SIDEヤドウカイ
遅い、何時なら直ぐに帰ってくる
珍しいと思いながら、昔のことを思い出していた。
私の母が猛士の鬼と戦って死に、四国に渡り、そこでガシャドクロに出会った。それからヒトリマ、カンカンダラ、ランピリスにエンエンラに会い、数百年が経った。
ある時、何を思ったのか私はガシャドクロ達に何も言わずに人間に化けて、東京に向かった。その時に出会ったのが幽冥お姉ちゃんだった。
そして、何日も続けて幽冥お姉ちゃんと遊んでる時に私は気付いた。幽冥お姉ちゃんの右腕にある魔化魍の王の痣に、母の痣を何度も見ていたのでそれを見て驚いた。
私はある事を聞いてみた。『
その時、幽冥お姉ちゃんが言った言葉は今でも忘れていない。
その後に私は幽冥お姉ちゃんに何も言わずに四国に戻った。戻って早々にカンカンダラに説教された。説教が終わった後にある噂を流し始めた。
『人間なのに魔化魍を家族と言う王の噂』を流した。
そして、8人の鬼の1人だった暴鬼を仕留めて、魔化水晶を手に入れて、ランピリスとエンエンラのお陰で総本部の魔化水晶も手に入れた。
持っている魔化水晶は全部、幽冥お姉ちゃんに会った時に渡そうと思っている。
【ヤドウカイ】
【何ですか? ガシャ?】
【ヤオビクニが言っていたんだが、後少しで王が来るぞ】
【………………えっ?】
え、ええええええええええええええ!!
嘘、王が幽冥お姉ちゃんが来るの!! こうしちゃいられない。
【て、ヤドウカイどこ行くんだよ! しかも人間に姿を変えて、おい!】
後ろから聞こえて来るガシャの声を無視して、私は幽冥お姉ちゃんに会う時に着る服を取りに行った。
SIDEOUT
SIDEガシャドクロ
【行っちまった】
はあ、あいつは王のことになるとすぐあれだ。だが、そんな奴について行く、俺も奴に文句を言う筋合いはねえな。
思い出すな。あいつと出会ったあの頃を–––
〜回想〜
喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない喰い足りない。
幾ら人間を喰らってもこの飢えを満たせない。俺は孤独、孤独な独眼蛇。
俺は純粋な魔化魍ではない。元はただの毒蛇。俺は物好きな人間に飼われていた。その人間は俺を家族のように接してくれた。
だがある時、飼い主は死んだ。
原因は俺を連れて散歩をしてる時に魔化魍に襲われた。俺は無力だった何も出来ずにただ喰われる飼い主を見ることしか出来なかった。俺は敵を取るかのように魔化魍に飛びかかった。
だが、結果は言うまでもないただの毒蛇と魔化魍だ。俺の体は上と下に別れて、片目が潰れた。魔化魍に喰われ上半身しか残ってない飼い主の側にポトっと落ちた。
すると、最後の力を振り絞ってか血に染まった腕で飼い主は俺を優しく撫でた。
俺はその時、この人間と一緒に死ぬのも良いかもしれないと思うが、魔化魍が再び飼い主を喰おうと向かって来る。
嫌だ。これ以上、この人が喰われるのを見たくない。その思いが叶ったのか、俺の身体は変化していた。潰れた眼はそのままで、別れた下半身の代わりに白骨化した下半身が生えて魔化魍 ガシャドクロに生まれ変わった。
その後は、一方的な攻撃で魔化魍を殺して喰らった。魔化魍を喰らった後に、直ぐに飼い主の元に向かうが既に息をしておらず、俺を撫でるために伸ばした手がそのまま冷たくなっていた。
俺は飼い主の存在を忘れないように飼い主の頭だけを残して、残った飼い主の肉を喰らった、残った頭は溶解液で溶かし、その頭蓋骨を持ってあてもなく動いた。
それからはポッカリと空いた穴を埋めるように人間を襲い喰らった。
その何ヵ月後に出会ったのが、ヤドウカイだった。
〜回想終了〜
飼い主の頭蓋骨は戦闘用に使うやつではなく、ちゃんと大事にしまっている。
今でもそれを眺めて魔化魍になる前の記憶を思い出すことを繰り返している。これをしている時はヤドウカイ達も何も言わない。
それでもガシャドクロが思うのはもう1度あの名前を呼ばれたい。ガシャドクロと名乗る前の飼い主から付けられた名前を–––
このガシャドクロの願いは、あることによって叶うがそれはまた別のお話。
如何でしたでしょうか?
次回はいよいよヤドウカイとヤオビクニに幽冥達が会います。