人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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更新お待たせしました。
今回は薫VS骸
   薫VS狂姫
   薫VS拳牙の三試合をお送りします。


伍 勝負後編

 薫さんと協力して、コロシアム消滅は間逃れた。

 まあ、その後に屍王にはO・HA・NA・SIをしたし、以後はあの様な事に成るのは無いと………願いたい。

 薫さんは現在、コロシアムの中央に立って、私の家族である骸、拳牙、狂姫が立っていた。

 

「さて、義弟との戦いで分かると思うけど、私も結構強いからね」

 

拳牙

【言わずとも分かる。王の話によると転生者という人間を弟と2人で狩っていると聞いた】

 

【だから俺たちは本気で挑むぜ………あ、殺しはしねえから大丈夫だぜ】

 

「それは嬉しいわね。じゃあ始めましょう。まずは誰から?」

 

【最初は俺からやらせて貰うぜ】

 

 骸は術で空間から複数の頭蓋骨を出して、それを地面に並べる。最後に1つだけ厳重に施錠された箱を取り出し、骸はそれを術で開けて、中にある綺麗な頭蓋骨を丁寧に取り出す。

 

【王よ!!】

 

 そう言って、骸は術を使って綺麗な頭蓋骨を幽冥に転移させる。

 

【王よ。その頭蓋骨は俺の1番大切な物だから。戦ってる時に出して、壊れたら嫌だからな】

 

「分かった。存分にその腕を振るいなさい骸!!」

 

【分かったぜ王よ】

 

 そう言った骸は頭蓋骨に向けて何かを呟く、頭蓋骨はカランカランと揺れて1つ、1つ宙に浮いていく。

 

【さて、四国を荒らした独眼蛇の屍闘術(しとうじゅつ)楽しみやがれ!!】

 

 

SIDE薫

 頭蓋骨は薫に向かって、その歯で齧り付こうとするが、薫は1つ1つを注意しながら観察して頭蓋骨を弾き飛ばす。

 

『Boost Boost Boost』

「さて、私も避けるのはやめましょうか…なと!!」

 

 薫は頭蓋骨の1つを蹴り砕く。

 

【!!】

 

 骸は驚愕した。生身の状態で頭蓋骨を砕いたことに、鬼が音撃棒や音撃管、音撃弦で砕かれたのなら理解できる。だが身た目がただの女性に砕けるものではない。

 そもそも、この頭蓋骨もただの頭蓋骨では無い。元は只の人間の頭蓋骨だが、骸が術を掛けて強化したもの。

 屍闘術は人間や動物の骨または死体を最大限に利用した戦法である。

 

 だが、骸には頭蓋骨を蹴り砕く前に何かが聞こえた。

 薫をよく見ると、右腕に先程まで見覚えのない物が装着されていた。

 

 緑色の宝玉のついた真っ赤な籠手。

 

 それはかつて薫が屑転生者から魔剣 常闇の力で奪い取ったもの、10秒経つごとにその力を倍加させる神をも殺す13個ある神滅具(ロンギヌス)と呼ばれるアイテムの1つ『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』である。

 

【その籠手だな、俺の頭蓋骨を砕けたのは】

 

「そう。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)と呼ばれるもので、能力はシンプル。10秒毎に力を倍加するというもの」

 

【さっきは脚力を倍加して俺の頭蓋骨を砕いたことか】

 

「ええ。でも、1度使うとまた貯めないといけないの」

 

【へえーー。それは良いことを聞いたな。なら】

 

 骸が再び呟くと頭蓋骨はカタカタと揺れて、コロシアムの下から複数の骨が頭蓋骨の下に集まる。

 

【ある話で聞いたことなんだが、竜牙兵って知ってるか】

 

「確かギリシャ神話に出てくる骨の怪物でしたっけ?」

 

【そう。で、俺はそれを自分なりに再現させたのがこれだ!!】

 

 やがて、そこには頭蓋骨を頭部にした骨の武器を持った7体の骨の怪物が出来上がった。

 3体は骨の剣を持ち、薫に殺意を向ける。3体は骨の槍を持ち、薫に穂先を向けている。最後の1体は骨が重なってできた大盾を持って身構えている。

 

