今回の話はブルブルがクズリュウに謝る話と九竜宮にいる残りの魔化魍&妖姫たちの登場になります。
では、どうぞ!
クズリュウから頼まれて閉じこもっていたブルブルをなんとか外に出すことが出来た私はブルブルをクズリュウの元へ連れて行くことにした。
クズリュウに謝罪すると言っていたブルブルのためだ。そんなブルブルに道すがら全身を覆う氷のことを聞いみた。ブルブル曰く、猛士に捕まっていた際に身に付けた自己防衛の
謝罪のために向かうのだからとブルブルに氷の擬態は止めるように言うと、ブルブルは擬態するように覆っていた氷を解いた。
氷を解いたブルブルのその姿は予想した通り雪豹のような斑模様が全身にある熊の姿をした魔化魍だった。氷で覆われていた姿の時とは違い、不安が顔に表れている。だが、クズリュウに会うと言ったのにそんな不安げな表情じゃいけないと言ったら、ブルブルの表情は少し硬いが穏やかな表情になった。
そうして、本当の姿を見せたブルブルを連れてクズリュウの元へ送り、その結果––––––
【ごめんなさい、ごめんなさい。ボクがクズリュウを凍らせちゃって、そのことを謝らなくて、ごめんなさい】
【いいの。私こそ、ごめんなさい。あなたの為に思ってしたことが逆にあなたを傷付けたの】
【違うよ。ボクのせいだ】
【いいえ。私のせいです】
大粒の涙を流しながらクズリュウに謝るブルブルとそんなブルブルを抱きしめて自分に非があると言うクズリュウ。
こんな感じにお互いに謝罪し合っている。
【良かったなクズリュウ】
【そうですねアシュラ様】
その様子を部屋の柱の陰に隠れて見ていたアシュラは嬉しそうに口角を上げて頷き、ノビアガリは目元を脚で拭っている。
そんなアシュラとノビアガリの隣で私もその光景にウルッときている。
「王、こちらを」
隣に立つ赤が私にハンカチを差し出す。
「ありがとう赤」
「いえ、当然のことをしただけです」
濡れたハンカチを服の裾に仕舞う赤。
【王】
するといつの間にか謝罪合戦を終えたクズリュウがブルブルを抱えて私に声を掛けた。
【ありがとうございます。王のお陰でこの子と話すことが出来ました。重ねて感謝します】
「あなたに謝罪したいと言ったのはその子自身です。私はそれを後押ししただけです」
【そうですか】
クズリュウはそう口にすると何かを考えるかのように口を閉じると、クズリュウの雰囲気が一変する。
【王よ。ブルブルのことでお願いした身で御座いますが、もう一つお願いをしてもよろしいでしょうか?】
「? それは構わないけどどんな願い?」
【その話をする前に…………ノビアガリ、九竜宮の魔化魍たちを大広間に集めてちょうだい】
【かしこまりました】
ノビアガリはクズリュウの命令を聞いて部屋の外へ向かった。
「それでどんな願い事?」
【はい。それは––––––】
「っ!?」
【なにっ!?】
【えええええ!!】
クズリュウの口から出た言葉に私と赤、アシュラとブルブルは驚くのだった。
クズリュウからのお願いの内容を聞いた私たちはクズリュウの案内でこの九竜宮の大広間へと向かっていた。
向かう途中で別室で待機していた美岬たちとも合流し私たち全員で大広間へと行くことになった。クズリュウ曰く、大広間というだけあってかなりの広さと大きさがあるので大人数だとしても問題ないとのことだ。
そして、ブルブルのいた部屋よりも大きく荘厳な大扉の前に着いた。
【此処が大広間に繋がる大扉です】
クズリュウが扉を押すと大扉が鈍い音を鳴らしながら開かれる。
開かれた先、大広間の中心にはクズリュウの命令を受けたノビアガリによって集められた九竜宮にいる魔化魍と妖姫が集まっていた。
開いた扉の音で大広間にいた全員が一斉に視線を私に向ける。
九竜宮に来る前に受けたツルベオトシのように敵対的な視線は感じず、興味津々という視線、観察するかのような視線など様々だ。
【今この場に揃っているのが九竜宮にいる魔化魍と妖姫たちよ】
クズリュウがそう言うと、ツルベオトシとノビアガリの側で会話していた二体の魔化魍と二人の妖姫が前に出る。
感情を表すかのような赤と青と黄色の面を周りに浮かして、眼を瞑った黒い梟の魔化魍。
稲のような草を生やし、田んぼに使うような泥土を纏った螺旋状の殻を持ち、触覚と蹠面が鱗に覆われている田螺の魔化魍。
銀のハーフアップ、生気を感じさせない白い瞳、向日葵の着物に朱色と黄色の羽織を着用し、何かが描かれた札を肩から両腕全体に貼り、一枚歯の高下駄を履いたスレンダーな女性。
ジェスターハットを被り、三つ編みの茶髪、エクリュカラーの瞳、顔の左半分に白粉を塗り、黒と白のチェック柄の衣装を着て、ぶかぶかの長靴を履いた常に笑顔を浮かべる女性。
