はい。北海道編が終わりましたが、まだ館には戻りません。
SIDE朧
間違いないお母さんの風だ。
小さい頃から何度も
その風は鬼の身体をズタボロな赤い肉塊に変え、美岬は何かを見つけて肉塊の方に向かうが、私はそのまま、お母さんの元に走る。
朧
【お母さん?】
「……………」
朧
【お母さんなんでしょ!!】
「………久しぶりだね朧」
顔は幽冥お姉ちゃんだけど微笑んだ顔がお母さんと同じだった。その顔を見た私の行動は早かった。
お母さんの胸に飛びつく。
「ふふ。立派になったのにまだ抱きつくの?」
朧
【だって……グス……】
「こうやるのも数百年ぶりだよ」
朧
【お母さん…お母さん】
私はお母さんの胸元で泣くが、お母さんは私の肩を掴んで私から離す。
朧
【お母さん?】
「………朧、そろそろ時間なの」
朧
【お母さん消えちゃうの……嫌だ…嫌だ、お母さんと別れるのは嫌だ】
「朧、今の私は9代目の身体を借りて喋る魂のような存在なの、だからこれ以上、身体を借りててはいけないの。
でも、今日とは違う日にまた話す事が出来るは……その時まで待ってていられる?」
優しく論しながら私にも頭を撫でて話すお母さん。
お母さんと離れるは嫌だ。でも、それで幽冥お姉ちゃんが元に戻らないのも嫌だ。
朧
【分かった。次に話すときは色んな話しを聞かせてあげ………わっ】
幽冥に憑依したイヌガミは朧が喋ってる途中で抱きしめて笑顔で話す。
「その時を楽しみにしてるよ朧…………………あれ?」
私を抱きしめながら別れの言葉を言って、お母さんは魔化水晶の破片の中に意識を戻して消え、幽冥お姉ちゃんの姿も元に戻り、今の状況がよく分かっていないのか戸惑っているようだ。
SIDEOUT
SIDE美岬
幽冥に憑依したイヌガミが朧と話しをしていた頃。
美岬
【この近くに落ちたはずなんだけど………】
地面に落ちた肉塊周辺を何かを探す美岬。
彼女が探してるのは8人の鬼が必ず1つ持っている物、魔化水晶の破片である。
そして、上空から落ちてくる想鬼の肉塊と青く光る物を見つけた美岬は朧のこともあったので、その場から離れて魔化水晶の破片を探すことにした。
数分経った頃に、その手には透き通った水晶を手に取る。
美岬
【間違えないこれは魔化水晶】
目的の物を見つけた美岬は王の元へ戻った。
そして、美岬が見たのは、朧を抱きしめているが状況に戸惑っている幽冥の姿だった。
この状況を見た美岬の心は羨ましいと朧に対して思う。
だが、美岬はその心に蓋をして落ち着いた頃に幽冥の方に歩き出す。
美岬
【幽、貴女に渡すものがあるんだけど】
「………あ、美岬。で、何を」
美岬
【あの鬼が持っていた魔化水晶の破片。受け取ってくれる?】
「うん。ありがとう」
そう言うと幽は私の持つ魔化水晶に手を伸ばし、私はその手の上に魔化水晶を置くと。
朧、美岬
【【えっ!!】 】
魔化水晶を受け取った幽は砂の地面に倒れた。
それを見た幽冥の魔化魍たちは慌てず幽冥を跳が人間に化けて借りた貸家に移動した。
SIDEOUT
ここは?
私の周りには本を詰め込んだ本棚がズラリと並んでいた。
8人の鬼の想鬼との戦いが終わり、朧に抱き着かれ、落ちて来た魔化水晶の破片を美岬から渡されて–––
「そこからは………私が、説明します」
上から声が聞こえたので、上を見上げると………って、ええええええ!!
上を見上げたら複数の巻物を持ち、札の様なものが大量に貼られ両肩に鈴が付いた漢服、紫の紐で結った赤紫色の髪、モノクルを掛けた女性が宙に浮いていた。
そして、左眼に青い龍の痣に似た紋章が描かれていた。
あ、貴方は?
