今回は、オクリイヌ対ペイラーDの戦いです。
SIDEオクリイヌ
幽冥たちが佐賀支部3人衆を倒した同時刻の猛士佐賀支部内の一室。
そこでは、背中から黒いもやを発生させる柴犬の魔化魍 オクリイヌと佐賀支部支部長の藩に作られた異形 ペイラーDとの殺し合いが続いていた。
【硬えんだよ!!】
もやを2つの巨大な拳に変えて、ペイラーDの身体にラッシュで叩き込むが、脂ぎった身体とは思えない身体の硬さにオクリイヌは毒を吐く。
そのお返しといわんばかりにペイラーDは肥大な左腕の3本の爪をオクリイヌに振り下ろす。
ガンと鈍い音と共にペイラーDの攻撃は先程まで、拳だった2つのもやを合わせてもやの大盾に変えて防いだ。
【舐めるなよ元人間如きが!!】
オクリイヌは大盾で攻撃を弾いてペイラーDの身体を壁に吹き飛ばし、もやを口の周りに集めて黒い小刀を作り出し、咥えてからペイラーDに向かって走る。壁から立ち上がろうとするペイラーDを再び、壁に埋め込むように押し付けると同時に左腕を斬り落とす。
そして、壁に押し込んだペイラーDの左胸元の心臓に向けて小刀を突き刺す。
心臓に突き刺されたペイラーDは壁からズルッと滑るように床に倒れる。
オクリイヌはそれを一瞥して、支部長である藩のいる部屋に繋がる扉を向かおうとすると–––
「おいおい、何をしてるのかね魔化魍くん」
アンテナから藩の声が響き、チッと舌打ちをして4つのアナウンスにもやで作り出した槍を突き刺そうと瞬間。
「まだ、実験は終わってないよ」
藩の言った言葉でオクリイヌはペイラーDの死体があった場所を見ると–––
アアアア………アアアアアアアアア!
斬り落とした筈の左腕を切り口に当てて直し、左肩に左腕と似た腕、棘の生えた甲殻のような鎧が身体の所々に纏ったペイラーDだった。
「驚いたかねペイラーDは倒されれば倒される程、その身を再生させ、さらに強化する」
アンテナから響く声に遂に我慢の限界がきたオクリイヌは4つのアンテナをもやの槍で粉砕する。
ムカつく声が聞こえなくなっても、目の前の敵はいなくなるわけではないので、オクリイヌは溜め息を吐きながら、再びもやを武器に変えて、ペイラーDに目掛けて走り出す。
SIDEOUT
SIDE藩
ペイラーDが守る扉の先に繋がる部屋。そこには肘掛の付いた回転椅子に座る藩が目の前にあるモニターから
昔のペイラーDならともかく、最近まで魔化魍との戦闘実験では死ぬことは無かった筈だが………そうこう考えてると、ペイラーDは重力によって床に倒れる。その光景を見た藩は–––
「まあいいか」
と呟き。藩は目の前のモニターの隣に付いてるマイクを近づけて、喋り出す。
「おいおい、何をしてるのかね魔化魍くん」
魔化魍くんがアンテナを潰そうと背中から出る黒い煙を槍に変えて、アンテナに当てようとする。それを見て藩は急いで、続きの言葉を出す。
「まだ、実験は終わってないよ」
魔化魍くんからは見えてないから、親切心のつもりでペイラーDの事を教えてやろう。
アアアア………アアアアアアアアア!
ペイラーDの声で魔化魍くんが後ろを向く、すると先程まで姿の違う姿に変わる。ペイラーDの姿が変化するのを見るのは久しぶりだ。何せ、この能力を使う前に大抵の魔化魍を倒していたからね。そして、口を開けて驚いてる魔化魍くんに再び、ペイラーDの事を教える
「驚いたかねペイラーDは倒されれば倒される程、その身を再生、さらに強化する」
私の声を聞いて、オクリイヌは背中から出る黒い煙の槍を使って、アンテナを壊した。
「ふむ、アンテナが壊されたか」
まあ、壊れたとしてもカメラから映像を見ることが出来るが、音が聞こえないのが残念だ。
「しかし、あの魔化魍くん…………次の実験の材料にしたいなあ、だが、奴ではバラバラにしそうだ」
ペイラーDは対象が完全な生命活動停止をするまで攻撃を続ける。お陰でペイラーDと並行して生み出した他の実験体はペイラーDによって壊されてしまった。
だから、藩はモニターに映る
だが、そう思った藩の思った考えを否定するようにモニター一面に映る映像が炎に包まれた。そして、モニターが壊れる瞬間に映ったのは姿の違う魔化魍だった。
SIDEOUT
SIDEオクリイヌ
ああ、まったくムカつく。久々にムカつく。目の前のペイラーディーとかって奴とこいつを作り出したここの支部長が。
人間が何しようが勝手だ。魔化魍である俺からしたら人間が人間に人体実験していたって別に気にしねえ。
だが、さっきの気色悪りぃ姿から変わった奴と戦って分かった。
あのペイラーディーって奴には
ああ成る程、それはそうだ。死なねえ筈だ。お袋は何をしても死なねえ。
例え、バラバラにされようが。
炭になるまで燃やされようが。
風で塵にされようが。
毒で身体を溶かされようが。
