物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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ローマに通ずる道の先は未来か破滅か
第十七話


 新たな戦力を召喚して数日が過ぎた。みんながのんびりと過ごす中、俺は第一特異点の記録を書いていた。俺は直接見ることは叶わなかったが、ちゃんと映像に記録されていたので問題ない。

 

「まだ、仕事終わらないのか?」

 

 そう尋ねてきたのはクー・フーリンである。最近はまっているゲームをしているところである。

 

 俺もゲームしたいな。でも、サーヴァントたちと格ゲーしても勝てないからな。こいつら平然とチートみたいなことしてきやがるからな。

 

 この前もただの弱攻撃で嵌められて負けた。クー・フーリンに優しさはない。

 

 今もアルトリアと弱攻撃の百裂拳を打ち合っている。俺の知ってるゲームと違う。

 

「終わらないなぁ。今はアルトリアがでっかい竜にビームブッパしてるところ」

 

「ああ、そのあたりか」

 

「しかし、なんで剣からビームが出るのかねぇ?」

 

「さぁ?」

 

「一応言っておきますがビームではありませんからね!」

 

 訂正してくるアルだが、あれはどう見てもビーム以外の何物でもないからな。

 

 アルトリアの言葉を聞き流しながら、違うところを見てみると、パソコンに噛り付いているオルタが幸せそうな顔をしながらパソコンでゲームをしている。彼女はどうやら日本のサブカルチャーにはまった様だ。

 

 その後ろではヴラドが編み物をしている。相変わらず器用なようで俺がくしゃみしたのを見ていて作ってくれているらしい。

 

 俺、男だけど、ヴラドに惚れてもいいだろうか。

 

 マルタは今は部屋にいないが普段なら寝転がっている。他にもジークフリートやジャンヌ・ダルクも来て結構人気があるのだ俺の部屋は。

 

 そういうこともあって、俺はマリーに頼んで大きめの部屋に移動させてもらった。

 

 するとどうだろうか、移動して前よりも大きな部屋となったことでサーヴァントたちの溜まり場となってしまい、本末転倒となってしまった。

 

 騒がしいが、どこか懐かしい気分で仕事をしているとマリーによる呼び出しがかかった。

 

『第二特異点が観測されました。至急マスター二人は集合してください』

 

 今、第一特異点が盛り上がってるから、もう少し待ってくれぇ。

 

「おい、呼ばれているぞマスター? 行かなくていいのか?」

 

「この中の誰か要件だけでもいいから聞いてきて。仕事中だからさ」

 

「どう考えても要件は特異点のことだろう」

 

 はぁ、とため息を吐きやれやれといった雰囲気を出すヴラド。分かってるからマジレスはやめてくれ。

 

 俺もため息を吐きながらマリーの元へ向かったのだった。

 

 

 俺が到着したところ既に藤丸君やマシュちゃん、その肩にフォウ君が居た(どうやら今日の清姫ちゃんとの鬼ごっこは終わったらしい)。

 

「よく来たわね、春樹。要件は分かってると思うけど特異点の修復よ。詳しくはロマニに説明してもらうわ」

 

「じゃあ、説明させてもらうよ。今回の向かう先は1世紀のヨーロッパだ。具体的には古代ローマだね」

 

 それを聞いた瞬間、俺の鼓動が急激に加速した。あの人の場所だけは勘弁願いたい。

 

 ダ・ヴィンチがやれ皇帝に会いたいだの言っているが俺はひたすら勘弁してほしい。特にネロ帝だけには会いたくないのだ。

 

「さて話は戻すけど転移地点は帝国首都だよ。ちなみに聖杯の正確な場所とかはいまいち判別できなったよ。すまないね」

 

「大丈夫です。先輩やみなさんで突き止めてみせます」

 

「うん、ありがとうマシュ。行き当たりばったりになるかもしれないから念入りに準備していこう。一先ず、どのサーヴァントを連れていくか決めてきてくれ。そうだな……今から一時間後に再びここに集合してくれ」

 

「はい!」

 

 そういうことで俺たちは各自の部屋に戻りどのサーヴァントを連れていくのかを決めることにした。

 

 

「さて、そういうわけで君たちの中から三人、次の特異点に行ってもらうわけだが、せっかくなので前回召喚した三人に来てもらうことにしよう」

 

 全員が真面目な顔をして頷いた。しかし、よく見るとオルタの目がパソコンを捉えている。‘覚悟決めてます!’って顔してるけど未練たらたらなのがよく分かる。

 

 ゲームで盛り上がっているところなのかもしれないけど、俺も仕事の途中なのでその気持ちわかるけど我慢して下さい。

 

「さて待機組は自由にしてていいってさ。何か問題が発生したら呼び出しがあるからそれまでは寛いどいてくれ」

 

「分かりました。ご武運を」

 

「あいよ、やばくなったらいつでも呼べ」

 

 そう言ってアルトリアとクー・フーリンはTVの前に座りゲームを再開し始めた。こいつら……。

 

 何かやり返したい気持ちがある中、ヴラド、マルタ、オルタを引き連れて再び集合場所に戻った。

 

 

 俺が戻ってくると藤丸君も準備ができたらしくジークフリート、ジャンヌ、清姫、マシュちゃんがそろっていた。彼も今回は新メンバーでこの戦いに臨むらしい。

 

「では、準備してくれたまえ」

 

 ダ・ヴィンチに促され、いつものレイシフトをする機械に入る。

 

「さて、準備はできたようね! では第2特異点のことよろしく頼むわね! レイシフト開始!」

 

 マリーの声を最後に俺たちは第2特異点ローマに向かった。

 


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