なかなかアイデアが纏まらなかったのもありますが、一番の理由はD.C.Ⅱやってたからです。最近ランキングの上位に出てきた小説読んでみてまたやりたくなりまして。さらにはそっちの二次のアイデアなんかも浮かんで纏めてたりしてました。
「なぁ、アクア。一ついいか?」
「何よ、今私は赤い髭を使ってゴリラ倒してる真っ最中なの。どうでも良いことなら後にしてちょうだい」
とある昼下がり。アクアは今日も今日とてゲームをプレイしてる。何時の間にやら定位置となったテレビの前に寝転がっているその様は、言葉に現せられないほど堂に入っていた。
「お前うちに来るとき何て言ったか覚えてるか?」
「はぁ?何よそんなこと?別に今じゃなくたっていいでしょ?ちょっと待ってなさいよ、このゴリラ中々ブッ飛ばないんだから」
ガチャガチャとコントローラを忙しなく操作する彼女の顔は一切画面から反らされていない。ともすればちゃんと聞いてるかどうかさえ疑問に思うほどに。
はぁ、と呆れたように溜め息を付きアクアの手にあるコントローラーと同型のものにあるボタンを押す。すると、テレビ画面ではゲームが一時停止した。
「あ゙あぁぁぁああ!!またなのっ?またなのねカズキ!?また私の前に立ちはだかるのね!良い度胸じゃない、いくらカズキとはいえ越えちゃいけない一線っていうのが
「いいから聞けっ!いいか、どうせ覚えてないだろうから思い出せてやる。お前が何て言ったかをっ!」
えっ、ちょっと待って。何々、何する気なの?何で怖い顔してゆっくり近づいて来るの?まっまさか、ナニ!?ナニする気なのねカズキ!?いくらアンタでもそこまで許した覚えは……、あ、あ゙あぁぁぁあ゙あ!!」
何やら失礼な言葉を耳にしたようだが、そんなものは目の前にしたモノからすれば些細なことだ。さぁ刑を執行しよう。
この怠惰な女神に労働を!
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『良いの!そんな些細なこと気にしてられないわ!もう嫌なの!鳩に餌上げてるお爺さんからパンクズ貰うために土下座するのも!食べられそうな野草食べてお腹壊すのも!犬に吠えられて追いかけられるのももう懲り懲りなの!』
『お願いよ!私頑張るから!掃除でも洗濯でも何でもするから!出来ることなら何でも頑張るから!お願いだからもう私を捨てないで!』
──何でもするから!出来ることなら何でも頑張るから~
──なんでもがんばるから~
──がんばるから~
──から~
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「ゔっ、うゔぅぅぅぅううぅう」
「どうだ思い出したか?」
「だからって叩がな゙くでいい゙じゃない……」
頭を両手で押さえながら目に涙を浮かべて踞る女神を眺める。頭には漫画で見るような立派なタンコブができていた。調子の悪いモノは取り敢えず叩いてみる、俺はそう教わった……気がする。
「で?思い出したのか?」
「思い出したわよ!思い出しました!これでいいわけ?」
あくまでも不遜な態度を改めないアクア。「どう?思い出した私偉いでしょ!」とでも思っているのだろう、先ほどまで痛みで歪んでいた顔が綻んでいる。
頭のタンコブの存在がひたすらに笑いを誘っているのがシュールだ。
「思い出したのなら今まで生活を振り返ってみろ。お前うちに来てからゲームしかしてないだろ」
「なっ、何を言ってるのかしらね~カズキさんは。ゲームだけじゃないわよ。ご飯食べたり、お風呂入ったり、寝たり……、あっ!ゴミ捨てに行ったわ!」
「たった一回だろ」
この一回も渋りに渋った結果、俺が無理矢理ゴミ袋と共に放り出しからだ。しかも途中で会ったヴィネットちゃんに役割ごと放り投げたみたいだし。一回とカウントしていいかどうか……、無しだな。
「……分かった、分かったわよ。ちゃんとやるから取りあえずはゲームの続きよ。それが終わってからやるからポーズ解除して、ポーズ」
「…………」
周藤和樹は知っている。経験則で知っている。やると言って直ぐに始めない奴は、ほぼ確実といっていいほど後からもやらない。特にこの怠惰な駄女神はその面について一番信用してはいけない人種である。
かといってこのアホはこれ以上言葉を重ねても右から左へと抜けていくだろう。ならば──
「おいアクア、そのままゲームしといていいぞ」
「え!本当!?」
「ああ、ただし今お前がやってるゲームで俺に勝てたらな」
そう言ってテレビ画面を指差す。現在アイツがやってるゲームはジャンルでいえば"対戦アクション"。相手を画面外へと叩きだし残機を残していたものの勝利という、格ゲーとは少し違うが相手と確実に白黒つけるのに適したモノだ。
「ふふん、言ったわねカズキ。私がどれだけこのゲームをやってると思ってるのよ。かれこれ一週間はやってるわ。私の赤い配管工がアンタのキャラを蹂躙してあげる」
「はいはい言ってろ。じゃあ俺は……ゴリラでいいや」
「ゴリラwゴリラ使うのカズキぃwぷーっくすくすくすwそんなの吹っ飛ばしやすいだけじゃない!鈍いし切り札も良くわかんない太鼓叩いてるだけだしぃwもう勝ったも同然ね♪」
「……」
そんなこんなで各々残機三でゲーム開始。
以下ダイジェスト
「ここよ!