【オウサマ、ハジメまして。ワ・タシ、メンレイキ】
【俺っちドロタボウの異常種ツチコロビだぜ】
「ワレはメンレイキの妖姫」
「アタシはドロタボウの妖姫」
するとドロタボウの妖姫が私に向かってゆっくりと歩いてくる。
そして私の前に立つと急に腕を突き出す。
家族たち
【【【【っ!!】】】】
突然の行動にみんな武器に手を掛ける或いは術を使おうとしたりするが私が手で制する。
「大丈夫」
私の言葉に納得したのかみんな静かになる。
そして、ドロタボウの妖姫が手をゆっくり握り込んで力を込めると、ポンっという音が聞こえるとその指先に赤いバラが出ていた。
「お近づきの印っていうやつです」
ドロタボウの妖姫がそう言うとニコリと笑い、私の手にバラを握らせるとそのままくるくると回りながらメンレイキたちの元へと戻る。
【彼女たちはこの九竜宮に食客しているものたちです】
【まあ、居候っていうやつだな】
クズリュウの言葉に補正するかのように答えるツルベオトシ。棘のある言い方から何かあったようだが、言われてる当人たちはそんなことを気にしてなさそうにしている。
そんなメンレイキたち食客組の隣にいる一団へ私は顔を向ける。
鋭利な長鋏のような耳をした大型犬と同じ大きさの白兎の魔化魍。
海月のような触手を束ねた四肢、身体の中心に山吹色の球体を浮かべるクリオネの人型の魔化魍。
隣に古そうな自転車を置き、身体全てを包帯で覆い、背中に2本の刀を差した人型の魔化魍。
【えっと、テケテケです】
【は〜〜い。私はクネクネ。噂の王様に会えて感激です〜】
【トンカラトンじゃ】
テケテケ、クネクネ、トンカラトン。
どの名前も都市伝説として有名な怪異の名前だ。妖怪だけじゃなくて都市伝説として語られる怪異なども魔化魍として存在するようだ。
「君たちはなんで九竜宮に来たの?」
【テケたちは此処に届け物に来たんです】
「届け物?」
【は〜い〜。クズリュウ様宛てに届け物を届けに来たんですが〜】
【
腕を組んで説明するトンカラトンの話に納得し、最後の一団を見る。
クズリュウがブルブルの診察のためにと呼んだ魔化魍たちらしく、何処か普通の魔化魍とは違う異なった雰囲気を感じる。
全体的に丸みがかった狸のような尻尾を持った山根の魔化魍。
ボディーガードのように佇むのは全身が土で、湾曲した二本の角を生やした蜥蜴の頭と尻尾を持った人型の魔化魍。
そして、上の二体の中でも最もオーラを感じるのは、キングコブラの頭を生やした尾を生やし、胸元には黒曜石の鏡が張り付いて、全身が汚れの一切ない透き通った銀の体毛のジャガーの魔化魍。
【スネコスリです】
【護衛を務めるガーゴイルと申します】
【初めまして私はヨナルデ・パズトーリ、多くの方は私を
出来れば王もドクターとお呼びください】
家族たち
【【【【っ!!!!】】】】
ヨナルデ・パズトーリ、某妖怪漫画第一人者のあの漫画にも出てくる有名な悪魔だ。だが、私よりも家族たちの方が凄く驚いてる。もしかしたら魔化魍たちの間ではかなり有名な魔化魍なんだろう。
紹介が終わったのを見計らってクズリュウが口を開く。
【みんなも知っての通りここ最近は奴らの活動によって魔化魍に被害がいくつも出ている。
だから、此処におられる王のお力を借りてこの地の猛士の活動を抑制することにしました】
そう。クズリュウの言った願いはこれ。
猛士の壊滅ではなく、猛士の行動の抑制。
なぜ壊滅ではなく抑制なのか。
それはこの地にいる猛士は良くも悪くも平均的な力を持った者たちで過激派のように極端な魔化魍殲滅を語る者たちではない。かといって共存派のような者たちでもなく、ここに居るのはどっち付かずともいえる傍観派が多く占めている。
そんな傍観派は危険度の高い魔化魍は討伐、危険度の低い魔化魍は人間に被害をもたらさない限りは静観というスタンスのようだ。
だが、過激派に所属していた鬼や天狗などが先の戦いでこちらに流れて、過激派の活動が横行して幾つもの魔化魍が清めらている。だから傍観派が活動しやすい状況に再びするために過激派を対象とした猛士の攻撃をすることになったのだ。
【そして、それらが全て終わったら私たちは王の家族になることにした】
【【【【【【【ええええええええええ!!】】】】】】】
「「ええええええええ!!」」
【ほう】
クズリュウの言葉に側で話を聞いていたアシュラとブルブルを除いた九竜宮の魔化魍と妖姫たちは驚愕し、好奇心を微塵も隠そうとしないヨナルデ・パズトーリが呟くのだった。
如何でしたでしょうか?
