人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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お待たせして申し訳ございません。
今回は最初は飛火の視点から始めり、その後に前回の続きとなっています。


飛火と葉隠の外食

SIDE飛火

 今日も楽しく散歩。今日は珍しく私以外に葉隠もいる。

 普段は魔化魍の姿で屋根の上や電柱の上で散歩していたけど跳に教わった擬人態の術のおかげで堂々と人間の街を歩ける。

 

 それに羅殴から貰ったこのカメラは凄い。撮りたい瞬間を一瞬で撮って保存できるのが。

 このカメラで撮った写真はもう一杯になりそう。

 

「飛火は写真が好きなの?」

 

「好きだよ。私たちの思い出は時が経つにつれて消えるけど写真はそれを残してくれる」

 

 飛火はそう言いながら首に掛けたカメラを構えて、また写真を撮り始める。

 

「「!!??」」

 

 ふと、2人の鼻にとても良い匂いが漂ってきた。

 あまり嗅いだことがないその匂いに飛火たちは釣られてそのまま匂いの方に歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 匂いに釣られて着いたのは人気の少ない道にある一軒の店だった。

 

「匂いはここからだね」

 

「そうだね」

 

「じゃあ入ろう」

 

 そう言って飛火はドアの取っ手に手を掛けてドアを開ける。

 中は少しの飾りを置き、デカい横テーブルがあり、奥にある厨房には石釜と炭が置かれてる網があった。

 そして、その側には頭に調理帽を被ったエプロンを着けた男と頭にタオルを鉢巻のように着け茶色の服の上に袖の無い青い服を着た男がいた。

 

「「いらっしゃい!!」」

 

 私と葉隠の2人は近くの椅子に座り、調理帽の男がメニュー表を持って近付く。

 

「お決まりになりましたら、お呼びください」

 

 メニューを見やすいように開き一礼する男を見た後に飛火は気付いた。

 お金を持っていない(・・・・・・)。王様から聞かされた話の1つで人間のお店で食べる時にはお金が必要だって。

 

「どうしたお客さん」

 

 いつになっても注文しない私たちに気付いたタオル鉢巻の男が私たちの様子に気付いて席に近付く。

少し私たちの顔をを見て、察したかの少しニヤついた声で言った。

 

「ははーん。お前達、金が無えんだな」

 

「「!!」」

 

「そうビクつくな。好きなものを1つずつ頼みな。

 この店は1回だけなら金払わなくて良いからよ」

 

 男の言葉に私たちは驚く、金が無いから1回だけなら払わなくて良いという。

 

「おやっさん! お客様の注文決まりましたか!」

 

「ほら注文決めな」

 

「じゃあ私はこのマルゲリータを1つ」

 

「僕は焼き鳥の盛り合わせを」

 

「あいよ。ちょっと待ってな」

 

 そう言って男は厨房に戻っていった。

 

 注文してから数分が経った。

 飛火と葉隠の前には美味しそうな料理が並べられた。

 飛火と葉隠は早速自分の頼んだ物を食べ始める。

 

 飛火はマルゲリータの切られた1枚を取って口に運ぶ。

 サクッとクリスピーの生地から鳴る音と共に口の中で蕩けるチーズと弾けるトマトの味に飛火は感動する。

 元々、燃やした人間の灰を主食とする飛火は幽冥の作った料理以外の料理を食べるのは初めてだ。

 

 葉隠が頼んだのは焼き鳥の盛り合わせで計9本の焼き鳥が乗っけられた皿から1本取って口に運ぶ。

 ジュワッと染み出す肉汁とそれと混ざり合うタレのハーモニーに葉隠は満面の笑みを浮かべる。

 

 2人が食べ終わってお礼を言おうとした時、ガチャとドアが開く音が聞こえた。

 

「野間さん。金の徴収に参りました」

 

 黒服の男達が入ってきた。

 

「またテメらか。とっとと帰りな」

 

「そうはいきませんよ。何せ金を受け取って無いんですから」

 

「断る!! テメエらにやる金は一文も無え!!」

 

「そうだ。此処は俺とおやっさんの店だ!」

 

「五月蝿え! さっさと払え!!」

 

「ぐあ」 

 

 店の男が黒服の男に殴られたのを見た飛火と葉隠は自分の座っていた椅子から立ち上がる。

 

「お前ら!!」

 

「許さない!!」

 

 あまりにも横暴な振る舞いの人間に我慢出来なくなった2人は擬人態の姿を解き本来の姿に戻る。

 

「「!!」」

 

「な、何だコイツら!!」

 

 店の男2人は飛火たちの姿を見て驚き、黒服の男達は服から銃を取り出して飛火たちに向ける。

 

飛火

【燃えろ!!】

 

葉隠

【喰い千切られろ!!】

 

