無事に安倍家の魔化魍 2の巻を更新できました。
ひな編開幕です。
記録伍拾陸
SIDE◯◯
竹が森のように生えた山の中に1つの屋敷があった。
その屋敷の周りには猛士の角である鬼の死体が散乱していた。
何かに噛みちぎられ落ちている腕、焼け焦げた黒い物、乱雑に並ぶ人間の石像、爛れてボトボトと落ちてる肉片、散らばる贓物などの様々な人間だったものが地面にあった。
その周りには複数の異形……もとい魔化魍がいた。
そして、その魔化魍の中には北海道で幽冥たちを助けたジャック・オ・ランタンの姿があった。
【これで今日は大丈夫でしょう】
【やっと】【終わった】【……休憩】
【最近、鬼が多すぎるよ〜僕も疲れた〜】
魔化魍達はジャック・オ・ランタンの声を聞いて戦闘体勢を解いて、疲労に着いて語っていた。
「皆のものご苦労だった」
【いいえいいえ、仕事ですから】
屋敷から現れた小袖姿の女性の言葉にジャック・オ・ランタンは返答した。
【しかし、最近鬼たちの行動が多いのって?】
「私の孫が原因だろう」
【孫ですか?】
「そうだ。私の孫………」
小袖の女性は何かを語ろうとしたが顔は暗くなり話すのを辞めて1人歩いていった。
【ジャック追いかけなくていいの?】
【あの人も今はひとりがいいでしょう…………では、皆さんこれを集めますよ】
ジャックの言葉を聞いた魔化魍たちはそのまま、散らばる人間だったものを集め始めた。
ジャック・オ・ランタンの元から離れて屋敷の外れを1人歩く小袖の女性。
しばらく歩いて着いたのは空の景色がよく見える場所だった。雲もなくただ広がる青空を見ながら小袖の女性はその場に座る。
座った小袖の女性は袖から取り出した写真を懐かしく眺めながら遠い空を見上げて呟いた。
「会いたいの
女性の声は風によって掻き消えて、女性はそのまま青空を眺めていた。
SIDEOUT
現在、妖世館の外の庭で家族たちは盛り上がっていた。
いつもは魔化魍の姿の家族たちは全員擬人態を使い、怪人たちも人間の姿になり、人間に変身できないが何故か食べれる怪人と従者戦闘員たちも出されている2つの料理を味わっている。
「おじさん。次の焼き鳥お願い!」
縦長の皿を空けて次の皿のおかわりを頼む鳴風。
「
「大尊、口の物を無くしてから喋ってくれ…………こっちもピザの追加お願いします」
拳牙は口に入ってる状態で次の皿を頼もうとする大尊を注意して、自身も口に付いたチーズに気付かずに料理の追加を注文する。
「あいよ! ちっと待ってな」
「追加のピザ焼けたよ! 乱風これをお願い」
「分かった」
注文を受けた炭火焼オルグこと文左衛門は次の鳥を焼き始めて、ドルフィンオルフェノクこと野間 茂久は焼けたピザを擬人態の姿のカマイタチの乱風に頼んで、皿に乗ってるピザを空いてる皿のある所に持っていく。
みんな美味しそうに焼き鳥とピザを食べている。
あの後、2人は私の質問に対しての答えとしてOKを貰った。私と同じように説得していた憑も乱風も喜んでいた。
そのすぐ後にカマイタチは乱風、マビには憑と名付けた。
そして、2人にはどう呼べばいいかと聞いたら炭火焼オルグはおっちゃん、ドルフィンオルフェノクは茂久と呼んでくれと言った。
そして、彼らの紹介を兼ねて土門たちを庭に呼び、焼き鳥とピザを2人に作って貰っている。
その結果はこの通り。
前に私が出した山菜料理からかなり経ってるので他の料理を食べたみんなはどうなのかと心配したがその心配は無用だったようだ。
先に向こうで食べた飛火や葉隠、昇布、蝕は料理の手伝いをしていた。
私は料理を眺めながら縛られてる為に動けない2人の捕虜と話してる。その内容は–––
「魔化魍と結ばれた
「ああ。俺が佐賀支部に居た時に聞いた話だ」
私が縛った鬼の突鬼から聞いてるのは九州地方佐賀支部に居た頃に聞いたという噂。
帰ってきた私に屍王は『ひなの事を何か知ってるのかもしれない』という言葉を聞き、この2人に聞いてみたのだ。
確かにひなには色々とおかしなところがあった。明らかに怪物と思われる魔化魍に恐怖を感じていないことや魔化水晶を持っていたこと、隠れていた白を見破る洞察力などあげたらいくつもある。
そもそも魔化水晶を持つのは初代魔化魍の王 オオマガドキを倒した『8人の鬼』たちだ。
それを持っていたひなは確実に『8人の鬼』に関係する者という事。
「佐賀か」
取り敢えず、情報をくれた2人にピザと焼き鳥をあげた。
ただ縛られて食べれなかったので黒と屍王に頼んで食べさせて貰っていた。
私はひなの家族であるがそれはあくまで仮の家族。本当の家族に合わせるまで預かっているだけ。
幽冥はひなの本当の家族がいる佐賀に向かう事を決意した。
如何でしたでしょうか?
今回は以前登場したジャック・オ・ランタンが再び登場しました。
荒夜
【すまないな。今回は質問コーナーは休みだ。楽しみにしていた者たちがいるかもしれないがすまない】
狂姫
【それでは次回をお楽しみに】