物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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登場キャラが増えてきたので幕間の物語として主人公とサーヴァントの過去や現代の物語をやっていきます!

2月4日 ビールをワインに変更しました。


第二十九話

 俺は再びレイシフト後に気絶したらしい。ロマンの話では異常がないので心配しなくてもいいと言っていた。

 

 異常がないのに気絶するって逆にヤバくない?

 

 俺の疑問に答えてくれる人がいなかったので諦めて自室に戻った。部屋の中に入ると景色が変わっていた。

 

 サーヴァントがフリーダムに遊んでいるのは変わらないが俺のベッドと仕事机が無くなっていた。

 

 誰かが粉砕したかな。犯人はマルタ、ジャンヌ、この二人のどちらかだな。

 

 俺が犯人を推測しているとクー・フーリンに声をかけられた。

 

「お前さんが探している物は隣の部屋だぜ」

 

 クー・フーリンが指さすほうを見てみると部屋の中に今まで無かった扉ができていた。中を確認したら前の一人用の部屋と同じ作りをしていた。クー・フーリンに聞いてみたところ俺が寝ている間に作ってくれたそうだ。

 

 手遅れかもしれないけど、出口を廊下の方にも付けてくれないかな。いちいち部屋を経由しないといけないとか面倒じゃないか。

 

 再び、クー・フーリンに尋ねたところ、盗難防止(俺が盗まれるらしい)のためらしい。

 

 ふーん……、ネロ対策だね。まだ召喚するなんて決まってないのに。分かるからそんな目で見ないで。俺も召喚される気がするから。

 

 クー・フーリンと話していて俺の女難はまだ終わっていないような気がしたのでロマンおすすめのマギ☆マリに俺も相談することにした。

 

『こんにちわ、女難の人です。相談があるのですがどうしたら避けられますか?』

 

 パソコンの画面を見ていると俺の行動に興味を示したアルトリアが覗きに来た。

 

「何をしているのですか?」

「人生相談? これからこのカルデアで生き残れるかの」

「ほう、どのような返事が来るのでしょうか?」

「ロマンの話ではとても優しいらしいから、期待できるね」

 

 待っていること数分返信が来た。画面を覗いてみると……。

 

『君のラッキーカラーは青色。だから青い色が好きな女の子と仲良くなればいいんじゃないかな?』

 

 ん? 

 

「素晴らしいですね、このマギ☆マリ?というものは。ぜひやってみましょう!」

「ちょ、ちょっと待って。絶対におかしい。こいつ絶対におかしい。女難を避けたいのにまるで女難を加速させようとしてるって」

「そんなことはありません。さぁ親睦を深めましょう。今夜は寝かせませんよ!」

「今夜ってまだ昼の12時だぞ⁉」

 

 テンションがおかしくなっているアルトリアを宥めているといつもの放送が流れた。

 

『サーヴァント召喚を行います。マスターは集合してください』

 

 よし、隠れよう。今回だけは見逃してもらおう。

 

 方針を決めた俺が部屋から出ると、ジャンヌや他のサーヴァントが待ち受けていた。

 

「さぁ行きましょう」

 

 ……そうか。盗難防止だけじゃなくて逃走防止の役目も担っているのか。これ考えた奴は絶対に許さん。

 

 俺が心の中で憎しみを吐いている間に連行されいつもの召喚する場所に着いた。

 

 終わった。なんかいろいろ終わった気がする。

 

「さて、みんなが集まったところで早速召喚していくよ! 今回は春樹からだね。ほらこの石をはやく投げたまえ」

 

 ダ・ヴィンチさんに渡されたのは石9個、ちょうど三回分だ。逃げるのも無理そうだし召喚しよう。

 

 びくびくしているとダ・ヴィンチさんから有難い助言を頂いた。

 

「特異点での記憶はなくなるからネロ帝があの時の記憶を持っていることはない。だから安心したまえ」

 

 そう言われて、安心したが少し寂しいとも思ってしまった。

 

 そして覚悟を決めて石を9個、一気に使った。

 

 召喚が始まった。大きく輝きサーヴァントが現れると思った時、事件は起きた。

 

「招き蕩う黄金劇場!」

 

 声がした瞬間、景色が変わり黄金の劇場が現れた。

 

 みんながいない? あれ、俺はピンチなのでは? 辺りを見回していると目の前に奴が出現した。

 

「会いたかったぞ、あなた」

 

 そこにいたのはウエディングドレスを着たネロだった。懐かしい呼び名である。彼女と過ごしたときに彼女が照れながら言ってきたのを覚えている。

 

 少し感慨深いな。このような状況でなければな!

 

 何でいきなりこんな状況になっているの?

 

 俺の反応が無かったことに少し訝し気になった後に何かしら納得したのか再び、言った。

 

「そうだったな。結婚式に相応しい場にしなければならないな」

 

 彼女が手を振った瞬間、劇場は結婚式場へと変化した。

 

「うむうむ、これで完璧だな。では誓いのキスをするとしよう」

 

 ネロが俺に近づいてきた。彼女の目を見てみると餌のお預けをずっと食らっていた獣のような目をしていた。

 

「この場所には邪魔が入らないからな、このままベッドインまで行くのもよいな!」

 

 さすがローマ皇帝全てが早い!

 

 このままではまずいと思い俺も訂正を入れる。

 

「ま、待ってくれ。いきなり結婚式は早すぎる。俺たちは初対面なんだから」

 

 俺はそう言った後、後悔した。彼女の目から光が消えた。

 

「初対面? ふふふふふ、何を言っているのだ。夫婦の契りを交わしたというのに。あなたは酷いなぁ。もう二度と忘れないように記憶に深く刻みこんでやるぞ」

 

 ゆらゆら、近づいてくるネロ。ミスった! そうだよ。何故か分からないけどサーヴァントは俺であることを見抜けるのだった。早く覚えていることをアピールせねば!

 

 弁明しようとしたら彼女は俺の目の前に来ており、いきなりキスされた。

 

「う、うんんんん⁉」

 

 いきなりすぎでしょう!

 

 頭の中が混乱していると後ろのほうから声が聞こえた!

 

「友と娘(のようなもの)が結婚する。これこそまさにローマである!」

 

 何を感動しているんだロムルス。助けてくれよ!

 

 いつの間にか出てきていたロムルスに助けを求めたいが未だにキスをされて動けない。

 

 そう考えたとき、劇場のドアがバンッと開かれた。そこには彼女がいた。

 

「その結婚式待った!」

 

 現れたのはアルテラであった。彼女は登場と同時にネロに切りかかった。ネロは咄嗟に反応して彼女愛用の剣で防いだ。

 

「何をする⁉」

 

 ネロが激怒する中アルテラはネロを無視して俺の手を握った。

 

「待たせたな。さぁ行こう!」

 

 彼女はすぐに俺をお姫様抱っこすると外へと駆け出した。

 

「なになに、この状況? マジで何が起こっているの?」

 

 あまりの急展開に混乱しているとアルテラと目があった。

 

「あの約束ちゃんと守るよ」

 

 あの約束って? そう聞こうとした瞬間、アルテラにキスされた。

 

 走ってきていたネロがその光景を見てしまった。

 

 後ろではロムルスがワインを瓶のまま飲んでいた。

 

 あまりの状況の推移に俺はひたすら混乱するのだった。


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