人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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今回の幽冥は今までよりも残酷な気がします。


記録参拾肆

SIDE黒

 王ニハ困ッタモノダ。

 

「波音〜早く!早く!」

 

「待ってよひなーー!!」

 

ウォォォォォ コォォォォォン ヒュルルルルル

 

 ひなガ走ッテ、後ロカラ、波音ト羅殴ト飛火、サザエオニノ穿殻ガ追イカケテイル。

 最近、ひなヲ含メタ子供ノ世話ヲスルノガ増エタ気ガスル。

 王ハ波音ノ言ッテイタ隠レ家ニ向カッテ、留守ヲシテイルクラゲビノ妖姫ト仲間ノ迎エニ行ッタ。

 

「黒もこっち来てよーー」

 

 離レタ所カラひなガ手ヲ振ッテ私ヲ呼ンデイル。取リ敢エズ、ひなノ所ニ行カナイトナ。

 

「ドウシタひな?」

 

「これどう使うの?」

 

 ソウ言ッテひなガ私二見セタノハ、木製ノ独楽。

 コレヲ見タ私ハ羅殴ニ顔ヲ向ケルト、申シ訳ナイトイッタ感ジデ両手ヲ合ワシテ、謝ッテイル。

 

「ひな、コレハナコウスルンダ」

 

 ひなノ手カラ独楽ト巻キ糸ヲ受ケ取リ、糸ヲ巻キ始メル。

 巻キ終ワッタ独楽ヲ構エテ地面ニ投ゲルト–––

 

「すごーーーい!」 

 

 独楽ハ真ッ直グニ回リ、ソノ場デ回転ヲ続ケル。

 ソシテ、ヤリ方ヲ見セタ私ハ、ひなニ独楽ヲ渡シタ。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE羅殴

 しんかんせんとやらに乗ってた時に遊び用として作ったんだが、独楽の遊び方を知らなかったみたいだ?

 ははははH、って!何この寒気、見上げると黒さんが俺に視線を向けている。

 

 ––––すいません、取り敢えず両手を合わせて、黒さんに謝った。

 黒さんは、ひなから独楽と巻き糸を受け取って、独楽に巻き付けて、独楽を回す。それを見てひなは黒さんから独楽を貰って、波音と一緒に独楽を回す。

 

 しかし、俺の作った物で遊んでくれるのは嬉しいもんだな。

 これからも色々作ってみようかな。

 

 羅殴は次に作る遊び道具を考えながら、ひな達が遊んでいるのを穿殻の殻の上から飛火と眺めていた。

 

SIDEOUT

 

 

 クラゲビの浮幽に案内を頼み、白とお姉ちゃん、土門、鳴風、顎、崩、睡樹、唐傘で向かっている。

 波音曰く、クラゲビの妖姫とアイツと呼んでいる奴は現在、私たちがいる浜辺の道から少し離れた洞穴に隠れて待っているとの事。

 そして、何故このような団体行動を取っているのかというと–––

 

~回想~

「魔化魍を使った生体実験!!」

 

波音

【そうなんだよ】

 

 まさか、魔化魍を生体実験にかけていたとは思わなかった。

 

波音

【それにアタイの仲間達も捕まって】

 

「なんですって!!」

 

 それを聞き、私は居ても立っても居られなくなり、急いで波音の仲間を救うためにひなと波音の護衛を残して、救出に向かった。

~回想終了~

 

 そして、後少しで洞穴に着くのだが、何かのぶつかり合う音が聞こえてきた。その音を聞き、おそらく戦闘が始まったのだろう。

 崩が手足を仕舞って、回転しながら戦闘音する方に向かう。

 そして、崩が何かを撥ねとばす。

 

ノォォォォォン

 

「助けに来ました」

 

 崩は手足を出して、鬼に威嚇をしていた。

 私の前には崩に吹き飛ばされた鬼とクラゲビの妖姫を背負い鬼と戦う、ピンクの帽子を被った蜂の異形がいた。

 

SIDE◯◯

 ああああ、あの馬鹿がいない間に敵が来ました。

 

 私の目の前にいるのは、鬼が2人、白衣を着た男が1人。そして、蛇のように細長く鱗が並んでいる身体に、頭に鹿の角、鼻先には犀の角を生やした龍がいた。

 この龍もとい魔化魍 シロウネリは、1ヶ月前に猛士の北海道第1支部の鬼たちに捕らわれて、何処かに連れて行かれたのですが。

 

フシュルルルルルル

 

 汚れもない純白のタオルように綺麗だった身体は色んな色の絵の具を滅茶苦茶に塗ったような色に変わり、頭の鹿の角は刃物になり何も無かった尻尾には鬼灯が実っていた。

 

「私も………戦い…ます」

 

 私の背中にいるクラゲビの妖姫が降りようとするが、辞めさせる。

 

「馬鹿、あなたは大人しくしてなさい」

 

 あの馬鹿が王に会い、助けを頼むと言って出た数分後にこの襲撃だ。

 

「あの妖姫共を捕らえれば我々の研究もさらなる結果を生む、さっさと捕まえなさい」

 

