人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

175 / 176
はい。ということで今年最後の更新です。
率直に言いますとFGOの2部終章に集中していました。
詳しい内容はやってるFGOプレイヤーが読者にいるとアレなので言いませんがすごく良いラストでした。
FGOは今のところサービス終了という話は出てないのでこのまま続けてほしいです。
特に来年にやるFate/strange Fakeのキャラクターが今のところギルガメッシュとエルキドゥ、リチャード1世しかいないので是非ともコラボしてほしい。特に偽ライダー、偽アサシン、真アーチャー、真キャスター欲しいです。
そんな訳で今回は幽冥と魔化魍のお話と別行動した家族視点、行動を始めた猛士サイドの話の予定でしたが、訂正して幽冥と別行動家族の話になります。別行動家族のシーンはそこまで長くないです。では、どうぞ!


記録百弐拾捌

【なんで】

 

 宇宙猫顔から帰還した魔化魍が私に聞いてきた。

 

「昔、君みたいな子がいてね。話したくても話を聞いてくれないからそういう時はこうすれば良いって昔教えてもらったの」

 

 そう言いながら私は魔化魍の近くの丁度良さそうな氷の上に座って魔化魍を見る。

 その姿は氷に覆われたマンモスという印象だったが、よくよく観察してみると、マンモスのように見える部分は氷だった。鼻も牙も耳も全て氷だった。だが、ただの氷では無いのだろう。氷なのにまるで本物の身体の一部のように鼻も耳も動いてる。

 観察を続ければ、氷に覆われていない下部分は雪豹の様な斑ら模様で熊のようにがっしりとした体格をしていて、前脚は上部分の様な氷に覆われてるが象の脚というより熊の様な鋭い爪を生やしている。

 つまり、この魔化魍は某狩猟ゲームに登場する冰龍の様に氷を纏った魔化魍で、マンモスというより下半分の特徴からして熊のような魔化魍なのだろう。

 改めて、魔化魍の顔を見ながら声をかける。

 

「君の名前はクズリュウから聞かせて貰ったけど、君の口から聞いても良い?」

 

【……………ブルブル。ボクの名前はブルブル】

 

「改めて私は安倍 幽冥。魔化魍の王になる人間だよ」

 

【人間?】

 

「そう人間……………まあ、最近、ちょっと人間離れしたかな〜って思うけど」

 

 最近は本当にそう思う。

 普段の調子で、物を取ろうとしたら支えにしていた物が潰れたり、安物とはいえプラスチックのコップを握り壊したり、以前では持ち上げらない遥かに重い物を軽々と持ち上げたり、五感が以前よりも鋭くなったり、朧げながら魂のようなものが知覚できるようにと、人間から徐々に魔化魍の身体っぽくなっている。

 そのことを白やお姉ちゃんに話すと嬉しいようで悲しそうな複雑そうな顔をしていた。

 

【そうなんだ………って何勝手に入って来てるの!!】

 

「何時迄も閉じ籠っても起きたことを無かった事にはできない」

 

【!! 分かってるよ!! でも、ボクは、力をまともに使えない無価値で生きてても無意味なボクは死んだ方がいいんだ!!】

 

「(…………本当に余計なことをしてくれたね猛士の連中は)」

 

 クズリュウから聞かされた話によるとブルブルは過去にまだ生後半年の幼体の頃、猛士から10年もの間、魔化魍の研究という名の実験によって拷問の如き経験をしている。

 その猛士の研究員からは日々、音撃による耐久実験、試作音撃武器の試し用の的代わり、魔化魍に対する薬品実験、音撃とは違う新たな魔化魍の清めの方法、そして、毎日のように浴びせられた存在否定の言葉。

 初めはブルブルも幼体でありながらも抵抗もした。だが、研究員の中には鬼も混じっており、そんな抵抗を嘲笑うかのように簡単に鎮圧して、実験場に連れて行った。

 実験後は簡単に死なないようにどうやって調達したか不明だが魔化魍の食糧である僅かな人間の肉を与えられたお陰か実験の度に負う怪我も僅かながら回復させていた。

 だが、回復するよりも早くに行われた実験の積み重ねで肉体も精神もボロボロとなり、思考もネガティブになり、目の光は消えて、抵抗する力もなく無気力となって10年過ごした。

 

