誤字の指摘などもよければ。
部分部分に独自解釈があります。
小説(プログレッシブ)の設定とアニメの設定が混在している状態だったので、日時同様、小説に合わせたいと思います。
なので、1話のベータテスト期間で何層まで行ったかという記述を8層から10層に変更しました。
「第5層制覇を祝して、乾杯!!」
『乾杯!!』
「か、乾杯」
オニキスの音頭でグラスを掲げるG、H隊のメンバー。
それにつられ、なんとか俺もグラスを掲げる。
――何と無く、俺は浮いてるんじゃないかと心配になる。
何せ、俺は人付き合いというものが超絶苦手な中2ゲーマーなのだ。
こういう宴会みたいなノリに慣れていなくて、誰が責められよう。
因みに宴会場と化しているここは、オニキス達が泊まっている家の2階リビングだ。
「みなさーん!料理運ぶの手伝ってくださーい!」
キッチンからのクラリスの声に、群がる男共。
流石にあれに混ざろうとは思えない。
「良いのか?エギルは混ざらなくて」
「……オレには上さんがいるからな」
「――ブフッ!?ゲホッゲホッ!」
俺は盛大に咽せる。
エギル結婚してたのか!?
「キー坊……汚いゾ」
「はぁ……はぁ……そもそも、何でアルゴが居るんだよ?」
俺の隣に立つのは情報屋として名高い《鼠》のアルゴだ。珍しく、フードを被っておらず、金褐色の巻き毛が露わになっている。
もちろん、アルゴはフロアボス戦に参加したりはしていない。
「あの3人とはオレっちもちょっとした知り合いでナ。特にクーちゃんとは個人的にもメールしたりするくらいの仲ダ」
そういえば、随分前にアルゴに頼んだ《ベータテスターの死亡者数を推計する》という依頼……その時に知り合ったのだろうか。
「……それで、クラリスに招待されたってわけか」
「まあ、そういうことだナ」
「おいキリト、料理運ばれてきたぞ」
「……美味そうだな」
エギルに言われ視線を向けると、豪華な肉料理とパイ、その他がテーブルに運ばれているところだった。
「NPCレストラン顔負けだナ。キー坊としては、彼女は料理できる方が良いのカ?」
「か、彼女!?」
「嫁は料理できる方が良いだろうが……うちの上さんみたいに。でも、彼女は別にどっちでもいいんじゃねぇか?キリト」
「2人してからかうなよ」
グラスの中の液体を呷るが、残念ながら酔えない。しかし、結構美味い。
「いや、でも誕生日とかに手料理作られて不味かった時の空気といったら最悪だぞ」
「経験があるのカ?オニキス」
「体験談だ」
「そうか……そりゃ悲惨だな」
オニキスが俺達の会話に混ざってきたが……この話題はいつまで続くんだろう。
「アスナとはどうなんだ?キリトは」
オニキスがそんなことを訊いてくる。
「え?……アスナとはパーティー組んでるだけだしな。コンビってわけでもないし」
「その辺頑なだよな、お前ら」
エギルが呆れたような声を出す。
「エギルにはどう見える?」
「オレから見たら完全にコンビだな」
「だよなー。その辺自覚してないと先行き不安だよなー」
「なに勝手なこと言ってるのよ!キリト君とはそういうんじゃないって言ってるでしょ」
そう言って割り込んできたのは、もちろんクラリスの手伝いから解放されたアスナだ。
そんなに全力否定されると居た堪れないのだが。
「いや、俺初耳だし」
「オニキスさんはそうでも、エギルさんは違うでしょ!」
「お、おう。悪かったな」
「まあまあ、落ち着いて、アスナさん」
仲裁に入るのは金髪イケメンのアランだ。
「はぁ……オニキスは何やってるのさ。料理取り分けるの手伝ってくれよ」
「わ、解ったから引っ張るなって!おい!」
アランに袖を掴まれると、そのまま引きずられていくオニキス。
「あの2人の情報は、1部の層に高く売れそうだナ」
そんな不穏なことを、アルゴが呟くのだった。
◆
料理を粗方平らげ、エギル含むG隊とアスナ、アルゴが帰った後、残ってもらったキリトと俺は話し込んでいた。
もちろん、くだらない話ではなく、今後の生き死に関わってくることだ。
「なあ、エクストラスキルって《瞑想》と《体術》以外にはまだ見つかってないよな?」
俺がそう訊くと、真剣な顔付きになったキリトが口を開いた。
「プレイヤーが使えるのは今のところそれだけだ。……でも、10層で出てくる《カタナ》使いのMobから考えて、《カタナ》スキルは存在するんだと、俺は思う」
「そうか……俺、2層より上はベータ時代殆ど行かなかったから知らなかったよ」
《カタナ》か……。
「そのMobって強いのか?」
「プレイヤーがまだ使えないスキルなだけあって強いよ。……1層のコボルト王も使ってきた」
「……それで……」
「……ああ」
――ディアベルは死んだ。
「具体的にどんなモンスターなんだ?特定の種族なのか?」