「私は………2代目魔化魍の王 フグルマヨウヒです」
フグルマヨウヒさんですか、シュテンドウジさんとイヌガミさんを入れて3回目ですね。
「シュテンドウジですか………はあー」
どうしたんですか? そんな長い溜息なんかして。
「魔化水晶の中にいる王達は、水晶が集まる事に他の水晶の王の所に行き来出来るんですが、その……シュテンドウジは私の遠い子孫なので」
え?
えええええええええ!! ………イヌガミさんの娘が朧なのも驚いたけど、王の子供の中に王が産まれることってあるんですか?
「特殊といいますか、産まれるようです。ただ私がそれを聞いたのは、魔化水晶の中にいる時ですけど………」
なんか、色々複雑なんですね。
そして私はその後に子孫であるシュテンドウジさんのことについて壊れたラジオのように喋り続けるフグルマヨウヒさんの話を聞いていた。
SIDE赤
王が想鬼と戦って、美岬が持ってきた魔化水晶を触ったら倒れた。
王の姉、春詠様によると魔化水晶を触ると起こる現象で何日間眠って暫くすると起きるらしい。
北海道で王が借りた貸家に全員で移動して、王が目覚めるのを待っている。
「王………」
睡樹
【心配……しなくても…大…丈夫………赤】
そう言って話しかけるのは以前に私と似たような事をしていたという睡樹だった。
睡樹
【主………を心配するの…は僕にも………分かる…でも………そんな…顔し……たら主が………目覚めた…とき……悲しむ】
そう言って、睡樹は私の頭を撫でる。
睡樹
【こう……すると…………落ち着くで…しょ】
確かに少し落ち着く。そして、眠気が–––
SIDEOUT
SIDE睡樹
そ……れにしても………よく眠……る。
自分の膝を枕のようにして眠る赤の頭を撫でながらそう思う。
僕も前…はこん………な風に主…を心配……してい…たもの………だ。
眠る………赤……を主のベッド……にのせ…て僕は白……達の所…………に戻る…ことにした。この……様子だ…とまだ、主は………眠ってそうだ…し、白に……報告…を頼ま……れたから。
でも、少し……だけなら主…の頭を撫…でても…い…い…かな/////
そう思った睡樹は幽冥の寝るベッドに近付きツタの腕を伸ばして、幽冥の頭を優しく撫で始める。
シュルルゥゥゥゥ
睡樹はそのまま幽冥の頭を撫で続け、報告を待っていて様子を見に来た白にお仕置きされるのはまた別の話。
如何でしたでしょうか?
今回は新たな王の登場です。
茨木翡翠さんのアイディアのフグルマヨウヒが登場です。
前回は言葉だけでしたが今回はキャラを出して見ました。
次回をお楽しみに。
質問コーナー回答の欄
幽冥
「今回は悪維持さんの先代の魔化魍の王であるシュテンドウジさんとイヌガミさんの能力はどんなものかについての質問ですが、今回はおふたりをよく知ってるこの魔化魍達に答えてもらいます。どうぞ!!」
朧
【イヌガミの娘 ヤドウカイの朧です】
拳牙
【スイコの拳牙だ】
朧
【まずは私からお母さんの能力はズバリ、風を支配する能力だよ。お母さんは周囲にある空気を操作して風を作り出して、それを身体に纏わせたり、攻撃に使っていたんだよ】
拳牙
【次は私だな我が王シュテンドウジ様の能力は治癒能力と鬼を体現する能力だ】
幽冥
「拳牙、鬼を体現する能力って」
拳牙
【シュテンドウジ様の鬼を体現する能力は正に鬼という言葉を表す能力です。その力は山を砕き、海ほどの酒を飲み干し、正々堂々の戦いを好み、あらゆる姿に化けれるといった鬼の事で有名な事が出来る能力です】
幽冥
「なるほど…………は、如何でしたでしょうか!! 貴方の疑問はこれで解決したでしょうか? 他にも気になる質問があったら活動報告に書いてください!!」