人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

49 / 165
1週間ぶりです。
作者の創夜叉です。やっと北海道編の話の締めともいうべき幽冥VS鬼を書けそうです。
長く読んでくれてる皆様、これからも人間だけど私は魔化魍を育てています。を読んでください。


記録肆拾漆

【幽冥お姉ちゃんに紹介するね私の仲間】

 

「幽に紹介するよ私の友人達を」

 

 廃寺に入ってすぐに朧と美岬(2人がこう呼んでという事で)がそう言った。

 美岬が木の戸を開けると、そこには–––

 

 片目の無い下半身が白骨化してる蛇の魔化魍がいた。

 

 炎を頭に灯した二足歩行の蜥蜴の魔化魍 ヒトリマがいた。

 

 6本の腕を持つ下半身が蛇の女の魔化魍がいた。

 

 女性の持つ古パイプから出ているツートンカラーの貘の魔化魍がいた。

 

 全身がプルプルしてる肌色の玉の魔化魍がいた。

 

 鯱の頭に虎の上半身の人型の魔化魍がいた。

 

 蛇の頭部に鰐の身体を持つ魔化魍がいた。

 

 青い作務衣を着た雨蛙の魔化魍がいた。

 

 全身に包帯を巻いた人型の魔化魍がいた。

 

 黒い面を着けた和服の男の魔化魍がいた。

 

 白い面を着けた和服の女の魔化魍がいた。

 

 赤い霧を身体に纏った蝙蝠耳と翼を持つ女の魔化魍がいた。

 

 竹筒に入った細長い体躯の白い狐の魔化魍 クダキツネがいた。

 

 黒のコートにサングラスを掛けた男と古パイプを持つ黄緑の服を着た女性がいた。

 

 朧と美岬を含めて15体の魔化魍と2人の人間(?)が部屋の中に揃っていた。

 

「シャシャシャ、こいつが魔化魍の王か」

 

「想像より少し幼いですね」

 

 黒のコートを着た男と黄緑の服を着た女性が私を見てそんな感想を述べる。

 

「司郎、幽を馬鹿にするのは許さないよ」

 

「落ち着け美岬。別に馬鹿にしてるわけじゃねえ、シャシャシャ」

 

 美岬が黒コートの男に注意するが、男は気にせずなんのそのといった感じだ。

 

【こ、こんにちわ//////】

 

飛火

【うん。こんにちわ】

 

 白い顔がリンゴのように赤くなっているクダギツネが飛火に挨拶していた。

 

【ほう。かなりプニプニしてるな】 

 

シュルルゥゥゥ////

 

 睡樹の脚から伸びる蔓をプニプニと揉む蝙蝠耳と翼を持つ女の魔化魍。

 

羅殴

【…………】

 

【…………】 

 

 羅殴と鯱の頭と虎の上半身を持つ人型の魔化魍が無言で握手している。

 

【ふあああああ、もう少し寝かせてランピリス】

 

「駄目です。もう最大睡眠時間は過ぎてるんです。いい加減起きなさい」

 

【ランピリス少し落ち着いて。こういう子は優しく起こすんだよ】

 

【う、美味そう】

 

 古パイプから出てるツートンカラーの貘の魔化魍を怒る黄緑の服を着た女性と全身プルプルの肌色の玉の魔化魍。そして、プルプルの魔化魍を見て涎と蟻酸をポタポタ同時垂らす顎。

 

「ねえ、蛇のお姉ちゃん抱っこして」

 

【ふふふ、いいわよ】

 

 6本の腕を持つ蛇の魔化魍に抱っこしてとお願いするひな。

 

【$=#$^^+£】

 

土門

【何ておっしゃっっているのですか?】

 

【えええと】

 

 全身に包帯を巻いた人型の魔化魍の良く分からない言葉を何と言ってるのかと、白い面を着けた和服の女の魔化魍に聞く土門。

 

【お久しぶりでございやす】

 

 私の家族達も実は喋れたという事実に驚いてる私に青い作務衣を着た雨蛙の魔化魍が私に声を掛ける。

 

「えっと貴方は………」

 

【おお、そうでございやした前は術で一方的に喋っただけでございやした】

 

 手を口に当ててゲコッと咳払いをすると。

 

【あっしは美岬様に仕えてる魔化魍 アズキアライと申しやす】

 

