なんとか書き終えました。怪異ものの参考になると思って令和のダラさんを観ましたが、ホラーとコメディがいい塩梅で混ざった作品で結構面白かったです。
それにしてももうすぐ10月、薬屋のひとりごと第3シーズンと新声優陣で放送されるケロロ軍曹が楽しみです。
【どういうことですかクズリュウ様!!】
メンレイキたちを呼びに行ったためにその場で話を聞いていなかったノビアガリが驚愕の声を上げる。
他の魔化魍や妖姫も声は上げてないが、驚きという表情が出ている。そんな中、ヨナルデ・パズトーリだけ興味深いと物語るような表情を浮かべている。
【ノビアガリ、貴方がそう思うのも仕方ないけど理由はあるわ】
ノビアガリや他の魔化魍たちがその理由を聞くために口を閉じ、静かにクズリュウを見る。そして、クズリュウは語り始める。
【私たちは長い時をこの地で生きてきました。人間を襲うことなく、この海で命を落とした人間の死体を喰らい、この地に住まう陸の魔化魍とも余計な争いも起こさず暮らしてきました。それ故かこの地は戦いに疲れた魔化魍が静かに暮らす場所でもありました。
此処の猛士は人間を襲わずに暮らす魔化魍ならば、行動の監視はされますが、討伐はせず静観しておりました。中には派手に暴れていた魔化魍たちもいましたが–––––】
【………ああ、あの『血狂い』たちですね】
その言葉を聞き、少し考えたノビアガリが思い出したように声を出した。
何故か『血狂い』という言葉に赤たちは反応していた。あとで何なのか聞いてみよう。
【ですが奴らが来てからこの地は変わってしまった。
愛する者を、家族を、私たち魔化魍に殺され、生き残った者たちが激しい憎悪と消えることのない復讐心を抱き、魔化魍を滅ぼそうとする過激派により、数日、たった数日でこの地は安息の地から地獄へ変わってしまった】
クズリュウの言葉に私は考えた。
そもそもこの東北の地に過激派が来ることになった原因は私たちが中部地方で過激派の鬼と戦ったことが原因だ。
勿論、鈴音たちのために戦ったことに後悔はないし、胸糞悪い
だが、もしも過激派が他の地方へ戦力を移してなかったら、私たちがもっと早く中部地方支部を攻撃を仕掛けていれば、もっと早くこの東北地方に着いていれば、そんな考えが頭をよぎる。
【この地を地獄へ変えた過激派の奴らがいる限り、私たちは、いえ、この地の魔化魍たちは一生怯えて暮らすことになってしまう。
そんなことは許されません。だからこそ私たちは、自分たちを守るため、そしてこの地の魔化魍のために
【ですが、私たちが動く。これによって今まで静観していた傍観派も私たちの討伐に動くことになるでしょう。私たちは無闇に人を殺したいわけではありません。故に私たちは過激派を排除したのちに魔化魍の王の家族となりこの地を離れることとする!!】
猛士が静観していたのは人を襲わなかったからという理由だ。
過激派とはいえ、人間である。つまり、そんな過激派を殺せばクズリュウたちは静観していた傍観派からも狙われることになる。その結果、戦うことが出来ない非力な魔化魍も討伐対象とされる。
東北地方に住まう非力な魔化魍とこの九竜宮の魔化魍を守るためにクズリュウは私の家族になることにしたのだ。
【クズリュウ様、九竜宮はどうなされるのですか】
すると、ノビアガリがクズリュウに質問する。
【九竜宮は、この地へ残していこうと思う】
クズリュウの言葉に九竜宮の魔化魍たちは息を呑む。
【クズリュウ、それは俺も聞いてないぞ】
アシュラも信じられないという顔でクズリュウを見る。
【此処は、お前の先祖が代々引き継いだ神聖な場所だ】
アシュラの言葉にクズリュウは何も返さない、いや返せない。
【クズリュウ様、貴女様が私たちのことを想っているのは理解しています。ですが、貴女は此処を捨ててはなりません!!】
【アタシらにとってもこの九竜宮は家みたいなものだ。楽しい思い出の詰まった場所なんだ!! 残していくなよ!!】
【そうだよ。ボクが此処にいたのはそんな長くないけど、クズリュウが此処を大切にしてるのは分かるよ】
ノビアガリやツルベオトシ、ブルブルもクズリュウに訴える。
そんな言葉を受けてもクズリュウは答えない。
【クズリュウ様、【……たくない………】え?】
【残したくないよ!!!】
【【【【っ!!!】】】】
【そうだよ。残していきたいわけじゃないよ!! 前主である母やそれ以前の歴代の主の眠る場所でもあり、私たちオロチ種の魔化魍にとっても海から産まれた魔化魍にとってもこの九竜宮は神域といっても過言じゃない!!
