発投稿です。
何番煎じかもわかりません。が、暖かい目で見てくれると嬉しいです。
設定ミスは笑ってやり過ごしてください
人理継続保障機関カルデア
2016年における人類史焼却を巡る戦いは、ちっぽけな/強大な マスターによって打ち倒し、人類は2017年へと手を伸ばした。
これは魔術協会からの監査が近々迫る中に起きた、ほんの小さな/大きな もしもの話である。
「先輩。起きてください、先輩ーーー」
まどろみの中から聞こえてくる、聞き慣れた声。
芯の強い真っ直ぐな、大切な後輩の声だ。
そんなことを考えながらも、彼/彼女 藤丸立香の意識は覚醒へと促された。とても人類史を守ったマスターには見えない。
「あぁ…おはよう、マシュ」
寝ぼけた頭を掻きながら答える。少し寝癖もついているようだ。後でなおしておかねば。
寝ぼけても常にマイペースな立香の傍らに、少し腰を落として顔を眺めている彼女 マシュ・キリエライトは若干の呆れと同時に、いつもの先輩だと安心していた。
だが、彼女が立香を起こしに来るのは日常茶飯事のことだが、なにもわざわざ寝起きを見に来たわけでもドッキリなどを仕掛けに来たわけでもない。
「先輩、ダ・ヴィンチちゃんからブリーフィングの呼び出しが来ています。すぐに向かいましょう。」
ブリーフィングと言われ、立香の微睡む意識はすぐに覚醒した。今までは、数々の特異点ということで彼女と幾度と旅をしてきたわけである。その独特の緊張感は、何度考えても、慣れることは出来ても、緊張しないわけではない。
わかった。と短く返し、立香はすぐに身支度を整え自室を後にする。
マシュと何度も一緒に歩いたカルデアの通路は、もはや目を瞑っても歩けるのではないかと錯覚するくらい歩いたし、また、この僅かな時間こそ、立香とマシュの囁かな時間でもあった。人類史が守られ、2017年と時を進めた今、こうして共に歩く機会も少なくなってくると考えると、どうにも寂しく感じる。
管制室のドアが開くと、数名の作業員の声が聞こえてくる。そして目の前に飛び込んでくる巨大な地球儀、のようなもの。観測レンズ「シヴァ」を元に生成されたリアルタイムに映し出される地球の姿。通称「カルデアス」。
かつては真っ赤に染まっていたカルデアスだが、今は元の綺麗な青色を保っている。
「やぁやぁ、よく来たねぇ?でも、5分2秒の遅刻だよ?
ちょっとの油断が命取り、となりかねないよ?
まぁ、今となってはそんな心配もないわけだがね」
立香がカルデアスに目が行っているのを引き寄せるかのように、声が聞こえた。
レオナルド・ダ・ヴィンチ。通称ダ・ヴィンチちゃん。
カルデア召喚英霊第2号にして今まで幾度となく助けてもらった恩は、忘れられるはずもない。
そしてそのダ・ヴィンチちゃんの隣に常にいた寂しくも優しい表情を向けてくれた医療部門トップの彼の姿はもういない。
俺/私 はそれに寂しく感じながら 前をみて/振り返りながら 進もうと決めている。彼と同じように、ロマン/浪漫 を追い求めたいと思うからだ。
「ダ・ヴィンチちゃん。先輩をお連れしました」
マシュが隣に立っている。彼女は自分を呼ぶよう伝えられただけで、事の内容は聞かされてないようだ。もちろん自分も知らない。
ダ・ヴィンチちゃんは少し困ったような顔をしながらも
「うん。まず言わせてもらうと、新たな特異点が観測された、と言うべきだね」
特異点。かつて聖杯を探して、マシュと共に過去の世界を飛び、様々な冒険をしたところだ。今でもその記憶は鮮明に浮かぶ。語れと言われればいくらでも語ろう。だが、今新たな特異点と言われても……またエリザベートあたりが聖杯を持ち出したのかと考えたくもなる。だが、ダ・ヴィンチちゃんの表情を見る限りは違うようだ。彼/彼女 の顔は困ってはいるものの、真剣だからである。
「場所は特異点F、冬木の街だ。此処に聖杯が出現したと観測されている。もはや何度目かはわからないけど、この冬木にレイシフトして、聖杯を回収してほしい。」
冬木ーー特異点Fとして初めてマシュと共に旅をした場所である。その後も別の特異点として、その時には諸葛孔明も加えて旅をした。今回またレイシフトするとしたら、3回目になる。
「また…歪みとか、そういったものなのでしょうか?