「そう。貴方があの貸家を」

 

【そうでございやす。お気に召してもらいやしたか?】

 

「うん。お陰で寒い外で野宿しなくて良かったよ」

 

【そうでございやすか。それは嬉しい限りでございやす】

 

 私の感想を聞いて、嬉しそうに笑うアズキアライ。 

 

ピィィィィィ カラララララ

 

 すると、鳴風と唐傘が私の服を掴んでいた。

 

【【王、猛士の鬼たちが近付いてる】】

 

「えっ?」

 

 唐傘の報告で賑やかな空気が張り詰めた空気に一瞬にして変わった。

 

SIDE◯◯

 廃寺から少し離れた、海岸には4人の鬼がいた。

 その内の3人は似た姿をしていた。一本角で白の身体に鈍色で縁取りされている。違いがあるとするならばそれぞれの胸元に描かれた松、竹、梅の絵だけ。

 彼らはこの北海道にいる3つ子の鬼であり、清めた魔化魍は3桁はいく。長男の松鬼、次男の竹鬼、三男の梅鬼この3人を合わせて、『松竹梅兄弟』と呼ばれている。

 

 そして、その兄弟の間にいる鬼こそ、この北海道にいる8人の鬼の1人。

 先端が丸みを帯びた一本角で、松竹梅兄弟の身体よりさらに白い身体、藍色で縁取りされていて左肩には鳥の翼を模した肩当てが付いている。

 そして、背には先祖から代々受け継がれている武器 音撃吟遊詩弦(リュート)を背負っている。

 その名は想鬼、又の名を白撃の想鬼。

 

「さあて、お三方準備はOKか?」

 

「もちろんです」

 

「ばっちりだぜ大将」

 

「いつでもいける」

 

「さっさと目的の魔化魍の王様と殺し合おう」

 

「「「おお!!!!」」」

 

 鬼達の雄叫びにも似た声が海岸に響く。

 

【そうはいかない!!】

 

 海から女の声が聞こえる。想鬼たちは武器を構えて辺りを見渡す。

 

「誰だ!! 出てこい!!」

 

 梅鬼が謎の声に対して問い掛ける。

 

【いいでしょう。じゃ………死になさい】

 

 すると、海面が勢いよく盛り上がり、そこから4つの影が飛び出す。

 そして、その影の1つは4人の鬼に無数の炎を放つ。

 

 当たる寸前に想鬼が音撃吟遊詩弦(リュート)のネック部分に収納されてる仕込み刀を抜き、鬼火を切り裂く。

 そして、海岸の砂浜に4つの影が降りてくる。

 

ルルル、ルルル フシュルルルルル ピァァァァァァ

 

 濡れた黒の尼服を着た人間態の美岬。

 

 無数の触手と赤と青の2色の炎を灯した海月 浮幽。

 

 複数の絵の具をグチャグチャにした色をしていたが王の手によって元の姿に戻った白龍 昇布。

 

 

 罅の入った身体から完治した鷹の翼を持つ赤鱏 兜。

 

 

 美岬達が姿を現わすと同時に『松竹梅兄弟』の影から黒い腕が伸びて『松竹梅兄弟』の身体を掴み、そのまま『松竹梅兄弟』と共に何処かに消えた。

 

「今のはてめえらの仕業か」

 

【ええ、あの兄弟の連携は厄介ですので分断させてもらいました。浮幽、昇布、兜、貴方達もあの兄弟の相手をして】

 

ルルル、ルルル フシュルルルルル ピァァァァァァ

 

 浮幽たちは声を出すと共に今度は浮幽たちの影から黒い腕が伸びて、浮幽たちの身体を掴み何処かへと消えた。

 

「お前1人で俺と戦うってか、ナメるなよ」

 

【ナメてませんよ。それに誰が1人で相手するといいましたか】

 

 海岸から黒い渦が発生して、2つの影が浮かび上がってくる。それは–––

 

アオオオオオオン

 

 遠吠えに似た鳴き声を上げる三度笠を被った黒の狼 朧と漆黒を思わせる黒髪に和服に似た服を着た現9代目魔化魍の王 安倍 幽冥だった。

 

 今、この北海道の地で現9代目魔化魍の王と8人の鬼の1人 想鬼との戦いが始まった




如何でしたでしょうか?
次は飛ばされた松竹梅兄弟の行方を送りします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。