ソードアート・オンライン episode of side S   作:ソウルメイジ

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第二話

テレポートした先は大広場であった。そこには自分たちと同じように次々とプレイヤーがテレポートされてきているようであった。

 

問題はその容姿だった。

 

先ほどの使用アバターは見る影もなく、今目の前にいるのは現実のものと全く相違ない姿をしたメイさんだった。

ということは、とあまり考えたくない現実にたどり着く。

 

「僕、どっちの顔ですか?」

 

「あっちの世界のほう、だね」

 

「やっぱり。。。一体どうなっているんですかね、これ」

 

「さぁ、バグなんじゃないかな、βテストの時にはこんなことなかったのになぁ」

 

そんなことを話していると、突然空中に赤い顔のないマントが現れた。

おそらくGMだろう、この状態について説明があるのだろう。

 

と、軽い気持ちで構えていた自分に聞こえてきた言葉はまるでハンマーで殴られるかのような現実であった。

 

いわく、このゲームでの死は現実での死に直結し

いわく、クリアのみ脱出ができる。

いわく、外部からの装置取り外しが試みられた場合も死である。

 

このゲームはゲームであって遊びではない。

 

そう告げられて、GMは再び姿を消した。

 

と、次の瞬間、メイさんが突如として輝きだした。それは、まるでモンスターを倒した時のような輝き。

 

と、メイさんが倒れこむ。

 

「どうしたの!?めいさん!?」

 

慌てて僕は駆け寄ってメイさんに手を握る。

 

「突然、ちから入らなくなっちゃって。」

 

最悪の展開がいやでの僕の頭の中を遮る。

 

「うちの親、頭固いからなー、あたしのこと見つけて外しちゃったのかなー」

 

「いやだ!いやだよ!メイさんがいなかったら僕はどうしたら!」

 

体がどんどんポリゴンのかけらとなっていくメイさんに僕は涙が止まらなかった。

そんな僕のほほにメイさんは手をかけて

 

「あなたはゲームがうまいのだから、きっとこのゲームもすぐにうまくなるわ。だから、その力でみんなを助けて、そして……」

 

そこでめいさんを形作っていたポリゴンはすべて破片となって消えてしまった。

頭の中が真っ白になった。

脱力感、虚無感が一斉に押し寄せてきた。

 

その中で、一人がさっそうと群れから抜けていくのが見えた。

どうしてか、僕はそれを追いかけたほうがいいと、こんなにも悲しいはずなのに

理性はしっかりと残っていて、

さっそうと抜け出すその一人を僕は追いかけることにした。

 

 

 

 

 

 

                   ☆

 

 

 

 

 

追いかけた少年の身のこなしはまさしく華麗で無駄一つない洗練されたものだった。

おそらくβテストで手に入れた知識をもとに最短ルートでの攻略を図っているに違いない。

こんな人もいるのだな、と素直に感心した。

今の自分は他人のために戦う、クリアを目指す、ということが完全に頭から抜け、完全に虚脱状態だったからである。だが、なけなしの理性がこの少年を追いかけろと、出だしで失敗すると、のちに大きなさができてしまうと告げていた。

 

しばらくたつと、小さな村が見えてきた。

そこの村人の一人の上に特殊なマーク、クエストマークが光っていた。

少年は、真っ先にそこに向かいクエストを受注、再び、また奥へと進んでいった。

 

それ以上追うことが不可能と判断し、ここからは自分のペースでいくしかないと、自分も同じ人に話しかけてクエストを受注した。

 

なんでも、病にある娘を治療するためにあるアイテムをとってきてほしいのだとか。

おそらく、向かった先に落ちているか、もしくはモンスタードロップであろう。

先ほどまでで、あらかた動きやスキルの使い方をさらに熟知をすることはできたが、その通りに発揮できるかは、別だろう。

そう考えて、ここからはいったいずつを丁寧に丁寧にさばいて、とりあえずレベリングをすること

にした。ここから先がどうかはわからないが、今までのてきに関してはさほど強くはなかった。

この村の近くで応戦して、体力がすぐに回復できる状態であれば、なんとでもなるだろう。

 

そう考えて、じっくりとレベリングを開始した。

 

 

 

 

 

 

                     ☆

 

 

 

 

レベルが6を過ぎるころに、2人組の男がやってきた。

僕はとっさにどこかに隠れた。

小さいころから厳しい両親に育てられたせいか、それとももともとの性格なのか人の内面を見ようとする癖が僕にはあった。そして、わかるまでは決して自分は心を閉ざす、ないし人と関わらないことを選ぶ傾向にあった。

この段階でここにいるということはβテストの体験者であり、あの事実を聞いたのちにこの短時間でここに来たのだから相当のやり手であろうことは予想ができた。

だからこそ、あまり下手に敵か味方かわからない、しかもじぶんより腕の立つものに存在がばれてはただただ厄介である。

 

二人も同様にクエストを受注し、森の奥へと消えた。

レベルとしては自分と同じくらいであったため、おそらくこのレベルであれば奥に進めるのだなと判断。二人にはばれないように自分も奥へと足を進めた。

 

