【何だ、オメエかヤシャ】
ズンズンと歩いて来た魔化魍 ツルベオトシが口を開く。
先程の攻撃の正体だろう噴出口が赤熱化している火山のような甲羅、水牛の様に立派な二本の角を生やしている。そして、今までの戦いの証と言わんばかりに身体全身が傷だらけで中でも大きく裂けた左頬が目立つ、怪獣を彷彿させる鰐亀の姿をした魔化魍。
荒夜
【久々に来たとはいえ、いきなり攻撃とは相変わらずの気の短さですね】
【ああっ! 仕方ねえだろ!! 最近は鬼どもがやって来るから此方がやられる前にやらなけりゃヤバいだろう!!】
荒夜
【少なくても、こちらの姿を確認してから攻撃してもらいたい!!
人間に対する攻撃だったから対処出来ましたが、もしものことがあれば私は……………貴女を斬らないといけないところでした】
ゾクッ【………冗談にしちゃ笑えねえぞ。なあ、ハンニャ】
荒夜の殺気を受けて冷や汗を流すツルベオトシ。
狂姫
【残念だけど、私も荒夜様と同じです。もしも、何かあれば私もその眉間に射つところでした】
【おいおい二人してどうした。いつにも増して怖えぞ】
いつもと違う雰囲気に気圧されながら口を開くツルベオトシに荒夜は声を荒げる。
荒夜
【当たり前です。貴女の攻撃がもしも王に当たったらどうするつもりですか!!】
【へ? 王?】
すると荒夜と話していたツルベオトシがようやく私たちに気付いたようだ。
【ま、まままさか、そそそそ、そちらのお方は…………】
すると私を見たツルベオトシは分かりやすいように震えて、吃りながら喋る姿に少し笑いそうになるが、今、笑うのは流石におかしいので笑いを堪える。
【おお、王………魔化魍の王ですか?】
「はい。私が今代の魔化魍の王 安倍 幽冥です」
疑問形で質問するツルベオトシに私が答えると、分かりやすく顔を青くするツルベオトシ。
【おお、王とは知らずにとんだご無礼を!!】
ツルベオトシは土下座のように地面に叩きつけて頭を下げる。まあ、私はそんなに気にしてないけど–––
「コロスコロスコロス」
美岬
【幽に手を出した? 処す? 処す?】
鈴音
【王様に危害を加えるニャンて、肉塊にしてやるニャ】
赤と美岬、それと鈴音も凄い殺気立っている。
私の心配をしてくれるのは嬉しいけどそんなに怖い顔をしないでほしいな。可愛い顔が台無しだよ。
「っ!!////////」
美岬
【ゆ、幽から可愛いって、まあ、今は女性だから間違いなけど、けど////////】
鈴音
【当然ニャ!! ニャンは可愛いんだニャ///////】
あれ、あんなに殺気立っていたのに一瞬で顔を赤らめて、どうしたの?
常闇
【(鈍感とは思っておったが、鈍過ぎるな)】
跳
【(あらら、王。気付いてないでやすね。心の中で喋っていたことが漏れてたことに)】
常闇と跳から生暖かく見られてるが当の幽冥は何故、そんな風に見られているのか理由も分からず、ツルベオトシとの会話を続ける。
「あなたは荒夜と狂姫の友人ってことでいいのかな?」
【い、いいえ!! 私はそこのヤシャとハンニャの友人の部下です】
「部下? じゃあ、その友人って【王】……どうしたの荒夜」
私がツルベオトシに荒夜の友人のことを聞こうとした瞬間、荒夜に言葉を遮られる。
荒夜
【お話の途中で申し訳ございませんが、案内する者が来ております】
【初めまして、魔化魍の王】
声の方に顔を向ければ、仮面ライダー響鬼の劇中においては最後に登場した魔化魍ロクロクビに似ている魔化魍がいた。その姿は百足の身体で脚の一本一本の間に鰭のような膜が付いおり、その頭部は百足では無く大きな額に大きな目がある三つ目の沖巨頭の魔化魍が荒夜の隣に立っていた。
【私、あなた方の案内を任されたノビアガリと申します………………久しぶりです。ヤシャ、ハンニャ】
荒夜
【お久しぶりですノビアガリ。案内を頼みます】