【これが俺オリジナルの竜牙兵!! さあ、剣よ行け!!】

 

 剣を掲げた竜牙兵が薫に向かってガシャガシャと激しい音を立てながら走ってくる。槍と大盾の竜牙兵はその場に待機してる。

 薫も素手では厳しいと思い、空間から一振りの剣を取り出す。

 

 その名は魔剣 常闇。『神獄神の支配者』荒神 零夜が薫の為に作った魔剣である。

 

 剣を持つ竜牙兵が薫に剣を振り下ろすが、剣は常闇に防がれて振り下ろした竜牙兵はカウンターのように入れた肘打ちで砕け散る。

 頭蓋骨が砕けると、骨の身体はボロボロと崩れ、残ったのは砕かれた頭蓋骨だけだった。

 だが、その瞬間を狙ったかのように残りの2体の剣持ちが薫の背後から剣を振り下ろす。

 

『Boost Boost Boost Boost Boost』

 

 しかし、そこには薫はおらず、何処だという風に当たりを見渡すが、次の瞬間には2体は頭蓋骨を砕かれ、砕けた頭蓋骨を残して消滅した。

 

【ちぃい!! 瞬発力を倍加させて高速移動かよ】

 

「次は大盾狙わせてもらうよ!!」

 

【させるか!!】

 

 骸は骨の尻尾で薫の隙を突いて、腕を締め上げる。

 

「ぐっ」

『Boost Boost Boost Boost Boost』

 

 余りの痛さに薫は常闇を落としそうになるが、堪えて握り続ける。だが、骸の尻尾の締め付けはアナコンダが獲物を絞殺する際に締め付ける力の5倍もある。そのような締め付けを耐えられるのは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で耐久力を倍加したからだ。

 

【どうだ!! 逃げられねえだろ】

 

 だが、骸からすれば好都合、たださえ厄介な倍加の力を耐久力に回した薫には攻撃力がないと判断したからだ。

 

【竜牙兵大盾、斧に変更、槍とともに薫を攻撃!!】

 

 大盾の竜牙兵の大盾はその場で物騒な音を立てながら斧に形を変え、槍と共に締め付けられてる薫に突撃する。

 だが、何も常闇の能力で奪ったのは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だけでは無い。

 

「カートリッジロード!!」

 

 薫はそう叫ぶと、常闇の装甲が一部スライドしてまた元の位置に戻る。

 すると常闇の刀身にワインレッドの光が灯り、常闇を構える。

 

紫電…一閃!!」

 

 放たれた斬撃は斧と槍の2体の頭蓋骨を粉砕して、残り1体の竜牙兵も右腕を砕かれ、骸も締め付けていた骨の尻尾の一部を砕かれる。

 とある世界に古代の魔法技術である『ベルカ式の魔法』がある。長く続いた戦場で主に使用されていた為に身体能力向上、武器の強化などを主とした魔法だ。

 その技術の中に『カートリッジシステム』というものがある。

 魔力を込めた弾丸を武器の内部で解放して爆発的な威力を発揮するシステムである。

 本来は、『バリアジャケット』と呼ばれるものを身に付けて行うものだが、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)によって耐久力を強化した薫にはダメージはない。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE骸

【(尻尾の一部を砕かれて、残った竜牙兵も後、1体で右腕がないと来た)】

 

 骸は、残り竜牙兵でどうするべきかと考える。

 ふと、竜牙兵を見て、頭蓋骨の一部にあった特徴的な傷を思い出し、誰の頭蓋骨か思い出す。

 

【(そうか。あいつの骨か)】

 

 誰の頭蓋骨で出来たのか思い出した骸は蛇姫の方を向く。

 

【蛇姫!! 音撃弦を1本貸してくれ!!】

 

 骸は蛇姫に向かって叫ぶと、1本の音撃弦が降ってくる。

 それを右腕を修復した竜牙兵に握らせ、さらに骸はある術を掛ける。竜牙兵は急に頭をカクンと下げると首を横に振り始める。

 

