ヤンデレ×後輩   作:レア缶

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2017/2/11 連載するにあたって登場人物に名前をつけました。


先輩のすき

寝ている先輩にできるだけ触れないように注意を払いながら、覆い被さる。

そのまま、先輩の唇を奪う。

 

「先輩……、好きです……」

こうなったのは、先輩のせい。

 

 

私こと櫻井ユリと先輩、橘シオンとの出会いは、高校の弓道部だった。

 

優しい先輩を好きになって、でも告白なんてできる勇気が無かった私には、しかしながら先輩を追いかけて同じ大学に入るだけの執念はあった。

そして現在、私は先輩と同じ「工学部先進材料学科梅原研究室」で、先輩への想いを燻らせ、どうにもできずにいる。

 

「…先輩、大丈夫ですか?おうちに帰れてないみたいですけど…」

「詰めの時期だからしょうがないよ。大丈夫だよ、ありがとね」

 

大丈夫じゃない顔色でコーヒーをすする先輩は、学会での発表の準備で忙しくて、最近は研究室に缶詰めだった。

手伝いたい気持ちでいっぱいだけど、その発表は英語を用いたもので、残念ながら私が手を出せるものではなかった。

今ほど英語が苦手なことを悔やんだことはない。

 

「あんまり無理はしないでくださいね」

「ん、今日は久しぶりに帰ろうかな」

 

先輩は笑ったけど、メガネの奥の瞳は少し逸れていた。

先輩がちゃんと家に帰っていれば、あんな間違いは起こらなかったに違いない。

 

 

・・・

 

 

ある日。私は自宅での夕飯の後、作業をしようとPCを立ち上げたところ、必要なUSBメモリを研究室に置いてきてしまってことに気がついた。

 

(どうしよう、明日にしようか。

……いや、取りに行って今日のうちにやっちゃいたいな)

別に次の日でも間に合う作業だったのに、私はがんばってしまった。変にやる気を出さなければ、あんな間違いは起こらなかったに違いない。

 

深夜の研究室。

扉に付いた窓から、明かりは漏れていなかった。

 

(今日は先輩、帰ったのかな。………!!)

 

果たして、研究室には先輩が寝ていた。

イスを3つ並べてベッドのように使い、自身の白衣を身体にかけて寝ている。先輩の机の上には、開きっぱなしのノートPCや紙媒体の資料、メガネ、ペン、マグカップ、カロリーメイトの箱などが散乱している。

 

(先輩、こんな感じで寝てるんだ…)

 

昼に見る先輩はいつもメガネをかけているし、机の上は整頓されている。

誰も見たことがない先輩を知られたみたいで、得した気分だった。

寝息をたてる先輩を横目に、私の目当てのUSBメモリを鞄に入れ、静かに研究室を去ろうとした。

 

しかし。

 

 

(……………先輩……)

 

こんなに無防備な先輩は、初めて見た。

弓道部の時も、大学でも、いつもキリッとして、頼りになるひとだった。

でも今は、私の前で、こんなにも無防備な姿でいる。

メガネを外した顔。

少し反り、晒された生白い喉。

だらりとイスから垂れた腕。投

げ出された身体………。

 

(駄目。駄目だ、駄目、駄目…ほんとに犯罪になっちゃう)

 

自分でも何をしようとしているのか分からない。

ただ、やっちゃいけないこと、先輩に嫌われてしまうことだと思った。

でも、我慢できなかった。

千載一遇のチャンスだったから。

脳が渇く。

先輩が欲しくてたまらない。

 

先輩のマグカップ。

暗くて分かりにくいけど、底にコーヒーの跡らしきものが見える。

 

(先輩、今だけ許して下さい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…)

 

マグカップを手にとる。

ふちに、口をつけた。

その瞬間、罪悪感、満足感、背筋を駆ける快感、そして強い渇き、たくさんの感情が私を襲った。

 

(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!)