ゴッドブローとは、女神の愛と髭の悲しみをのせた必殺の拳っ!相手は死ぬ!」
「
「あ゙あ゙ぁぁあ~!私のマ◯オがぁぁあ!?」
「やったスマッシュボールゲット。ふふん、さっきは油断したけど次は簡単にはいかないわよ。
震えながら眠るがいい
ゴッドレクイエムとは女神の愛と髭の哀しみの
「
「あ゙あ゙ぁぁあ~!私の◯リオがぁぁあ!?」
「くぅ、もう後がないわ。しょうがないわね、今度こそ本気のほnねぇ、ちょっと何するの?ねぇ待って持ち上げどうすつもりなのよ、ちょっ待って待って!あ、あ゙あ゙ぁぁあ~!私のマリ◯がぁぁあ!?」
───
──
─
「ゔっうゔ。ずるいわ!卑怯よ!何あれっ、持ち上げてそのまま一緒に落ちるってチートよ!チーターよ!アンタズルしたわねカズキ!」
対戦が終わった途端にアクアは崩れ落ちた。
まぁこの一週間の成果を全くといっていいほど発揮出来なかったのはショックかもしれんが。正直言ってこの勝負受けた時点で俺の勝ちなんだよなぁ。毎日ではないにしてもシリーズ通して何年もやってるんだぞ、俺。流石に勝てないだろうよ一週間じゃ。
「って訳で先ずは掃除だな。ほら行くぞ~」
「ゔううぅぅぅぅゔうぅゔ」
「別にするなとは言ってないだろ。ゲームはやることやってからな」
未だに泣きじゃくってコントローラーを握っているアクアの襟首を引っ掴むとそのまま引き摺るように引っ張っていく。このままだと泣き止むまで時間がかかるだろうし。
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「ほらこれが掃除機だ。使い方解るか?」
「ううん、全く」
「プラグ挿してスイッチ入れるだけだよ。スイッチで吸引の強弱もつけれるから」
「へぇ~、これが文明の利器なのね」
掃除機を物珍しそうに眺めるアクア。何が琴線に触れたのか知らんが色んな角度から触れたり眺めたりしている。
お前が四六時中触ってるゲームも文明の利器なんだが。
「で?今から何するの?」
「掃除っつっただろう」
プラグのコンセントへの挿し込み、スイッチによる強弱まで一から丁寧に教え直してさっそくやらせてみることに。こういうのは実際にさせた方が早いだろう。細かい指摘は横から出せばいいし。
最初は何故かおっかなビックリ腰を引かせながら掃除機を掛けていたが、流石に数分もするとスムーズに掃除機を操っている。……アクアが得意顔の時は何かしらやらかすのが常だ。
「ふっふふふ~ふ~ん♪ん?」
アクアの掃除機がカーペットに吸い付きそこから動かせなくなる。思い切り引っ張ったりするも微塵も離れる様子がない。
「ちょっカズキさん!これどうするの?カーペット吸い込んでるんですけどっ!?」
「スイッチ切ればいいいいんだよ」
「ス、スイッチ!?え、え~と。これね!」
そんな思い切りのいい掛け声と共にアクアはプラグをコンセントから抜きはなった。……いや、それでもいいんだけど俺スイッチって言ったよね。
まぁ、いいや。それじゃあ掃除再開「カズキさんっ!!」……。
「ちょっと!また吸ってるんですけど!何これ!?プラグ挿したらまた吸出したんですけど!?どうなってるのこれぇ!?」
その後、ようやくカーペットととの格闘に決着をつけるも第二ラウンドと言わんがごとくカーテンとも戦闘を開始するアクア。流石に見かねて他の家事へと移行することにした。しかし……。
洗濯
「え~と、これが洗剤よね。ホイ」
「バカっ、入れすぎだ!計量スプーン一杯分って言っただろ!」
「大丈夫大丈夫。私くらいになれば勘でどうとでもなるのよっ」ピッ
「え?今電源入れてスタートさせなかったか?」
「ええ、入れたわy……、ねぇカズキ。ゲームのし過ぎで疲れ目なのかしら。私の目には洗濯機から泡が溢れ出てるように見えるんだけど」
「お前の目は正常だよっ!いいから電源落とせ!」
トイレ掃除
「……なんで私がトイレ掃除なんて」