 飛火の吹き出す炎と竹筒から無数の飛び出す分体の葉隠が黒服の男達に襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 元の魔化魍の姿に戻った飛火と葉隠の前には先程の黒服の男達の死体と灰が転がっていた。

 

「すまねぇな」

 

「これからどうするおやっさん」

 

 調理帽の男はタオル鉢巻の男に質問する。

 

「店畳むしかねえのか」

 

 悲しそうに声を上げる2人を見た飛火たちは、互いに顔を合わせた後に店の外に足を向ける。

 

葉隠

【………おっちゃん。ちょっと待ってて】

 

飛火

【おじちゃん達も店も守ってあげる】

 

 そう言った飛火と葉隠はある所に向かって走っていった。自分達の王のいる場所へ。

 

SIDEOUT

 

 

SIDEキュウソ

 圧倒的な蹂躙によって私を困らせていた男たちはものの数秒で肉塊に変えられた。

 そして、そんな状態を作り出した魔化魍の王が『私の家族にならない』と仰った。

 

 噂は聞いたことがあるがまさか本当とは思わなかった。

 

 その答えを待つように私を見る王。

 その視線は逸れることなく私だけを見ている。

 

「私を貴方の家族にして下さい」

 

 いつの間にか膝をついて王に向けて私はそう言っていた。

 

「よろしくね蝕」

 

「蝕?」

 

「そう貴方の名前、家族なんだから種族名で呼ぶのもアレだし」

 

「そうですか………」

 

「もしかして気に入らなかった」

 

「いえ、そういうわけではないんです。キュウソと呼ばれ慣れてたので………」

 

「そっか。まあ慣れてくれば良いよ」

 

 王は私にそう言うと、私の店の天井の方を向くと。

 

「隠れてないで出てきたら飛火、葉隠」

 

 すると天井が少しズレてそこから2つの炎が灯った尾を揺らしながら首に小さなカメラをぶら下げた赤い狐の魔化魍とそれに咥えられた竹筒に入った白い狐の魔化魍が降りてきた。

 

飛火

【さっすが王様。いつから気づいてたの?】

 

「私が蝕と話してる頃から」

 

葉隠

【そんな前から】

 

 私が………いや、他の魔化魍も気付いてなかったらしいから気付いてたのは王だけのようだ。

 

「それで飛火、葉隠。貴方達どうしてこんな所に?」

 

飛火

【散歩の帰り道と】

 

葉隠

【お願いを王に言いたくて】

 

「お願い?……良いよ家族からお願いなんて今世では初めてだし」

 

飛火、葉隠

【【あるお店を助けて欲しいの!!】】

 

「ある店? どういう店なの」

 

葉隠

【僕らと同じ魔化魍を匿ってくれてる人達の店】

 

 それを聞き、王だけでなく私や他の魔化魍も驚いた。

 同じ存在(・・・・)とはおそらく魔化魍のことだろう。それを匿ってくれる人間がいる。私達の主食は主に人間だが、別に人間でなくても栄養を摂ることが出来る。ただ人間の方が高い栄養の為にそちらを喰らってるからだ。

 

飛火

【でも、そいつらと同じ奴がその店を壊そうとしたから私と葉隠が殺した】

 

 飛火が尻尾で指すのは幽冥達が殺した男達だった。

 

葉隠

【僕らはその店で一食の恩がある】

 

飛火

【だから、その店を壊させない為に!!】

 

 飛火と竹筒から全身を出した葉隠は頭を下げて王に頼む。

 

「そう………飛火、葉隠。忙しくない子とその魔化魍をここに呼んで。私の家族の害になるコイツらを排除するよ」

 

 王はそう言って先程殺した地上げ屋の死体を指差す。それを見た飛火と葉隠は頭を上げて嬉しそうに尻尾を振る。

 

飛火

【分かった!!】

 

葉隠

【少々お待ちください!!】

 

 そう言って、天井の穴に再び戻って穴を閉めて飛火と葉隠はその場から消えた。

 

「コイツらのいる場所は何処?」

 

 幽冥は微笑んだ顔で蝕に聞いた。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE飛火

葉隠

【言わなくてよかったの飛火?】

 

 咥えられた竹筒の中から飛火に話し掛ける葉隠に飛火は–––

 

飛火

【王様は多分気付いてるよ、私たちが助けてって言った人たちが人間じゃ無いこと(・・・・・・・・・)

 

 そう答えた飛火は葉隠を咥えたまま妖世館に向かって走る。




如何でしたでしょうか?
今回の話は、次回は従者戦闘員の訓練と新たな魔化魍が2体出る話しを送りします。

飛火
【今回の質問コーナーの欄はお休みです】

葉隠
【気になった事があったら活動報告の質問コーナーに書いてね】

飛火・葉隠
【【また次回をお楽しみに】】
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