2回目の投稿です。心温かい目で読んでください。
記録壱
イッタンモメンの姫が急に片膝をつき、私に向かって『王』と言ってから少し経った。今、私は姫と一緒に山道を歩いている。
そう、さっきのイッタンモメンの姫はなぜか自害しようとしていたから、従者にした。従者になった事で姫を睨んでた3体も睨らむのを辞めて、ツチグモは私の背中に移動し、イッタンモメンは姫の肩に乗っかり、オオアリは私の後ろから歩いて着い来ている。
「ねえ、姫さん?」
「何でしょうか?」
「『鬼』って存在するんですか?」
鬼。
陰陽道の一派である音撃道を使う組織 猛士に属する戦士のことで、特殊な鍛錬によって自らの身体を鍛え上げて、魔化魍と戦う人間。
魔化魍たちは、そんな彼らを鬼と呼んでいる。
「鬼は………存在します」
ガルルルッ ピィィィィィ ギリギリギリギリ
歩くのをやめた姫は、怒り、憎しみ、恨み、そんな感情を混ぜ合わせたような顔をしながら姫はそう言い、3体の魔化魍たちも呪詛のように声を出す。
鬼は魔化魍たちの天敵とも言える相手だ。今でも数少ない成体の魔化魍が1体また1体と数が減らされている。気になることは他にもあるけれど今、気になるのは–––
「姫さん。『王』って何ですか?」
王。これが、一番知りたいことだった。仮面ライダー響鬼には他の平成ライダーと違い、首領やラスボスのような存在は登場しなかった。だが、姫は間違いなく私のことを『王』って言っていた。
「王とは、我ら魔化魍の頂点の存在」
「え?!」
「150年に1度、青い龍の痣を持つ者が現れて、我ら魔化魍を導くだろうと云われてます」
そう言われて、私は自分の右腕にある痣を見た。私が生まれた時からずっとある痣。これが原因で、よく両親から虐待されたものだと考えていると。
「大丈夫でしょうか?」
何も喋らずに静かに考えていたせいか姫が心配そうにこちらを見ている。魔化魍達も姫と同じようにこちらの顔を見ている。
「大丈夫だよ。心配しないで」
心配かけないようにそう言ったら、姫が私の手を握り、山道を再び歩き始める。
姫に手を引っ張られて、歩き続けるとどこかで見たことのある大きな洋館が見えて来た。さらに近付くとその洋館の全体が見えてくる。
モダン的な様相の洋館で近付いて見て、ようやくその正体に気付く、この洋館は魔化魍の実験をしていた洋館の男女の住む館だと。
前世の時に、住んでみたいなと何度も考えた洋館を目にして、かなり興奮する。ここには様々な魔化魍の実験データがあり、洋館の男女がそのデータを管理している。
だが、洋館が半壊させられてことから見て、サトリやロクロクビなどの魔化魍が鬼と戦った後だと思う。データが残っているかどうか分からないが、無かったら無かったで、これから集めていけばいい。
そう考えながら、肩に移ったツチグモの頭を撫でる。
「そういえば、ずっと姫って呼ぶのは、なんかイマイチだよね」
「そ、そうですか」
「そう! で、あなたの名前なんだけど白でどうかな?」
「白ですか?」
「そう白! イッタンモメンって人間の妖怪イメージでいうと白いヒラヒラした奴なの、だから白」
「その名前ありがたく頂戴します」
姫は私があげた名前を気に入ってくれたのか、少しぎこちない笑顔をして返事を返してくれる。
下から服を引っ張られてるのに気付き、下を見るとツチグモが足を器用に服に引っ掛けて引っ張っている。ツチグモの後ろにイッタンモメンとオオアリもいる。ツチグモが6つの複眼でジィーット私を見ている。
「もしかして、名前欲しいの?」
そのことを3体に聞くとコクコクと首を縦に振り、期待の眼差しをこっちに向ける。
「じゃあ、土門、鳴風、顎でどう!」
ガルルルッ ピィィィィィィ ギリギリギリギリ
そう聞くと嬉しそうに3体は鳴き、私に飛びつく。急に飛びつかれてビックリしたけど、3体を落とさないように抱える。まだ、幼体だから良かったけど、この子達が成体だったら私、潰れてたな。
それぞれの名前はツチグモは土門、イッタンモメンは鳴風、オオアリは顎って付けた。それぞれの特徴や見た目で考えたけど、みんな嬉しそうだから良かった。
「さ〜てと、みんなの名前も決めたし、次はこの館を直さないとね」
そして、壊れた館を修理することを考え始めた。
さて、今回は洋館の発見、イッタンモメンの姫と魔化魍達の名付けの回でした。
次回は洋館を直す話と両親をご飯にする話になります。さらに、新たな魔化魍が出現するかも。