でも、どうすればいいの!! 九竜宮は動かせない!!】
【九竜宮は大渦で流されないようにするために初代九竜宮主が『古の術』でこの地に固定され動かすことが出来ないのはみんなも知ってるでしょ!!】
【術の精度が上がり、固定の必要がないと九竜宮に掛けられた術を解除しようと歴代の主たちも術の解析を行いました。でも、『古の術』の解除は出来ず、何百年も経ちました】
【私だって、術の解除に尽力しましたが、それでも解除は出来ませんでした】
【【【……………】】】
【え、ええ〜と】
その言葉に長いこと、九竜宮の術解除を模索していたクズリュウの姿を見ていたアシュラやツルベオトシ、ノビアガリも閉口して、何か言おうとするも言葉が思い浮かばずにオロオロするブルブル。
【だから、私が最後の主としてこの地に置いて行こうと思います】
詳しいことはあまり分からないが、どうやらこの九竜宮はかなり重要なものらしい。
それもクズリュウが言っていたことからするにオロチ種の魔化魍のみならず海に関わる魔化魍の全種にとっても
うちの家族でもある跳や古樹、鈴音に頼めば術の解析をして解除の方法が見つかるのかもしれないが、過激派がいつ攻撃に来るか分からない状況では時間が掛かる方法はダメ。
新しい家族にもなるクズリュウたちの為にもどうすればいいかと悩んでいたら私はあることを思い出した。
北海道と此処とは異なる世界『
「クズリュウ、この九竜宮は造られてからどのくらいの年月が経ってるの?」
【分かりません。長い年月としか】
まあ、魔化魍だから。そんな歴代の主の記録とか無さそうだし、というかオロチ種の魔化魍だと書き物が出来無さそうだからしょうがないか。
そんなことを考えながら、私は手のひらに力を込める。
【王よ、いったいなにを】
「…………」
クズリュウからの質問に答えずに私は手のひら意識を集中させる。
すると手のひらから黒いオーラが溢れてくる。そのまま、黒いオーラを出し続けていると、オーラは手のひらの上で渦巻き黒い球体へ変わっていく。
そして、球体を載せた手を下に向けると黒い球体は九竜宮の床へゆっくり落ちていき、床に触れると床に吸い込まれるようにその形が消える。
【今のは?】
「私の身体から溢れる魔化魍の王の気を凝縮した塊だよ」
【っ!!】
すると九竜宮全体から心臓の鼓動にも似た音が響く。
【王!! この九竜宮にいったい何をしたのですか!!】
「心配する必要はないよ。クズリュウがこの九竜宮を置いていかずに連れて行けるようにするためだよ」
【ですが、九竜宮は術で縛られてこの地からは】
「そうだね。九竜宮が建物としてこの地に固定されている。だからクズリュウはこの地に固定する『古の術』を解除して九竜宮を動かそうとしたけど、動かせなかった。なら、この九竜宮を建物じゃなくすればいいんだよ」
【どういう意味ですか?】
私の言う言葉に頭を傾げるクズリュウに続けて説明する。
「クズリュウはツクモガミという魔化魍を知ってる?」
【ツクモガミ? いいえ知りません。その魔化魍がどうかしたのですか?】
やはり、私の推測は間違いじゃなかったようだ。
「ツクモガミとは、長い年月を経て変化した器物や道具、建造物から生まれる魔化魍」
【っ!?】
そう私が思い付いたのは、この九竜宮をツクモガミにすることだ。
以前、跳から『古の術』について軽く教えてもらったが『古の術』は特定の条件を複数設けることによって術の強度が増し、術の効力を高めるものだけど、必ず一つの条件だけ、他の術を纏めるための核とする術の条件があるらしい。おそらくそれが、この術の解除を難しくしているものだろう。
だからこそ、初代九竜宮主が存命の頃に存在しなかったツクモガミという魔化魍ならばどの条件にも触れることがない。故に術に干渉されない。