 

私は、逃げるようにその場を後にした。家についても、せっかく持ってきたデータを使った作業なんてできるはずがなかった。

 

 

・・・

 

 

次の日。

 

「お前風呂とか飯どうしてんの?

いつ来てもいるんだけど」

「近所の銭湯を使ってるよ。

お風呂用具もこうして持ち込んでるわけ」

 

先輩は机の下から出した巾着袋を、同じ研究室の方に見せた。

作業の傍らの盗み聞きだけど、先輩の生態を知れた。

これだけで嬉しくなってしまう。

 

「ご飯も、ここならお湯を使えるからどうにかなるし」

 

そう言ってコーヒーをすする先輩。

そのマグカップは、私が昨日の夜に口をつけたもの。

当然洗ってしまっただろうけど、私は『先輩の生活に跡をつけた』ような、あるいは『先輩のごく一部が私のものになった』ような、えもいわれない快感を味わっていた。

 

それにしても、先輩の食生活はちょっと心配だった。

 

 

 

私は本当に気持ち悪い人間だと思う。

本当に迷った。

迷いに迷った末、私は今日も、深夜の研究室に来てしまった。

先輩が寝ていて、その隙に自分の欲を満たすことを選んだ。

自分への言い訳のため、そして先輩が起きていた時の言い訳のため、先輩への差し入れのカロリーメイトを用意しつつ、適当なUSBメモリを私の机の上に置いてきた。

迷ったくせに用意だけは周到なのだから、本当に自分がいやになる。

 

そんな自己嫌悪の気持ちは、先輩の寝顔を見ただけでどこかに消えて、かわりに醜い欲が私を支配した。

 

「ハアッ……ハァッ…フッ…ハァ…」

 

荒い息が抑えられない。

これから先輩に何をしようか。

何でもできる。

そう思うと、人生で一番くらいに興奮する。

 

先輩は熟睡していて、まるで私に何でもしていいよ、と伝えているかのようだった。

その寝顔を、普段ならあり得ないくらい近い距離で堪能する。

長い睫毛が伏せられていて、惚れている贔屓目抜きでも、とってもかっこいい。

薄い唇に視線が吸い寄せられるけど、流石に触れたら先輩は起きてしまうだろうから自制した。

 

机の上の、先輩のメガネを手にとる。

銀縁の、頭のよさそうなメガネ。

レンズに息を吹き掛けても曇らないから、何か塗布してあるのだろう。

掛けると、ピントが合いにくくなって、先輩の視界を味わえた。

暗い中でも鈍く光る銀のつるを指先で撫でると、ゾクゾクと背徳感が走る。

そのまま唇をあて、あまつさえ口に含んでみる。

先輩の味がする…?

私がこんなことをしたメガネを、先輩は明日も何も気にせずかけるのだろう。

 

「ごめんなさい」

 

小さく震える声で呟いた。

快楽と興奮で濡れて震えた私の声に答える人はいない。

本当にせめてものお詫びに、私のハンカチでメガネのレンズを含む全体をキレイに拭いておいた。

 

 

・・・

 

 

数日後。

 

「先輩、その、お話が」

 

私はある考えをもって、先輩に話しかけた。

 

「うん?どうしたの、ユリちゃん」

「先輩、最近はいっつもコンビニのごはん食べてますよね。

いえ、仕方ないんです。お忙しいですから。

…ただ、私も何か先輩の助けになりたいなって考えた結果、お昼ごはんは私のお弁当なんてどうかなー…って。

コンビニのごはんより、ぜったい栄養も味もいいです。 だから、どうですか。駄目ですか。ごめんなさい」

「いや待ってよ、凄く嬉しいよ。

実は今、栄養不足で口内炎3個くらいできてるし、コンビニ弁当にも飽きたところだし。

しかもユリちゃんが作ってくれるなんてね、先輩冥利に尽きるな。

…ただ、大変じゃない?」

「問題ありません!」

 

思わず大きい声を出してしまった。

 

