ソードアート・オンライン 漆黒の復讐者   作:eldest

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 感想、評価募集してますm(_ _)m
 誤字、脱字の指摘などもあったらお願いします。

 部分部分に独自解釈があります。

 ユシノさんに頂いたアドバイスから、全話、会話文の前後に改行を入れました。
 中々決心がつかなかったんですが、現在同時連載?してる黎明の女神の方を書く際に、行を開けてみたところ見やすかったんで、10話近い文章を改行、改行。
 もっと早くやれば良かったですね(´・ω・`)

 あと、片手曲剣→曲刀に変更。原作に合わせることにしました。
 それから、各話若干の手直しをしています。誤字脱字の修正とか。

 それでは、《ふつのみたまのつるぎ》奪還クエストその3です!


第13話 別れはいつも

 如月の活躍もあり、2階部分も踏破した俺達は、城の最上階である3階に上がっていた。

 

「お侍様!城主の部屋はもうすぐそこです!」

「――如月、逸る気持ちは解らんでもないけど、ちょっと待て!2人が付いて来てないから!!」

 

 敏捷値優先の俺ですら、如月の背中を追うのでやっとなのだ。バランスよく振ってるクラリスはまだしも、筋力値優先のアランはとてもじゃないが付いて行けない。

 

「……失礼しました。私、周りが見えておりませんでした」

 

 如月が止まり、申し訳なさそうに頭を下げる。

 こういう仕草を見るたびに、本当にプログラムで動いているNPCなのか?と自信がなくなってくる。

 

「やっと追いつきました~」

「はぁ……はぁ……。息切れは起こさないはずなんだけどね。心なしか息苦しいよ」

 

 1、2分でアランとクラリスが合流した。

 

「申し訳ありませんでした、お二方とも。気持ちばかりが焦ってしまって……」

 

 そう言うと如月は、深々と頭を垂れた。

 

「あ、頭上げてよ如月さん。追いつけなかったのは僕が悪いっていうか、如月さんの気持ちは痛いほど解るっていうか――」

 

 あたふたしだすアラン。

 

「……アランさん、如月さんはNPCなんですよ?落ち着いてください」

「クラリスって結構ドライだよな」

 

 その光景を冷めた眼で見やるクラリス。

 アランは何かと感情移入するので、『ああ、こいつゲーム楽しんでるなぁ』という感想を抱かせる。

 一方クラリスは、現実とゲームの区別――が付け辛い現SAOでも明確な線引きをしているような気がする。彼女の判断基準までは流石に俺には解らないが、決してNPCとプレイヤーを同一視することはないと、俺は思う。

 仮に、フィールドボス戦などでNPCを犠牲にする作戦が立てられたとしよう。クラリスはたぶん、躊躇せずにNPCを犠牲にする。何故なら、NPCはNPC……死んだところで、現実の肉体が死ぬわけじゃない。代わりは、幾らでもいる。……俺も、そう思っている。

 ――いや、正確には思っていた、が正しいだろうか。

 俺もNPCなんて例え死んだところで、代わりは幾らでもいるんだと、そう思っていた。

 でも、それならこの如月はどうなんだ?

 俺が口にした『グッチョブ』の意味を教えてやると、戦闘後に如月は俺達3人を労う為に言うようになった。

 その行動を取るのは、この如月だけであって……他のパーティーが遭遇するであろう如月は、同じ行動は取らない。

 NPCが関わるクエストは、パーティーごとに別のNPCが割り当てられる。

 《ホルンカ》で受けた《森の秘薬》クエストを思い出せば、理解は速いと思う。

 プレイヤーはクエストを同時進行させている。

 フィールドは兎も角、ダンジョンを同じNPCを引き攣れ、プレイヤー数十人が駆け回ったら、興醒めもいいところだ。

 だから、NPCが関わってくるクエストには、1クエスト、1パーティーに1NPCが割り当てられる。ダンジョンも同じ原理で、俺達が今いる《ヤマト城》も、ワンオフ品……俺達専用のダンジョンなのだ。

 ――だとすれば、この如月は、この《世界》でたった1人の《ユニーク》なんじゃないのか?

