人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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遅れて申し訳ありません。
今回は慧鬼の本名が出ます。


記録参拾捌

SIDE志々田

 まさか、直接魔化魍が襲撃を掛けるとは思わなかった。

 先程の音はおそらく、入り口が壊された音だろう。

 

「支部長! 分かってると思いますが………」

 

 慌ただしくドアを開けて入ってきたのは此処の研究員の1人だった。

 

「知っている。入り口の鉄扉が壊されたんだろう」

 

「そうです。緊急事態なのに何、呑気にお茶を淹れようとしてるんですか!!」

 

 私はその事に気にせずにお茶を淹れる。茶碗にコポコポと茶が注がれる。

 

「支部長如何しますか?」

 

「いつも通りに捕まえればいい。傭兵いっぱい居るし」

 

「………今回は、いつもの様に魔化魍単体での襲撃とは訳が違います」

 

「如何いう事だ?」

 

「王が居るんです」

 

「本当か?」

 

「間違いありません」

 

 それは良いことを聞いた、魔化魍の王は150年に1度しか現れない。それを捕まえてこの手で調べられれば、私の研究は格段と進む。

 

「良いか。絶対に魔化魍の王を捕まえろ! 他の実験体も使って構いません!」

 

「分かりました」

 

 部下たちが魔化魍の王を捕まえた報告を聞くのが楽しみだ。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE土門

 顎と睡樹は王の為に動いて、結果を見せた。

 私も活躍しなければ。

 

「魔化魍だ撃て」 

 

 そう考える土門は北海道第1支部の通路で傭兵の相手をしていた。

 傭兵たちが土門の小さな身体に向けて音撃弾を撃ってくる。弾は土門を貫こうと迫るだが–––

 

土門

【(遅い)】

 

 土門は糸を壁に張り付けては某巨人世界の兵士のような立体機動で動いて音撃弾は当たらず、さらには通りすぎに糸を振るって弾を切り落とす。

 

「当たっていない」

 

「馬鹿な」

 

 目の前にいるのはざっと数人。これくらいの人数なら充分、これで戦える。

 

「怯むな撃て!」 

 

 はあーーー無駄だというのに。 

 

 土門が前脚を動かす度に音撃弾は土門に当たらずに切られて地面に落とされる。

 音撃弾を撃ち続けて、弾切れを起こした瞬間に土門は動く。

 

土門

【丁度良いところに】

 

 天井に向かって土門は跳び、リロードをしている傭兵の頭の上に移動する。リロードが終わり、土門に銃を向けるも天井にいた土門はいつの間にか傭兵の背中に飛び移り、背中に前脚を突き刺す。

 

「ぐぎゃあああ」

 

 背中から腹に貫通した土門の刺された前脚で苦しむ傭兵を見るも他の傭兵は構わずに銃を撃つが、土門は傭兵の背中から後ろの壁に向けて糸を吐き、傭兵の身体ごと壁に移動する。

 音撃弾は傭兵の身体に当たり、微かに息のある傭兵は大量の音撃弾を防ぐ盾にされてそのままこと切れた。

 

「此奴、盾にしやがったのか!!」 

 

 土門のやった事で傭兵たちは怒る。

 だが、次の瞬間にヒュッと何かが通ると2人の傭兵の首が床に落ちる。

 

グルルルル

 

 土門の唸り声が盾にされた傭兵から聞こえる。

 

 私が盾にした人間の背中から肩に向けて移動する。

 私の眼による睨みが人間たちを震えさせているみたいだ。

 私が再び前脚を動かすと、1人の人間を残して、数人の人間は斜めに身体を斬られて上半身と下半身に分かれる。その様子を見ていた傭兵は顔を青くする。

 

「うああああああああ」

 

 人間が私に音撃弾を撃つが私はジグザグに移動して音撃弾を避けて、人間の腕に糸を吹いて、その糸の上を綱渡りの様に移動し、人間と顔を合わせる。

 

「ひいいいいいい」

 