【この術を使うことになるとはな、ちっとキツイぜ】

 

 骸はその術を使った直後その場で動かなくなるが、逆に竜牙兵は先程の動きとは違い、キレのある動きを始める。

 

「ねえ、何をしたの」

 

【こいつの骨に残った記憶を呼び覚まして憑依させただけだ】

 

 竜牙兵は薫を見ると、音撃弦を構えて走る。

 突然のことに薫は驚くが、常闇で竜牙兵の攻撃を防ぐが、防がれたと分かった竜牙兵は音撃弦の石突きに当たる部分を薫の腹に当てる。

 

「うっ!?」

 

 だが、薫も常闇で竜牙兵の頭蓋骨を狙うが、音撃弦の柄で防がれる。

 激しい攻防が繰り返す中で骸は決着を急いでいた。

 

 現在、骸が使用している術は使えば使うほどに意識がなくなっていく術の為に長時間の使用は出来ないのだ。

 だが、決着を急ぎすぎた骸はその隙を晒し、脚力を倍加した薫は骸の背後に回り、常闇で勢いよく叩きつけた。

 

【ガッ!! 後、少しだ…たのに……】 

 

 骸が気絶すると同時に竜牙兵は身体の骨が消失して元の頭蓋骨に戻って、音撃弦と共に地面に落下した。

 だが、骸は地面に身体が落下し無かった。その理由は–––

 

「よく頑張ったよ骸」

 

 気絶した骸を抱きかかえる我ら魔化魍の王が骸を支えていたからだ。

 幽冥はその後に骸を抱えて、コロシアムの見物席の所に跳んで席に戻る。

 

狂姫

【薫さん。私から提案があります】

 

 次の対戦相手とも言う狂姫が薫に提案を出そうとしていた。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE狂姫

狂姫

【私は1回だけ貴方を攻撃します。それを避けたり、叩き落としたら貴方の勝ち、当たったり掠ったりしたら私の勝ちで宜しいでしょうか】

 

「うーーーん」

 

 このような事を狂姫が言う理由は先程の戦闘で今、意識が無い荒夜にある。

 彼から離れる事自体が苦痛の狂姫はそれでも、願いを叶えたいと思い、この戦いを挑もうと思うが、それでも意識が無い荒夜から離れるのが嫌な狂姫はこの条件を出して試合に出ることにした。

 

「いいよ。その条件のんであげる。それに貴方とマトモに戦ったら私も無事じゃ無さそうだし」

 

狂姫

【ありがとうございます】

 

 そう言った狂姫は空間から大弓と1本の矢を取り出す。

 その矢は矢尻がかなり捻れている矢だった。

 

 矢を大弓に番えて、薫に狙いを付け………矢を放った。

 矢は真っ直ぐに薫に向かい、薫はそれを常闇で切り裂こうとするが、矢が近くまで寄った次の瞬間に矢は姿を消す。

 

「!!」

 

 それに驚愕した薫だが、先程まで矢が真っ直ぐ飛んできたのは分かってる為、避けるが–––

 

狂姫

【反転、そのまま直進】

 

 すると先程まで透明だった矢が姿を現して向きを反転し、再び薫に向かう。

 

「!!」

 

 薫は再び、驚愕する。

 そして、また薫の近くに来ると透明化する。

 だが、今度は常闇を回転させて風を起こし、空気の揺らぎで矢が何処にあるのか見えるようになる。

 

「これで透明な矢は怖くないわ」

 

狂姫

【分裂、回避、その後集結、そして反転】

 

 今度は矢が2つに別れて、薫の常闇の攻撃を回避して、少し離れると集結してその場で待機する。

 

「ねえ、あの矢なんなの?」

 

狂姫

【………あれは、私の荒夜様の愛で作った嫉妬の矢。対象が女性のみに使える技】

 

 薫はこの技を止める方法に気付き、勝負に出た。

 

狂姫

【加速、そのまま直進】

 

闇穴道(ブラックホール)!!」

 

 矢は地面に溢れる闇の引力に吸い込まれる。

 

「これで私の勝ちで宜しいでしょうか?」

 