絶対零度の氷に閉じ込められようが。
植物の栄養源のように吸い取られようが。
重力でぐじゃぐじゃに潰されようが。
お袋は死なねえ。子供の頃から問題児のように扱われて、親なしや童子、姫に捨てられて育った俺たちを見捨てずに此処まで育ててくれた。
だから、俺たちはお袋には恩がある。それこそ、今まで育ててくれたお礼としていろいろしてやりてぇ。
だからこそ、俺は目の前のこいつと此処のクソ支部長を絶対に殺す。
【今は力を借りるぜ。
そう言った、オクリイヌはもやを身体に纏わせて、さらに鬼火をもやの上から被るように浴びる。
炎に包まれたオクリイヌを見て、ペイラーDは身の危険を感じ、2つの左腕でもやと炎ごとオクリイヌを潰そうとするが–––
アアアアアアアアアアアアア
悲鳴にも似たペイラーDの叫び声が響く。潰そうとした左腕を2つともオクリイヌの身体に纏わった炎で燃やされる。
炎によって腕を燃やされたペイラーDはオクリイヌから離れるように転がる。
オクリイヌを包む炎が大きく燃え上がり、部屋の天井に着く位まで燃えた瞬間、炎は部屋全体に散らばるように弾けた。そして、この時の炎の余波で藩の部屋でモニターを映していた隠しカメラが壊れたことはオクリイヌは知らない。
炎の中から現れたオクリイヌの姿は変わっていた。
淡黄色の着物を羽織り、それを押さえるように巻かれた注連縄、両前脚は肥大化した赤い骨の脚に変わり、下半身全体には赤い脈のように張り巡らされたラインが描かれた柴犬。
だが何よりも変わったのはその背中から出るもやでは無いものだった。オクリイヌの背中から出ていたもやはその先に繋がる巨大な骨の拳に繋がっていた。
オクリイヌが
しかし、オクリイヌを勘違いで攻撃したと気付き、
そして、ペイラーDは再び、再生してその身を強化する。
今度は身体全体が鉄のような金属に覆われて、その身を鈍い光沢が光る。
オクリイヌは強化されたペイラーDを見るや、宙に浮く巨大な骨の拳でペイラーDを殴りつける。
まるで鐘を殴った音がペイラーDから響き、そのまま拳を振り抜いて、ペイラーDは壁に叩きつけられる。
オクリイヌはそれを見て、骨の拳を目の前に構えて、もう1つは自分の身体を押さえつけるように掴んで、床に固定する。
【喰らいな!! 必殺の
オクリイヌの目の前にある骨の拳はその手を開き、ペイラーDの身体に目掛けて飛ぶ。壁から立ち上がろうとしたペイラーDの見たものは自身に迫る巨大な骨の掌だった。
ペイラーDは壁に縫い付けられるように叩きつけられ、骨の掌は徐々にペイラーDの身体を締め上げるように閉じていき、骨の掌はやがて完全に閉じるとペイラーDの内部から炎が吹き上がり、その身を爆炎と共に爆発した。
爆炎が治ると元の姿に戻ったオクリイヌは、爆発によってひん曲がった扉に入り、扉の先にいる胸糞悪りぃ相手を送り込んだ藩の喉笛を喰い千切る為に向かった。
長い地下階段を降りていくと、開きっぱなしの扉に着き、オクリイヌは片脚で開けて、中に入った。
そこは先の戦いの爆発によって崩れて、滅茶苦茶になっていた。オクリイヌはここにいるであろう藩を探そうとしたが、とある1点を見ると、探すのをやめた。
とてつもない爆発によって佐賀支部の建物が揺れて、藩はその揺れによって落ちた天井に踏み潰されていた。天井と床から流れてる血、そして潰れずに残された左腕はそれを物語っていた。
【ちっ……】
それを見たオクリイヌは、藩の喉笛を喰い千切れなかったことに舌打ちをし、そのまま幽冥に頼まれたもう1つの仕事をする為に部屋を後にした。
如何でしたでしょうか?
今回は本来は予定上ありませんでしたが、オクリイヌの変異態を出しました。
ちなみに察しのいい人ならもうオクリイヌの
次回を含めて、後2〜3話でひな編終了です。
ーおまけー
ペイラーDの設定です。
名前:ペイラーD
特徴:猛士の佐賀支部支部長 脳見 藩が生み出した実験体。
その正体は人間で、ヌッペフオフこと食香の細胞を埋め込まれた存在で、実験を繰り
返している内に人間の姿が徐々になくなり今の姿になった。
元なった人間は傭兵とする為に拉致された男で、偶々目に入ったという理由で、実験
体にされた。実験の最初の犠牲者は男の家族で、藩の命令を受け付けるように頭に埋
め込まれた発信機で操られて家族を惨殺、その後に精神が狂い。実験にも進んで行っ
ていた。
実験によって、死んでも生き返り、さらに強化されることに気付いた藩によって佐賀
3人衆に捕獲された魔化魍との殺し合いで、オクリイヌが出会った姿に変異していく
。
オクリイヌに左腕を斬り落とされて、心臓を刺されて死んだが、能力で強化して復活
、オクリイヌを追い詰めるも、食香の細胞が使われていることに気付いたオクリイヌ
が変異態に変異。
オクリイヌの変異態であるオクリイヌ
た。