悪維持さん。コラボ企画ありがとうございます。
楽しい宴会はお開きになった。
ひなを除いて、全員デザートを食べ終える頃に私の家族達は帰ってきた。
等身大はサイズはそのままだが、大型や中型の魔化魍は柴犬のサイズまで術で縮小してるか擬人態になって土門たちは私に向かって駆けてくる。
「(あらら、所々に喰べ残しを付けちゃって。後で拭いてあげないと………)わあ!」
幽冥がそんな事を思ってると土門が幽冥に飛びつき、それに続いて次々と幽冥の胸元に向かって家族達が飛んで来て、その重みに耐えられる筈もなく幽冥は椅子ごと後ろに倒れる。
「みんな重い、重いから少し退いて」
幽冥の胸元には土門を筆頭に鳴風、顎、睡樹、唐傘、朧、美岬が乗っかており、その重さで苦しむ幽冥を見て慌てて身体を退かす土門たち。
幽冥は身体を起き上がらせて、心配そうに見る土門たちに大丈夫という感じで微笑む。
土門たちはそれを見て安心したと思ったら背後から強烈な視線を感じて、背後をそろりと見ると。
空間が歪むほどの黒いオーラに包まれた白が土門たちを幽冥に気付かれないように睨みつけていた。
土門たちはおそらく館に戻ったら、以前の件も含めめてお仕置きされるのだろうと思った。
SIDE薫
幽冥ちゃん達を見ると少し羨ましく思う。
人間でありながら魔化魍を家族といえるのはおそらく彼女だけだろう。
陽くんと私は本当の血の繋がりのある家族ではない。だけど仲良くやっている。
でも、あんな風な大家族には憧れる。
SIDEOUT
「では、今回は招待してくれてありがとうございました」
「楽しんでくれて何よりだよ。そういえば館の名前は決まったの陽くん?」
「決まったよ義姉さん」
宴会の時から陽太郎さんが考えていた館の名前を聞くのを楽しみにしていた。
考えてみれば、いつまでも洋館や館っていうのもどうかだと思っていた。でも、その館にずっと住むわけだし変な名前を付ける訳にはいかずに困っている時に薫さんが陽太郎さんにお願いして館の名前を考えてもらった。
「
「妖世館?」
「そう。魔化魍は妖怪だからね。そして、世というのは世界のこと。妖怪の世界の館それらを捩って妖世館」
「妖世館ですか………良い名前です。その名前ありがたくいただきます」
「それは良かった。宴会の中ずっと考えて良かったです」
「じゃあ、妖世館に送ってあげる」
薫さんが指パッチンすると同時に周りの景色は変わり、我が家ともいう妖世館の中にいた。
「薫さん何をしたんですか?」
「『常闇』で奪った転生者の特典の1つ『ミッド式魔法』の転移を使ったのよ」
薫さんの『常闇』の能力で殺した転生者の特典を奪い取って、それを自由に使う事が出来るらしい。
だが、転移したのは理解したが何かおかしい。
まず私、家族達、従者にしてくれと言われて従者になった
だけど、薫さんの後ろにある
あんな物は転移する前は無かった筈。
それは大小様々な箱が重なってる状態で、まるでクリスマスのサンタのプレゼントのようになっていた。
「あ。気付いたみたいだね。あれは貴方達へのプレゼントだよ」
プレゼントの中身が気になって開けようとするが–––
「おっと。プレゼントは向こうに着いた時に開いてね」
プレゼントを開けようとする私の手を掴んで、プレゼントを開けるのを阻止する薫さん。
「………じゃあ、これから陽くんに元の世界に送って貰うからそのまま館の中でジッとしててね。
陽くん、私達は外に出よう…………あ、それとヒトカラゲ、眼魔コマンド、クローズ。ちゃんと幽ちゃん達の役に立ちなさいよ」
「「「「「「「「「「「「承知しました」」」」」」」」」」」」
薫と陽太郎は妖世館の外に出るために扉に手をかけると–––
「薫さん。今回は楽しかったですよ」
幽冥の感謝の声が聞こえて、薫と陽太郎は笑顔を幽冥達に向けて、言葉を送る。
「また、いつか遊びに来てね。未来の王様」
「その時は私とも勝負してくだいね煉獄の義姉弟」
「ええ」
「義姉さんそろそろ送るから」
「分かった…………じゃあまたね!」
別れを言って、そのまま外に出た薫たちは妖世館の外で、元の世界に戻るのを見ていた。
陽太郎の手に魔法陣が浮かぶと妖世館の下にも同じ魔法陣が浮かび、やがて赤く輝くとそのまま妖世館はその場からまるで何も存在しなかった様に元の世界に戻った。
如何でしたでしょうか?
今回でクロス編は終了です。
プレゼントの中身は次回に出そうと思います。
幕間編をいくつかやって、その後にひな編に入ります。