1日、2日と試合は進み、ついには準決勝、決勝を残すばかりとなる。
盛り上がりは最高潮を迎え、スタジアムから続く屋台は遂にセキエイ高原の端まで占拠し、チャンピオンロードまで入らんとする勢いである。書類整理もここまで来るとひと段落付き、外にも出ることができるので出たらこの賑わいである。
「あー、ケンゾーやん。元気ー。」
とこちらに駆けて来るのは、今回の本戦ベスト8の「コガネの美少女アカネちゃんでーす。」被せるな。面倒くさい。と隣でぺこりと一礼して挨拶をしてくれるは本物の幸薄美少女アサギのミカンである。
「ええじゃないのー、あんさんと私の仲なんだからさー。うりうりー。」飛び付いてきて人に乗ってるのをいいことにちょっかいをかけているアカネをミカンは横から羨望の眼差しで見ていた。良いなぁアカネちゃんはケンゾーさんに構って貰えて。まぁアカネちゃん可愛いし、眼福だねー。と考えていたその次のケンゾーの言葉はミカンの心を貫いた。
「好きなもの奢るよ。好きなだけ食べな。」
食べ放題....なんて甘美な響きなんだろうなとミカンはご飯以外の全てがどうでも良くなった。
美少女と美少女?を二人お供に、喧騒の中を抜け、手短なスペースに場所を取る。ケンゾーの横で満面の笑みを咲かせているのはミカンである。彼を連れ回してかれこれもう5件。彼女の胃袋にはゴースとかでも入ってるのかしら。うん。うん。わかるよ。すごい笑顔だねミカン。幸せなんだね。帰ってきたミカンの目の前は5人前のアサギの海鮮焼きそばが鎮座しております。アカネの目に映るミカンはとても幸せそうだ。アサギでの一件から容赦が無くなったね。うん。
クチバの海鮮丼を皮切りにオレンジュース、いかりまんじゅう、モモン飴トドメの焼きそばである。これが主食であるらしい。他はデザートなんですって。追い炭水化物。食べ物怖い。
もぐもぐ言ってるミカンの横で、んで「どうよ。センリさんは、アカネ。」この一言に彼女の目の色が変わる。
「いやー、強かったよほんま。うちの子達を完封するとか中々お目にかからないよ大将。」大食い少女も、もぐもぐ横で頷いてますけど
そう、センリさんアカネに完封で上に上がったのである。
こんな性格しながらも、アカネは大都市コガネのトップを若くから張ってるため、バトルも間違いなく強いのである。時、環境、運とは言うけれども本当に珍しいことであった。
「元々アサギに住んでたらしいんですけどねー。お父さんとお友達だって、お強いとは言ってましたけどね。びっくりですよー」
「へぇ、スダチさんと。」
皿の全部を食べ終えてミカンは満足である。天にも登る気持ちとはこのことか。幸せな子である。
彼女からするとセンリは一応顔見知りのおっちゃんである。父のスダチと違って中々に近寄り難い雰囲気もあるため人見知り気味のミカンはただ顔はわかるという程度であるが。
こうして愚痴を垂れ、お腹を膨らませ。彼らは試合迄ぐー垂れているのであった。
準決勝一組目はワタルとカリンさんの戦いになった。ウチの子達も試合に釘付けであった。エーフィさんなんて特に君の弟が出てたからね。応援のしがいもあるだろうよ。
試合はというと、序盤はカリンさんの優位で進んだが、最後の一対一迄もつれ込み、カイリューがドンカラスに競り勝つ形になった。
準決勝二組目はヤナギさんとアサギのセンリさんであった。まさかのダークホースの登場である。開幕早々センリさんのケッキングが盤面破壊と共にデリバードを戦闘不能にして始まり。出鼻を挫かれたチョウジさんは奮闘したが、そのまま一歩及ばずという結果になった。この様な試合があるからポケモンバトルはやめられない。また彗星のごとく強者が舞い降りたのである。そりゃ興奮待った無しである。
決勝も多分に漏れず良い試合であった。人の心を掴んで離さない試合とはこの様な試合を言うのであろう。私も次回はあの場に立ちたいものである。その前に仕事を押し付けねば。キクコさんに頼めばいけるかなぁ。
決勝の一月後にはセンリさんはチャンピオン、四天王、協会満場一致の推薦でホウエンのジムリーダーとなった。ホウエン地方のトレーナーの底上げも兼ねているのでジムの形式を道場形式にする案が濃厚である。トレーナー自身の精神も鍛えられるというコンセプトらしい。
ケッキングと彼のとっておきがあらゆるトレーナーを荒らしまわることは想像に難くないだろう。