SIDE◯◯
猛士九州地方佐賀支部。その支部の建物の中には迷彩柄の少し派手な服装の人間達が銃器を持ち1人の男の前にいた。
その男は灰色の三つ揃えを着て、左手には半透明な緑色の勾玉を持ち、縁が丸い眼鏡を掛けて、口元はニヒルに笑っていた。その後ろには3人の人間が仁王立ちで立っていた。
「諸君。仕事だ」
男が勾玉を男たちに向けると、勾玉から青い波動が出て、銃器を持った男たちの頭にあたり、男たちはふらふらとその場から離れるように動いた。
やがて男たちが消えると男は後ろに3人に声を掛ける。
「…………今回は君達も向かってもらいたい」
「………」
3人から返答はないが肯定と男は思い、その場で解散させた。
「ふふふ、噂の子よ早く戻ってこないと
男はただ1人、誰も居ない部屋の中で誰にも分からない事を呟いて笑みを深めていた。
SIDEOUT
ひなの願いを聞き、佐賀に行く事を決めた私はひなと共に荷物の準備が出来たのだが。
「貴方たちいつまで寝てるんですか!!」
白の怒鳴り声が寝室(仮)にて正座させられてる土門たちの耳に響く。
「王が佐賀に行く準備をしている間、呑気に眠っているなど、なんたる事ですか!!」
白が眠っていた子達を起こして、唐突に始まった説教は既に30分経過している。
あまり慣れていない擬人態のせいか、正座をして数分でみんな足が痺れているが、その事を白に言えばさらに説教が長くなると思って、みんな黙っている。
この調子だと後、数十分は話し続けるだろう白に正座をしている者たちは心の中で溜め息を吐き、諦めて説教に耳を傾けようとしていた。
だが、そんな者たちに救いの手はあった。
「白。そろそろ話を終わりにして」
先程から待っていた幽冥だった。
そして、自分の愛す王の言葉に白は–––
「分かりました。では正座は解いていいですよ」
すぐさま正座を辞めさせて定位置である幽冥の後ろに戻った。
「お、王〜止めるなら……早く言って、ください」
「あ、脚がし、し、痺れる」
「………動けない」
脚が痺れてまともに立てず転ぶ者、その場でジッとして脚の痺れを取ろうとする者、脚の痺れを紛らわすために動かし続ける者といった風に各々が痺れを取るために動いていた。
そして、痺れが取れてまともな状態に戻った全員と話を始めた。
「では先ずは、すでに知っている者もいると思いますがひなの親族らしい情報を手に入れました」
幽冥の言った言葉にざわめきが起きるが、王が話しているということと白の視線でざわめきは少しずつおさまる。
「みんなに聞きたい。ここ最近のひなはどんな感じだったか」
幽冥の言葉に最初に反応したのは、ひなの親代わりをしている食香と親友でもある波音だ。
彼女たちはひなと一緒に居ることが多く、その変化に早く気付いた。
その次に反応したのは羅殴だった。
彼は自作のおもちゃをひなと波音に渡すが、最近のひなはおもちゃを貰ってもあまり嬉しそうな顔をしていなかった。普段は貰って使おうとするたびにどうするの?という風にひなが聞いてくるのが好きな羅殴はひなの元気がない理由を考えていた。
それから次々とみんな、ひなの最近を思い出していった。
全員が思い出したと判断した幽冥は再び話し始める。
「最近のひなは笑顔がなくなっている。いつも我々に向けている笑顔が………だから問う。
ひなの家族の情報は鬼から教えられた情報です。もしかしたら私たちを滅ぼす為の罠かもしれない。だけど、ひなの笑顔が再び戻るのなら、例え罠でも私は佐賀に行く!! ………このことに反論はあるか!!」
幽冥はそのまま、前にいる家族たちを見る、その眼は覚悟を決めた眼だった。
「我らはこれよりひなの笑顔のために佐賀に向かう!!」
幽冥の声は妖世館の全体に響き、その声とともに中にいる家族たちは同等の声を上げた。
如何でしたでしょうか?
今回の佐賀支部も北海道第1支部のように通称があります。
次回はいよいよ佐賀へ。
質問コーナー回答の欄
幽冥
「今回の質問は私があの下駄を鳴らしてカランコロンと現れるゲゲゲの鬼太郎に会ったらどうあるかという覇王龍さんの質問ですが、彼は人間の味方ではなく、基本的には妖怪の味方です。まぁ妖怪が親しい人間も味方かもしれませんが………彼が人間に関わるのは妖怪ポストに手紙が届き、妖怪の仕業と分かると関わります。結果的に人間の助けをしていますが、彼は人間の助けの声に応じてるだけですので、私としては敵対を取ることはありませんね」
幽冥
「貴方の疑問は解決出来たでしょうか? また気になることがあったら活動報告の質問コーナーに書いてください。では、また次回にお会いしましょう」