【はい。では、案内は此方の方々全員でよろしいでしょうか?】
狂姫
【はい。お願いします】
【わかりました。では………】
狂姫の言葉に返事するとノビアガリは口を開くと巨大な泡を膨らませ始める。そして、膨らんだ泡を私たちに向けて吹くと、泡は私たちを包み込む。
「こ、これは術?」
【王よ申し訳ございません。案内のためにはその状態になって貰わないと危険で】
謝罪の言葉を口にするとノビアガリは私たちが入った泡を脚で掴むとそのまま持ち上げて、どこかへ進み始める。ツルベオトシもその後に続く。
すると、目の前に広がるのは数えるのが馬鹿らしくなるような大量の渦で荒れる海だった。
【では行きます!!】
ノォォォォォン
そして、ノビアガリとツルベオトシは何の躊躇もなくその渦の激流に飛び込んで泳ぎ始めた。
そして、ノビアガリに抱えられて荒れた海を数十分ほど進んでいると、何かが見えてきた。荒夜と狂姫はそれを見ると懐かしそうに口角を上げながら喋る。
荒夜
【本当にどれほど久しぶりでしょうか姫】
狂姫
【ええ。少しも全然変わっていませんね】
見えてきたのは、
それを例えるのなら某光の戦士の故郷の星にある建造物のような全体が水晶のように透き通っていてそれらが連なって出来た巨大な城だった。城の四方には先端が丸みを帯びていて太い柱の水晶の塔が立っている。
ノビアガリがその城の入り口へ辿り着くと私たちの入った泡を下す。すると地面に着いた泡は割れて中にいた私たちは地面に降り立つ。
【【ようこそ九竜宮へ!!】】
ツルベオトシとノビアガリが高らかにこの城の名前を告げる。
【それでは、王とそこの妖姫、ヤシャ、ハンニャは着いてきてください。ツルベオトシは他のお客を別室に案内してください】
【ああ、じゃあこっちに着いてこい】
ツルベオトシがノビアガリが言った者以外を連れて何処かへ歩き始め、全員そちらへ着いていく。
【では、王たちは此方へ】
そして、私と赤、荒夜と狂姫は案内役のノビアガリを先頭にして歩き始める。
ノビアガリに連れられて歩きながら周りを見ているとこの城に驚く。城の外だけが水晶のような壁なのかと思ってたけど、どうやらそうではなくて、この城の壁や床、天井までに至る全てが水晶で出来ているみたい。
魔化魍の固有能力で作ったのか、はたまた巨大な水晶を術などで生み出してそれを削り出して作ったのか、どちらにしても相当の年月を掛けて建てられたに違いないだろう。
そうして歩いて数分、先頭を歩いていたノビアガリが止まる。そして此方に身体を向ける。
【此方に私の主人たちがおります】
脚の一本の指した先には今まで水晶の中では一番分厚い水晶で出来た大扉。縮小の術を解除した崩でも通れる程大きな扉だ。するとノビアガリは脚の一本を器用に使ってノックする。
【クズリュウ様、アシュラ様。王と従者、それとヤシャとハンニャを連れて参りました】
【ああ、入れ】
中から声が聞こえるとノビアガリは前側の三対の脚を使って大扉を押し開ける。
開かれた扉の先には巨大な二体の魔化魍が立っていた。
【俺の名前はアシュラ。今代の魔化魍の王よ初めまして】
【初めまして王………私はアシュラの妻で、この九竜宮の主人。クズリュウと申します】
扉を開いた先にいたのは、ひとつは首長竜の頭を三つ生やし、その背には身体を覆える程の巨大な二対の黒翼、竜の顎のような形にも見える六本の腕、その腰には右に3本、左に4本の計7本の刀を差し、三叉に別れている尾を垂らす巨大な竜の魔化魍。
もうひとつは色が異なる9個の珠を宙に浮かせ、虹のような光沢を持った鱗を生やし、九つの頭を持った海竜の魔化魍。
彼らこそが荒夜と狂姫の友であり、この九竜宮を支配する魔化魍たちである。
SIDEOUT
SIDE猛士
狼鬼の指示によって東北にある猛士の支部と四国の猛士の支部に避難した中部地方の鬼と天狗、そして戦闘能力がない歩や職員。
