人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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更新が遅れて申し訳ございません。
今回でヤドウカイ達とヤオビクニ達の襲撃編終了です。
最後に少し、主人公が出ます。


記録参拾弐

SIDEヌッペフオフ

 鬼に身体を切り裂かれる、バラバラの肉片から再生する。

 鬼に身体を引きちぎられる、引きちぎられた所をくっ付けて再生する。

 鬼に身体を焼かれる、焼かれた灰から再生する。

 

 私のこの身体は如何なる攻撃を受けたとしてもほんの僅かな肉片から直ぐ再生出来る。

 昔からまだ生まれて間もないはぐれ魔化魍を拾っては餌として()をよく上げて育てていたものだ。

 

「ぜーは、ぜーは」

 

 私を攻撃していた鬼はバテたのか肩で息をしながら音撃棒を落とす。

 それを見てチャンスと思い、鬼の周りにある肉片に再生しろと命令すると––––

 

「何だこ…………」 

 

 鬼の身体を無数の私の身体(・・)が包み込み、鬼がいる中心を圧縮する。

 動く事も出来ない鬼はなす術もなく無惨にそのまま潰れる。

 

 ヌッペフオフは無数の自分(・・)を呼び、身体を1つにした。

 

【また、あの子達が食べるのかな】

 

 少し大きくなった身体を見てヌッペフオフは、ヤドウカイ達の元に向かった。

 

SIDEOUT

 

 

SIDEドラキュリア

 私の作った血の蝙蝠が、鬼に襲いかかる。

 

「……………」 

 

 無言のまま、私の蝙蝠を撃ち落とす鬼。

 それにしてもかなりの腕だ。あの蝙蝠を出すと、大抵の鬼は死ぬのだが。

 

 蝙蝠を全て落としたのか、私に向けて音撃管を撃つ。

 咄嗟に腕から血を出して固め、壁のよう変えて音撃管の弾が当たるのを防ぐ。

 ドラキュリアは血の壁を捨てて、満月が良く見える夜の空に飛び、静止する。

 

「これはお巫山戯ではいられないな………」

 

 すると、ドラキュリアの黒い髪は紅く染まり、頭頂部に蝙蝠の耳が、背中からは蝙蝠の翼が生える。

 

【さあ、今宵は満月。直ぐに死なないでくれよ】

 

 そう言ったドラキュリアはその場から消え、鬼はドラキュリアの姿を見失う。見失った直後、横からの強烈な打撃によって、吹き飛ばされる。

 鬼が起き上がると、そこにはドラキュリアがいた。

 先程まで宙にいた筈のドラキュリアは一瞬にして、鬼の横に移動し、鬼を殴り飛ばしたという事実に鬼は驚く。

 

【まだ、本気では無いぞ】

 

 ドラキュリアはそう言うと、両手に赤い2本の長槍を出していた。

 鬼は音撃管を構え、ドラキュリアに撃とうとするが、又同じようにドラキュリアは消えていた。辺りを探すも何処にもドラキュリアは居らず鬼は音撃管を腰に戻し、音叉剣を出そうとした。

 

【遅い!!】

 

 だが、音叉剣を出そうとした右腕にはいつの間にか赤い長槍が突き刺さっていた。

 痛みに堪えながら長槍を投げられた先を見ると、ドラキュリアの後ろには無数の赤い長槍が空中に固定され、穂先は全て鬼に向けられていた。

 

【さらばだ名も知らぬ鬼よ】

 

 無情な一言を言ったドラキュリアが手を降ろすと、赤い長槍は一斉に鬼に飛んでいき、長槍は鬼の全身に刺さる。

 

SIDEOUT

 

 

SIDEアズキアライ

 一部が血に染まった青い作務衣を着た蛙の魔化魍 アズキアライは手に持つざるの中にある小豆を研いでいた。

 

【あっしを倒したいなら、少なくても小豆を研がせないほどの腕にならないとでやすよーー烈鬼】

 

「うううっ、黙、れ」

 

 アズキアライの正面には腕や脚に3ミリ位の穴が無数に空いていて、地面に横たわる鬼 烈鬼がいた。

 このアズキアライと烈鬼は因縁の相手とも言える関係である。アズキアライがヤオビクニの元に来るまでは、北海道の各地を出没しては2、3人程の人間を攫い、血を奪っていた。

 その攫われた人間の中に烈鬼の兄もいた。当時、猛士にいた烈鬼の兄は鬼になったばかりの新人で、アズキアライに勝負を挑むも返り討ちに遭い、アズキアライに攫われた。

 

 後日、捜索隊を組んだ猛士は烈鬼の兄を探した。そして捜索を開始して4日後に、烈鬼の兄が発見された。今の烈鬼とは違い、全身に穴が空いていて、干からびたミイラで発見された。

 

 烈鬼は兄の鬼の力を引き継ぎ、アズキアライを追いかけた。アズキアライと出会っては戦い、何度も負けた。

 

【まあ、腕は上がってるし、いつかあっしを倒せるといいでやすね】

 

 アズキアライは腰掛けた岩から立ち上がり、自慢の跳躍でその場を離れた。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE美岬

 刀が鍔迫り合い、金属音が響く。

 

 沖野 美岬こと魔化魍 ヤオビクニの持つ刀と猛士の北海道第2支部の鬼 鉱鬼の音叉刀が打ち合っている音だ。

 ヤオビクニの後ろには、ヤドウカイ達と自分の仲間の魔化魍たちが2人の戦いを眺めていた。

 

「己、魔化魍如きにこの第2支部は落とさせん」

 

【それは、私に勝ってから言ってください】

 

 ヤオビクニは何か呟くと尾に水が集まり、それがヤオビクニの持つ刀に纏わりつく、やがて刀に纏わりついている水は弾け飛び、先程までとは違う、刀が姿を現す。

 乱れ刃小丁子の刀身にサメの背鰭のような鍔、柄頭には尾鰭を思わせる物が付いてる刀に変わっていた。

 

【人間の鮫への恐怖心と溺死した人間の魂を集めて打った畏鮫(いさめ)! これを出したからには今まで通りだと思わないでください】

 

 ヤオビクニの海豚の下半身は鮫に変わっており、背中にも鮫の背鰭が生えていた。

 鉱鬼は音叉刀で構えるが、ヤオビクニは構える一瞬で畏鮫(いさめ)を使って、鉱鬼を斬り裂いた。斬り裂かれた鉱鬼の身体はまるで鮫に食い千切られたような痕になっていた。

 

「ガハッ」

 

 肩から腰に掛けて斜めに斬り裂かれた鉱鬼は最早、立ってるのが精一杯だった。

 そんな鉱鬼の首を斬り落とすヤオビクニは畏鮫(いさめ)を元の刀に戻して、腰にある鞘に戻し、沖野 美岬の姿に戻る。

 

【初めましてヤオビクニ】

 

【初めましてヤドウカイさん】

 

 ヤドウカイは右前脚を出し、ヤオビクニは左手を出して2体は握手を交わした。

 

SIDEOUT

 

「アタイを助けて」

 

 そして、幽冥は散歩に出掛けたて魔化魍と出会う。




如何でしたでしょうか?
幽冥の前に現れた新たな魔化魍は・・・

乞うご期待!!

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