 顔の前にいる土門に恐怖で動けない男が最後に見たのは、自分に向けて前脚を振るう土門だった。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE慧鬼

 鬼の私が猛士に反逆をするとは世も末だね。だけど今回の幽の気持ちはよく分かる。

 前世の頃に私が見ていた仮面ライダー響鬼の魔化魍にハマって妖怪博士になると言っていた幽。けれど、そんな事は出来ないという事で普通のOLとして働き、時間がある時に妖怪を調べていた。しかし、夢は叶えられずに幽は老衰でこの世を去った。

 

 そんな幽は今じゃ魔化魍の王、世の中何があるか本当に分からないね。

 

「そう思わない、散鬼や無銘ども」

 

「う、うううううう」

 

「があああ………」

 

「ガフっ」

 

 今、慧鬼の足元には此処、北海道第1支部にいる鬼たちが体の至る所から血を流して倒れていた。

 こんな状況を起こしたのは言うまでもない。この慧鬼である。

 

 彼女が何故この様な状況を起こしたのか、それは彼女の逆鱗に触れたからだ。

 慧鬼いや安倍 春詠は前世の頃から幽に対してかなり甘い姉なのだ。それも他の兄弟が見てるだけで砂糖を吐き出したくなるほど。

 

 例えば、幽が前世の子供の頃、妖怪に会いたいと言った際には、ありとあらゆる心霊スポットに行き、妖怪を探すほどだ。結局は見つからずに幽が落ち込んで、願いを叶えることの出来ない情けない兄だと思って1週間も何も喉を通らなかった程だ。

 

 そんな姉の前でこの鬼たちはあることを言った、『魔化魍の王を捕まえ実験に掛ける』と–––

 

 その言葉を聞いた春詠は慧鬼に変身し、目の前にいる散鬼たちを一方的な攻撃で腕や脚を撃ち抜いたのだ。しかも僅か30秒でこの惨状を作り出したのだ。

 

 だが、1つ言うとしたらこの姉の起こした惨劇は他の兄弟に比べたら比較的に優しい方なのだ。

 

「そういえば白が、人間()が足りないって言ってたけ」

 

 ポンっと手を叩き、思い出す慧鬼は唐傘の使っていた空間倉庫の術を使い、散鬼たちを空間に保存した。

 

「これで少しは土門たちの腹の足しになるでしょう」

 

 慧鬼は春詠の姿に戻り、囚われの魔化魍の捜索に戻った。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE◯◯

 急に第1支部内部が騒がしくなってきた。走り回っている研究員から話を聞いてみると、魔化魍の王が来たと言った。

 

「!!」

 

 この話を聞き、私はチャンスだと思った。今のこのタイミングなら保管庫に見張りはいない、私の変身鬼弦を取り戻せる。

 そう思った私は、保管庫に向かった。

 

 保管庫に向かって走り続けてると、赤い扉が見えて来た。

 だが、赤い扉の目の前には鬼が立っていた。この時、私の脳裏にあの男の下卑た笑みが横切った。しかし、今諦めたらショウケラやジュボッコ、アカエイ、アオサギビを助けられない。

 覚悟を決めて、もう一度扉を見ると………違和感に気付く。

 

 あの鬼、私を視認出来てる筈なのに攻撃してこない。あの男の方針で疑わしきは仲間でも殺せがモットーになりかけてる鬼なのに。

 そして、その理由が分かった。

 

「………これは」

 

 鬼は立ちながら死んでいた。しかも鬼の首は斬られてるようだが、斬った後に元の場所に戻すように首を置いた様な死体だった。

 何故この様な事になってるのか気になったが今は、変身鬼弦を取り戻すことが優先だ。

 

 死体を壁に寄りかからせて、私は扉を開ける。まず目に入ったのは。

 

「そろそろ来る頃だと思っていましたよ調鬼」

 

 あの男の隣によく立っていた男が積まれてる木箱の上に座っていた。




如何でしたでしょうか?
今回はこの様な話です。次週をお楽しみに
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