物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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軽いサーヴァントと主人公の絡み(毎回、三人ぐらい書けたらいいなと考えています)

アルトリア
‘私は聖剣さえなければとても発育がいいです’と言い春樹に鼻で笑われ、ショックを受けた。

クー・フーリン
‘この人理崩壊中に影の国ってどうなるの?’と聞かれ、冷や汗が止まらなくなる。ちなみに春樹も冷や汗が止まらなかった。

エミヤ
 春樹に作ったお菓子に対して‘あ、俺の好みの味’と言われて少し昔を思い出した。





第二十二話

 藤丸立香は疲れていた。女神であるステンノから、褒美という名の試練をやらされたり、褒美だと思って宝箱を開けたら、意味の分からないエリザベートと謎の狐?犬?猫? のタマモキャットという生物と出くわすというコンボを食らったからである。

 

 ‘やっと終わった’と思いのんびり帰ろうとした瞬間ドクターロマンから夏目春樹がサーヴァントに襲われたという報告が入り急いで戻った。

 

 そこで藤丸立夏は困惑した。彼が見たものは襲い掛かったであろうサーヴァントが消えており、顔を青ざめさせて‘ふぅふぅ’言っている夏目春樹、その夏目を不憫なものを見る目で見ている彼のサーヴァント。そして何かしらの液体を頭から浴びた女神様がいたからだ。

 

「あの、どうなっているんですか?」

「あら、勇者様が帰還なさったのね」

 

 嬉しそうにほほ笑むステンノにドキっとしてしまう藤丸。これが女神の恐ろしさかと改めて認識した。

 

「あなたに聞きたいことがあるのだけど」

「なんでしょうか?」

「彼は本当に南中尋貞?」

『ぶっ』

 

 え? そこで藤丸の時間が、いやそこにいる全員(ロマン)を含めての時間が止まった。女神さまは何といった? ‘彼はなんちゅうエロさだ’と方言を使って夏目さんのエロさを聞いてきた? 頭の中の女神像は粉々に砕け散った。その中でロマンはなんとか質問した。

 

『あの……彼は何かしたんですか?』

「ええ、彼はあろうことか私に体液をかけてきたのよ」

「ええ⁉」

 

 そこで再びパニックになるカルデアメンバー。

 

「ちょっ、なつ」

 

 ジャンヌが何か言おうと瞬間、違う影が夏目に襲い掛かった。

 

「なぜ⁉ 余には何もしてくれないのに、ちょっと会っただけの女神にはそんなことしたのだ⁉ 余ならいつでも受け入れるぞ!」

 

 素早く移動したネロが夏目の肩を掴むと揺さぶった。

 

「あー」

 

 夏目は魂が抜けたかのように反応しなくなった。

 

「こらこら、その辺にしときなさい」

 

 そこにマルタがのんびり割り込むと手を放させた。放り投げられた夏目は砂浜に急いで穴を掘って嘔吐した。

 

「もう、やだ。女性やだ」

 

 そこにヴラド三世とオルタが背中をさすりに行った。彼は確実にサーヴァントとの絆を深めているようだ。

 

 一方で藤丸は困っていた。まさか自分が試練を受けている中で、夏目がそんなことをしていたとは予想していなかったからだ。初心な彼は言葉を選びながらステンノに行った。

 

「夏目さんはドスケベだと思います」

「藤丸君……あんまりだ」

 

 その呟きを最後に下を向いて制止する夏目。

 

「え? 夏目って誰かしら?」

「え?」

「私は彼が本当に南中尋貞か聞いているのよ」

 

 ここで話が食い違うことに気付く藤丸。

 

「彼は夏目春樹っていう名前ですよ」

「へぇ、そう。彼の名前は()()()()って言うの」

 

 遠くで‘個人情報の漏洩だ。訴えてやる’と聞こえてきたが気のせいだと思う藤丸。

 

「あのかけられた体液は何でしょうか?」

「胃液よ」

「あー」

 

 その言葉で自分が勘違いしていたことに気付く。

 

「それでは‘なんちゅうえろさだ’って言うのは」

「彼の偽名でしょうね」

 