 鬼たちが武器を構えて、私達に迫る。

 私の持つレイピアで攻撃を逸らし、攻撃をするも手負いでもあるクラゲビの妖姫がいる為に、自分の能力が使えない。

 片方の鬼が私に音撃弦を突き刺そうとした瞬間、何かが鬼に衝突して鬼を吹き飛ばした。

 鬼を吹き飛ばした正体は–––

 

ノォォォォォン

 

 犀と象亀を合わした魔化魍だった。そして、鬼にたいして威嚇をする魔化魍の後ろから何かが近づいてくる。

 

「助けに来ました」

 

 どうやらあの馬鹿が王を呼ぶのに成功したらしい。

 たまにはやるものだねアマビエ。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE慧鬼

 驚いた。

 そして私の妹 幽も驚いてるようだ。波音がアイツ(・・・)と呼んでいた者の正体に。

 

 ピンク色の帽子に頭頂部から突き出た触覚、右目には虫眼鏡のようなモノクル眼鏡、蜂をモチーフにした女怪人。本来、この世界には存在しない者。

 

 眼魔。

 異界からガンマホールで現世に現れ、人の魂を集めていた怪人。偉人の力を使って戦う仮面ライダーゴーストに戦いを挑み倒された。

 

 そして、あの眼魔は虫眼鏡をベースに誕生したインセクト眼魔だろう。

 

 しかし、この世界に転生して長いけど原作には居なかった魔化魍や、この世界に存在するはずもない眼魔がいる。やはり、この世界は響鬼に近い別の世界なのだろう。

 そう考えるのは世界の破壊者の話を見たからだろう。あれは無数の平行世界を旅する物語で響鬼も出て来た。だが、本来の響鬼は身体を鍛えるのが趣味に近い青年だったが、ディケイドの方は不真面目で鬼を引退すると言い、鬼の力が暴走して魔化魍となるが真面目で心優しい弟子だった少年が鬼の力を引き継いだ。

 

 このように違いがかなりある。

 だけど、今は女に変わったけど最愛の妹がいる。魔化魍の王として目覚めれば、人から魔化魍に変わると白が言っていた。けど、妹は妹、どんな姿に変わろうと本質は変わらない。

 私は妹の側に居続ける。例え、人間では無くなっても–––

 

 って、そうこう考えてるうちに崩や唐傘が鬼を捕まえ、白衣の男を幽が拷問している。

 カラフルな龍の魔化魍は睡樹に捕縛されていた。

 

SIDEOUT

 

「おじさん、あの子に何をしたの?」

 

「う、がああ、ああ」

 

ピィィィィィィ

 

 今、捕縛した男の脚に鳴風の尻尾が巻き付き、男の脚を搾っている。

 正直、こんな人間がどうなろうと構わない、今すぐこの外道を鳴風の尻尾でカラカラの死体に変えて、ビリビリに破いてやりたいけど、こいつが死んだら波音の仲間(家族)が何処にいるのか分からなくなる。だから、吐いてくれるまで私は鳴風に搾ってもらう。

 

「辞め、ぎゃあああ」

 

「ひぃいい、殺さ………」

 

 私が白衣の男を拷問してる間に後ろでは腹を空かせた私の家族が思うように鬼を喰らっていた。

 土門は白に切り落として貰った四肢を貰い、顎は鬼の腹に顔を突っ込み内臓を引き抜いて喰らい、唐傘が首に犬歯を突き刺して血を吸ってる。もう1人の鬼は崩に何時ぞやかのように脚を軸に回転しているおそらくペラペラの紙のようにして食うんだろう。

 

「ああ、分か……った、話す」

 

 ようやく、話す気になったようだ。鳴風の尻尾をポンポンと叩き、尻尾を緩ませる。

 

「もう一度聞くよ、おじさん。あの子に何をしたの?」

 

 そして、再び同じ質問を聞く。

 

「あの魔化魍はただ、清めの音を聞かせ続けただけだ」

 

 清めの音を聞かせ続けただと。

 

「お前ええ!!」

 

 私は怒りのままに目の前の男の顔を殴った。

 そのまま倒れる男に跨り、殴り続ける。手の皮が少し切れるが気にせず殴り続ける。

 

 清めの音または音撃。魔化魍を唯一倒す方法で、音撃を受けている魔化魍は苦しみ暴れて、やがて爆散して土に還る。

 この男は苦しむ魔化魍を見て、笑いながら実験をしていたのだろう。だが、おかしな事がある音撃を受ければ、魔化魍は土に、塵へと還る筈なのだが、この魔化魍 シロウネリはこのように本来の姿とは異なるが、生きている。

 

 そんな事を考えながら、殴り続ける私。やがて、後ろから腕が伸びて私の腕を掴む。

 振り向くとお姉ちゃんがいた。

 

「もういいよ、幽」

 

 再び、男を見ると額から陥没してるように拳の跡が付いていて。男は虫の息だった。頭や鼻から血がドクドク流れ、右目は黒い穴が空いたように何もなかった。

 私はこのシロウネリをどうにかする為に家族と共に猛士北海道第1支部の襲撃を決めた。




如何でしたでしょうか?
今回のオリジナル魔化魍 シロウネリは覇王龍さんのアイディアです。覇王龍さんアイディアありがとうございます。

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