「なんでも頑張るって言ったのはお前だろ?それにトイレ掃除も大切だ。汚いトイレは使いたくないだろ」
「それはそうだけど……。ん?このボタンは?」
「あっ、おいそれは──
「ぶふぅう!何か急に水が出てきた!ちょっ待っ目がぁあ!目がぁぁぁあ!」
遅かったか」
風呂掃除
「取りあえずは浴槽だけでいいぞ」
「ええ、分かったわ。見てなさいよ~──ミギャっ!~~~~っ、頭打ったぁぁああ!!」
「……お前体を張ることに関しては天才的だよな」
ここまでやればもう何となく分かる。こいつは家事が一切出来ない。少なくとも今は。皿洗いなんかもやらせようと思ったが予定変更、怖くてさせられん。
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「お前よく『洗濯でも掃除でも何でもするから』なんて言葉が吐けたな。子供でももう少し上手くやるぞ」
「だって、だってぇ」
何を思っているのだろうか、不甲斐ないのか、それとも情けないのか。泣き出しはしないがアクアは先ほどからずっと愚図っている。
あの後、掃除から洗濯に至るまで全て俺がやった。あの言葉は勢い任せので口から出ただけなのだろう。
「カっカズキが悪いのよ!私が使ったことないものばかり触らせて!箒とか手洗いだったらもっと上手く出来たわよ!」
「はぁ?今時箒とか手洗いって……。まぁいいや、とりあえず家事なんかはまだ一人でしなくていい。徐々に慣らしていくぞ。何かするときは俺が付いて横から指摘するから、勝手に一人でやるんじゃないぞ」
「わ、分かったわよ」
会話してるうちに涙も引っ込んだようだ。こいつの切り替えの早さだけは俺も見習うべきところだろう。あっ他の部分についてはお構い無く。
「さて、それじゃ買い物に行くか」
「え?買い物?この前も行ってなかった?」
「どこかの誰かさんが尽く洗剤やらなんやらぶちまけたからな」
「ゔ」
そうなのである。洗濯用の洗剤だけじゃなく色々やらかしやがったのだ、こいつは。そして今まで一人暮らしだったのだ、消費する量も少しずつだったので余分なストックなんざ買ってる訳もない。
「ついでに晩飯も食って来よう。もう陽も落ちてきてるし」
窓の外を見れば、そこには茜色に染まった空が広がっていた。アクアに声を掛けてゲームで対戦していたのが昼過ぎ。そこからあれこれ家事してたんだからそりゃ陽も暮れるものだろう。
「ほら行くぞ~アクア」
「は~い。ねぇねぇお酒いっぱい飲んでいい?」
「
「え?ほんと!?やった!よっカズキさんの太っ腹!」
二人でそんな下らないことを話しながら、ゆくっりと飲食店へと歩いていった。
「ねぇカズキ。アンタいっぱい飲んで良いって言ってたわよね?私にはグラス一つにしか見えないんですけど」
「俺は
「?……、ああそういう。え?じゃあ御代わりは?私のお酒ちゃんたちは?」
「ない」
「こぉんのぉ!騙したわね!女神様騙したわねカズキ!しまいにゃ神罰食らわせるわよゴラァ!」
「お前が早とちりしたんだろ。分かった分かった、店に迷惑掛かるから静かにしろ。今日は持ち合わせが少ないんだよ。今度飲み放題連れてって「何それ詳しくっ」……はぁ」
「早く!早く教えなさいカズキ!字面から何となく予想は付くけど、その魅惑の名称の詳細を!」
アクア
自キャラは赤い配管工。その後何度も何度もカズキに挑むも黒星をつけることはできず終い。
カズキ
自キャラは特になし。どのキャラでもある程度満遍なく使える。プレイ時間としては64の頃のが一番。64のコントローラーの左の突起は何のためにあるんですかね。
最後らへんちょっと駆け足気味だったので反省。
スマブラは私の青春でした。あとモンハン。週末の休みになるとおもむろに友達と集まってやってましたね。毎週のように。昔、ゴリラーコングの投げで抱えて落ちるっていうのばかりしてたら友達から暫く口聞いてもらえなくなるということがありました。因みに私はスマブラ最新版買ってなかったり。