「これ程大きなものだから、少しツクモガミになるには時間が掛かるけど、ツクモガミになったら術の条件から外れる。そうすれば、その子を一緒に連れていけばいい。だから、クズリュウの大切なものを置いてかなくていい。むしろ、家族になるんだから今まで以上に大切にしてあげないと」
【あ、ありがとうございます】
大粒の涙を流しながら感謝の言葉を言うクズリュウに私は安堵するのだった。
SIDE雹鬼
胸糞悪い。そんなことを思いながらアタシは
「それでよ、あの魔化魍が『子供だけは助けてて』って喚いていてよ。まとめて串刺しよ、いや〜見せたかったな」
「それよりも二つ名持ちを殺せたのが気分がいいぜ。『抱壺』を討ち取れるとは思わなかったぜ」
「こっちはあの『頑壁』の自慢の身体を長の槍で貫いてやったよ。奴さん、身体を貫かれたのが信じられねえって表情を浮かべながらくたばったよ」
「今まで煮湯を飲まされていたあの『笑骸』のムカつくあの頭を砕いたあの感触には勝てねえよ」
「いやいや『巨女』の四肢を落としてちょっーーーと相手してもらったけどよ。気持ちよかったよ」
––––––本当に胸糞悪い。
酒を呑んで誤魔化そうと思ったがこれ以上、
そう思ってアタシは移動しようとした時にある言葉が耳に入った。
「しかし、後もう少しであのレッドキャップを殺せたのに魔化魍の邪魔が入ってよ」
「ああ、しかも雑とはいえ一瞬で腕を切り落とされた。おまけに姿は確認できてないのが腹立たしい!!」
「そういえば灼鬼さんがカッパを二体仕留め損なったと愚痴ってたな」
「おい。その話はしねえ方がいいぞ、結構ピリピリしてたからな灼鬼の奴」
へえ。
あのレッドキャップとカッパの群れを滅ぼしたのか。
どちらもこの地方にいた鬼共じゃ、手に負えない相手だったはず。よほど、対魔化魍戦闘自動人形とやらの性能は良いのだろう。
だが、
カッパが二体逃げられたのは問題じゃない。問題があるとするのならレッドキャップの方だ。あのレッドキャップということは群れの長でもある二つ名持ちのレッドキャップの『百殺』のことだろう。
天塩にかけて育てていた仲間をやられた
アタシはブルブルを探すために一度、レッドキャップの集落に行ったことがある。
アタシがレッドキャップの群れのいる集落に着いて、まず歓迎とも言わんばかりに十数体のレッドキャップに囲まれた。
アタシが目的を話すとレッドキャップたちは話し合い、アタシを長の元へ案内を始めた。
レッドキャップは俊敏で狡猾、残虐性が高く、目にした人間は老若男女、魔化魍ならば成体から幼体問わずに襲い掛かり、殺した獲物の血を使って武器や帽子を血で染める習性を持った魔化魍とよく聞いていた。
自慢ではないが『八人の鬼』は猛士では英雄とされる一方、魔化魍からすれば確実に殺したい敵ともいえる。
そして、レッドキャップのような魔化魍からすればまさしく極上の獲物といえる。
そんな魔化魍がアタシを襲わずに案内をしている。
そうして着いた最奥にレッドキャップの長で、『百殺』とも呼ばれた魔化魍が座りながらアタシを見下ろしていた。
そこからアタシはブルブルについての話をした話を聞いた『百殺』は近くにいたレッドキャップを呼び寄せるとアタシと戦えと命令した。
アタシは命令されたレッドキャップと戦い、戦闘不能に追い込んだ。すると次は『百殺』自身が立ち上がり、側にあった戦斧を持って構えるとアタシに襲いかかって来た。
長い戦いの末にアタシは『百殺』と引き分けた。それに気をよくしたのか『百殺』はアタシに色々な情報をくれた。
あれ以来、
「–––戦闘人形の修理が完了次第にクズリュウのいる地へ総攻撃を始める。奴らに我らの裁きを見せつけてやるのだ!!」
「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」」」
アタシが
しかし、裁きねぇ。はっ、どんなに綺麗な言葉で語ろうがそれは、今まで倒せなかった魔化魍に対する鬱憤晴らしいや、八つ当たりだろう。
如何でしたでしょうか?
