人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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更新完了です。
今回はひなとノツゴの話とその前に少しだけ佐賀支部のオリジナル鬼が出てきます。
そして、蠍の怪人の正体は………まあ、言わなくてもわかると思いますが……

とりあえず、記録漆拾弐をお楽しみください。

それとお気に入りが200突破しました。これからもご愛読お願いします。


記録陸拾陸

SIDE楽鬼

 猛士九州地方佐賀支部には『佐賀3人衆』という3人の鬼がいる。

 それぞれ楽鬼、錫鬼、岸鬼といい、Drと呼ばれる藩によって手塩にかけて育てられた鬼たちで、その実力は北海道地方第3支部にいた『松竹梅兄弟』と同等の力を持つ。

 

「岸鬼。遂に我々も動けるようだ」

 

 そう話すのは、僧の姿をした青年 錫鬼。

 

「そうか。ようやく暴れられるな」

 

 腕を回しながら喋るのは、ぼろぼろの革ジャンを着た青年 岸鬼。

 

「ほらほらお二人さん準備、準備」

 

 その2人に注意する3人衆の紅一点 楽鬼は楽しげな表情で笑っている。

 3人の鬼の後ろには能面のように表情のない人間たちが立っていた。

 

 今、新たな戦いの火ぶたが落とされつつある。

 

SIDEOUT

 

 

SIDEひな

フルツバキの妖姫に飛びつく黄色のパーカーを着た幼女を見て、蠍の怪人はやれやれと首を振る。

 

「甘え癖をどうにかできないか妖姫」

 

「良いじゃないですかレイウルス。子供に厳しくだけは可哀想ですよ」

 

「………」

 

 蠍の怪人はフルツバキの姫の言葉を返そうとせずに戦斧と盾を頭上に現れた青い渦の中に仕舞い込み屋敷の中に戻っていった。

 ひなは何となく苦労していそうな雰囲気を見せる蠍の怪人が屋敷の奥に消えるのを見た後にフルツバキの姫に抱きつくノツゴと視線が合う。

 

「ねーねー名前なんて言うの?」

 

「え?」

 

「だから名前だよ。な・ま・え」

 

 名前を聞こうとするためかフルツバキの妖姫の肩越しにノツゴがひなに迫る。勢いのせいか少し引くが、ひなはその質問に答えるためかノツゴとは違うフルツバキの妖姫の反対側……つまり背中に登って、ノツゴの顔の近くに顔を寄せる。

 

「ひな。私の名前はひな」

 

「ひな……ね。そんな事より遊ぼう」

 

「ええ。ちょ、ちょっと」

 

SIDEOUT

 

 

SIDEフルツバキの姫

 ひなをノツゴに合わせて正解だった。この様子なら離れても問題なさそうだが、いつ佐賀支部の鬼たちが来るかわからない。だから、見える位置で座って見守っている。

 本来ならもう1人呼びたいところだけど、その心配はなさそうだ。

 なにせ–––

 

「貴方もこっちにいれば良いでしょうにレイウルス(・・・・・)

 

「あいつが何をやらかすか分からないから監視しているだけだ」

 

 屋敷の中に戻った筈の蠍の怪人……いやスコーピオンロードことレイウルス・アクティアがフルツバキの妖姫が座る場所とは違い庭側からでは見えにくい場所でひなとノツゴを見守っているからだ。

 

 察しのいいお方なら既に気付いてるだろうが、このスコーピオンロード–––––レイウルス・アクティアはもちろん魔化魍ではない。なら彼は何者かというと彼は天使である。

 

 冗談。いえ冗談ではなく、彼は神に仕える天使であり、さらに言うなら人間以外の生物の原型ともいえる。

 だが天使といっても良い天使では無い、彼らの種族の名は『マラーク』。人類を創造したといわれる神の如き存在 『闇の力』に仕える超越生命体。

 その『闇の力』とは違うもう1人の神の存在が人々に与えた力によってアギトに覚醒するのを恐れて、覚醒の兆しのある人間または超能力を持つ人間を『闇の力』の代わりに神罰を下すように人類では不可能な超常能力で殺す。

 人々はこれを『不可能犯罪』といい、警察は彼らを『アンノウン(・・・・・)』と呼んだ。

 

 さて、そんな彼が何故、ここにいるのかというと、ノツゴを心配しているからここにいる。

 何故、魔化魍であるノツゴを心配しているのかというと、彼は保護者としてノツゴを心配しているからだ。彼がノツゴの保護者をしているのは、ノツゴの本当の親であるノツゴの童子と姫に託されたからだ。

 

 レイウルスはかつてこことは違う世界で、『闇の力』からアギトになる可能性のある人間を殺していた。だが、アギトになった人間(津上 翔一)が変身する仮面ライダーアギトに倒されて、この世界で目覚めた。

 しかし、アギトに倒された時の傷はそのままで下手をすれば死ぬ傷だった。

 

 だがその時、死ぬはずだったレイウルスを救ったのが今は亡き、ノツゴの童子と姫だった。

 同じ蠍に似たモノの縁でレイウルスは傷を治すのに専念した。その時に生まれたのがノツゴだ。生まれたばかりということもあり童子と姫はノツゴの餌となる人間を探すために度々、レイウルスにノツゴを預けていた。

 不器用ながらもレイウルスは世話になった恩でノツゴの面倒を見ていた。

 

 ある時、何時ものようにノツゴの童子と姫はノツゴをレイウルスに預けて、人間を探していた。だが、運悪く猛士が派遣した鬼によって、瀕死の傷を負った。

 その死に際にノツゴの童子と姫はレイウルスにノツゴを託し、そのまま塵と変わった。

 

 レイウルスは、ノツゴの童子と姫を追ってきた鬼からノツゴを守るために戦った。それ以来は、猛士から追われながらノツゴを育てていた。

 そんな生活をしていて時に、ジャック・オ・ランタンに出会った。

 

 そこからは効率よくノツゴの餌を手に入れる為、レイウルスはジャック・オ・ランタンと行動を共にするようになった。

 

 フルツバキの姫がひなにノツゴを合わせたのは過去の境遇を気にせずに前向きに生きてるノツゴの持ち前の明るさでひなを元気付けようとしたからだ。

 

SIDEOUT

 

 

SIDEひな

 ひなはノツゴと遊んでいる。

 

 さっきまで考えていた事を忘れて、ひなは遊んだ。

 

 ひなはノツゴと遊んでいて、ひなは思い出した。

 ひなのことを人間でもなく、化け物でもなく、ひなとして見てくれる友人を、ひなにいろんなものをくれる者をひなを家族という者をひなは目尻に涙を浮かべて、その様子にどうしたかとノツゴが寄ってくる。

 

「どうしたの?」

 

「何でも……ない……何でも、ひっぐ、ないよ」

 

 泣くひなをノツゴは抱きしめて、背中をぽんぽんと叩く。

 今のひなの顔はさっきまでの暗い顔ではなく涙を浮かべてるが笑っている明るい顔が浮かんでいた。




如何でしたでしょうか?

今回はこのような感じです。次回は前半をお留守番組の様子、後半にはジャック・オ・ランタンと幽冥の再開。+食香のある者との再開を書こうと思います。

気になる質問がありましたら活動報告の質問コーナーに書いてください。
オリジナル魔化魍も絶賛募集中ですので、アイディア待ってます。

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