以前、冬木に行った時も、特異点Fとは違うものでしたし…今回もまた、違う歪みが発生しているということでしょうか?」
「そういうことだね。マシュは物分りが早くて助かるよ。」
少し考え込むように考えるマシュに対して、素直にすごいと思った。
時代における歪みとなれば、確かに特異点になり得る可能性もある。それがまた、聖杯が関係しているとなれば尚更だ。
「今回の冬木の歪みは、今までに見たものと何かが大きく異なると思われる。
でも、今回は私がきっちりサポートしてやるから大船に乗ったつもりでいたまえっ!」
自信満々に答える。いかにも飄々とはしているが、頼りになること間違いない。キャメロットでは本当に助けられた。
「では、今回はその歪みの特定、及び修正をして、聖杯の確保をする。歪みがなにかは気になりますが、やることはいつもと同じ、ということでいいのでしょうか?」
「そうその通り!存分に活躍してくれたまえ!」
いつも通り…たしかにいつも通りだ。どれも一筋縄では行かなかったが、今回も存分に苦労するのだろうと少し落胆はしてしまう。だけどーー
「マシュと一緒なら大丈夫です」
素直に思ったことを口にした。今までどんな困難にも立ち塞がれてきたが、マシュと共に駆け抜けた日々は忘れることはないし、常に支えてくれたからこそ、今の自分はあるのだと思える。
「せ、先輩……」
彼女が顔を赤くなっているような気もしたが、俯いて長い前髪でよく見えない。もしかしたら照れているのかもしれないが、あまり意識するとこちらも照れてしまう…ので考えるのはやめておこう。
「それじゃあ決まりだ。立香とマシュは冬木にレイシフトし、聖杯の回収に当たってくれ。なにかあったらすぐ連絡するように。こちらからも常に連絡はするようにしておくからさ。」
そうして、レイシフトが開始される。体と意識が切り離されるような感覚。自分がどこにいるのか見失う、そんな感覚。何度も経験しているが、やはり慣れない。
そうして何度もその感覚を味わいながらも、しかしそれは一瞬で終わる。体のあやふやな感覚が消え、うっすらと目を覚ます。
そこはーーー街だった
かつてレイシフトした特異点F冬木は街中が業火に焼かれ、見る影もなかった。その次の冬木は、街や人々はちゃんと存在していても、どこか薄気味が悪かった。
だが、今回の冬木は、それすらも感じない。穏やかな空気と、栄える街並みだった。
「先輩…これは…」
近くにいたマシュも驚いていた。それはそうだろう。彼女にとって、近代的で繁栄した街並みを見るのは初めてなことだし、ましてや脅威を一切感じない空間に飛び込めば、本当に特異点なのかと怪しくもなる。
「街です…本当にここに聖杯があるのでしょうか?」
「わからない…けど、ここが特異点であることには間違いないし、とりあえず探索してみよう」
捜査は足で。という昔観た刑事ドラマの言葉を思い返しながらも、探索を始めようとした。
しかし、立香はなんとなく気づいた。いや、気づいてしまった。
「せ、先輩…」
助けを求めるようなマシュの声を聞けばわかる。気づいてしまったと。
『な、なんだ?』
『なにも無いところから人が…』
『すごい!何かの撮影かな?』
『あの2人すごい格好だな』
一般の人に見られてしまった…!!
しょうもないオチですいません
ゆっくりと作っていこうとおもいます
誤字脱字あれば教えていただきたいです