はい。ドクターの正体はヨナルデ・パズトーリでした。本当はもっと後の登場予定でしたが、ブルブルの心のケアを頼んだクズリュウに依頼されて九竜宮にやってきました。
次回は安倍家の魔化魍と九竜宮の魔化魍の交流と猛士サイドを予定しています。次回もお楽しみに!
ーおまけー
迷家
【ハイハーーーイ。おまけコーナーの時間はっじまるよーー】
迷家
【今回はおーーーい!! ドクター!!】
ドクター
【そんな大声を出さなくても聴こえていますよ。で、どうしたんですか?】
迷家
【ドクターって、ヨナルデ・パズトーリっていう魔化魍だったんだね】
ドクター
【ええ、私はヨナルデ・パズトーリ。ですが今まで通りにドクターで結構です】
迷家
【そう。でもドクター、王の所にいたよね? どうやって此処へ?】
ドクター
【ああ、そうですね。あれは私の能力で増えたもうひとりの私です】
迷家
【へ!! じゃあ、王の前にいるのは偽物なの!?】
ドクター
【いいえ。此処にいるのも私であり、向こうにいるのも私なんです】
迷家
【えっと?】
ドクター
【私の能力は分身。某ジャンプ漫画の影分身のような能力です。まあ、あれよりも分身強度や諸々のことは上と自負しますが】
迷家
【え!! ドクターって、医術とかそういう治療系な能力じゃないの!?】
ドクター
【違います。能力を使って並行学習で習得したものです。今でも新しい治療法や薬などが出ればすかさず読んで日々新しい知識を習得しております】
迷家
【へえ〜そうなんだ。あ、そうだドクターにお願い。今回はレッドキャップって魔化魍の解説を頼みたいの!】
ドクター
【解説は構わないですが、それはサーティセブンの役目では?】
迷家
【いやね。サーティセブンの解説に出る魔化魍って、家族と戦った魔化魍とか◯大魔化魍みたいに大物や、他の個体がいない様な〜こう、なんて言えばいいのかな?】
ドクター
【唯一無二または固有と言うべきですかね】
迷家
【そう! それ!! で、ドクターの解説ってさ魔化魍の亜種や異常種、派生特種の進化の条件または進化過程の解説でしょ。
いつもならこっちでキーワード的なものを言って解説を頼んでるだけどさ、今回は今言った魔化魍を紹介してほしい】
ドクター
【先ほども言いましたが解説は構いません。ですが、なんでまたレッドキャップの解説を?】
迷家
【いやね、唐突なんだけど僕の頭にこの魔化魍の名前が浮かんでさ〜今からかなり先の未来にこの魔化魍が家族としてきそうな予感があるんだよ。
だから事前学習ていうか、どんな魔化魍か知りたくてね。だからお願い!!】
ドクター
【事前学習ですか………………まあ偶にはそんな風に要望を聞いて解説するのもいいかもしれませんね】
ドクター
【では、要望通りにレッドキャップの解説をしましょう】
迷家
【わーーーい。ありがとドクター!!】
ドクター
【まずは簡単に原種であるゴブリンについて説明しましょう。
ゴブリンは直立した鼠の魔化魍ですね。森や洞窟で暮らす群体生の魔化魍で、王道からマイナーと様々な武器を扱える器用さをもち、群体生の魔化魍の中ではトップクラスの統率力と繁殖力をもっています。
大体、一つの群れには50〜80体ほどのゴブリンがいます】
ドクター
【そして、迷家のいうレッドキャップはゴブリン種の亜種で属性は赤です。
外見は頭に赤黒い帽子を被ったロボロフスキーハムスターの魔化魍で、他のゴブリン種に比べて俊敏さと、狡猾さ、何よりも残虐性が高い魔化魍です】
迷家
【へえ〜亜種なんだ、てことは
ドクター
【いいえ。珍しい事ですが、ゴブリン種は亜種が産まれようとも必ず育てると言われるほど種全体が仲間思いな魔化魍なのです。