 そんなある時に研究員がブルブルを閉じ込める部屋の鍵を閉め忘れたのか、鍵が開いておりブルブルはわずかな希望にかけて猛士の研究所から逃げ出した。

 すぐに追っ手として研究所の鬼も追跡して来たがそこに偶然居合わせたクズリュウにブルブルは助けられ、この九竜宮に連れて来られた。

 初めは、自分の存在が迷惑になるからとすぐに九竜宮から逃げようとしていたブルブルだったが、猛士にいた頃の実験扱いの時とは違い、優しく接してくれるアシュラやクズリュウ、ツルベオトシ、ノビアガリ、他の魔化魍との暮らしでボロボロだった心身も少しずつ回復していった。

 しかし、それもあることがキッカケでまたブルブルは猛士に囚われていた時と同じ状況に戻ってしまう。

 

 猛士からの10年にもわたる実験によってブルブルは本来の幼体から成体に近い身体付きではなく、実験を受けていた当時と同じ姿だった。これは幼体から成体へと成長するためのエネルギーを怪我の治癒に優先するためにブルブルの身体は連れ去られたあの時から止まっていた。

 クズリュウはこの九竜宮に住む魔化魍は妖姫を除けばほぼ大型の魔化魍ばかりでそんな魔化魍を見て羨ましそうにしていたブルブルを見て、クズリュウはオロチ種のみが持つことを許される九竜宮の秘宝『九竜珠』の力でブルブルの身体の成長を促した。大きくなったと喜ぶブルブルの姿を見たいという純粋な善意による行動だった。

 『九竜珠』の力によって成長したブルブルの身体は幼体だった頃に比べ、がっしりとした体格にまで成長したブルブル。大きくなった自分の身体に喜ぶブルブルは感謝の言葉を言うためにクズリュウに近付いたその時、ブルブルの身体から漏れた凄まじい冷気がクズリュウに当たり、その箇所が氷に覆われてクズリュウの身体の一部が凍ってしまったのだ。

 

 そして、それを見たブルブルは猛士での実験の際に抵抗した頃の記憶が蘇った。

 ブルブルが鬼に抵抗で冷気を放った。だが、力の制御が出来ない幼体だったブルブルの冷気は鬼の身体をほんの一瞬凍らせるだけで、そのまま氷を振り払ってブルブルを鎮圧した。

 その時に鬼が言った『まともに力も操れない無価値で生きてても無意味な魔化魍』と、その記憶を思い出したブルブルは部屋から飛び出して、今いるこの部屋に逃げ込んだ。

 それ以降は今に至り、何度も自殺しようとしているが何故も失敗しているとのことだ。

 

【だから早く出て行ってよ。ボクは死ぬまでここから出る気は一切ないから!!】

 

 ブルブルがそう言うと、周囲の氷が流動する様に動いてブルブルの周囲に集まってくる。更にブルブルは身体から冷気を吹き出して、集めた周りの氷に当たると氷は太く、厚く、大きくなっていく。ブルブルは物理的に私を遮ろうとする。

 

 しかし、氷がブルブルの意思で動いていくのを見て私は思ったことを口に出す。

 

「ブルブル、私の話を聞きなさい!!」

 

【!!】

 

 私の声に驚いたのかブルブルの周囲の氷の動きが停まる。

 

「ブルブル、君はさっき言ったね。力がまともに使えないって」

 

【言ったよ、それが何?】

 

「じゃあ、その自由自在に動くその氷はなに?」

 

 扉の外の会話の時や、今こうして私を遮ろうと動くこの氷。間違いなくブルブルの意思によって動いている。

 

【知らないよ。ボクが動かしてるわけじゃないし】

 

「それは違う。その氷は間違いなく君の意思で動いてる」

 

【嘘だ! じゃあ、なんで死のうとするボクの邪魔をするの? ボクの意思で動くなら邪魔をしないでよ】

 

「それは…………君が心の中では死にたくないと思ってるからだよ」

 

【…う、嘘だ。ぼ、ボクは死にたいんだよ。死にたくないって思うわけないじゃん!!】

 

 私の言葉を聞いて、動揺して声も変な感じになって答えるブルブル。

 ちょっと荒療治だけどお姉ちゃんのアレを参考にさせてもらおうかな。

 

「なら、殺したあげるよ」

 

 そう言って私は術をブルブルの頭に向かって撃つ。

 

【ひつ!】

 

 術にビビったブルブルは頭を抱えるが、周囲の氷がブルブルの前に集まって壁となり私の術を防ぐ。

 

「……………」

 

【ひいいいいい!!】

 

