのように育て親から聞かされていたものはまだしも、生まれて間もない者が知るはずがないか。

 

【ユキジョロウ様は今から400年前にいた魔化魍の王の名前だ】

 

土門

【敵味方を容赦なく氷の柱で串刺しにして、串刺しにした相手を笑いながら解体し、それを喰らったと言われる】

 

鳴風

【通称『尖氷の冷血女王』】

 

 この名は我ら魔化魍やあの憎き鬼たちにも伝わってる名前で、その話を聞いて倒そうとして挑んだ何人もの鬼や馬鹿な野良魔化魍が何十も犠牲になった。

 そんな者たちを生み出した氷の柱で串刺しにし、その肉を喰らう。

 それが7代目魔化魍の王 ユキジョロウだ。

 

飛火

【そんなの凄いに仕えてたの崩のおじいちゃんは?】

 

【まあ、それは置いといて、どんな術なんだ?】

 

【そうだったな。この術は唱えた対象を望んだサイズに小さくする術だ】

 

土門

【しかし、そんな術が我らに使えるのでしょうか?】

 

【この術は基本的にデメリットもない、やり方も簡単だ】

 

飛火

【どうやるのー】

 

 おお、飛火の目が光ってる。これは失敗する訳にはいかないの。

 我は主人の前に行き、まず前足で円を描く、そして、祖父から伝わる術を使う。

 すると、身体から光が発生する。だんだん光は強くなり、主人は目を閉じる。光が小さくなり、我の身体を見る。我の身体は小さくなっていた。

 ………成功だ。これで主人を守れる。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE◯◯

 暗い………………誰か僕を見つけて。

 この暗闇から出して、ヒグッ………ウゥゥゥゥゥゥ




如何でしたでしょう。
今回ラストに出たのは次話かその次の話で出そうと思っているオリジナル魔化魍です。

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