 

「どうしたんですか?オニキスさん」

 

 俺は今、何か、とても大切なことを考えているんじゃ……。

 そんな思いに駆られる。

 ――NPCにも、代わりなんていないのかもしれない。

 

「オニキスさん!!」

「――え!?何だ、どうした?」

「上の空でしたけど、大丈夫ですか?」

「あ、ああ。……悪い。――じゃあ、城主ぶっ倒しに行こうぜ!!」

「「おー!!」」

「最後の踏ん張りです。皆様、宜しくお願い致します」

 

 

「お侍様、来ます!」

「解ってるって!!」

 

 馬頭の薙刀が放つ一閃を、単発斜め斬りのソードスキル《スラッシュ》で思い切り弾き返す。

 

「隙あり!!」

 

 『スイッチ』の代わりに発したその言葉と共に、如月がシーグリーンに染まった刀を閃かせる。

 

「奥義《鎌鼬》!!」

 

 それがこのソードスキルの名前なのだろう。

 斬撃が少し離れた馬頭――《スマートグリーヴァ・ランサー》――の身体を、甲冑ごと刻む。

 まさに真空状態で起こる、あの鎌鼬のような技だった。

 馬頭がHPを半分ほど減らし、身体を大きく仰け反らせる。

 

「スイッチ!!」

 

 掛け声と共に、馬頭の懐へ飛び込む。

 刀身がオレンジに煌き、Λの軌跡を描く。

 《短剣》2連撃技《ラムダ・スラッシュ》。

 見事命中し、馬頭のHPが残り全て吹き飛ぶ。そして、身体が幾つもの破片し、破砕音を伴って飛び散った。

 

「グッチョブです、お侍様」

「そっちもな、如月」

 

 こうして声を掛け合っていると、NPCだって忘れそうになるよな。

 ――お?

 獲得した経験値などが書かれたウィンドウが開くと同時に、軽やかなファンファーレが鳴った。全身を、ゴールドのライトエフェクトが包み込む。

 

「レベルアップか……これで3人とも、レベル24だな」

 

 本日2度目のレベルアップだった。

 このレベルが全体から見て高いのか低いのか解らないが、階層プラス10レベルが安全マージンと言われているので、24レベルは全体から見ても結構高いんじゃないだろうか。

 

「また強くなられたのですね、おめでとうございます」

「さんきゅ――いや、ありがとう」

 

 少し離れた位置から馬の嘶きと『バーン!!』いう破砕音が聞こえ、再びウィンドウが開く。

 

「お疲れ、アラン、クラリス」

 

 2人が近づいてきたので、労いの声をかけた。

 

「お疲れさまです。レベルまた上がりましたね!」

「たぶん、あの牢人姿の人型Mobがここにしか湧かないレアモンスターだったんじゃないかな」

 

 アランは牢人姿のMobと言ったが、正式名称も《ロウニン》である。

 所謂、日本刀である刀を使うMobだった。

 如月を捕らえている1体、各階の階段を守っていた2体の計3体……もしかしたら、ボスであろう城主の取り巻きとしても出てくるかもしれない。

 奴が使う刀――如月が持つのもそうだが――は、直刀や野太刀以上に鋭く、高い攻撃力が設定されている。

 だから、《ロウニン》は中々の強敵だった……が、どんな攻撃も当たらなければ、どうということはない。

 2体は轢き逃げのような形で倒して、もう1体は正々堂々戦ったが、俺は敏捷値に物を言わせ、アランは盾を使って躱し、4人の連携をもって難なく倒せた。

 因みにレアMobを倒して手に入る経験値は、同格のノーマルMobの2、3倍近い。

 

「さあ、もう城主はすぐそこです。……お侍様方、ここまでのご助力、誠にありがとうございました」

 

 如月が、俺達に向かって頭を下げた。

 

「参りましょう。――最後の戦いです」

 

 最後の戦い。……如月にとっては、最期の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 巨大な扉。この先に、ボスであろう城主がいる。

 

「開けるぞ」

「うん」

「はい」

「……遂に、ここまで来たのですね」

 

 3人に確認を取り、俺は力を込めて扉を押す。

 ゆっくり、扉が開いていく。

 ――扉の隙間から見えたのは、人間ではなく、赤鬼だった。

 城主は、鬼だったのだ。

 これで、城主がこのダンジョンのボスだと確定した。

 

「いくぞ!!」

 

 俺は叫び、中に踏み込む。

 と、いきなり袖を掴まれ、引き倒された。

 

「うわっ!!」

 

 『ドサッ!』と音をたてて、俺は床に倒れる。

 な、何だ?