 恐ろしい笑みを浮かべるステンノに彼がまた偽名を名乗ったということに気付いた。‘せめて分かりやすい名前にしてください’と心の中で愚痴ったがすでに遅かった。

 

 前にいたステンノは夏目のもとに歩いて行った。夏目は吐き気が収まったのか砂浜で寝ていた。すでに死にかけの模様。

 

「ねぇ、なんで偽名を名乗ったのかしら?」

「……返事がないただの屍のようだ(裏声)」

「本当に屍になりたいの」

「……回復するまで待ってください」

「もう、私の課題から逃がさないから」

「……はい」

 

 交渉成立したらしく、嬉しそうにこちらに戻ってきたステンノ。彼女はエリザベートとタマモキャットを見て満足そうに頷いた。

 

「ふふふ、ちゃんと試練は突破したみたいね。その褒美に本当にいいものを上げるわ。この二人は違うから安心しなさい」

 

 少し疑いの目を向ける藤丸に対してステンノは言った。

 

「あなたたちが戦っている連合軍の首都を教えてあげるわ」

「本当ですか⁉ 先輩、これであの試練を突破した意味がありましたね」

「ああ!」

 

 そうして藤丸たちは連合軍の首都の位置を知ることができた。

 

 

 笑顔で船に乗るネロ達。そこには笑顔が溢れていた。しかし、そこには彼の姿はなかった。

 

「夏目先生の逃走劇……凄かったですね先輩」

「うん、あそこまで凄いのはル〇ンぐらいだよね。他のサーヴァントも完璧なタイミングで乗り込んでたし」

「余も一緒に行きたかったぞ」

 

 彼らは全員が思い出す。夏目の逃走劇を。

 

 帰りの支度をしている中、唐突に彼は叫んだ。

 

「令呪を持って命ずる、俺をこの島から脱出させてくれ!」

「了解! タラスク!」

「余たちも乗るぞ」

「分かっているわよ」

 

 急に出現した亀? 竜? に乗り高速で飛んで行った。その光景に目を白黒させる女神さまが少し面白かったのは内緒である。

 

「夏目先生はどこまで飛んで行ったのでしょう?」

「さぁ、でも首都の位置は知っているし再会できると思うよ。それにしても女神さまのお願い達成できないよね」

「そうですね。再び夏目さんを彼女の前に連れてこいは厳しいですよね」

 

 二人してため息を吐く。その一方で無事に陸に着いた。

 

 首都への道中、結局、夏目に会えなかった。

 

「やっぱりいないですね、先生たちは」

「みたいだね。ドクター。夏目さんたちの位置は分からないのですか?」

『うーん、連絡を取っているんだけど返事がないんだよね。たぶんどっかで寝てるんだと思うよ。めちゃくちゃ辛そうだったし』

 

 確かにと全員で納得していると前からサーヴァントの反応がある兵士が現れた。それを倒して先に進むと兵士の親玉であろうサーヴァントが現れた。

 

「私の名前はレオニダス。ここから先は我らの防衛地点。我らが攻撃その身をもって味わいなさい」

「スパルタの王、レオニダス。強敵ですよ先輩」

「分かっている」

「レオニダス? やはり死者が蘇っているのか? じゃあ、ブーディカは」

「そんなことより戦闘ですよ、ネロ帝!」

「……うむ、分かっている。やるぞ立香!」

「はい!」

 

 そして戦闘を開始しようとしたところ空から声が聞こえてきた。

 

「先手必勝! これが戦闘よ」

「その通りだ!」

「それより、春樹大丈夫なの?」

「大丈夫よ!」

 

 墜落してきたタラスクにより敵は一気に減った。そして周りに攻撃をしかける夏目のサーヴァント。ちなみに夏目はオルタにお姫様抱っこをされて眠っていた。

 

「ふぅおお。余も夏目をあのように抱きしめたいぞ!」

「それは戦闘が終わってからお願いします」

「それもそうだな! では突撃ぃ!」

 

 こうして行われた戦闘はマルタの奇襲によって陣形を崩されたスパルタ軍が敗北することになったのだった。

 


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