人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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はい。襲撃を始めます。
先ずは入口の制圧。
今回は・・・

ギリギリギリギリギリギリ
シュルルルル

この2体が活躍します。



記録参拾陸

「さて、どうやって中に入りますか」

 

 此処まで案内してくれた男を喰らっ(たべ)た鋏刃たちはまだ腹が空いてるのだろう。鋏刃たちだけでは無く、土門たちも腹を空かせてまだかまだかと待っている。

 そんな中、飛火と唐傘が居なくなっていた。何処に行ったのかと周りを見てると–––

 

コォォォォォン  カラララララ

 

 上から2体の声が聞こえて、上を見上げると唐傘の傘の柄にちょこんと乗っている飛火を見つける。飛火の首には小さな黒いカメラがあった。

 私の元まで来ると前脚を器用に使って、カメラを私に渡す飛火。

 

「………飛火、カメラ誰から貰ったの?」

 

コォォォォォン

 

 左前脚で羅殴を指す飛火。

 取り敢えず、カメラを持ってた羅殴と飛火、唐傘を呼んで、頭を撫でてあげる。

 

ウォォォォォ  コォォォン  カラララララ

 

 飛火たちは嬉しそうに声を上げる。

 飛火が撮ってきたカメラの写真によると今私達が居るのは、猛士の北海道第1支部の入り口の近くにある森にいる。

 そして、森を抜けて少しすれば第1支部の入り口があるのだが、その入り口には銃を構えてる男たちが立っている。

 赤によると男たちが持ってるのは対魔化魍用の音撃弾入りの銃らしい。1発自体に威力は無いが、数を揃えれば魔化魍を清めることが出来るらしい。

 

 先ずは此れをどうするか。考えてると顎と睡樹が私の側に来ていて、此処は任せろという感じで私を見ていた。

 

「分かった。顎、睡樹に入り口の見張りをお願い」

 

ギリギリギリギリ  シュルルルルゥゥゥ

 

 私の言葉を聞き、顎がその場で穴を掘り、睡樹が穴の中に入っていった。

 そして、顎と睡樹が見張りをどうにかする間に、私は次の作戦を考えた。

 

SIDE傭兵

 俺達は此処、猛士北海道第1支部に雇われてる傭兵。

 此処の見張りとたまに逃げる化け物、確か魔化魍を始末するだけで何十万もの金が入る。本当、楽な仕事だ。

 

「そろそろ見張りの交代だ」

 

「もうそんな時間か」

 

「おーーーい! ちょっと来てくれ!」

 

 仲間の声が聞こえたので、交代の前にその問題を片付けてから交代しようと思い、その場に向かった。

 向かった先には直径1mの大きな穴が空いていた。

 

「さっきまでは無かったのに急に出来たんだよ」

 

 見つけた男によると数分前に通った時には無かった筈の穴が出来ていたらしい。その程度で呼ぶなと思うが、穴を見てるとおかしなものが穴の中にある。

 それは–––

 

「おい! 誰か安田を見なかったか?!」

 

 仲間の1人 安田の履いていた靴が穴の中にあった。この穴は急に出来たのでは無い。

 

「注意しろ魔化魍が来るぞ!!」

 

 だが、気づくのが少し遅すぎた。 

 

「ぎゃああ」

 

 仲間の1人が首にツタが巻き付けられ穴の中に連れ去られる。

 男たちは仲間を連れ去ったツタが出た穴から急いで離れる。こっちには対魔化魍用の音撃弾がある。今まで逃げようとした魔化魍を殺した経験と自信があり、男たちは慢心していた。

 

 だが、この男たちは1つ重要な事を忘れている。この男たちが殺したのは音撃を受けて、弱って(・・・)いた魔化魍だという事。

 つまり–––

 

「ングっンンンン」 

 

 男が振り向くと、仲間の男の口にツタが巻き付けられていた。しかも足元に新しい穴があった。

 しかし、男は穴の中に連れ去られるわけでもなく、その場で縛られてる。男の仲間が助ける為にツタに向かって音撃弾を放つ。

 だが、穴から突如、白い影が飛び出た。

 

ギリギリギリギリギリギリギリギリ

 

 顎だった。顎は迫り来る音撃弾に向かって蟻酸を吹き付ける。蟻酸に触れた音撃弾は先から溶けていき、ツタにあたる頃にはただの鉄の塊に変わっていた。

 そして、ツタも男に巻き付ける力を強める。巻き付けられているところから血が少しずつ流れていき、肉にどんどん食い込んでいく。

 

「んぐううううううううう………」

 

 ツタに巻き付けられた男の首は正面から後ろ向きになり身体は上と下に別れ、上の身体から内臓が落ちて、下の身体からは血と内臓が溢れる。

 

 その光景を見て、男たちは込み上げて来る吐き気を押さえようとするが、顎が蟻酸を霧のように吐き、男たちの周りに漂う。

 そして、男たちの身体に異変が起きる。

 

「痒い、痒い」

 

「痛い、痛い、痛い」

 

「うがあああああ」

 

 男たちは身体を急に搔きむしり始める。

 痛みは治らずさらに強く搔く。爪に皮や血がベットリと付くが、男たちは気にせずにさらに搔きむしる。

 

ギリギリギリギリギリギリギリギリ シュルルルルルルルルゥゥゥ

 

 男たちの近くには顎と睡樹が立っており、倒れた男たちの姿を眺めている。

 男たちの姿は全身、特に首から大量の血を流し、爪にはベットリと肉片を付け、倒れている………いや、死んでいた。

 

 それを見て、睡樹は死体に足から伸ばしたツタを巻き付ける。すると死体から血が出て来るのが遅くなり、やがて死体は干からびていく。

 睡樹がツタを取った後には男たちの死体はカラカラに乾いた骨と皮だけになっていた。

 睡樹は唐傘から覚えさせられた術を使い、男たちの死体を消した。

 

睡樹

【お………仕事……か……んりょ…う】

 

【ああ、王の所に戻るぞ】

 

 顎と睡樹は穴の中に潜り、王の元へと戻っていた。

 

【さっきのが、王の所にいる魔化魍】

 

【なるほど】

 

 少し離れた所から顎達を樹の上から観察していたヒトリマとクダギツネは樹から降りる。

 

【これ喰うか?】

 

 ヒトリマは先程、睡樹にバラバラにされた男の腕をクダギツネに喰うかと尋ねる。

 

【頂きます】

 

 王を見守る前に腹ごしらいをしていたヒトリマとクダギツネであった。




如何でしたでしょうか?
次回は第1支部に囚われた魔化魍SIDEです。

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