人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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今回はひなの親族の正体が明らかに!


記録陸拾壱

 それは突然現れた。

 ひなの家族の情報をどう集めるかと考えていた時。

 

【魔化魍の王ですか?】

 

 声が聞こえた。白たちは猛士の鬼の仕業かと思い辺りを見渡すが、何処にも鬼や人の匂いも気配もなかった。

 だが、その中で幽冥だけは1つの樹を見つめた。

 

 見た目はただの椿の樹のはずだが、なぜかその樹から何かを感じる。

 やがて、幽冥はその樹をジッと見始めた。

 何をしてるのか理解できないのか白と赤は声を掛けようとするがその前に春詠が白と赤を止める。

 

 樹を見つめてから3分経った。

 幽冥は樹から目を離そうとせず、ずっと見ている。

 すると–––

 

「フルツバキ………もう姿を見せたら。王は気付いてるよ」

 

 椿の樹の上からの声に幽冥たちは驚き、上を見上げる。

 そこに居たのは緑の長髪に、椿の刺繍が入った黒の着物、手には唐傘柄の手提げ袋を持つ女性が椿の太い枝の上に足をブラブラさせながら座っていた。

 

【はあ〜〜。私の負けだ、私を見るのを止めてくれぬか】

 

 今度は樹から声が聞こえて、椿の樹に変化が起こる。

 上に伸びていた花や葉を生やした枝は下の幹に集まっていき、幹から蔦が出て幹の上の枝全体を覆い球状の頭になる。

 下の幹からも手や足が伸びて、幹の身体の至るところから椿の花が咲き、椿の樹は完全にその姿を変えた。

 そして、枝に座っていた女性はいつの間にか姿を変えた椿の樹……いや等身大の魔化魍の隣にいた。

 

「幽、下がって」

 

 春詠お姉ちゃんが私を後ろに下げて、他の子達と一緒に目の前の女と魔化魍を睨み、変身鬼笛 慧笛をいつでも吹けるように構えていた。

 そんなみんなを睨みに怯えもせずに2人は頭を下げる。

 

「初めまして魔化魍の王」

 

【初めまして】

 

 地面に膝をつけ、頭を下げて、私に挨拶する2人。突然の挨拶に春詠お姉ちゃん達は困惑して、ひなはまだよく分からないのか首をコテンと傾ける。

 だけど、私は何となく挨拶をする理由が分かった気がする。

 今の私は土門たちが出会った頃の時に比べて、目に見えない何か(・・)オーラ的なものが身体から出てるらしく、それが目の前の膝をついて2人の頭を下げさせてる理由。

 

「初めまして……と言うべきなのかなこういう場合」

 

「まあ、そうなるね」

 

「それで、私に何か用なの?」

 

 目の前で頭を下げる2人に質問した。

 すると、女性……なんの魔化魍かは分からないが、妖姫が口を開く。

 

「……そこに居るひな様の家族のいる所に案内のために」

 

「えっ?」

 

SIDE春詠

【魔化魍の王ですか?】

 

 疑問系の質問が聞こえて、幽の家族たちは辺りを見渡す。

 だが、何処にも越えの主らしきものは居なかった。

 そんな中、幽が1つの椿の樹を見つめ始める。

 

「「お、王……」」

 

「ストップ。2人とも気になるのは分かるけど、後でね」

 

 白と赤が何をしているのか幽に聞こうとするが私はそれを止める。

 昔からああなったら納得するまでずっとそのままという幽の癖。某2人で1人の頭脳担当の探偵よりはマシだけどね。

 

「「……はい」」

 

「よろしい」

 

 2人は納得して、そのまま幽を見守っている。

 すると–––

 

「フルツバキ………もう姿を見せたら。王は気付いてるよ」

 

 椿の樹の上から聞こえてくる声に、上を向くと手提げ袋を持った黒の着物を着た女性が枝の上に座っていた。

 

【はあ〜〜。私の負けだ、私を見るのは止めてくれぬか】

 

 そして、幽の前にある椿の樹も急に喋り始めて、樹が変化する。

 蔦が集まって出来た丸い頭、古い樹を思わせる体躯に、至る所に椿の花を咲かしている魔化魍に姿を変える。

 

「幽、下がって」

 

 私は幽を後ろに下がらせて、服の中から自分の変身鬼笛 慧笛を取り出して警戒する。白と赤と他の子たちも目の前の2人を睨む。

 煉獄の園(パーガトリー・エデン)からこっちの世界に帰ってきて間もない頃に朧や美岬ちゃんに聞いた事なのだが、幽を魔化魍の王として認めているものと認めていないものがいるそうだ。

 王として認めているものは幽の家族となったりしているが、認めていないものは幽を消して、自分たちが魔化魍の王として名乗ろうとするものがいる。

 今、目の前にいるのはその魔化魍たちなのかもしれないと思って警戒するが。

 

「初めまして、魔化魍の王」

 

【初めまして】

 

 突然、膝をついて、頭を下げて挨拶する姿に警戒していた私たちはポカンとなる。

 

「初めまして……と言うべきなのかなこういう場合」

 

 幽もどう答えるべきか分からないらしく私に質問する。

 だが、どうやらこの魔化魍たちは幽が王と名乗っても何もしないようだ。

 

「まあ、そうなるね」

 

「それで、私に何か用なの?」

 

 幽が目の前の魔化魍に質問し返す。

 

「……そこに居るひな様の家族のいる所に案内のために」

 

「えっ?」

 

 ひなの声が困惑してる風に聞こえた私だけではないはずだ。

 

SIDEOUT

 

 驚いてるひなの声が聞こえて、直ぐに妖姫は私に話を続けた。

 

「ひなの家族」

 

 佐賀に転移して、行動しようとした時にこの情報だ。

 

「はい。ひな様の祖母にあたるコソデノテ様がひな様にお会いしたいと」

 

 だが、次に聞いた言葉に私は驚いた。

 

「コソデノテ? もしかして、ひなって!!」

 

 私の頭の中にはあり得ないと思う答えが浮かんでいた。

 

「はい。ひな様はここ佐賀の魔化魍を纏めているコソデノテ様のお孫さんになります」

 

 私の思ったことは姫の口から出された言葉で事実だと分かった。




如何でしたでしょうか?
ひなは実は人間と魔化魍の間から生まれた子供の子供、つまりクオーターという事でした。
某どっかの妖怪の3代目総大将と似てますね。
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