「いや、違う。10層のモンスターは、それ以前の階層で出てきたモンスターの総浚いみたいなものなんだ。……《サムライ》を冠した、コボルトとかトーラスみたいな亜人系。3層以降出てくるようになった人型Mobも出てくる」
「人型か……どんな感じだった?やっぱりエルフとか、西洋人系の顔?」
その場合、侍ではなくSAMURAIだろう。
「いや……SAOらしくない日本人顔だったよ。ベータテストの時は凄い違和感だった」
「――不味いんじゃないか?それ」
俺達は現実の姿に限りなく近くなっているんだ。
西洋人風の顔が殆どだったベータテスト期間と違って、今は……当たり前だが日本人顔の方が多い。
カラー・カーソルで判別できるとはいえ、一瞬の油断が命取りになりかねないのだから。
「……そこは大丈夫だ。あの人型Mob……牢人みたいな格好してたから」
「それなら大丈夫だな」
見た目ですぐに見分けが付くなら、悲惨なことにはならないはずだ。
「でも、注意勧告はした方が良いだろうな……今度アルゴに会ったら言っておくよ」
「ああ」
「――じゃあ、俺もそろそろ帰るよ」
「悪かったな、引き止めて」
「いや……。ソロをやってるとあんまり人と話さないから、良い声帯の運動になったよ」
「あくまでソロだと言い張るんだな」
「……普段からアスナとパーティー組んでるわけじゃないからな」
「そっか」
ボス戦限定とか、クエスト限定なのかもな。
「じゃあ……クラリス、料理美味かったよ。《料理》スキル取ろうと思うくらいにな」
「ふふふっ……喜んでくれたみたいで良かったよ。じゃあね、キリトくん」
「今度会うのは6層のボス戦かな?」
「いや、アラン……町歩いてたら擦れ違うことくらいあるだろ」
俺が珍しく訂正する。
「そうだね。……じゃあ今日はお疲れ、キリト。またそのうち」
「ああ。……おやすみ、3人とも。ごちそうさま」
そう言って、キリトはリビングを出ていった。
寝室でベッドに転がり、少し考えて口を開く。
「なあ、アラン……ボス戦参加、続けるか?」
「……今更何言ってるんだよ、オニキス」
暗がりのソファーから、声が返ってくる。
「だってさ……お前ら、一歩間違えば死んでただろ」
《守護兵》の攻撃をキャンセルさせられていなかったら、アスナも含め3人とも死んでいた。
もし、俺の《エアリアル・スターブ》が間に合わなかったら、そもそも俺が《短剣》ではなく、別の武器を選んでいたら……そう考えると、今更恐くなる。
「大丈夫さ……僕達、もう20歳だろ?日本なら立派な成人だ。……キリトやアスナみたいな子供に戦わせて、大人の僕達が戦わないわけにはいかない。それに……やっぱり僕は、元ベータテスターとしてボスと戦う責任があると思う」
「……アランは最初からそういう考えだったよな」
「うん。……今回も、結果的に《クラリスさんを守った》のはオニキスだよね。……僕達、《役割》が逆なのかも」
そんなアランの苦笑混じりの呟きに、ニヤリと笑う。
「なら、アランは《短剣》に転向するか?」
「しないよ……でも、《カタナ》には憧れるよね。習得条件が解ったら、取ってみようかな」
「止めろよ、タンクいなくなるだろ」
「あはは……まあ、そうだね。今は自分の趣向より、役割優先だよね」
「……悪かったな、趣向優先させて」
「嫌味で言ったんじゃないって。……クラリスさん、元気そうで良かったよ」
「そうだな。……泣かれると対応に困るからな」
「……君が言っても説得力ないよ」
これでも人付き合いって悪戦苦闘の連続なんだがなぁ。
「フォローしとけよ、アラン」
「したよ。ボス戦終わった直後にね……『大丈夫です』って言われたよ」
「そりゃ、そう言うだろ」
「……だからさっき、クラリスさん普段より明るいくらいだったから、安心した」
「そっか」
「うん。……僕がタンクやってるのは、《盾》になる為だからさ……悔しいよ、自分で守れなかったのは」
「……そっか」
「――でも、全員無事で本当に良かった。……そろそろ寝るよ……おやすみ」
「ああ……おやすみ」
今日、また新たなる《世界》が開かれた。
……今回は、俺も1枚噛んでいる。
このまま《扉》を開け続ければ、やがて頂だ。
――勝ち続けるんだ、この《世界》に。
「……寝よう」
こうして、夜も更けていくのだった。
前半はキリト、後半はオニキス視点になっています。
朝まで飲むはずが……疲れてたんでしょうね(^_^;)
まあ、ボトル5、6本で11人で朝まで飲めるか?と問われれば微妙なんですが。酔いませんしね(笑)
大人としての責任感を持つプレイヤーもいたと思うんですよね。
アランに言わせるにしては若すぎるように思いますが、イギリスでの成人は18歳ですし(スコットランドは16歳ですね)、大丈夫でしょう。
でも、若干無理やりでしたかね?
次回は10層予定。
人型Mobとの戦闘を予定してます。コボルトとかトーラスも出ると思います。ネーミングが難しい(´・ω・`)