物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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第三話

 

「や、やめ。降ろしてくれ―――!!」

 

「あっはっはっはっは、あいつもよく叫んでたな!」

 

 高所から落ちていくあの身体がふわっとする感覚を味わいながら落下していく俺とクー・フーリン。覚えてろよ、歌を歌って恥ずかしい目に味わわせてやる。

 

 担がれたまま目的地に到着する。

 

「よ、よかった。死んでない。生きてる? 生きてる?」

 

「いーや、死んでるね」

 

「死んでるのはお前だよ。そして今回も死ね!」

 

「それは無理な相談だなマスター」

 

「誰がマスターだ。そして俺がマスターなら言うこと聞け!」

 

「そいつは無理な話だ、それに奴さんも睨んでるぜ」

 

 クー・フーリンが指差した先にはまたまた黒い人と、ぼろぼろになったエロい格好した嬢ちゃんとオルガ・マリー、そして藤丸君がいた。

 

 どう見ても襲われてます、はい。

 

「さてと、ここでお前さんはどう命令するんだ?」

 

 どこか試すような口調で尋ねてくるクー・フーリン。

 

「逃げろって言ったら逃げるのかい?」

 

「分かってるんだろ、俺がどういうやつか?」

 

 こいつはどんな存在になってなっても変わらない。俺は笑いながら言った。

 

「突っ込んでこい、馬鹿野郎」

 

「あったりめぇよ!!」

 

 クー・フーリンは嬉々として黒い人に突っ込んで行った。それを見ながら藤丸君たちに話しかける。

 

「藤丸君、それにマリーも無事でよかった」

 

「夏目さん、無事だったんですね」

 

「何とかな、それにマリーも無事だったんだな」

 

「当り前でしょう!! けど、あなたが来てくれたことに感謝しているわ」

 

 オルガマリーとは年齢が近いことから仲良くなってよく話す関係になった。向こうは俺のことをどう見てるかは分からなかったが、俺から見てマリーは親戚の子供のように思えて、甘やかしてしまったのだ。

 

 彼らと話しているとクー・フーリンが再び敵を燃やして勝利した。あいつ、なんでも燃やすな。この町が燃えた原因もあいつがやりすぎただけじゃね?

 

 疑っているとクー・フーリンがエロい嬢ちゃんにセクハラしながらこっちに来た。俺にも触らせて下さい、お願いします。

 

「先生も無事だったんですね、安心しました」

 

「おう、何とかな。君も無事でよかったよ」

 

 一応、勉強を教えていたのでマスター候補生から先生と呼ばれている。

 

 全員が集まったので軽く話し合っていると、通信が繋がりロマンも加わり話しあった。

 

 まとめると、やはりカルデアのマスターは藤丸君を除き全滅。他にも被害が大きいこと。そしてここにいるメンバーでこの特異点の異常を解決して修復しろとのこと。

 

 俺は関係ないなー、と思っているとクー・フーリンがある点を言いなおした。

 

「おい、ひょろいの。マスターはここにもいるぜ」

 

 それは誰だい? 誰もが疑問に思いながらクー・フーリンを見ていると、奴は俺を指差した。

 

「こいつだ、夏目もマスター候補だ。実際に俺と契約してるし」

 

「え? 何してるのお前? なんで毎回俺を巻き込むの? 髪の毛毟るよ。お前のゲイボルグ当たらないってみんなに広めるよ」

 

「そう、怒りなさんな。あれは必要なことだったんだ。それと俺のゲイボルグはちゃんと当たるからな」

 

「自分の心臓に?」

 

「そうそう俺の心臓に……アンサズ!」

 

「頭が、髪が燃える~!」

 

 笑顔で火を放たれたことにより俺の頭が燃える。あつい、誰か消して!

 

 転げまわっていると藤丸君が服をばさばさして消してくれた。クー・フーリン怖いよ。

 

「ま、まあ春樹がマスター適性があるということはそれだけ藤丸君の負担が減るってことだ」

 

「そ、そうよね。今はこんな状況だもの。人は多い方がいいわ」

 

「その先生が燃えているのですが……」

 

「いいのよ、あれはサーヴァントとのコミュニケーションだから」

 

 お前ら許さん。

 

 頭の火から解放され、軽く天パ状態になりながら会話に戻る。今日はもう疲れたと言うことで近くの学校で休むことになった。

 

 

 そして学校で藤丸君とマシュちゃんが寝る中マリーと話す。

 

「マリーが無事でよかった。管制室が火の海になってたから正直諦めてた」

 

「……そんなことないわよ」

 

「え? どういうことだ?」

 

 その時見たマリーの顔は死ぬことを決めた時の顔をしていた。

 

「だって、私は死んでるもの」

 

 血の気が引いていくのを感じる。

 

「あなたは知らないかもしれないけど、もともと私はこうやってレイシフトできなかったの。けれど、こうやって出来ている。おそらくだけど死んだ関係でできたのかもしれないわ」

 

「じゃあ、マリーはこの特異点を修復したら……」

 

「もう仕方ないのよ。私は神様なんて信じたことなかったけど、これは神様がくれた時間なのかもしれないわ。これから助けることができない藤丸とマシュを助けるためのね」

 

「けど!!」

 

「春樹もあの子たちのことよろしく頼むわね。あなたを教師として呼んだのにこんなこと押しつけてごめんなさい」

 

 納得できない事もある。いや、納得できない事しかない。けれども彼女が覚悟を決めたのだ俺も覚悟を決めるべきだ。

 

「……ああ、任せとけ。こう見えてもいろいろ無茶をやってきたんだぜ」

 

「ふふ、あなたただの小説家でしょ。何言ってるのよ」

 

 泣きそうに笑いながらマリーは空を見た。俺も釣られて空を見た。この空は何も見えない。

 

 


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