 私は術の数と発射速度を上げる。

 だが、悲鳴を上げながらブルブルは私の術を防ぐ。

 

「ほらね。本当に死にたいのなら氷で防ぐのを止めればいい。だけど君は私の術をその氷で防いだ。その氷は間違いなく君が動かしていた」

 

【ううううう】

 

 涙を浮かべながら目を潤ませて私を見るブルブル。

 

「その行動は君が死にたくないからこそ取った行動そのもの。本当の君は死にたいと思っていないんだよ。それでも死にたいのなら」

 

 そう言って私は札を握りしめてブルブルに近付く。

 

【…にた……い】

 

 ブルブルの小さな声に私は歩みを止める。

 

「何か言った」

 

【し…た…ない】

 

「聞こえないよ!! もっとハッキリと言いなさい!!」

 

【死にたくない!!】

 

 ブルブルの心の底からの声を聞いて私は札を裾に仕舞い込んで、声を掛ける。

 

「それが君の本当の気持ちだよ」

 

 それを聞いてブルブルはぺたんと地面に座る。すると部屋を覆っていた冷気はどんどん無くなっていき、氷も溶けていく。

 

【ボク…………クズリュウやみんなに会いたい。クズリュウに謝りたい】

 

「そう。じゃあ先ずはこの部屋を出るところから始めよっか」

 

 ぺたんと座るブルブルの前に私は手を出す。

 

「ほら行くよ」

 

 差し出された私の手にブルブルの手が置かれ、私はブルブルを連れて部屋の外に向かうのだった。

 そして、ブルブルは数年ぶりに閉じ籠っていた部屋から出たのだった。

 

SIDE美岬

 私たちの先頭を歩くのは先ほど勘違いとはいえ王を、幽を攻撃したツルベオトシだ。

 本当なら直ぐにこの刀の錆にする所だったけど、幽からの不意打ちとも言わんばかり『可愛い顔が台無しだよ』なんて言葉を聞いたら抜こうと思った刀が抜けずに力が抜けてしまい斬るタイミングを失った。

 今からでも斬るかと思ったが、幽の迷惑になるしと刀は抜かないが、もしも命乞いをしようものなら容赦なく斬る。

 そんなことを考えながらツルベオトシに連れられたのは大部屋だった。縮小の術を掛けている大型魔化魍でも十分に過ごせる大きさの部屋で窓からは外の海の中が見えている。

 そうして部屋に広がって各々、自由にしていると––––––

 

【すみませんでした!!】

 

 ツルベオトシが床に頭を付けるように謝罪の声をあげた。

 

【確認せずにアタシが攻撃をしたのは間違いなくアタシのせいだ。それは事実だ。でも、もしも王への不敬で処すのならこの九竜宮の魔化魍たちは無関係だ!! アタシだけを処してくれ!!】

 

 今このツルベオトシは命乞いや自己保身ではなく、ここに住まう他の魔化魍たちの心配をして、自分の身を差し出しているのだ。

 非があるのは自分だけと………はあーーーー幽に再会出来たことで私自身少し甘くなったのかな。そうして謝罪するツルベオトシの前に代表として私が前に出て口を開く。

 

美岬

【本来なら謝罪は私らにではなく王に向けてするべきです】

 

【っ!!】

 

 下げた頭を動かさずにこちらの話を聞くツルベオトシはそのまま動かない。

 

美岬

【ですが、あなたは自らの非を認め、保身ではなく周りのためにその命を差し出そうとしている。王には後ほど伝えますがあなたの誠意は伝わりました】

 

【じゃあ?】

 

 ツルベオトシが静かに頭を上げる。私はツルベオトシのあげた顔を見ながら言葉を述べる。

 

美岬

【以後、攻撃の際は相手を確認してから行ってくださいツルベオトシ】

 

【感謝する!!】

 

 そう言うと再び頭を下げるツルベオトシに先程までグツグツと心に留めていた殺意はスッと消えた。

 そして、幽が戻ってくるのを待つのだった。




如何でしたでしょうか?
説得描写とかそういうの苦手でしてなんか変な文とかになっていましたら申し訳ございません。
因みにブルブルの生後半年の大きさはだいたいゴールデン・レトリバーとかの大型犬ほどの大きさです。お姉ちゃん(春詠)の参考とは前世で教員していた春詠が自殺しようとした生徒を止めたというの幽冥が参考にしています。
そして別行動家族視点ではツルベオトシはキチンと謝罪しました。
次回は猛士描写になります。
今年度も私の作品を読んでくださりありがとうございます。来年度も頑張って更新しますのでよろしくお願いします。
………感想も書いてくると嬉しいです。