なのでゴブリン種の群れに行った場合には、亜種と共に暮らしているのも珍しくありません。ですが……】
迷家
【ですが?】
ドクター
【レッドキャップとその派生特種であるピシュタコは別です。
先ほども言いましたが、レッドキャップは他のゴブリン種の魔化魍に比べて、俊敏さと、狡猾さ、何よりも残虐性が高く、老若男女問わず、なんなら魔化魍の幼体だろうが成体だろうと襲いかかって殺します。まあ、一番多く殺すのはやはり人間なのですが。
そして、殺した獲物の血を使って自身の武器または衣類まあ、帽子を染める習性があります。これはレッドキャップにとって至福とも言える瞬間らしく邪魔されたら例え同種のレッドキャップであろうとも殺します。
まあ、こんな風に生きてるせいか敵は多く、猛士だけでなくある程度の力ある魔化魍たちからも嫌われて狙われているそうです。
因みにゴブリン種は長はオスが多いのですがレッドキャップとピシュタコの長は殆どがメスですね】
迷家
【うへぇ〜イヤな習性と傍迷惑な考え】
ドクター
【レッドキャップは殺した数が多い程、武器と衣服が赤黒くなっていて、誰よりも赤黒い物を身につけたレッドキャップがその群れの長となり、長となったレッドキャップの殺した数が666になるとレッドキャップはピシュタコに至るそうです。
ただし、必ずしも666以上殺したレッドキャップがピシュタコになれるかと言われたら、それは違います】
迷家
【そうだよねーーー話を聞く限り、ところ構わずに殺してるのならそれだけで666なんて数あっという間に達成してピシュタコだらけだし】
ドクター
【ええ。仕事の都合で一度だけピシュタコに会ったことがありまして、どうやってピシュタコになったのかの話を質問したことがあるのですが】
迷家
【うんうん】
ドクター
【そのピシュタコ曰く、666以上殺したレッドキャップはある場所の風景が頭に浮かびそこに向かうそうです】
ドクター
【その場所に向かうと他の群れからやって来た同じ条件のレッドキャップが集まっているそうです】
迷家
【想像するだけで恐ろしい光景だね】
ドクター
【そうして一定の人数が集まったレッドキャップは互いに殺し合い、最後の一体になるまで続くそうです】
迷家
【うひゃーー物騒!!】
ドクター
【そうして、最後の一体になったレッドキャップは殺したレッドキャップの死骸を集め、心臓を抉り抜いて、そこから流れる血潮を呑み、自身の使った武器と殺したレッドキャップの武器を死骸から流れる血潮で全体に塗り込みと、その場で眠るそうです】
迷家
【ええええええ!! 寝るの!?】
ドクター
【ええ。そして目覚めたレッドキャップはその身をピシュタコに変化させているそうです】
迷家
【へえ〜、あ! そういえばレッドキャップって群れはどのくらいあるの?】
ドクター
【私が把握しているレッドキャップの群れの数は全部で17…………いえ、16ですね】
迷家
【え、なんで訂正したの?】
ドクター
【いえ………………今、私の知っている群れの一つが滅んだようで】
迷家
【え!! 滅んだ!!】
ドクター
【はい。しかも、魔化魍の仕業ではなく猛士が原因のようですね…………何ですかアレ?】
迷家
【アレって、何!?】
ドクター
【…………………………迷家、すいませんが私は急遽、戻らなくてはいけません】
迷家
【え、ちょっと!?】
ドクター
【………私です。ええ。急患です。ええ。そうです。手術室の準備を、すぐに戻りますから。あの子に救出させて。そう。もう動いてる。上出来です】
迷家
【ちょっと、ねえドクター…………行っちゃった…………ええと、それじゃ今日はここまでバイバイ】