 ――隣を見やれば、如月が一緒に倒れていた。

 如月が転ばせたのか?

 

「な、何で――」

「うわっ!?」

「オニキスさーん!!」

 

 悲鳴が聞こえ、振り返る。

 いない。

 2人がいない。

 

「え……?」

「お侍様!上です!!」

「上って……ああ!?」

 

 いた。

 空中に。網にかかって。

 

「ははは、時代劇みたい――って、流石に僕だって笑ってられないよ、この状況は!!」

「乗り突っ込みですか……」

 

 こんな状況なのに、クラリスはジト目で突っ込む。律儀なやつだ。

 ――いやそれこそ、そんなこと考えている場合じゃない!!

 俺達は立ち上がり、城主――いや、《レッド・オーガ》を見据える。

 

「ガハハッ!!罠にかかりおったわ!!だが……羽虫が2匹逃れたようだな」

「――城主!!我が家の宝刀、《ふつのみたまのつるぎ》を返しなさい!!」

「羽虫と思えば、中々に別嬪な娘ではないか。どうだ、ワシの目掛けにならぬか?」

「誰が貴様の目掛けなどに!!」

「フン。折角このワシが慈悲をかけてやろうと思ったのに、それを無下に断るとはな――気に入ったぞ、女。貴様の名、何と言う?」

「お前に名乗る名など持たん!!――お侍様、いきますよ」

「ああ!!」

「羽虫共がいい気になりおって!!良いだろう。ワシ自らが鉄槌を下してやる」

 

 城主はそばに置いてあった金棒を振り回すと、肩に担いだ。

 ――鬼に金棒か。

 

「1撃の威力は《カタナ》の如月の方が高い!俺が城主の攻撃を相殺して隙を作るから、如月は奥義で攻撃してくれ!!」

「……承知!!」

 

 2人同時に走り出す。

 

「羽虫が、ちょこまかと……――ええい!そこだ!!」

 

 城主が金棒を振るが、動作がデカい。

 これなら、容易に躱すことができる。

 

「せいっ!!」

 

 単発突進技の《スターブ》で、一気に距離を詰め、一太刀浴びせる。

 

「羽虫がぁッ!!」

 

 金棒が大きく横に払われるが、大きくバックジャンプして、それも躱す。

 

「はぁッ!!」

 

 如月が切り込む。

 続けて、切り替えし、確実にダメージを与えていく。

 

 ――同じような攻防を繰り返し、3つあったHPバーが、遂に残り1本になった。

 

「ええい!羽虫共が!!……良いだろう、ワシの真の力を見せよう」

 

 城主の身体から赤い闘気が――いや、鬼気が噴き出す。

 

「くっ――!!」

 

 身体がジリジリと後退する。

 城主から少し離れたここへまで、圧がくるのだ。

 

「こんなものッ!――奥義《鎌鼬》!!」

 

 その圧を、風の刃がかき消した。

 

「今です!お侍様、あの技を!!」

 

 如月が言うあの技とは、あれしかないだろう。

 マチェーテの刀身をビリジアンに染め上げる。

 

「う……ぉぉお!!」

 

 叫び、身体がジェット噴射の如く、猛スピードで飛び上がる。

 狙いは、左眼。

 

「貫けぇぇぇぇぇぇっ!!」

「ガァッ!!」

 

【CRITICAL】

 

 狙い違わず左眼を貫き、大ダメージを与えるが尚止まらず、天井ギリギリにまで身体が接近する。

 《短剣》空中突進技《エアリアル・スターブ》。

 

「奥義――!!」

 

 如月が駆け抜ける。

 

「羽虫がぁッ!!」

 

 城主がレッドのライトエフェクトに染まった金棒を振るうが、片目が潰れているせいで狙いが付かず、空振りに終わる。

 ――不意に、如月が顔を上げた。俺と眼が合う。如月が口を開く。

 

 見ていてください。

 

 そう言った気がした。

 

「――《血桜の舞》!!」

 

 城主の金棒を纏う赤と比べ、より澄んだ紅のライトエフェクトを纏った刀が、幾閃もの軌跡を描く。

 それは、咲き誇る桜のようだった。

 

