ウサ耳が頭に生えている少女と首にヘッドホンをかけた金髪の学生服の少年が、森を常人ではありえない速度で駆けていく。そんな中、ウサ耳の少女、黒ウサギは非常に上機嫌だった。なぜなら異世界から自分たちを助けてもらうために呼び出した金髪の少年、逆廻十六夜の力を確認できただけでなく協力を確約してもらったからだ。かなりの問題児であるという欠点を抱えているものの、実力を鑑みれば問題はなかった。逆廻十六夜もこれから始まる生活に期待を隠せなかった。
そんな時バシャアアアン!という音が響き渡った。音のした方角は十六夜他問題児2名が異世界から呼び出された方角であった。
「おいおい、随分と遅い、ド派手な登場をしたやつもいたもんだな?俺も湖を吹き飛ばすぐらいしたほうがよかったか…?」
「こ、この事態になにおバカなことを言ってらっしゃるのですか!…万が一がございますので少し見に行きたいのですがよろしいですか?」
真剣に悩んでいる十六夜に突っ込みを入れつつ、様々な悪い考えが頭の中にグルグルと動き回る。だが悩んでいても仕方ないと思い向かうと決める。
湖に到着すると2mを軽く超える長身の、ボロボロの鎧と剣を握っている、騎士のような風貌の男が倒れていた。黒ウサギは駆け寄ると意識の有無、怪我の具合、どこのコミュニティ、つまり国のようなものに所属しているかを確かめる。が、意識はなくどこのコミュニティに入っているかもわからず、重体であるという最悪のことだけが分かる。
「…おいおい。素人目だが随分とやばいな、箱庭じゃこれを治せる恩恵もあるのか?」
「はい。ですが、これほどの重体となると所持しているコミュニティは多いとは言えません…。ですが、黒ウサギには一つだけ心当たりがあるので、急いで向かいましょう!」
先ほどまでは楽しそうにしていた十六夜もさすがに表情を引き締める。そして黒ウサギの心当たりの場所、サウザンドアイズの支店にいる白夜叉の所へと黒ウサギが騎士の男を担ぎ上げ、全速力で向かう。
白夜叉は黒ウサギが来ることを心待ちにしていた。自分は黒ウサギに何かと目をかけているが、おいそれと会える立場ではないので、会える回数は必然少なくなってしまう。今日はどのようにして出迎えてやろうかと夢を膨らませていると、黒ウサギが自分の名前を叫ぶ声が聞こえる。鬼気迫っているその声に、いつもの自分のいたずらに対するものでないと気づき、出ていこうとすると滅多に狼狽えないはずの割烹着の店員と一緒に自分の私室にドタドタと入ってくる。入ってきた黒ウサギを見てなぜそこまで慌てていたのかを理解する。明らかに重体の男を背負っているのだ。
「何があったかは後で聞くことにするとしようかの。とりあえずその男をここに浸せ」
言われるがままに黒ウサギは背中に背負っていた男を寝かせる。すると白夜叉がギフトカードより何か、琥珀色の液体が入っているバスタブのようなものを取り出す。そして黒ウサギが鎧ごと男をそっと浸す。
「…万が一があるかもしれないと思って用意しておいてよかったわい。この後は包帯を巻いて増血薬を飲ませておけばよいじゃろう。…で、この男は何ものじゃ?
「申し訳ありませんが黒ウサギも倒れているところを見つけてここに連れてきただけですので…」
「ふーむ、まあ後で詳しk「あーーーーー!!や、やってしまったのですのよ!」
「ど、どうしたんじゃ?いきなり大声をあげて」
詳しく話を聞いてみると、どうやら呼び出した3人をジン=ラッセル、若きコミュニィティのリーダーに押し付けてきたらしいのだ。慌てて迎えに行こうと黒ウサギはサウザンドアイズの支店を飛び出した。するとそこには
「「「クーローウーサーギー?♪」」」
悪魔のような顔をし3人の問題児たちが立っていた。