クズリュウの九竜宮をツクモガミ化することは決めていましたが、どういった流れでツクモガミ化させるかにかなり悩まされました。
猛士SIDEの話は記録百弐拾玖でも語られていた魔化魍の集落の襲撃と名持ちの魔化魍討伐について語る過激派たちの話です。なお、雹鬼はその様子を作中でも語っていたように胸糞悪く思っています。
因みに討伐された名持ちの魔化魍たちは以下の通りになります。
『抱壺』は壺に魅了されて壺を抱えて戦う姿から付けられた二つ名持ちのバケガニ。
『頑壁』は元のに比べて遥かに頑丈な二つ名持ちのヌリカベ。
『笑骸』は墓場の骨を笑いながら喰らう姿から付いた二つ名持ちキュウソ。
『巨女』は従来よりも3倍程大きい長身の二つ名持ちのハンニャ。
『百殺』は100通りの殺し方を持つことから付いた二つ名持ちのレッドキャップ。
上記の二つ名持ちの魔化魍はこの地方出身ではなく別の場所から来た魔化魍で『百殺』以外は猛士がそこまで活動的では無い、この地方で身を休めるために訪れたが、この地に流れてきた過激派によって討伐されました。
『百殺』を除いて、殆どの二つ名持ちの魔化魍は戦闘を好まず、降りかかる火の粉を払っていたら二つ名持ちになっていたという経歴の魔化魍で、温厚または臆病な性格でした。それ故に二つ名持ちの魔化魍でありながら、過激派にあっけなく殺されてしまったのです。
機会があればいつか、雹鬼と『百殺』の出会いの過去話は書こうと思います。
では、次回もお楽しみに!
ーおまけー
迷家
【はい。おまけコーナーの時間だよ♩ 今日のゲストはーーーこちら!!】
迷家
【……………あれ、いない】
迷家
【可笑しいな〜確かに呼んだはずなのに、まさか逃げた!!】
迷家
【ああ!!! どうしよう今すぐ誰か、呼びにいく、う〜ん。どうしよーーー!!】
「どうしたの迷家」
迷家
【ああ、春詠ぃぃぃぃぃ!】
「ちょ、ちょ、ちょっとどうしたの」
迷家
【お願い春詠、今回のコーナーのゲストになってえええ!!】
「ええ!!」
迷家
【呼んだ子がいないのぉぉぉ!! だから、お願いいいいいい!!】
「はあーーー良いけど、どんな質問するの?」
迷家
【やっっったーーー!! 諦めたら試合終了って、どこかの監督も言ってたし】
「(この世界にもあの漫画あるのかな)」
迷家
【じゃあ、質問ね。本当は違う質問だったけど、これは春詠たち人間には聞けない質問だから。違う質問だよ】
「はいはい。で、何が聞きたいの?」
迷家
【猛士が魔化魍に二つ名を付ける条件を聞きたい】
「ほう。二つ名の条件ね。前回もそうだったけど、さりげなく猛士の情報を探ってるよね」
迷家
【だって、他の鬼たちは答えなさそうだけど、王の身内でもある春詠なら教えてくれるかなって】
「いいよ。じゃあ、まず二つ名の魔化魍のことをどのくらい知ってる?」
迷家
【普通の魔化魍とはちょっと違う何かがあるのと、強いってことくらい】
「ザックリ言うとそんな感じかな。二つ名持ちの魔化魍は従来の魔化魍にはない特徴………例えば普通のより2倍、3倍大きいとか、本来一色の体毛の種なのに複数の色の体毛があるとか、そういう特定できる特徴を持っていて何度も目撃されている魔化魍を他の同個体と識別するために付けられたのが『二つ名』」
迷家
【要する見分け付けるためにつけたもの?】
「二つ名を付けるのは見分けもそうだけど、危険度を判別させるためでもあるの」
迷家
【どういうこと?】
「二つ名にされる魔化魍はさっき言ったこととは別の条件があるの、それは犠牲者の数」
迷家
【犠牲者の数】
「一般人だと犠牲者が100名以上の犠牲者が出たら、猛士だと無名の鬼と天狗が10名以上、名前を継承した鬼や名持ちの鬼だったら3名以上の犠牲者、そしてあまりないけど支部長だと1名。
一定の犠牲者の数、高い戦闘能力、そして犠牲者を出した魔化魍の他にはない特徴、これらが揃うことで、はれて二つ名持ちの魔化魍として猛士の全支部に情報が通達されるっていこと」
迷家
【
「うーーん。ちょっと違うような気がするかな〜」
迷家
【でも、教えてくれてありがとう春詠】
「どういたしまして」
迷家
【そんなこんなで、もうお別れの時間だね。じゃ、ここまでバイバイ〜】
「また、いつか」