二人の連携もまた見事なもので、非常にあっさりと向かってくる敵を倒していった。

ここで、二人はモンスタードロップによりあるアイテムを入手。

その顔を見た瞬間に悟った。

 

こいつらは敵だ。

 

 

さらに慎重に隠れながら、先に進むと、最初に追いかけてきた少年の姿が見えた。

奥になるにつれて出るようになった植物型モンスターのひたすらに狩っている。

おそらくクエストで手に入るモンスタードロップアイテムを待っているのだろう。

レベルはもうすぐ10になろうという勢いで素直に感嘆した。

 

二人組は何やら話し合いをして、うん、とお互いにうなづくと一人はもう一人を攻撃してダメージを与え始めた。そして、ゲージが黄色になると一人はは森の陰に隠れ一人が少年のほうへと向かっていった。

 

緊張して見守っていると、一人は少年から何やらアイテムをもらっている。この時点で予想する限り最悪の自体が起きたと判断した。

と、次の瞬間。先ほど、二人が手にしたモンスタードロップアイテム。

あれを、少年に投げつけるやいなや、二人組の一人がダッシュで逃走。もう一人隠れていたほうと合流して姿を消した。

すると、森の陰から先ほどとは比べ物にならない数のモンスターが出現し始めた。

 

おそらくあれは、モンスターを引き寄せるアイテムであり、少年はそのアイテムをつけられたのだろう。

 

少年は一人で必死にそのすべてに応戦するも、体力ゲージはみるみるなくなっていく。

1対5を常にやらされていては目がいくつあろうと追いつけるわけがない。

 

あの少年もあのゲージがなくなれば死んでしまうのか。

遠くでそんなことを考えた。

彼女はゲージのことすら関係なく死んだ。

理不尽だ。

あの少年も、あの二人にはめられた。

理不尽だ。

 

 

「ック……ここまでか」

 

赤いゲージまできた少年がつぶやいた。

 

「………ハアアッ!」

 

最後の一撃が届く前に僕のソードスキルがその触手をとらえた。

そして、すかさずアイテムポーチからポーションを取り出して投げる。

 

「初心者だから時間はそんなにかせげない!」

 

不思議とめいさんとやった時の戦闘が思い出された。

僕はソードスキルの発動を相手の攻撃に合わせて発動し、寸でのところでかわすとともに、斜め方向にいた植物モンスターへとスキルを発動し、また、その職種は勢いを強くしたまま僕の元いた一の真後ろにいたモンスターへとダイレクトヒットした。

そのまま、居合から体をひねりながらスキル発動のための力をため、勢いを殺すことなく、水平切りを繰り出し、目の前のモンスターを撃破しつつ、そのまま後ろへと振り返る。そして、もう一度鞘へと刀をしまい、力をためて最短のソードスキル居合のモーションに入る。

が、次の瞬間、再びいつの間にか後ろに湧き出ていた植物型モンスターに突き飛ばされ、一気に体力ゲージが削られる。

さすがに、防具もなしにこんなとこまで来るのは無謀だったかと、いまさらながらに思う。

それでも、と立ち上がりもう一度居合のモーションをとり、確実にいったいずつを仕留めていく。

だが、数は一向に減らない。

 

ポーションを飲むも一撃が重いために回復がまったくと言っていいほど間に合ってない。

思考をとめることなく回し続ける。

 

左下の攻撃をいなして、右上の方向にもっていき、攻撃を相殺して、そのまままっすぐにつっこみ、ど真ん中に一撃を加えて、そして倒したそのすぐ後ろにもう一体いることに、気づくことができなかった。

 

奥のその植物型モンスターはすでに振り下ろすモーションに入っており、どうあがいてもよけるに間に合うタイミングではなかった。

 

………ここまでか。

 

 

「………まにあえッ!」

 

 

そういいながら、自分よりも多くの敵に追い回され逃げ回りながら回復をしていたはずの先ほどの少年の周りには、敵は一体としておらず、そして振り下ろされるはずであった職種は見事に少年によって切り落とされた。

そして、少年は僕に背中合わせになるように、構えをとった。

 

「後ろ、預けたぜ」

 

そういって口をにぃと釣り上げて少年は笑う。

僕も思わず笑っていた。この状況なのに

そして、彼女の言葉がどうしてか思い出され、こういっていた

 

「楽しんでいきましょう」

 

そういうと、同時にお互いが地面をけった。

 

どう戦ったかはあまり覚えていない。

しかし、あの背中を任せて戦った時の守られている安心感、窮地にも関わらず目の前に敵に対して覚えたあの高揚感は強く胸に残った。

一人とは違うと感じるだけであれだけの力を発揮できるのだと、実感した。

そして、感じた、後ろを守ってくれたこの少年、この少年は間違いなく本物だと。

 

こんな強いプレイヤーがいて、かなり難易度の高い敵の数数。

 

メイさん、このゲームすごく楽しいよ。

 

そう思ったとたんに胸がズキリとするのを感じた。

失ったものの大きさはやはり簡単には消えるものではないのだった。

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