「私はもともとお昼は自前のお弁当を食べてるんです。

よく言うじゃないですか、お弁当は1人分増えたところで手間は変わらないって」

「…そっか?じゃあ、お願いしちゃおうかな。

…本当にありがとう」

「いえ、私から言い出したことです。

先輩も準備、頑張って下さい」

「ん。………ユリちゃんには、本当にお世話になるね。

頭が上がらないな」

「…そんなこと、ないですよ」

 

 

 

昼間の先輩との約束を思い出す。

先輩のためになりたい気持ちはある。

だけど、私はその気持ちだけであんな提案ができるほどの勇気は無い。

ここ数日の秘密の行動で、私がわがままになってしまったことが原因だった。

先輩の身体の一分は私のお弁当でできている。

そんな歪んだ考えで、自分の独占欲を満たそうとしたに過ぎない。

 

(せめて、腕によりをかけておいしいお弁当を作ってきますね、先輩)

 

目の前で眠る先輩に、心のなかで語りかけた。

 

先輩のお風呂道具が気になる。

先輩のイスでできたベッドを避けて、猫のような体勢で先輩の机の下を漁る。

コンビニのお弁当のゴミがたくさん入ったゴミ箱と、お風呂道具が入っていると思われる巾着袋が見つかった。

 

(もうコンビニ弁当なんて買っちゃ駄目ですよ?)

 

袋の中身は、携帯できる大きさの容器に詰めたシャンプーとボディソープ、ひげそり、身体を洗うナイロンのタオルだった。

タオルから、先輩のいい匂いがする。

 

「すぅぅ…………」

 

ほぼ無意識にタオルを顔に押しあてていた。

もはや抵抗は無かった。

先輩はこのタオルで身体を洗っている。

匂いを嗅ぎながら、その様を想像する。

後から考えれば、当人が寝ている横で、机の下でその人のタオルを顔に押しあてている、という情けなくて変態的な状況だった。

 

 

・・

 

 

次の日。

 

「いや、本当に美味しかった。ありがとね」

 

先輩は研究室で私のお弁当を食べきった。

本当に美味しそうに食べてくれた。

 

「んふふ、どういたしまして。

おいしそうに食べてくれて、私もうれしかったです」

「何か見返りが必要だよね。

お金でいい?1食800円くらいで」

「ちょっ、お金はいいです、あと1食800円もしません。

なんにもいらないですから…。

あ、そのお弁当箱は洗うのでください」

「あ、ごめん、ありがとう。

そうはいってもね、毎日昼飯を後輩に奢ってもらってるようなものだし」

「……じゃあ、何か先輩にお願いしたいことができたら、相談しますから。

そのときは、お願いを聞いてくださいね?」

「うーん…、そんなのでいいの?

まあ、任せて。何でも聞いてあげる」

 

 

 

先輩は何でもお願いを聞いてくれるらしい。

冗談だとしても、私はとても甘美な意味をもつその言葉に酔いしれて、言質をとった気になった。

もしかしたら、私のこの夜の行いがバレても、不問にしてくれるかもしれない。

そう思うと、さらに私の欲が膨れあがった。

 

先輩の唇。

 

ずっと、高校のころから、先輩とキスしたかった。

正しくはされたかった、だけど。

今は、自分から憧れの先輩にキスできる。

大きく息を吸って、鼻呼吸さえ止めてから、自分の髪を押さえて、先輩に覆い被さった。

 

「……………………んっ…………」

 

……とうとう、してしまった。

普通、恋人同士でなければしないこと。

私の初めて、柔らかさ、匂い、背徳感、多幸感、気が狂いそうなほどの快感。

そして罪悪感。

 

(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい)

 

先輩にこんなことをする度に、心のなかで謝罪している。

でも、本当に悪いと思っているなら、二度とこんなことはしない。

ただ、形式として、心のなかでだけ謝っている。

私は謝りながら、また先輩と唇を重ねた。

 

