人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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お待たせしました。
コラボ編第2話です。



弐 邂逅

 遠くに見えた西洋の城に近付き、門の前に辿り着く。

 

「館より大きいね幽」

 

「そうだねお姉ちゃん」

 

 普通の家だったら、呼び鈴でも押して、中に入らせて貰うだけど、こんな西洋の城の門に呼び鈴があるわけ無いし。

 そう思って、門の前で立ち往生していると–––

 

【てい!!】

 

 そんな軽い声で前脚を使って朧が門を押すと、門は音を立てながら大きく開く。

 

「朧………開けるときは開けるって言って」

 

【は〜い】

 

 朧にそう言って、開けてしまったものはしょうがないので、中に入るとあるものが目に入った。

 

「「「「「「ようこそ。煉獄の園(パーガトリー・エデン)へ」」」」」」

 

「「「あれは!」」」

 

【?】

 

 私とお姉ちゃんと美岬は驚き、朧はなぜ驚いてるのか分からないので頭を傾ける。

 朧が理解できないのも無理はない。何故なら目の前にいる複数の異形達の事を知っているのは前世の記憶を持つ私とお姉ちゃんと美岬だけだ。

 特にお姉ちゃんはその存在をよく知るだろう。

 

 異形達は特撮でいう戦闘員と呼ばれているもので、仮面ライダーやスーパー戦隊での敵組織や敵キャラの部下とも言える存在だ。

 そして、今いるのは3つの戦闘員だ。

 

 1つは、のっぽらぼうのように顔の無い真っ黒な顔に黒のパーカー、身体には人間の肋骨を思わせる服、そして腰に巻かれている眼をイメージしたベルトを着け、眼魔眼魂から生み出され、動きはゾンビのように緩慢で、集団で襲いかかる。

 英雄の魂を力に戦った仮面ライダーゴーストに出る眼魔世界から送り込まれた戦闘員 『眼魔コマンド』。

 

 1つは、黒のロングコートで黒のソフト帽を目深に被り、首には白のマフラーがなびくギャングファッションで、口元の薄ら笑いに似た模様、影から現れてステップを踏みながら、帽子のツバを片手で摘んで構える。

 創造力が力となる烈車戦隊トッキュウジャーに登場する光を嫌い、全ての世界を闇に変えようとしたシャドーラインの戦闘員 『クローズ』。

 

 1つは、戦国の足軽に似た身体で、青と黒の体色に正方形を正しく並べたような鎧姿、鬼面のような紋章の入った編笠を被り、手には種子島型の銃にもなる長い槍、封印の手裏剣から漏れ出た牙鬼幻月の妖気から生まれる。

 ラストニンジャを目指す孫たちが変身する手裏剣戦隊ニンニンジャーと戦った妖怪の恐れを集めるために人間を襲う牙鬼軍団の足軽戦闘員 『ヒトカラゲ』。

 

「ねえ、幽これって歓迎されてるんだよね?」

 

「多分」

 

 すると、その中の1体のクローズがお決まりのように帽子のツバを摘みながらこちらに歩いてくる。その姿に朧は戦闘態勢に移ろうとするが、幽冥が手で制した。

 

「安倍 幽冥様でよろしいでしょうか?」

 

 いきなりのクローズの言葉に幽冥は驚くが、それを内面にしまって、クローズの質問に答える。

 

「そうです。私が安倍 幽冥です」

 

「幽冥様が来たら案内を申しつけられたクローズAです。あるお方が貴方にお会いしたいと仰りまして、着いて来ていただけないでしょうか?」

 

 クローズAの言葉が事実なら館をこの場に転移させたのはそのあるお方なのだろう。

 取り敢えずはそのあるお方に会うために私達はクローズAに着いて行く事にした。

 ちなみに、他のクローズ達も眼魔コマンド達とヒトカラゲ達は私たちの背後から着いて来ている。

 

SIDE白

 王たちが外の調査に出られて、数時間経った。

 私は王が居ない時には、王の代わりに指揮権を行使できるので、まずは館の防衛用罠を顎や跳たちに製作させ、黒と食香にはひなと波音の世話と護衛をランピリスワームやマシンガンスネーク、インセクト眼魔には館の防衛を鳴風と唐傘、兜には上空からの索敵を頼んだ。

 

