人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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お待たせしました。
今回は幽冥が目覚める前に王を驚かそうとする幽冥一家魔化魍の話でした。


記録伍拾参

SIDE跳

 現在、幽冥が寝てる貸家の外では跳と幽冥家の魔化魍たちや食香、拳牙、大尊、鋏刃、穿殻、浮幽が集まっていた。

 その理由は–––

 

【では、今からあんた達には人間になる為の術である擬人態の術を教えやす】

 

 そう。今、跳の前にいる魔化魍たちは人間に化ける術である擬人態の術を跳に伝授してもらうところだったのだ。

 

 以前、崩に伝授してもらった縮小の術は自身の身体を任意のサイズに変える術で土門たちはこれを使って、館の中に入れるようになったが、それでも行動出来ることが身体の形が人間とは異なる魔化魍では制限されることがあったので困っていた。

 そして、北海道でそのことを話すと最近の術については詳しい跳が術の方法を知っていたため、跳が伝授することのなったのだ。

 

【この術は自分の姿を人間にした姿に変わりやす、初めは上手くいかないかもしれやせんが頑張ってみるでやす】

 

 跳にそう言われて、各々は教えられた通りに術の発動を始める。

 

 すると最初に術が成功したのは土門と食香だった。

 土門の立っていた所には金と黒の打掛を着て、黄色のメッシュが入った黒の団子ないしのポニーテールにした女性に変わり、食香が立っていた所には少し膨よかな体型で肌色のエプロンを着けた包容力がある眼鏡を掛けた女性に変わった。

 

「これが人間の身体ですか」

 

「すごいですね」

 

 土門と食香は自分の手を見て、感想を述べる。

 これを見た他の者も次々と成功していき、魔化魍から人間に姿を変える。

 そして、跳を除いて全ての魔化魍が擬人態の術で人間に姿を変えていた。

 

「すげえ、これが王と同じ人間の身体」

 

「でも、空飛べない、あーあー」

 

「飛べたらおかしいだろ、馬鹿」

 

 ザンバラ髪の白い鉢巻を巻いた法被を着た少年になった羅殴は興奮気味に自分の姿のことを喋る。

 水色パーカーの水色の髪の幼女になった鳴風は自分の思ったことをそのまま口にして、少し落胆する。

 

 深緑の迷彩ベレー帽を被り左手に黒の指抜きグローブを着けた青年になった顎が人間の常識ではないことに対して毒のあるツッコミを鳴風に入れる。

 

 跳はその姿を見てうんうんと首を振り、満足そうに笑っている。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE衣鬼

 廃寺の地下に繋がれていた鬼の2人は今は貸家の側にあった物置小屋が監禁場所となっている。

 最初の頃と違って、突鬼の格好も貧乏そうな囚人服からジャージのような服装に変わっている。

 

「なあ衣鬼〜」

 

「何?」

 

 隣に繋がれている突鬼の言葉に反応する衣鬼。

 

「あいつの妃になるのいんじゃねえか」

 

「ええ!!」

 

 突鬼の突然の言葉に声を荒げる衣鬼。

 

「いやさ。もう魔化魍とかうんぬん抜きで、確実にあいつはお前にホの字だと思うぜ」

 

「で、でもやっぱり私は人間の方が………」

 

「うん? お前知らねえのか?」

 

「ん? 何を?」

 

「あーー知らねえのか。あの噂のことを」

 

「??」

 

「俺はつい最近、北海道に来たのはお前も知ってると思うけど、前にいた佐賀支部で聞いた話だ」

 

 その話を聞いた衣鬼は心当たりがあるのか記憶を思い出そうとする。

 佐賀支部は九州地方支部の1つで九州地方の中で少数精鋭に特化した支部で腕利きの鬼もいる。

 だが、おかしな噂があったはずだ。

 

「そこには魔化魍と結ばれた(・・・・)鬼がいるって話だが」

 

「!!!!」

 

 思い出した。かなり前に佐賀支部で広まった噂の事だった。

 魔化魍と結べばれた裏切り者の鬼がいて、さらにはその間には子供がいたという話だ。

 そんな会話をしてる2人は気づいていなかった。

 

屍王

【ほう。成る程、魔化魍との間に子は成せるのか】

 

 屍王の本体が2人の会話を聞いていた。

 屍王はこの話を聞いて、その後、さらに衣鬼を欲するようになったのは言うまでもない。




如何でしたでしょう?
幕間の次に話のためのお話を入れました。


質問コーナー回答の欄

「王が目覚めてませんので、今回は私が進行します」

鳴風
【進行補佐のイッタンモメンの鳴風だよ】

睡樹
【おな……じく、コロ…ポック……ルの…睡樹】


「今回は悪維持さんの公認中のカップルはいるかという質問ですが………」

睡樹
【今の…所はまだ…出…て来てない…けど】

鳴風
【話が進むに連れてこれはというような関係がいくつか出てくるよ】


「……………」

睡樹
【ど……うし……た…の白?】


「私も王に愛されたい!!」

白以外
【【…………】】


「なんで私の気持ちに気付いてくださらないのですか!!」

睡樹
【進行者の白……がトリップして…るのでここ……まで】

鳴風
【他にも気になったことがあったら質問コーナに書いてね。では】

白以外
【 またねーー】【ま…たね】


「はああ、王よ」

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