ーおまけー
迷家
【は〜い。おまけコーナーはっじまるよー♪】

迷家
【今回はね、聞きたいことがあるからあの魔化魍を呼ぶんだよね】

迷家
【ということで、魔化魍解説担当サーティセブン!!】

サーティセブン
【出るのは随分久々な気がします………それで私を呼ぶということは何か聞きたい解説があるのかな?】

迷家
【うん。前にね崩のお爺ちゃんの魔化魍について教えてもらったんだけどね】

サーティセブン
【ふむふむ】

迷家
【でもさ、崩、お爺ちゃんの性格とか軽い能力説明しかしてくれなくて】

サーティセブン
【ほうほう】

迷家
【どういう魔化魍なのかいまいちピンとこなくて】

サーティセブン
【それで?】

迷家
【だから魔化魍の解説担当のサーティセブン呼んで、崩のお爺ちゃんことゲンブについて教えてもらおうと思って】

サーティセブン
【!! へえ、ゲンブですか】

迷家
【そうだけど、その反応ということは知ってるの!】

サーティセブン
【ええ。懐かしいですね。あの方とは何度か戦ったことがありました】

迷家
【ええ!! サーティセブン、崩のお爺ちゃんと戦ったことがあるの】

サーティセブン
【はい。私の仲間と彼らはよく戦いました。まあ、結局勝負は付かず、どちらもボロボロになって】

迷家
【うん。彼ら?】

サーティセブン
【ええ。ああ、そうでしたね迷家は彼らについて知らないでしょう】

迷家
【うん。そもそもゲンブって名前も崩から聞かされたのが初めてだし】

サーティセブン
【そうですか…………ではゲンブの説明の前に彼らのことを軽く紹介しようか】

迷家
【彼ら?】

サーティセブン
【ええ。彼ら四獣魔化魍について】

迷家
【四獣魔化魍?】

サーティセブン
【四獣魔化魍とは、東のセイリュウ、南のスザク、西のビャッコ、北のゲンブの四体の魔化魍の総称です】

サーティセブン
【いずれの魔化魍も派生特種か異常種の魔化魍でして、それぞれ強力な力を持っています】

迷家
【へえ〜】

サーティセブン
【先ずはウブメ派生特種 セイリュウ。中国という国にある登竜門の伝説の元になった魔化魍で、空の属性のウブメ亜種 コンから進化した派生特種ですね】

迷家
【登竜門ってなに?】

サーティセブン
【中国の黄河という急流にある龍門という滝を登り切った魚は龍になるという話があってね。困難な関門を突破して成功または立身出世を遂げることを意味するんだよ】

迷家
【へえ〜】

サーティセブン
【次はフラリビ異常種 スザク。何代にもわたる同種同士によって誕生した子孫が稀に進化することで誕生する魔化魍だよ】

迷家
【何代もって、どれくらい?】

サーティセブン
【………さあね。今度ドクターに教えてもらって下さい】

迷家
【は〜い】

サーティセブン
【………その次はバケネコ派生特種 ビャッコ。ミョウキと呼ばれる白のバケネコ亜種から進化した派生特種です】

迷家
【なんかあったの?】

サーティセブン
【ええ。彼女には何度も酷い目に遭いまして、あまり思い出したくないというか】

迷家
【無理はしないでよ】

サーティセブン
【次で最後ですのでそれまでは大丈夫です】

迷家
【なら、良いけどさ】

サーティセブン
【最後がゲンブ。オトロシ異常種の魔化魍です】

迷家
【そして崩のお爺ちゃんだよね】

サーティセブン
【ええ。彼との戦いは楽しかったですよ。会う度に新しい術を使ってきて、それを如何様にして打ち破るかと思考を凝らしたものです】

迷家
【ってことはサーティセブンは戦闘スタイルは幻?】

サーティセブン
【ええ、基本は術ですね。あとは少し特殊な力を】

迷家
【特殊な力?】

サーティセブン
【それは今は話しません】

迷家
【ぶーーー。教えてくれても良いじゃん】

サーティセブン
【今はゲンブの説明でしょ。まあ、その説明は次のおまけコーナーの時ですが】

迷家
【まあ、しょうがないっか。今回はここまでまったねーー】

サーティセブン
【次回の解説も私になりますのでお楽しみに】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。