私は、悪いことをしていると『思っていた』。

それは確かだ。

でも今は、正直に言って、少しも悪いと思っていない。

それどころか、こんな考えが私の頭をよぎった。

 

 

(先輩がいけないんだ)

 

 

私はずっと先輩が好きだった。

なのに先輩は気付いてくれなかった。

私がこんなことを毎日毎日しているのに、先輩は止めてくれなかった。

しまいには、何でもお願いを聞くなんて言った。

 

私は悪くない、悪いのは、全部先輩だ。

そんな理論の理の字も無い考え。

そう思うと、罪悪感さえ無くなった、。

 

 

・・・

 

 

数日後。

 

「ねぇ、橘くん。例の発表、一週間後でしょ?

終わりそうなの?」

「ん、大丈夫。こっから調整だよ」

 

先輩が、同じ研究室の女性と話している。聞きたくないのに、聞いてしまう。

 

「そう、ならいいけど。

…しかし、梅原教授と二人きりで学会ねぇ…」

「譲ってやろうか。教授との大阪二人旅だよ?」

「いらない。楽しんできてね」

 

気がつけば、私は先輩を半ば睨んでいたらしい。

先輩と目が合い、苦笑いを返される。

 

「ユリちゃんはこんな風になったら駄目だよ?」

 

やめて、他の女と比較しないで。

そう言いたくても、言えない。

 

「…いえ、とっても素敵な方ですし…」

「あら、うふふ、ユリは分かってるね。

橘くんと違って」

 

様になるウインク。

呆れた顔でコーヒーをすする先輩。

私は嫉妬で燃え上がりそうだった。

 

 

 

 

(先輩。…先輩、先輩、先輩)

 

イライラして、いつもより荒く扉を開いてしまう。

落ち着かなくちゃ。先輩が起きてしまう。

 

(先輩が悪いのに。全部先輩が悪いのに、何で)

 

工学部では男女比が極めて男性に片寄っているが、この研究室は学部内で最も女性の比率が高い。

なんでよりによってこの研究室だけ。

こんな単なる偶然にさえイライラする。

それにいくら女がいたって、先輩が話さなければいいだけなのに。

あんな風に、楽しそうに話して…。

 

先輩の元にツカツカと歩み寄る。

あと一週間しか無い。

もうこんな、寝ている先輩に好き勝手できる機会は、学会の後は無いだろう。

 

先輩が晒している喉元を見る。

いっそのこと、食い破ってしまいたかった。

首筋に口を近づける。

私の荒い息が当たっても、先輩はピクリとも動かない。

 

(ほら…先輩が悪いんです。

起きて私を叱れば済む話なのに、それをしないから)

 

唇を首筋に押しあて、そのまま思い切り吸った。

一分ほど、吸い続けた。

 

「ちぅッ………、は、あは……」

 

先輩の首筋に、赤い痕が残った。

今までに無い満足感、快感。

先輩への明確すぎるマーキング。

独占欲が満たされて、嫉妬心が薄れるのを感じる。

 

「はぁっ……先輩は、私の……」

 

先輩の耳元で、声にならないくらいに小さい声で囁く。

 

「先輩は、櫻井ユリのことが好き…、先輩は、櫻井ユリのもの、先輩は…」

 

先輩が悪いのだから、分からせてあげないと。

 

 

・・・

 

 

先輩を私のものにするために、何だってするつもりだった。

夜は先輩の耳元で囁き続けて、私の気持ちに気付かせようとした。

先輩の持つペンを新品とすり替えて、先輩のペンを愛でた。

先輩の髪に私の髪を結びつけた。

先輩の机の周りをお掃除してあげた。

先輩が他の女と話したり隣り合わせになると殺意さえ沸いた。

 

これらの行為が先輩を私に惹き付ける要因になるとは、思えなかった。

 

結局、私は自分の叶わない欲求を、抵抗できない先輩で晴らしていただけだった。

それが全てだった。

 