 白は館の1階にある部屋の1つでこの世界の情報を纏めていた。

そんな中に館の窓から水色のパーカーを着た水色のショートヘアの幼女の姿の鳴風が降りてきた。

 

「白、何かが館に近づいているよ」

 

 鳴風の報告で、白はこの場所にも生物に準ずる何かがいるのが分かったのは嬉しいと思うが、それが友好的なのか好戦的なのかが分からないいじょう何かがあってからでは遅い。

 そう思った白は目の前の鳴風に指示を出す。

 

「鳴風。全員を門の前に集合させて」

 

「分かった」

 

 鳴風はそのまま部屋の扉を開けて、部屋から走り去った。

 白も纏めた情報を机の上に置き、部屋の扉を閉めてから門の前に向かった。

 

 館の門の前には、朧と美岬を除く、王の愛する家族が集まっていた。

 白が近くに来たのに気付き、みんな静かになり白をジッと見る。

 

「みんなよく集まりました。王が外の調査で居ない間は私が代理で指揮を執ります」

 

 白の声に反論するものはなく白はそのまま話を続ける。

 

「鳴風たちの報告でこの館に向けて何かが向かって来ています。

 王が居ない今、館を守るのは我々しか居ません。王の指示の為、友好的なら館に招待しますが、我らに敵対するという愚かな生物は撃滅しなさい」

 

グルルルルルルルルル  ピィィィィィィィィィィ  ギリギリギリギリギリギリ

ノォォォォォォォォォン  シュルルゥゥゥゥゥゥ  ウォォォォォォォォォォォ

コォォォォォォォン  ジャラララララララ  カララララララララ  ボオオオオオオオオ

ヒュウウウウウウウウウ  フアアアアアアア  プルルルルルルル  グガアアアアアアア

キュウウウウウウウン  ショキ、ショキ、ショキ、ショキ  ハハハハハハハハハハハハハ

キキキキキキキキ  コン、コン、コン、コン  ンキィ、ンキィ、ンキィ、ンキィ

ヒュルルルルルルル  ルルル、ルルル、ルルル、ルルル  フシュルルルルルル

クルウウウウウウウ  ピァァァァァァァァァ  ユレレレレレレレ

チッチッチッ、チッチッチッ、チッチッチッ、チッチッチッ

 

 家族たちの肯定を表すような雄叫びが館に響く。

 

SIDEOUT

 

 クローズAに着いて行くと1つの部屋の前で止まる。そして、扉の前でいつもの格好になり私に話をする。

 

「幽冥様。こちらに幽冥様をお待ちしているお方がおります。

 私共の案内はここまでですので、では」

 

 そう言ってお辞儀し、他の戦闘員メンバーと共にクローズAは下がっていった。

 私は少し困惑しながらも扉をノックしようとしたら。

 

「ふふ、開いてるから入って大丈夫だよ」

 

 中にいる者からの声でノックするのをやめてそのまま取っ手に手をかけて扉を開ける。

 

「「「「お邪魔します」」」」

 

「いらっしゃい」

 

 そこには、真紅のように赤い長髪で海のような青い瞳のモデルのような女性がティーカップを持ちソファのような椅子に座っていた。

 

「初めまして。アタシは兵鬼 薫」

 

「初めまして。安倍 幽冥です」

 

「この子の姉の安倍 春詠です」

 

「お姉ちゃんの家族の朧」

 

「幽の友人の美岬です」

 

「まあ、立ってないでそこに座ってたらどう」

 

 互いに自己紹介をして、目の前の薫さんがソファに腰掛けるよう促す。

 

「それにしても………最近の転生者にしては凄い真っ当だね」

 

「「「!!」」」

 

 薫さんの言った言葉に朧を除いた私たちは驚く。

 

「何で私たちが転生者だと」

 

「私ね。転生者ハンターという仕事にしているの」

 

「転生者ハンター?」

 

「そう。だけど、私たちが狩るのは世界のバランスを乱すクズな転生者だけだから安心して」

 

 何を安心して良いのか………そういえば。

 

「薫さん」

 

「どうしたの春詠ちゃん?」

 

「先程、私たちがと言いましたが、ここには他に誰か住んでるんですか?」

 

「あ、そうだったね。今、幽冥ちゃんの家族の迎えに行ってもらってるから居ないけど、弟がいるよ」




如何でしたでしょうか?
次回は白たちの話を少し入れて、安倍家が煉獄の園に集結します。

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