その時俺が~、あいつが~、等々、アルトリウスは饒舌に語っていた。最も、七割ほど自分語りなのだが。だが、それもしょうがないだろう。自分が打ち立てた功績は、すべて自分の力によって、打ち立てたものなのだ。これが他人の力や人からもらったものだけで、打ち立てたのなら話は違うが、自分の努力の上で成したものなのだ。それを話す機会に恵まれたというのならば、口が滑るというものだ。そして、一時間ほど話したところで、白夜叉から提案が出された。
「ふむ、ところでおんし、どういったコミュニティに入りたいか希望はなにかあるかの?」
「いや、特にないけど?しいてゆうなら戦いがあるところだな」
「ならば、黒ウサギのコミュニティはどうじゃ?」
「んー、恩もあるしな。いいぜ」
「ほ、本当でございますか!?」
「なんだ。だめか?」
「いえいえ、大歓迎でございます!」
ウッキャー!と両手をあげんばかりに喜ぶ黒ウサギ。だが、それもしょうがないだろう。衰退していく自分のコミュニティ、一発逆転をかけ異世界から3人を召還し、それが成功しただけでなく、大英雄と十二分に言えるアルトリウスの加入が決まったのだ。アルトリウスとしても、自分の命の恩人である黒ウサギのコミュニティに入るというのであるならば、是以外ありえない。それを素直に、白夜叉は祝った。
「で、あるならば儂としても3人と同じものを送りたいところじゃが、生憎とゲームの準備ができておらんからなぁ」
「いや、ここまで世話になっておいて、さらになんかくれとかいえねーよ」
「否!おぬしにだけ渡さんなど儂のメンツにかけてできん!」
「だったら俺が相手してやってもいいぜ?」
「儂の代わりに相手をするつもりか?」
「おう、俺が試験官をを務めてやろーじゃねえか」
「あら十六夜君、抜け駆けはずるいんじゃないかしら。あと春日部さんはもちろんなしよ」
「…わかった」
「何を勝手に話を進めとるんじゃおぬしら!?」
「いやーやっぱ面白いな」
真剣に悩んでいた白夜叉に遠慮するアルトリウス、そこに割って入る十六夜、さらにそこに乗っかりつつ春日部に釘を刺す飛鳥、白夜叉の回答もなし話を進めるという、カオスな状態が広がってた。無論アルトリウスは爆笑していた。
「…もう好きにせい。ほれ」
「ハハハ、悪いなお嬢様。早い者勝ちってことで譲ってもらうぜ?」
「…しょうがないわね。今回だけよ」
諦めたように白夜叉が柏手を打つ。瞬間、視界が一瞬で切り替わる。湖、丘、森林、そして明らかに異常な、水平に廻る白い太陽。それらが目の中に飛び込んでくる。
「…わーお。ぶったまげたな、こりゃ」
辺りを物珍しそうにきょろきょろと見回す。あまりの異常さに感嘆の言葉しかでない。だが、驚いているのは自分だけであり、周りは平然としている。
「さっき言ってたゲーム盤ってこれのことか」
「ふふ、どうじゃ驚いたかの?」
「ああ、かなりな」
得意げにしている白夜叉に、素直に自分の気持ちを伝える。自分の驚き具合にひとしきり満足したのか、白夜叉が双女神の紋が入ったカードをとりだす。すると、輝く羊皮紙が現れ、白夜叉は白い指を振い羊皮紙に記述する。
『ギフトゲーム名`問題児と大英雄‘
・プレイヤー一覧 アルトリウス
逆廻 十六夜
・クリア条件 先に一撃を与える。
・クリア方法 一対一の決闘。
・敗北条件 降参か、先に一撃を与えられた方。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストの名の下、ギフトゲームを開催します。
‘サウザンドアイズ‘印』
突然出てきた羊皮紙に驚きつつ、中身を読み込む。特に難しい事は書かれておらず、真正面から戦い一発当てたら勝ちというものだ。そして羊皮紙を白夜叉に投げ渡しつつ、既に離れている十六夜に向き直る。
「へー、こんな風なのか。…んじゃやるか十六夜」
「応。…剣を出す時間くらい待ってやるぜ?」
十六夜は言動と態度が全くあっていない。まるで、遠足に行く前日のように、十六夜は、はしゃいでいる。隠そうとしているが、全く隠せていない。それも当然だろう。十六夜はいうなれば、籠の中の鳥だったのだ。世界という籠に閉じ込められていたが、箱庭に来たことによって、解き放たれたのだ。そして、目の前にいるのは、先ほどの蛇神を遥かに超える存在なのだ。これに興奮しないわけがない。
「剣?グウィン王の四騎士たる俺に、お前みたいなガキに抜けと?ハッ!おいおい、それはちょっと冗談が過ぎるんじゃねーか?」
「燃えさせてくれること言ってくれるじゃねーか。精々、言い訳の準備でもしとくんだな!」
瞬間、十六夜は全力で踏み込んだ。