「……先輩。学会、いよいよ、あさってからですね」

「うん。でも明日の夕方には、もうここを発つかな」

 

つまり、今夜が最後の機会。

 

「気をつけて下さいね?」

「ありがとう。

ここまで風邪もひかずにいられたのも、君の弁当のおかげだね。

……ユリちゃんこそ、体調には気をつけて」

「私、ですか?」

「んー…、女の子に言うことじゃないけど、ユリちゃん、隈ができてるよ。

忙しいんでしょ、弁当も今日で最後でいいからね。

無理させてごめん。

学会は頑張ってくるから、ユリちゃんも頑張ってね」

 

「…………………………はい」

 

 

 

私は、先輩と一緒にいるにふさわしくない人間なのだろう。

私の心配をしてくれる先輩。

その心配を、私はまるまる裏切ったのだから。

 

でも、先輩は私に『頑張ってね』と言った。

だから先輩が悪い。

先輩のせいだ。

先輩が後押ししたから、私は先輩にこんなことをするんだ。

先輩に言われた通りにするだけだから、先輩に責任がある、そうに違いない。

 

自分に言い聞かせる。

 

今夜が最後。

先輩が私にされるがままになる最後の夜であり、私が先輩にひどいことをする最後の夜。

 

 

寝ている先輩にできるだけ触れないように注意を払いながら、覆い被さる。

そのまま、先輩の唇を奪う。

 

「先輩……、好きです……」

こうなったのは、先輩のせい。

 

 

「俺も好きだよ、ユリちゃん」

 

 

最初、私の妄想からくる幻聴かと思った。

しかしあまりにリアルに聞こえたから、目を開けて先輩の顔を見た。

 

先輩と目が合った。

 

直後、私の身体は先輩から飛び退くように動いて、無様にしりもちをついた。

先輩が立ち上がり、こちらに近づいてくる。

その瞬間、身体をくりぬかれるような底冷えした恐怖を感じた。

先輩はこのことを許してはくれないだろう。

今さらになって、自分がしてしまったことのリスクと重大さを思い知った。

 

嫌われる。

いやだ。

先輩が私のことを好きになってくれなくていい。

嫌われるのだけはいやだ。

それだけは絶対にいやだ。

身体が震える。

涙が溢れてくる。

 

「いやだ……、ごめんなさい、ごめんなさい!ごめんなさい!!

ゆるしてください、ごめんなさいっ!なんでもしますから……、先輩、ゆるしてください…!

ごめんなさい……、おねがします……、きらいに、ならないでください…………」

 

直後、私の視界は完全に真っ暗になった。

先輩に抱き締められていると気がつくまでに、時間がかかった。

 

「だいたいは、知ってる。

君が初めて、いたずらしたときも。

俺が女の子と話してるとき、嫉妬してくれてるのも。

その上で、ユリちゃん、君が好きだよ。

高校から、ここまで追いかけてきてくれた、君が好きだ」

 

…………あぁ……。私は、ずっと先輩の手のひらの上で踊っていたようだ。

もう、全てがどうでもいい。

ただ、先輩が私のことを嫌いにならないでいてくれた。

それどころか、私を好きと言ってくれた。

もう、望むものは全て手に入った。それで十分だった。

私は先輩に身を任せる。

今までこっそりと嗅いできた先輩の匂いを、胸いっぱいに吸い込む。

先輩に頭を撫でられて、頬に手を添えられ、唇を奪われる。

先輩にしてもらうことがすべて、とてつもなく気持ちよかった。

今まで、独りでこそこそとやっていたことが馬鹿らしくなるくらいに。

 

「先輩……、好きです……。

ずっと前から、好きでした……」

「…ふふ、ありがとう」

 

そのまま、いつまでも、いつまでも、先輩と抱き合っていた。

 

 

 

 

 

学会の発表の準備がほぼ終わってもここで寝泊まりしていた意義は十分にあった。

もう、離さない。

 

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