まだ若い彼らを死なす訳にはいかないと言われて避難した彼らは避難した場所で魔化魍の王の撃退を、狼鬼の勝利の報告を待っていた。
だが、現実というものは残酷だ。
避難者のいる部屋に一人の職員が飛び込んでくる。
そして、その口から聞かされた言葉に、中部地方の鬼や天狗たちは慟哭をあげ、歩や職員は絶望または気絶する。
報告を聞いて数分経ち、慟哭の声が減り通夜のように静まり返った中、集まる者たちがいた。
「………狼鬼さんの仇を俺たちが取る」
それは中部地方から避難した過激派に属する鬼と天狗の一団だった。
そして、集まった目的は勿論、亡き狼鬼の仇討ち、つまり魔化魍の王たちへの復讐である。
「だが同志よ。この人数では………」
そう。狼鬼の仇討ちのために集まったのは、鬼と天狗が七名、戦闘能力は無くても何かが出来ると集った歩と職員が十数名とその数は多くない。
「心配はいらない。王や魔化魍共が警戒網に引っかかっていないのはおそらく、警戒網のない方角に向かったからだ。ということは奴らが向かったのは此処、東北の地だ。
幸い、俺は此処にも知り合いや同じ志の同志がいる。しかもその内の一人は有名人だ」
暗い顔を浮かべる鬼に希望があるかのように言うのは、狼鬼に心酔していた過激派の鬼だ。
「有名人?」
「ああ。この東北にいる狼鬼さんと同じ『八人の鬼』さ」
「本当か!!」
鬼の言った言葉に集まった者たちは歓喜する。『八人の鬼』のネームバリューは伊達ではない。
それも東北にいる『八人の鬼』は大の魔化魍嫌いという噂がある。どうしてそんな噂があるのかは不明だが、その噂が広がったのは、どうやら身内が関係しているらしいのだが、詳しいことは誰も知らない。
だが、過激派の目の上のたんこぶである共存派とは違い、容赦無く魔化魍を倒すことから狼鬼のように過激派に属する鬼では無いが、過激派に属する一部の者からは崇められている。
「ああ。あいつなら狼鬼さんの仇討ちにも協力してくれる」
「『八人の鬼』の力を借りられるのならこれほど嬉しいことはない」
そして、その日、避難した鬼と天狗の一部が東北の鬼と天狗の一部を連れて何処かへと消えた。
捜索隊を出そうとした猛士だったが消えた鬼や天狗の殆どが過激派だったのは言うまでないだろう。
如何でしたでしょうか?
今回の話のメイン魔化魍ともいうべきアシュラとクズリュウの登場です。
ーおまけー
迷家
【あ〜ダルい、ダルいよ〜】
跳
【どうしたんでやすか?】
迷家
【いやね〜最近、急に寒くなったり暑くなったりするでしょ。そのせいかなんか、体調が変で】
跳
【ん? 迷惑、ちょっと触りやすよ】
迷家
【ん】
跳
【…アチっ。こりゃ、風邪を引きやしやね】
迷家
【風邪?】
跳
【まあ、人間の掛かる病気でやすよ】
迷家
【人間の病気って、僕、魔化魍なのに】
跳
【まあ、そう思うのも無理はないでやすが魔化魍だって風邪は引きやすよ】
迷家
【へ、へっくしょん!!】
跳
【間違いなく風邪でやすね。今回はこれでお開きにして休んだほうがいいでやすよ】
ドクター
【同感です。無理をされても困ります】
迷家
【ド、ドクター!! ゲストって君のことだっ………へ、へぷち。へっくしょん!!】
ドクター
【一刻も早く寝かせた方が良さそうですね】
跳
【ありゃりゃ、そうでやすね。ドクターも悪いでやすね、呼んでおきながら】
ドクター
【いいえ。病人がいるのなら私の本業ですし、それに解説だっていつでも出来ますから】
跳
【ありがたいでやす…………とういう訳でこれから迷家を寝かせないといけないので、これみて失礼するでやすよ】
迷家
【へっくしょん!! みんな、ごめんねーー、へっくっしょっん!!】
ドクター
【皆さんも急激な気温変動による体調不良には御気を付けて】