「グハァ!!」

 

 全10箇所にも及ぶ切り口から、赤いライトエフェクトを噴出す城主。

 ――だが、僅かに数ドットのHPが残っている。

 

「仕損じおったわ!!――死ねい!小娘ェッ!!」

「フッ」

 

 金棒が振り下ろされる。

 だが、如月は上を見据え、笑う。

 ――俺も、笑い返す。

 マチェーテを逆手に持ち、切っ先を下にして構え――重力に従い、落下する。刀身を、クリムゾンに輝かせて。

 

「止めだっ!!」

「グラァァァァァアッ!!」

 

 絶叫が迸る。

 切っ先を深々と城主の頭へ突き刺し、残ったHPを全損させた。

 《短剣》突き技《エアリアル・ゴアー》。

 

『バーン!!』

 

 大きな破砕音が鳴り響き、部屋中一杯に破片が飛び散る。

 

【You got the Last Attack!!】

 

 俺はストンと着地し、頭上にゆっくり落下してきた直刀をキャッチした。これが、《ふつのみたまのつるぎ》だろう。

 

「ほら、如月。あんたの探してた物だろ?」

「はい……、はい。そうです、その通りです。遂に、取り返すことができました。これも全て、お侍様とお仲間の方のお陰です」

 

 俺は直刀を如月に手渡し、件のお仲間を見やる。

 

「生きてるかぁ~2人とも!!」

「な、なんとか」

「び、びっくりしました」

 

 城主が倒されたことによって罠が消滅し、尻餅をついて落下したアランとクラリス。

 ――恐らく、このボス戦はクエスト受注者&如月VS城主という仕様だったんだろう。

 ウィンドウが表示され、大量の経験値とコル、それから数個のドロップアイテムを獲得したことを告げた。

 

「本当に、本当にありがとうございました。……これも、お侍様方のご助力あった故」

「……あんまり役に立てませんでしたけどね」

「……僕もだね」

「そんなことはございません。城主を倒すのは、お二人を助けるためでもあると思うと、力が湧いてきました」

 

 そこまで言うと如月は、袖口から今まで持っていた刀と同じ、赤い鞘の刀をもう一振り取り出した。

 

「これが、せめてもの気持ちです。お受け取り下さい」

 

 俺は刀を受け取った……のだが――

 

「重っ!!」

 

 筋力の要求値が高いのか、かなりに重い。

 持てないこともないが、とてもじゃないが戦闘には使えない。

 

「……ありがとう、如月」

「――この刀は、父が病に臥す前に打った、最期の二振りなのです。……銘を《茜菊》」

「《茜菊》……」

 

 SAOの剣は、序盤はブロンズやスチールなどの有り触れた名称だ。それが段々と変わっていき、《クイーンズ・ナイトソード》のような、その剣独自の名前を冠するものが増えていく。噂では、アインクラッドに一振りのみのワンメイク品なども存在するんじゃないか、と囁かれている。それも当然かもしれない。何故なら、ここは剣1つで何処までも行ける、《剣戟の世界》なのだから。

 ――この刀は、まだまだ序盤である10層においては、間違いなく名刀だろう。

 

「……大事にする」

「……ええ」

 

 

 

 ダンジョンをクリアしたからといって、出口までワープで届けてくれることもなく、俺達はゆっくり歩いて1階まで戻ってきた。その間、モンスターに出くわすことはなかった。城主が倒されたことによって、ダンジョンの機能は停止したのだろう。

 遂に、出口に着いた。

 

「――お侍様方、本当にありがとうございました」

 

 恭しく頭を下げる如月。

 

【Quest Clear】

 

 視界中央にクエスト達成メッセージが浮かび、ボーナス経験値が加算された。

 

「それでは、私はここで。《ふつのみたまのつるぎ》を早く父上に届けなければなりません。……アラン殿、クラリス嬢……オニキス様。また、会うこともあるかもしれません」

 

 名前、初めて呼ばれた。

 

「それでは――ご達者で」

 

 そう言うと、如月は扉を開けて城を出ていった。

 俺は見送ろうと、閉まった扉を再び開けた。

 

「……あ」

 

 ――だがもうそこには、如月の背中は無かった。




 次回はキリト出してまったりか、ボス戦やるか……。
 悩みます。
 う~ん(´Д` )
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