狂姫

【引力には勝てませんよ。降参です】

 

 狂姫はそう言った後に、荒夜の元に戻ろうとするが–––

 

「狂姫さん」

 

 薫は狂姫に何かを投げ渡す。

 

「おそらく、貴方の願いは荒夜さんとの子供という願いですね」

 

狂姫

【!?】

 

「「「えええええええええええ!!」」」

 

 遠くから見ていた幽冥や春詠、美岬から驚きの叫びが響く。

 だが、他の魔化魍達は知っていたのか、驚いていない。

 

「今渡したのは貴方の願いの助けになるものよ」

 

狂姫

【あ、ありがとう……ございます】

 

 何処か顔が赤い狂姫はそのまま荒夜の元に戻った。

 

「(荒夜さん。ちゃんと奥さんを大事にするんですよ)」

 

SIDEOUT

 

 

SIDE薫

拳牙

【では、始めるか】

 

 振り向いた先には、拳を構え、可視化できる青いオーラを身に纏った拳牙が立っていた。

 

「この戦いに武器は無粋ですね」

 

 薫は常闇を空間に仕舞い、拳牙と同じように己の肉体で戦うことにした。

 拳牙はそれを見て、急に酔っぱらたかのように千鳥足を始める。

 

拳牙

【ういーヒック】

 

 急な事に目をパチクリする薫だが、次の瞬間に隙を見せて後悔した。

 

「ぐはっ!!」

 

 酔っているとは思えない動作で攻撃する拳牙。薫も負けじと拳牙にカウンターを決める。

 

拳牙

【さあ、どおしました〜ヒック】

 

 酒を飲んでいないはずなのに本当に酔っている風に見える拳牙に薫は少しイラっとする。

 だが、何も薫は何も考えなく、拳牙を殴った訳ではない。

 

『Divide Divide Divide Divide』

 

 その機械音と共に拳牙は自分の足で立つのが難しくなり、その場で倒れる。

 

 これも薫が常闇の力で奪った能力の1つで赤龍帝の籠手と対を成す神滅具白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイング)である。

 

「これは白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイング)という能力で能力は触れた相手の力を半減する」

 

拳牙

【成る程、このような能力があるのか。今後の戦いに役立つ事を教えくれて有難うな。だが………】

 

 その場から消えた拳牙を慌てて探すが、次の瞬間–––

 

拳牙

【こっちだ!!】

 

 上空から拳を振り上げる拳牙に気付き、薫は–––

 

解放(リベレイション)

 

 闇を広げて、その闇から勢いよく拳牙に向かってあるものが射出される。

 

拳牙

【これは!!】

 

 拳牙は正体に気付き、避けようとするが空中にいる為避ける動作がままならずに狂姫の嫉妬の矢は拳牙の腹部に突き刺さる。

 

「勝負ありですかね」

 

 薫はそのまま、試合を終了させようとするが–––

 

拳牙

【まだだ】

 

「!?」

 

拳牙

【まだ、終わってない】

 

 腹部に突き刺さった矢を抜き、腹から薄い赤の混じった液体が垂れいる拳牙が立っていた。

 

「その傷は早くしなければ致命傷な傷です。もう終わらせて幽冥ちゃんに直してもらいなさい」

 

拳牙

【真の武闘家を目指すものとして、この程度の傷で諦める私ではない!!】

 

 拳牙の眼に不屈の闘志を見た薫は次の一撃で今度こそ試合を終わらせるために構える。

 

 そして、拳牙と薫が同時に走り、互いの拳が重なりクロスカウンターのようになってお互いの顔を打ち抜いた。

 

「………」

 

拳牙

【………】

 

 静寂なコロシアムで拳牙と薫は同じ体勢のまま止まり、やがて片方が倒れた。

 

「あいたた、いい拳だったよ拳牙さん」

 

 薫は見事な拳を出した拳牙に賞賛の声を出し、ここに安倍家と鬼崎義姉弟の模擬戦は終止符が打たれた。




如何でしたでしょうか?
そろそろコラボ編も終わりが近づいてきました。
コラボ編終了後は幕間をやってひな編に突入します。

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